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COMBAT(続)
 ゲームの後半は大部分を水で満たされた惑星Aguerraに降り立ってのプレイとなる。それまでとは対照的に明るいアウトドアの設定で、ロケーションには村や施設等の比較的開けた開放的な所が多くなるため、雰囲気としては新鮮な印象が感じられる。だがゲームの最大の欠点とも言えるのがこの後半パートとなっており、その理由を以下に解説する。


 後半開始からしばらくは銃器が手に入らず、ルート探しやステルス系のマップが続く。そして遂にSCAR Gunが手に入るのだが、ここからゲームが詰まらなくなる。この銃はスティッキー・エネルギー・グレネード・ランチャーとでも言うのか、どこまでも真っ直ぐに飛んで行くエネルギーの固まりを撃ち出し、これは当たった場所に貼り付いて、RMBでリモート爆破させる事が出来る。普通の兵士なら一発で倒せる位に強力。エネルギー式なので弾数は無限だが、あまり高速に連射は行えない。そして最大で5発まで同時起爆可能なので、予め何発か蒔いておいて地雷の様にも使える。


 第一の問題はSpider Turret。SCARが手に入ってから登場する小さなクモ型ロボットで、壁面等に貼り付いて待機し走査範囲内に入った敵に銃撃を浴びせる。この銃撃の威力が凄まじく、あっという間にブロックを数個削られてしまう位のダメージを負ってしまう。厄介なのはかなり遠くからでもこちらを検知出来るのに加えて、小さくて真っ白なので離れると気が付き難い事で、うっかり範囲内に入って先に見付けられてしまうと大ダメージを受けてしまう。暗い場所でなら走査レーザーが見えるので楽になるが、Eyeshineを使っていたりするとそれが見えなくなったりと困らされる。

 更に嫌なのが曲がり角の先や、ドアを通ったすぐ横の壁に待機していたりと、初見のプレイでは避けるのが困難な場所にいたりする点。終盤に至るまでずっとこのSpider Turretは出てくるので、画面上から小さなこの敵を目を凝らして探し続けるゲームに変貌してしまう。プレイヤーからは見付け難いスナイパーが大量に配置されている様なもので、死にながら(撃たれながら)配置を確認していく憶えゲーになっておりフラストレーションが溜まるだけ。慎重にこれを探しながら時間を掛けて進めるのはテンポが悪くなるし、取りあえず前進して撃たれて死んだらやり直しで位置を憶えていくというのも面白くは無い。あまりに面倒なので途中からEasyに切り替えて場所を把握してからやり直したりしていたが、時折兵士が出て来たりもするので難易度切り替えが上手く行かず、結局はグダグダになってしまった。


 第二の問題はAlpha Drone。大型でロケットランチャー(火の玉)とミニガンを装備した相手で、中ボス的な存在としてこの後半戦から登場してくる。何が駄目なのかというと、とにかくこいつとの戦闘が単調なところ。倒すにはSCARを使ったある特定の方法しかなく、しかもそれを達成するには出来るだけ近距離に居るのが理想という設定。だが攻撃力が高いのでオープンな場所では勝つのが困難。よって障害物を挟んでグルグル回りながら戦うというスタイルが繰り返される。好きな武器を使って自由なスタイルで戦えるのならまだしも、各マップに付き一回位で確か計6〜7体ほど出て来るのと、延々と同じ戦闘パターンの繰り返しというのは次第に飽きてくる。


 第三にSCARが手に入ってからはほぼこの銃ばかりを使う事になり、武器の使い分けの面白さが消えてしまう。まずしばらくの間は銃器がSCARしかなく、またAlpha DroneはSCAR以外では倒せない設定。Spider Turret相手には走査範囲内に留まれないので、SCARを使って爆破するのが一番安全。そして見付けたらすぐに撃てるように構えている武器はSCAR一択の形になってしまう。更にこの後半パートではSCARを使い爆破して開ける扉が幾つも出てくるので、その意味でも常にSCARを構えているのが面倒が少ない。

 徐々に通常の武器と弾薬が入手出来るようにはなるのだが、常時SCARを構えているので普通の敵相手にもそれでそのまま戦ってしまいがち。また威力そのものは高いので、武器としては悪くないというのが反って災いしている。つまり弾数が無限で威力が高い武器が存在したらそればかり使うようになるという意味で、最初の内は爽快感が高いが次第に単調に感じられてくるのは避けられない。


 Spider Turretの意地悪な配置やAlpha Droneの破壊力の高さ等から、後半の難易度はぐっと高くなっている。他にSCARの弾は真っ直ぐに飛ぶが即着弾ではないので、敵と離れてしまったり動いている相手には当て難くなるというのもある。難しい事自体は別に良いのだが、問題なのはフラストレーションが溜まる様な形での難易度の上昇になっている所で、面白さという観点からは前半に比較して格段に落ちているという印象。Atariからの発売に変わってからシングルプレイのボリュームを前作並に伸ばしたらしいが、この後半がその分であれば作ったチームが違うのかと感じるほどクオリティが低下している。

 後半の独自要素としては、あるサブの依頼をクリアするとスナイパーライフルが入手出来る。あれば便利という程度で必要な武器ではないし(弾も最初の16発だけの様だ)、入手するには結構時間を掛けないとならないので無理をする事はないだろう。



 最後に両方のパートにおいての敵兵士のAIについて。積極的になってこちらを追い詰めようとして来る等良い面も感じられるのだが、同時に数々の問題点も抱えている。一つ目は背中を向けて固まってしまう事がある点で、警備中でも戦闘の最中でも発生する。何故か背中を向けたまま動かなくなり、しばらくするとピクピクと痙攣するように動き出してから元に戻る。二つ目は接近してくる際の動きで、ルートが複数有る場合には挟み打ちの様にして襲っても来られるのだが、一方向しかルートがない位置にプレイヤーが隠れると、待ち伏せている所へ次々にやって来ては倒されてしまうケースが発生。グレネードを投げてこないという設定も関係していると思うのだが、数が多くてもエリアの形状によってはハメて倒せるという欠陥を持つ。

 三つ目はドアの様な狭い入り口や、オブジェクトの陰における視界や動きが変。例えばドアの入り口を挟んで戦闘するケースでは、ドアの向こう側の壁の位置にスタックして動けなくなったりや、上で書いた背中を向けて止まるという現象が起き易くなる。それと障害物の陰で半身の状態になると、明らかに向こうからこちらが見えている位置なのだが、実際にはこちらを認識出来ずに一方的に撃たれてしまったりする。


 後は攻撃が壁を貫通してしまうというバグが時折発生する。


GRAPHICS
 自社製のStarbreeze Engineを使用。5年前にEfBBで使用された物より数段階アップグレードされている。

 仕様などは明らかにされていないが、クオリティの方は確かに高い。公開された画像等でむしろ前作よりも劣化したという様な意見も出ているが、実際にゲームをプレイしてみるとそんな事はないのが解る。ただ反射(光沢)はHDRの表現が前作では派手目だったので、落ち着いてリアルな表現になった所が劣化したと見えてしまうのかも知れない。それと発表当時の他作品との比較においては明らかにEfBBの方が上であり、インパクトも強かったというのもあるだろう。

 目立った点は水面の波の描写が綺麗, 複数の光源からのライティングによる影の変化, フェイシャルアニメーションの滑らかさ等。反面テクスチャのクオリティが一部低い所が在るのが目に付いた。


 設定可能項目はそこそこ多い。なお画面右がスクロールバーの様に見えて実はそうではないというのもあるのだが、下の方にも設定が隠れているので注意。アスペクト比における問題についてはTOPを参照。

 Anti-aliasingとSpace Ambient Occlusionは同時にオンには出来ない。このレビューの画像はアンチエイリアシングの方を有効にしている。

SOUND
 EAXの採用はカットされたが、3Dサウンドには対応している。

 銃器のサウンドは普通。BGMは環境音的な静か目の物が多く、戦闘になると派手な物に切り替わるという方式。

 声優のクオリティは前作同様に高い。

MULTIPLAYER
 新たに導入されたのがマルチプレイ。未プレイなので簡単に内容だけ紹介。

 プレイにはアカウントの作成が必要。最大で12人までが参加可能である。武器類は収録された二つのゲームの中からミックスされており、マルチプレイ独自の武器(グレネードランチャー)も登場する。


 ゲームモードはDeathmatch, Team Deathmatch, Capture the Flagという定番の他に、オリジナルのモードが二つ含まれている。

 “Butcher Bay Riot”はGuards, Mercenaries, Prisonersの3チームに分かれての対抗戦。目的は敵陣地のパワーセルを集めて自陣に持ち帰り、最初にチャージを完了させたチームの勝利。死亡したプレイヤーはリスポーン出来ず、次のラウンドを待つ事になる。各ラウンドの開始前には稼いだ金で武器を購入可能。決められたラウンド数での勝利数を競う。

 “Pitch Black”は全体が暗いマップを使ったモードで、一人がリディックとなり、他の5人までが銃とフラッシュライトを持った兵士になる。リディック役は暗闇での視界を確保出来るので有利となり、全ての兵士を倒すのが目的である。誰かがリディックを倒せれば次のラウンドはそのプレイヤーがリディックの役となって再開される。

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