問 題 点 |
プレイ中に操作するキャラクタを切り替えてプレイが可能なので、様々な作戦を立てて変化に富んだプレイが可能であるというのは、ゲームが大きな売りとしていた要素である。しかしこれは上手く機能しておらず、むしろゲームに於いて大きな問題となってしまっている。 まず自分が操作していない方のキャラクタは基本的に何も出来ないとなっており、もし攻撃を受ければ反撃は出来るのだが、弾を撃ち尽くしても他の武器にチェンジ出来ない上に、隠れたり逃げたりが出来ないのでそのままやられてしまう。更に視界が限定されており正面の近距離の敵でないと反撃すら出来ずに撃たれっ放しである。またFollow等のコマンドは一切無く、2人同時に移動したりとかも不可能。相手の状況を知るようなHUDも用意されていないので、死んだ(倒れた)時点で初めてそれが分かるというのも厄介である。 「味方をその場から動かなくしたのは、動くようにしてしまうと切り替えた時に意図した場所にいなくなってしまう可能性があるから」とコメントされているが、それは単にHoldという命令を組み込んでおけばいいだけの話である。確かに意図した場所から離れてしまうというのは問題になるケースも考えられるが、動かないし攻撃も出来ないという現状の方がより大きな問題を引き起こしているのは間違いない。様々な命令を出しておけるFPSゲームは他に沢山有るのだから、今時それが出来ないというのは力不足としか言いようが無い。そもそもNPCのAIはいろいろと動いたりしているのに、何故隊員だけがそういう風に出来ないのかが疑問である。 多くの特殊部隊物の様にスローテンポで進めるタイプのミッションでは切り替えは有効となっており、スパイとスナイパーのコンビだと結構面白い作戦も取れる。例えばユニフォームを奪いたいのだがスパイが近付けない際に、スナイパーが遠方から狙撃して倒した直後にスパイに切り替えて素早く服を奪って変装するといった戦法が可能になる。 問題はGBとスナイパーが組む時で、敵との戦闘中だと操作していない方が隙だらけになってしまうので不味い事になる。安全を期すならば切り替える前に隠れてからとなるが、GBを操作している時に急に狙撃のObjectが加わったりすると隠れるまでの時間の分ロスが生じてしまうし、戻す時もGBが戦場に帰って来るまでにロスが発生する。一応それを補う為にGBが倒れた場合にはNPCが治療してくれるようになっているケースも有るのだが、放置状態ならやられる事を前提としているようで釈然としない。 特に問題なのがM14, "M8: White Alamo"の様な敵の大群の攻撃に耐えるスタイルのミッションで、攻撃が激し過ぎて切り替えての操作が間に合わない。遠くの敵を狙撃する命令が出たのでスパイパーに切り替えて敵を探していると、GBが攻撃出来なくなる分敵本隊の攻撃を防げなくなるし、GBを操作していると逆に遠方の敵が疎かになってしまう。しかも相方が倒れるとそこまで行って治療をしてやらないと再度使う事も出来ない。想像して欲しいのだが、次々に敵が襲って来る激しいアクションFPSで2人のキャラを操作しないとならず、使っていない片方は基本的に何も出来ないとなったらどういう事になるかという話である。 結局のところコンビプレイは放棄して片方しか使わない方がむしろ楽(クリアするだけなら)という感じになってしまっており、相方AIの能力の無さはまだ許せるとして、それを踏まえた上でもっとコンビプレイが面白くなるようなバランスには出来なかったのかと思えてしまう。大きな売りとしていた割には切り替えが可能なのは6ミッションと全体の半分もなく、これは一度やるといった以上は引っ込める訳にはいかないが、大きな問題というのは認識しているので出来るだけ減らしたという事なのではないかという気がしてならない。 必ずしも達成する必要は無い2nd Objectiveだが、これが混乱を引き起こしているケースが多々見られる。普通のゲームでは達成しておけば有利に働くという設定だが、このゲームでは達成するのが困難な割にはメリットが薄いという場合が多く、単にクリア時に高ポイントを稼ぐのに用意されているというデザインになっている。そこを勘違いしてしまって「ミッションが難し過ぎてクリア出来ない」という書き込みが掲示板に散見される。つまり一見すると「それを達成する事が非常に有利に働く、或いは必要な事のように思える」のだが、実際にはそれを無視してしまった方がクリアは簡単であり、達成しようとすると数倍難易度が上がってしまうのでそこに引っ掛かってクリアが出来なくなる。 かと言って2ndを無視して進めると早く終わってしまうという別の問題が発生してしまう。もっと達成しないとならないObjectiveを増やしてやり、その分難易度を調整してバランスを取るべきだった。 ミッションによってルールの基準が異なっており、以前のミッションでは無理だったからといって他のミッションでもそうとは限らないし、逆に前に出来たからと言って今回も可能とは限らないとハッキリしていない。よって実際には可能なのに、出来ないと頭から思い込んで自分から難しくしてしまうといった状況(或いはその逆)が発生してしまう。例えば或るミッションでは救出した人間をエスコートする際に、敵が居る場合には手前で止まってクリアされるまで動かないのだが、他のミッションでは助けたら後は止まらずに敵がいようと平然とその中に歩いて行ってしまうので死んでしまったりする。 ランキングのシステムが今一つ分かり難い。ポイントを稼ぐほど星の数は多くなるというのが基本らしいが、そうなると出来るだけ波風を立てないようにステルス行動してはポイントは上がらない。Hitmanだと無駄な殺しをしないほど高いランクを与えられるが、このゲームではなるべく殺した方がそれに応じたポイントが加算されるので、そのスタイルでは低いランクとなってしまいがちである。またミッションによってはNormalの難易度では星五つを取れない物が有ったりと統一性にも欠けている。 I/F系が洗練されていない。物によってはアイテムが目立たず、かなり注意深く見ていないとすぐ近くに有るのに見逃してしまったりする。また爆薬を仕掛ける時にはセットする位置に半透明のアイコン表示が出るという定番の方式なのだが、これが薄緑色で相当分かりにくくて問題あり。イベント発生時にPinP機能が働くのだが、注意深くレーダーも見ていないとどこで起きている事なのかが分かり難い事も多い。 個人差が有ると思うが、マウス操作にフィルター機能が無く動きがモッサリとしており違和感あり。 |
GRAPHICS |
マルチプラットフォーム製作用のミドルウェアとして著名なRenderWareにて製作されているが、グラフィックス部分は独自開発らしく、Pixel
shader 2.0, advanced physics, dynamic illumination, projected shadows,
particle effects, full screen filters等に対応している。 軽さの割には綺麗という印象だが、コンソールとの共同開発という事でこのゲームでもTextureの粗さが目に付く。近付いて見ると相当クオリティが低い物が多い。またモデリングも物によってはかなり粗雑である。またNormal Mappingは使われていないようで2006年のゲームとしてはそこは寂しい。 エフェクト系ではスモークや水面等は良く出来ているが、爆破系のエフェクトは地味目でBlood表現もほとんど無い。 良い所はマップの雰囲気でこれは相当水準が高い。プレイヤーがまず行かない様な場所まで多数のオブジェクトが置かれており、空爆を受けた瓦礫の山なんかもよくここまでという位に細かく作られている。当時の建物も古さが感じられてリアリティを感じさせる。 もう一つはキャラクタのアニメーションで、何も起きていない時の物は相当に細かい。寒さで震えて手に息を吐きかけたり、小刻みに飛び上がって体を動かしたり、火を点けて煙草を吸ったりと相当に多彩で且つ滑らかに動かしている。 |
SOUND |
Soundblaster X-Fiに対応。3DサウンドはSurronudとDolby 5.1に対応しており、4SPにてちゃんと方向性を持って再生される。ただしCoDやMoHの様に音数は多くなく、周囲を大音量のサウンドが覆うといった迫力では負けている。 特に良いのは反響音で、ライフルを撃った後の残響音などはクオリティが高い。激しい雨の音も良。 BGMはフルオーケストラで構成されており、コーラスパートも含まれている荘厳な感じの物が中心。これもかなり出来は良いと感じる。 |
MULTIPLAY |
PC版では16人までのマルチプレイに対応。スタンダードなDeathmatchとTeam
Deathmatchの他に、Sabotageと呼ばれるオリジナルのモードが用意されている。残念ながら要望の多かったCoopには対応していない。 Sabotageとはチーム戦で両軍のベースにはロックされた施設が存在し、ここに侵入するには6桁の暗証コードが必要となる。このモードでは倒した敵はすぐには死なずに一定時間は生きており、その間にスパイが近くに行って尋問をすればコードの一部を聞き出す事が出来るようになっている。もし倒れている敵がスパイならばどこか3桁の数字、普通のプレイヤーだと1桁しか聞き取る事が出来ない。暗証コードの6桁が判別出来た時点で敵陣に入って侵入に成功すればポイントが入るというゲーム。チーム内にスパイの数が多いほど聞き出しはし易くなるが、逆に倒された時には不利となる。 掲示板を見る限りではネットコードに大きな問題が有ったらしく余り流行らなかったようだ。パッチで修正されているのかは分からないが、既にサーバーはほとんど無い。有っても地元スペインという事なのかPingが高過ぎて日本からでは問題あり。Dedicated Server機能が用意されていないので、常設サーバーを建てられないというのも大きな弱点である。 |