STEALTH |
ステルス物はゲームそれぞれが独特のシステムを持っており、それを学びながら慣れて行くというのが多いが、このゲームも例に洩れず独特な要素を持っているのでまずは基本から。 *屈むとステルス・モードとなり、敵に検知されにくくなる *一定範囲内の敵の位置と向きは全てレーダーに表示される。これはドアの向こう側等の見えない場所も含めて。 *敵の警戒状態は緑・黄・赤の三段階に変化し、これもレーダーで見て取れる。 *敵の頭の上には円形のメーターが表示され、これが埋まって行ってフルになる前に隠れないと発見という状態になる *警戒態勢は一定時間経過するとリセットされる *敵の背後を取るとStealth Killのメッセージが表示され、そこで実行すると隊員に応じたムービーになって殺害が行われる *Stealth Killは音を立てない *足音に気が付くという概念は無い *敵よりも高所は基本的に検知されない *敵に感知されていない状態であれば、コインや煙草を使って敵の注意を逸らしたり移動させたりが可能 *ドアの下の方をUSEするとKeyhole Viewとなって鍵穴から中を覗ける *死体は30秒程で消えてしまう。ただし敵は死体には気が付く。 デモをプレイした時の印象としては、ハッキリ言って「これはダメだろう」という感が強かった。まず第一に倒した死体は消えてしまうので隠す必要が無いという点。敵の死体を担いで運んで隠すという作業までをセットで見付からないようにするのがこの手のゲームでは一般的で、消えてしまうのでは後処理が簡単過ぎると思えたからだ。ところが実際にはCSFでは違った視点からこの死体消失を上手くゲームに組み込んでいる。どういう事かと言うと、死体は確かに消えるのだが、「30秒間はその場に残って動かせない。そして敵は死体には気が付く」。だから敵の巡回パターンを読んで、30秒間は死体の位置が他の兵士の目に触れないようなタイミングで殺さないとならない、というゲーム性が生まれる。だから敵が多い場所ではそう簡単には行かないようになっている。死体を運んで隠すという手間を省いたちょっと面白いやり方だろう。 次に一旦武器を手に入れてしまえば、後は別にステルスを維持しなくても戦闘に持ち込んでクリア出来てしまうのではないかという点。実際にデモで使われている"M3: Traitor"の前半はそういう風になっていた。しかし製品版の多くのミッションでは敵の数が遥かに多くなっており、30人・50人といった単位の敵が居たりするので、持っているMedikitの数や地形にもよるが戦闘に持ち込むのは得策ではないという感じになっている。 またミッションによっては戦闘という行為に対して制限が設けられており、例えばアラームによってゲームオーバーという物が含まれている。アラーム状態になると円形のメーターが表示され、これが一杯になるとその場でお終いなので解除しないとならない。"M7: Cat's Eye"では赤の戦闘状態になった兵士を全て倒し切れば解除なのだが、倒す為に戦闘を仕掛けると更に他の兵士が銃声を聞いてやって来てしまうので実質クリアは困難。或いは"M5: Resistance"の様に、戦闘状態になると援軍が駆けつけて警戒態勢に入ってしまうという物も有る。 他には敵の位置はドアの向こう側等の見えない場所も含めて、向いている方向までも分かってしまうのでは簡単過ぎるのではないかという点。しかしCSFではとにかくマップ内に存在する敵の数が多く、その上闇に隠れるといった概念(安全地帯)が無いので、敵の位置が分かっていてもそう簡単には動けない。また三人称視点には出来るがその間は動けないので一人称状態で行動するしかなく、三人称に比較すると周囲の状況は掴み難いのは間違いない。つまり敵に発見され易い分、敵の状態は分かり易くしてバランスを取っているゲームとなる。 ただしデモの印象の通りに簡単で呆気ない要素も幾つか有る。足音の概念が無いので後ろから簡単に接近してStealth Killが行えるので、敵が周囲にいない場合には実に容易となってしまう。例えばターゲットが同じ部屋の中に2人居た場合、2人が同時に背を向けた瞬間に近付いて後ろの方をSKし、更に走って前の方の相手を連続SKというのは別に難しくない。また場合によるがAttractというコマンドで相手の向きを変えられるので、これを利用してSKに持って行くという方法も存在している。 そして敵の状態は待っていればリセットされる為に、殺害を一度発見されても緑状態になるまで隠れられるならば何事も無かったかのような状態に戻ってしまうので、そういう意味では楽。影響の及ぶ範囲は管理されているブロック単位となり、この区切りが広いマップでは難易度が高くなるが、狭いマップではかなりゴリ押しが効いてしまって簡単になる。例えばいきなり銃撃戦に持ち込んで高官を殺して服を奪い、その後全員の状態が緑にリセットされるまで逃げ続けて、後は高官に変装すれば動き回るのが楽になるという具合。 他には多人数相手に非常に効果的なアイテムとしてCanisterが有り、敵はこれを投げ込まれても気が付かないので持っているなら役に立つ。Gas Canisterは敵をそのまま倒す事が可能だがそこそこレア。Smokeは一時的に敵を咳き込ませて動けなくする他に煙幕となるので逃げる時間を稼げ事が出来る物で、こちらは探せば結構有ってちょっとアンバランスのような気も。 隊員別で見るとスパイのステルスの要は変装となる。ただし変装で有名なHitmanとは異なり、変装可能なのは敵兵士のみ。そのシステムは自分の着ている服よりも相手が高官だと気が付かれ、同じランクだと疑いを持たれ、下だと全く警戒しないというようになっている。自分の服のランクはHUDに表示されるが、照準で相手を指すと現在の服に応じた緑・黄・赤の判定表示が出るので分かり易い。相手が緑色であれば何の心配もなく周囲を動き回る事が可能で、走ったり高い場所から飛び降りたりといった行動では怪しまれない仕様。黄色の相手の探知範囲内にいると円形メーターが徐々に埋まっていくので避けねばならず、赤表示の敵の範囲は短時間で気が付かれるので近寄れないとなっている。一番下のSoldierの服では緑になる相手がいないので行動は制限されるが、高官の服を入手すれば堂々と歩き回っても警戒されない範囲が広くなる。 基本的なパターンは、目標地点の周囲には大抵ランクの高い敵が居るので、「その敵に対して緑表示となる服を何処かで奪い取ってから行動する」、「黄色表示となる服を手に入れて、メーターが満タンにならないように上手く隠れながら近付く」、「赤表示のままで、敵の視界に一切入らないようにして動く」のどれかを選択するという事になる(常に全てが可能という訳ではない)。服を奪う手段もいきなり高ランクの敵を仕留めて後を楽にするか、徐々に服のランクを上げながら進めるかはプレイヤー次第。制限としては(ゲーム的ではあるが)銃を抜いた瞬間に制服は脱げる。再度着る事は可能だが警戒状態になった敵にはランクが下でも変装は通用しない。 ゲーム全体を通して最も使われるのがスパイになるが、面白いミッションも多くてこのパートは総合的に良く出来ていると思う。先にも書いたが難易度を上げると敵の数やシチュエーションが変化するというのはポイントが高い。敵の数が増えれば当然ステルスは難しくなり、別のやり方を使わないとならなくなったりするのでリプレイ性が増すからだ。或いは"M11: Checkmate"の様に最初に手に入るユニフォームのランクが異なるというような工夫がされている物も存在する。 スナイパーはステルスとアクションの中間型。6本所持した投げナイフで離れた場所から敵を静かに殺す事が出来る(回収可能)。ただステルス行動のみに絞った場合、変装が出来ないので敵が居る場所を通るのにはより慎重な行動が要求されてくるし、バレて戦闘になってしまうとスパイと違ってサブマシンガンを使えないのでピストルで対処しないとならず相当な不利となる。 |
COMBAT |
最初は戦闘の基本部分について。動きながらでも照準は広がらないし、わざわざ座らなくても銃の命中度には影響していないように見受けられる。リコイル動作も有るのだが小さく、武器の扱いに関してはかなりアクション寄りの設定。敵のHPも高くなくHeadshotを決めれば簡単に倒せる。被弾ダメージもそれ程は高くないとなっている。 一方で難しくなる方の要素としては、とにかく敵が多いというのが一つの特徴。かなりの数が出て来るか無限に近いマップが有って、単体では弱くても数が集まると脅威となる。それとミッションによってはMedikitの数が限られており、マップ内に置かれている数は少ないし、相当探索しないと見付からないという事も多い。最初から4個持っているなら良いのだが、少ない場合には最後まで持たなくなる危険性がある。それと武器の最大マガジン数も少なくなっており、Ammo Boxはほとんど無いので戦闘中には敵から補充するしかないのだが、死体と一緒に武器が消えてしまうので安全に距離を置いて戦うと回収に間に合わないという羽目に陥る事も。 良く出来ていると思わせるのは弾が当たった時の反応で、血は出ないのだがアニメーションが優れており当たっているのがちゃんと分かるようになっている。一回倒れてから起きたりと芸も細かい。物理エンジンを導入しており、敵の射撃で隠れている箱が動かされてしまったりするのも面白い点。死体のラグドールも導入されている。 戦闘面での敵のAIについてはバラ付きがあってハッキリとしない。持ち場を離れようとしないので脅威を感じない時が有るかと思えば、一方では安心して隠れていたら遠くからちゃんと追跡して来て攻撃を仕掛けたりというのもあった。戦闘になった時にどの程度の範囲から応援にやって来られるのかは状況によって相当違うようだ。しかし多くの場合は行動はスクリプトとなり、戦闘になったら近くの障害物を見付けて隠れてから攻撃するといった、状況に応じてダイナミックに反応を変えるという能力は持っていないように見える。 コンソール向きに(パッドでの照準移動)に調整してあるのか敵の反応は若干遅いという感じで、出会い頭の戦闘だとこちら側が有利。また障害物の陰に隠れてやり、追って回り込んで来た所を待ち伏せして撃つというのが有効になるケースが多く、敵の数が少ない際には大して脅威を感じないレベル。それとバグなのか変な方向を向きながらやって来てしまうケースが何回か見受けられた。 ステルス用に導入したと思われるレーダーが戦闘では逆効果となっており、近距離に居る敵の位置や向きが分かってしまうのでこちら側が有利となってしまう傾向に。またSmokeを使ってしまうと広範囲の敵がこちらを見失ってしまうようになっているので、これもちょっとアンバランスに感じる要素。 隊員別に見てみると、まずグリーン・ベレーが通常のFPSのキャラクタに相当するのだが、先に書いた通りにスタンダードにマップ内をクリアして行くスタイルのミッションは"M13: Panzers"の一個しかない。後はM6, 7の一部に同様のスタイルで進める場面が有るのみ。よってその出来栄え以前に、FPSゲームとして見た場合には相当物足りなさが残る。サブマシンガンを使えるスパイのミッションで戦闘に持ち込んで進める事も可能だが、ミッションによっては敵が多過ぎて無理という感じだし、ずっとMP40のみという単調さもあって大きなプラスとはなってくれない。 スナイパーとのコンビとなる3つのミッションM2, M8, M14は全てディフェンス型のミッションとなり、一定地点で延々とやって来る敵の集団を食い止めるというスタイル(M2は後半ちょっと変るが)。これらのミッションの問題は敵の数が多く攻撃が激しいので、固定式マシンガンを使っての攻撃が最も有効な手段となってしまう点(M2は除く)。こういったシチュエーションはたまに出てくるならばアクセントとなるが、ただでさえ少ないアクションFPS形式のシーンなのに、実際に武器を持って戦えないとなるとマイナスである。 更にこれ等のミッションでは仲間として戦っているNPCが一定数以上死ぬとゲームオーバーという制限が付けられており、これは偶然性も絡んで来るのでストレスの原因ともなるし、より固定式マシンガンを使わざるを得ない状況を生み出している(武器を持って戦う事は出来るが、何を持った所で固定式マシンガンの敵を倒す効率には適わない)。 スナイパーについては、揺れが少ない上に息を止めてスローモーションにする能力を持っており、またHeadshotしなくても一撃なのでデモの段階では強力過ぎてアンバランスという印象を持っていたのだが、これも製品版では異なっていた。原因の一つ目は視界が悪くて敵の位置が把握しにくいケースが結構有るという点。タクティカル・マップ上で狙う目標の凡その位置は掴めるのだが、それでもどこに居るのかが暗さや雨で分かり難い。それと絡んで時間が限られている事が多いというのもある。高台からじっくりと狙う事が出来るのならば簡単なのだが、限られた時間でターゲットを見付けないとならないとなると難易度が上昇する。 更に弾があまり無いという点。最大で20発しか所持出来ず、後は弾を見付けて補充しないとならない。単独行動のミッションはM1, M12の2つとなり最初の物は簡単で特に問題は無いが、"M12: An Eye for An Eye"では広いマップ内に大量に存在する敵相手に狙撃を行わないとならず、簡単に使ってしまうと弾が無くなってしまうというバランスなので、マップ内に点在する弾を探しながら節約していかないとならなくなっている。 |