GAMEPLAY |
ゲームの初回プレイ時間は10時間程度。オプションとなるNPCからの依頼をどれだけこなすかや、タバコの箱探しにこだわるかにもよるが、早い人なら8時間程度でクリア可能なようだ。 マップ数は40個弱程度だが、Xbox版そのままの構成と思われ各マップのサイズは比較的小さい。ブロックとして何個かのマップが結合していてその中を自由に動けるというパターンが多く、行ったり来たりしながら進めて行くようになっている。マップが複数連結された構成のマップでは移動の際に頻繁にローディングが発生するという状況もあるが、それ程ローディングの時間は長くない。 ストーリーはそれ程複雑な物では無いが、二転三転する構成となっており良く出来ている部類。主要なキャラクタ達の設定や描写も優れている。また刑務所内部の描写もリアリティが高く、会話が可能なNPCの数が多いし、個別に顔が設定されているという凝り様。そのNPC達は移動して勝手に会話を行なっていたりもする。 自由度は全般的に高く、ステルスか戦闘かの選択, 複数存在するルートの選択, マップの進行(訪問)順序, イベントによるストーリーの分岐, サブのミッションを達成するかどうか、といった変化を持っている。その為にリプレイ性も高いというプラス面を生み出している。 ゲーム全体としての特徴としては、非常に多彩な異なったゲーム性を持つパートから構成されているという点が挙げられる。ステルスで言うならば、ノーマルな闇に隠れてのパート, EyeShineの能力を使ってのパート, Tranquilizer Gunを使って戦うパート, 変装のパートが存在。戦闘面では、素手での殴り合い, 銃器による撃ち合い, メックに乗り込んでの派手な銃撃戦といったパートが在る。これに加えて会話による進行が重視されたアドベンチャーゲーム的なパートなども含まれており、目まぐるしく展開が変って行くというスタイルを採用している。 これは私見だが、ゲーマーに傑作として評価されるゲームには「全てが良く出来ていて、中でも突出して優れた部分が有る」という物は実は少なく、「非常に優れた部分も有るが、逆に欠点も抱えている」という物の方が多いと思う。或いは「特別な穴が無く、各要素が70−80点ランクで無難にまとまっている」よりも、「欠点も有るが、90〜100点のランクの要素を幾つか持っている」物の方がインパクトが強いので、結果的には後者の方が総合的には高い評価になる事が多い。 その点でこのゲームは、細かなパートをそれぞれの単位で見た場合には、ハッキリ言って突出して面白いというパートは存在していない。それぞれに面白いのは確かだが、「これぞ!」という様な優れた箇所は無いという印象である。例えばステルスは凝っていて複雑で奥が深いというレベルではないし、戦闘面も特別な面白さを感じるという所までは到っていない。 その考えから行くとこのゲームは「特に穴が無いが突出した部分も無い」として、秀作ではあるが傑作では無いというランクに留まるはずである。にも関わらず非常に高い評価を受けているその理由とは何かと言うと、それはゲームのペース配分・構成・展開が優れているからというのが答えになる。ゲーム全体を通してダレた退屈なシーンが無く、ゲーム性が短い区切りでテンポ良く切り変って行くので、途中でプレイを止め辛くてついつい先へとプレイを続けてしまうというようになっている。 プレイヤーを引き込む各パートの並べ方や変化のさせ方も上手い。結構長く続くステルスのパートから一気に大暴れのメック操縦シーンに切り変えたりや、逆に銃撃戦からストーリー展開が大きく変って急にステルスへと変化したりと飽きさせない構成である。NPCとの絡み(会話)により進めるシーンが所々に挟み込まれてペースを大きく変えるというのも効果的に感じるし、数ヶ所で発生するボス戦もアクセントとして良く機能している。また終盤に一度「これで終わりか」となってから、これまでとは異なった新しいパート(ネタバレになるのでレビューには内容は書いていないが)がスタートするという展開も意外性があって面白い。 「詰まらなかった原作映画よりもよっぽど映画的」と評されたように、プレイヤーの気持ちを切らずに続けさせる構成の妙を感じさせる。時間が有るのならば2回程度のプレイで一気に最後まで持って行くだけの魅力を備えており、揃えられた素材の構成の仕方次第でゲームの面白さは大きく変化するというのを証明したゲームと言えるだろう。 |
COMBAT |
戦闘面は実にバラエティに富んでおり、様々なシチュエーションでの戦いが用意されている。 第一に素手による拳闘の戦いのパートが含まれている。このパートでは武器を持っていないので必然的に素手によって戦うという状況になる。戦闘の基本はシンプルで、Fireで攻撃しAlt Fireでブロック。攻撃の種類は単なるFire(右ストレート)の他に、4方向の移動キーとの組み合わせによってジャブ・左右フック・アッパーカットが繰り出せる。アイテムとしては威力を増せる金属ナックルの装着が可能。その他に打撃戦闘での武器としては小型ナイフ・ドライバーも使用可能でダメージを増す事が出来る。特殊な物としては警棒も存在する。 ブロックの状態では動けなくなるが、拳の攻撃によるダメージは入らなくなる。また敵がナイフ・ドライバー類を持っている時には通用しない。それと特殊な攻撃としてカウンター・アタックが存在し、敵が攻撃した瞬間にタイミングを合わせてFireを押す事で、敵の右腕を捕まえてからカウンターの一撃で倒す事が出来る(全ての敵に通用するのかは未確認)。その代わりに成功させるタイミングは難しい。これは銃を持った敵と素手で戦う時にも使用可能で、銃で殴って来た場合に腕を捕まえて銃を逆に敵に向けてやり頭を撃って倒せる(この方法ならばDNAのロックも関係ない)。 素手での戦闘シーンはアニメーションもよく出来ているし、ゲームのテンポを変えるアクセントとしてもなかなか効果的である。けれどもそれ程戦略的に深いという物ではなく、複雑な攻撃コンピネーションと敵の攻撃の見極めが必要となるような設定ではない。取りあえず同じ方向からの攻撃を繰り返さずにパンチの種類を変えるのが効果的であり、ガードしたらアッパーで吹き飛ばすといったシンプルな手段で対抗が可能である。ダメージを受けた場合にはボックスが回復して元に戻るまでガードの姿勢になればダメージを受けなくなるし、敵が武器を持っているのならば逃げ続けて休めるタイミングを探して回復という行為を繰り返せば死ぬ事も少なくなる。よって非常に強い(攻撃スピードが速い)と設定されている例外を除けば大して難しくもない。それと多人数を相手にするというケースがほとんど無く、一対一の戦いばかりなのも難しくない原因の一つ。しかしいずれにしろゲームを面白くしている要素の一つだと言える。 第二に銃器による一般的な戦闘シーンでは、ステルスでも行動出来るという自由度が設けられているケースが多い。出来る限り戦闘で戦ったとしても、ゲーム全体に占める銃撃戦の割合はそれ程多くない(半分も無い)。そして用意されている武器も少ない。 *Pistol 遠距離での正確性に優れるのでスナイパーライフルeの様にしても使えるが、敵が持っている事が少ないので弾数はあまり無いし、また自分が持っているというケースも少ない(主要武器よりもむしろレアな存在)。 *Shotgun 8発装填可能なショットガン。近距離での破壊力は高い。 *Assault Rifle このゲームでは最も基本的な武器で、大半の警備員はこれを持っているので弾薬も大量に手に入る。2種類のタイプが存在しており、ノーマルタイプにはDNAロックが掛けられているので、これを解除しない限りは落ちていても拾って使えないようになっている。よってこのゲームでは警備員を倒しても武器が使えないので、ステルスでの行動を余儀なくされるというシチュエーションが増えている。 *Minigun 特定の場所でしか出て来ない高速連射が可能な兵器。持つと移動速度が遅くなり、また他の武器に切り替えるとDropされてしまう。 *Tranquilizer Gun 特定のパートのみで使える武器。電撃で敵を麻痺させられる機能を持ったステルス用の武器とも言える。。倒した敵はしばらくすると起き上がってしまうので、それを防ぐには接近してALT Fireで止めの蹴りを入れないとならない。一発撃つ毎に充電時間が入るのが難点だが、警備員を一発で倒せるのである意味では最強武器でもある。 他にはグレネードも有るが登場箇所はこれも限定的。 戦闘はスピード感を持った激しいアクション寄りではなく、若干スローテンポで慎重に戦うというシーンの方が多目。まずメインとなるアサルトライフルの命中精度がかなり低く、リアル系の銃の様に激しく弾がブレる仕様。ヘッドショットが有効で大きなダメージを与えられるものの、離れてしまうとそれも難しい。弾薬は山ほど入手可能なので、敵一人に付きマガジン一つ分撃ちまくってそれで倒せれば良しといった感じになりがちである。その為に相手が少数でも素早くケリを付けるのが難しくなっている。次にマズルフラッシュが派手な上に赤のレーザーサイトなので、連射してしまうと照準の位置が見えない。元々暗くないと赤の照準は見辛く、リアル系FPSに用意されている照準無しモードで戦っているような感覚である。他には爆発性の火薬缶が結構マップ内に置いてあるので、銃撃戦であちこちに動き回ると巻き込まれてしまう危険性が高いのも厄介な点。 もっと近付けば当るようになるが、接近戦での敵からのダメージは大き目なのであまり得策ではないし、その場合には持っているならばショットガンの方が有効となる。そのショットガンは威力が高くて爽快感もあるが、ミュータントの様な遠距離攻撃を持たない敵とか、敵が一人だけの時など使用可能な場所は限定される。 よってどちらかと言うと正面切っての撃ち合いではなく、暗闇を作ってからEyeShine等で優位に立って攻撃するとか、敵が気が付いていない遠距離から先制攻撃するとかが主体。または物陰に隠れながら時々体を出しては攻撃したりと、豪快で派手な撃ち合いは控え目となっている(そもそもRiddick自身のキャラ設定が、特に銃での戦闘に長けているという事では無いようだ)。 第三にRiot Guard(メック)に乗り込んでの戦闘シーンも含まれている。これは限られたシーンのみになるが、破壊力や防御力が上がっているので派手な戦闘が楽しめる。最後にTranquilizer Gunのみを持ってのパートで、ここはどちらかと言うとステルスのパートといった方が適当かもしれない。 敵のAIはローリングやしゃがみも行って来たりと動きは多彩。かなりの広範囲を動き回ったりするので狙いが付け難い。パトロール中は決まったルートを動いているが、戦闘時には動きがスクリプトされている訳でもなく、ちゃんとこちらに合わせて動きを変えてくる。ただし「AIが非常に優秀」という前評判程ではなかったという感想。特に接近戦ではこちらの前を通り過ぎてしまったりと妙な動きも見せる。壁際に隠れての待ち伏せに引っ掛かり易いのも難点。 他のタイプとしては惑星土着という意味なのか何種類かのモンスターも出て来るが、いずれもこちらに直線的に向かって来るだけとAIとしては単純である。メック系の敵は耐久力が高いので、こちらもそれなりに攻撃力を持った状態でないと太刀打ち出来ない。ゲーム中何箇所かはボス戦も有り。 なお難易度としては厳しい部類ではなく、クイックセーブも出来るので全体としてはやや簡単という印象も。現在の行動エリア内に用意されているNanoMED Unitsによる回復可能な量で十分に賄えるレベル。特にステルスでの行動を選択する場合には、Riddickは戦闘に比べて優位な立場にあるので難易度が下がる。 ただしNanoMED Unitsは離れて点在する上に、多数のマップ間を行き来するというシチュエーションが多く、何処に有ってどれだけの回復分量が残っているのかを把握しておいた方が良いという条件付き。危なくなったのでフルまで回復させたいという場合、憶えていないと幾つものマップ間を右往左往する羽目になる可能性がある。戦闘中にダメージを受けないような安全な戦い方になりがちなのは、ダメージを受けるほど回復場所を求めて走り回らないとならなくなるからというのもある。 |