GAME MODE |
ゲームのメインとなっているのはCrusader Modeで、発売時に他に収録されたのはDM, TDMのみ。マルチプレイ部分はシングルとは異なりKuju Entertainmentの制作によるものだが、プロデューサーがBattlefield 1942のリード・デザイナーだったRomain de Waubert de Genlisであり、基本的なルールはBFシリーズで有名なConquest
Modeとほぼ同じという感じになっている。 *参加人数は最大で32人まで *Human vs Undeadのチーム戦。クラス制で5種類から選択可能。 *マップ内に幾つかのコントロール・ポイント(CP)が存在し、その範囲円内に位置する事で段階的に自軍の旗を掲げて確保が出来る *チケットという値がサーバーにより設定されており、敵のチケットを0にすれば勝利となる *CPの確保や敵プレイヤーを倒せばチケットを減らせる *全てのCPを同時に確保すればその瞬間に勝利が確定する。 *死亡後の復活には15秒間の待ち時間。復活ポイントは自軍が確保しているCPの中から選べる。 そのCrusader ModeのConquestとは異なる独自性は以下の通り。 *キャンペーンの間は経験値に応じて与えられるSkill Point(SP)を消費してスキルを獲得し、自由に能力を伸ばす事が出来る *スキルは取り直しも可能であり、持っている物をクリックすると解除してSPを戻せる *マップは全体で5個からなり、ストーリー性を持ったものとしてデザインされている (Human) Stonehelm - Vradek's Crossing - Border Keep - Nelsham's Scar - Nar-Heresh (Undead) ![]() キャンペーンは常に中央の”Border Keep”からスタートし、原則としてHuman側が勝利すれば次の”Nelsham's Scar”へと押す事が出来て、反対にUndeadが勝てば”Vradek's Crossing”へと進むようになっている(勝利の状態によっては同じマップが繰り返される場合も有るようだ)。最終的に敵の本拠地マップまで押し込んでやり、そこで勝てばこのモードでの総合的な勝利となる。時間制限(凡そ45-60分)が設けられていて、時間切れの場合にはそれまでの戦績によっての判定となる。 ユニークな点としては、中央以外のマップは地形的に対等に作られておらず、自陣に近いマップほどそのチームが有利となる構造になっている。つまり敵陣のマップに近付くほど、敵の本陣に近い場所にCPが固まっていたりするので、勝利は難しくなるという構造。 MP 1.02パッチにて、ユーザーからの要望が多かったCapture The Flagを追加。クラスを5つのタイプから選べる点や、SPによって成長させられるという要素は一緒。旗を持ち帰ってスコアが入った場合には、味方の全てのプレイヤーにポイントが分け与えられるようになっている。 MP 1.04パッチにてColosseum Modeを追加。これは1on1の決闘モード。HumansとUndeadに分かれての対戦になるが、対戦するのは双方から一人ずつが出場する形になる。他のプレイヤーは見学となり、対戦の結果にXPを賭ける事が出来るようになっている。 |
CLASS |
以下はクラスの簡単な説明となる。HumanとUndead軍にクラスの別や能力差は無い(全く対等の戦力)。なおXPによる成長要素が含まれているので、書かれている能力の大半はスキルとして取らないと使えないようになっている。スキルの詳しい種別については、Skill Tree Calculatorを参照すれば良く判るだろう。全てをやり込んでいる訳ではないので、最新パッチでのバランス調整だと内容が異なっているかも知れない事をお断りしておく。 Warrior 剣と盾を持つスタンダードな戦士クラス。剣や盾自体には種類が無く、スキルで防御力や攻撃力をアップさせるようになっている。基本的な攻撃方法は左クリックで溜めての攻撃で、戦闘相手にロックオンも可能(設定による)。攻撃方法では盾で防御したまま突っ込んでそのまま盾を振り跳ね飛ばしたり、シングルにも有ったダッシュと組み合わせての強力攻撃も持っている。 しゃがんだ状態でShiledを強化して前進する事も可能。Antimagic shieldのスキルを取れば、敵のMageの強力魔法を放った相手に跳ね返す事も出来る。それとスタミナを段階的に上昇させられる能力を持っており、これによって非常に重要な機動力をも併せ持てる。特殊なスキルとしては雄叫びを上げて周囲の仲間のヘルスを回復させたり、一時的にパワーを上昇させる(時間が切れると死ぬ)というのも有る。 遠距離攻撃を持たないので遠くからの攻撃には弱く、接近さえすれば強いのだが開けた広い場所での戦闘は苦手。通常攻撃には盾で防御する事が出来るので、レベルの近い戦士同士の戦いはなかなか決着が付かない事が多い。レベルが低い内は強い部類のクラスであり、更にレベルが高くなると接近戦では無類の強さを誇るようになるが、レベルの高いMageやPriestessのようなクラスは苦手となる傾向。 Assassin メインの攻撃としてBackstabの能力を持つ暗殺者。足音と姿を消すスキル(Cloaking)を持っており、これを使って背後に忍び寄り一撃で敵を倒す事が可能。PoisonやBleedingのスキルで短剣の攻撃力をアップも出来る。Feign death (死んだ振り)やdisguise(敵チームのスキンに化ける)といった能力も存在する。他にはProximity mines(地雷)やTrigger bombs(任意に爆破可能)を持つ。 大きな問題は何をするにもマナが必要という点。しかも持続時間はそれ程長くない。つまり姿を消してもそれがずっと続く訳ではないし、短剣をパワーアップしても同じ事。切れたら再度マナを使ってやらないとならない。またCloakingしても完全に消える訳ではなく、その特性が活かしにくいという弱点も見受けられる。(これは途中のパッチで透明化の度合いは増した)。 一般的な戦闘はMageやPriestess相手なら、背後まで行かなくても接近するまで気が付かれなければ優位である。逆に遠距離戦となると当然不利となる。戦士との一騎打ちでは武器の届く距離が短いので著しく不利。更に通常戦士の方がスタミナが有って速いので逃げる事も出来ない。 Archer 弓矢使い。スキルの多くは弓矢の基本的な能力に関係している。リロード速度アップ・ズーム・ダメージ増加・飛距離増加等。その他にはPoisonやFlareといった特性を付加するスキルも持つ。一般的には遠距離攻撃を主体とするが、矢を同時に2本3本と放つスキルを取れば近距離戦でショットガンの様にして攻撃する事も可能。 初期はレベルを上げるのが大変という感じで、スキルが無いので敵に弓での攻撃を当てる事からして難しい。そしてスキルを上げないとダメージも少ないので敵を倒すのに苦労する。レベルが低い内は近距離戦では勝負にならないので、自分に気が付いていない止まっている敵を狙いたいのだが、そういったケースがゲームの性質上少ないという問題もある。 CP付近に隠れていてやって来た敵を狙い撃つスナイパー的なクラスであり、実際にマップのCP付近には高台が設けられていたりはするのだが、狙おうにもスキルが低いと敵を倒す事自体が難しい。かと言ってスキルを上げようと多数のプレイヤーの集まっている戦場に行けば、最も弱いキャラクタとして殺られてしまう可能性が高いとなっている。 Priestess 治療や復活を主に担当するが、攻撃能力も併せ持っているクラス。治療はレベルアップによって単体からパーティーへと拡張され、これは復活の呪文も同様。死体の上に髑髏が浮かんでいる内は復活させる事が可能だが、反対に敵の死体の上の髑髏を吸収して復活不能にする能力も持っている。ちょっと特殊なルールとしては、もし復活させたPriestessが死んだ場合には復活させていたプレイヤーも同時に死んでしまうようになっている。 他には自他の防御力を上げるStoneskin、毒の雲を発生させるpoison cloud、敵の視界を奪うblindnessといった能力を持っている。それとMageとこのクラスに関しては、魔術の属性をスキルとして変更可能。治療と攻撃のどちらに偏った能力を持つかを5段階に変更可能である(片方を強めるほど他方は弱くなる)。 防御だけではなく攻撃力もそこそこの物を持っているクラス。距離を置いての攻撃を得意としており、反面接近戦には脆さを持っている。WarriorやAssassinに近付かれたらまず勝てない(レベルが高くなれば別だが)。 Mage 魔術による攻撃を主体とするクラス。属性変更は火炎系と電撃系の2つを5段階に変更可能。マナの最大値をアップ・マナの回復速度をアップ・Shieldの生成の他は、火炎と電撃の魔法を段階的にアップさせていくスキルになる。発射後にガイド可能な魔力も多いが、レベルが低い内はダメージが小さいので敵を倒すのは結構大変。しかし高いレベルの魔法は一撃で敵を倒すほどの攻撃能力を持ち、レベルの高いMageは脅威となる(特にWarriorやAssassinには)。 派手な攻撃能力を持つので人気も高く、相対的にも能力は高い部類と感じる。ただレベルが低い内は接近戦はやはり苦手。 |
人気と結果 |
リリース当初からあまり人気が有ったとは言えず、そのまま大きく盛り上がる事も無く現在を迎えている。発売から一年半を経過した現時点(2008/05)では、公式サーバーの数はまだ多いもののプレイヤーはせいぜい100人程度といった感じ。メインとしていたCrusader
ModeはDMTavernというサーバーが頑張っているのみで、大人数でのプレイは現状ここでしか出来ない模様。(サーバー上はHoly
Warsというモードになっているが、これは改造したマップを加えて7個のマップでのキャンペーンに変更し、若干ルールを変えている事による。Modコンテンツのダウンロード等は必要無い)。他はCTFに人数が集まっており、その他のモードには人が居ない。 今でもゲームの内容としてはかなり面白いと思っているのだが、とにかく様々な点で問題が多かったのがヒットしなかった原因。基本的な内容が優れていても、ゲームの調整や運営がちゃんとしていなかったら台無しになるという見本と言える。 クラス間のバランス調整が最後まで上手く行かなかった。両チームの戦力に差は無いので、5つのクラス間の能力調整というのが開発チームに課せられた仕事だった訳だが、このゲームではそこに成長要素というのを採り入れたので、その調整が非常に複雑化してしまったのである。例えば通常のFPSならば、Aというクラスのキャラクタが強いパワーを持っていても、それにはBというクラスで対抗が可能というジャンケンの仕組みを持ち込むのが常である。ところがこのゲームではキャラクタの成長による能力差が激しいので、Aというクラスがレベルアップして得たその強力な力に対して、それを受けるべきBというクラスはまだそこまでレベルアップしていない為に対抗策が無い、といった状況が発生してしまう。もしその難関を乗り越えてバランス調整に成功すればユニークな要素として大きな売りにもなったのだが、最後までそれを達成する事は出来なかった。 発売当時は”マップ切り替え時にローディングで止まったままになる”という件を筆頭に不具合が多く、連続して長時間プレイするのが困難というプレイヤーが多かった。運営のスタート時点で不安定というのは他のFPSでも有る話だが、このゲームではその不安定さが致命傷になってしまう。その理由は発売後2週間ほどしてから出た最初のパッチまで、「一度ゲームから落ちると、再接続しても全てのXP(経験値)がリセットされてしまう」という問題を抱えたままだったからである。XPを稼いで成長させるのがメインのゲームなのに、それが落ちる度に最初から全てやり直しではたまったものではない。しかも不安定でそれがよく起きると来てはどうしようもなく、初期の段階でユーザーを掴むのに失敗したと言える。 テスト不足だったのも明らか。けっきょくデモは公開されずにベータテストのみでスタートしてしまった。上記の様なXPのリセット問題もそのままだったので、高いレベルのキャラクタでのテストが十分に行われていたとは思えない。 開始時のレベルが低くてキャラクタが弱い。開始時のキャラクタはL1だが、これは文字通りにRPGにおけるL1のキャラクタという程度の能力しか持っておらず、走ればすぐに息切れして休まないとならないし、戦闘能力も非常に低い。そのクラスであれば最初から持っていても不思議ではないという程度の能力まで、XPを貯めてスキルとして取らないとならないのである。またレベルアップ速度もそれ程高速ではないので、序盤がかなりスローテンポになってしまう。 そこから幾つもの問題が発生する。第一にレベル間の格差が大きくて勝負にならない。FPSゲームでもEnemy Territoryの様に、レベルアップで強くなれるというゲームは存在する。しかしこういったゲームでは、最高レベルの強さが100だとした場合、スタート時点での最低の強さは50-70程度には設定されている。最初は威力の無いピストル一丁のみに、HP半分&移動速度半分といったハンデを背負わされるような極端な弱体化は行われない。 ところがDMoMMではL1-10までの差が、そのまま力関係で10から100といった強さになっているので、初期のレベルでは高いレベルのキャラクタの相手にならないケースが多くなる。結果的に強いキャラクタは勝ち続けてどんどんレベルがアップし、低いレベルのキャラクタはただ死に続けるだけというパターンに嵌ってしまうという問題が有る。 XPを得られる行為が少ないというのも難点。CPを奪ってもポイントが入るのは最初の人だけだし、自軍のCPを守っていてもレベルは上がらない。よって基本的には戦闘という話になるのだが、上に書いたようにレベルが低いキャラクタでは戦っても挽回が相当難しい。しかも何回死んでも構わないからチャレンジするという姿勢だと、味方のチケットを減らしてしまってチームに迷惑を掛けるとなる。そこから治療でレベルが上がるPriestessを選ぶ人が増えてチーム内がアンバランスになるという弊害も。 途中からゲームに入ったらL1からというのも大きな問題。途中から入った際に他のプレイヤーのレベルが既に上がっている状態だと、そこから巻き返すのは難しくなる。これに対してはパッチでサーバー側が最低レベルを決められるようになったのだが、画面上ではなく内部のServer configを直接書き換えないとならないという敷居の高さからか、採用しているサーバーは見受けられない。 同じ様な問題として、途中でクラスを変更したらレベルがリセットされてL1からになってしまう。よってキャンペーンの開始直後以外は、他のクラスへの変更が極めてやりにくい。チームのクラス構成がアンバランスな場合でも、途中でそれを変更するのは困難というゲームになっている。 Pingによる有利不利とロックオンの問題。WarriorやAssassinの様に接近戦で素早く切り合うタイプのクラスは勿論だが、Mage系の攻撃魔法も即着弾ではないし、弓もシングルプレイとは異なり放物線を描いて飛びスピードも遅い。よって銃による撃ち合いのゲームよりもPingの良さが重要な要素となるゲームとなっている。もし1000人以上といった大人数が集まってくれたならば近くにPingの良いサーバーを見つけ易くなるが、人数が少ないのでプレイ可能なサーバーが限定され、Pingが悪くてもそこしかないとケースが多いという状況に置かれていた。しかしそれだと「Pingの悪い人はどうやっても勝てないという位に不利になる」という不満が続出。 それに対する一つの手段として、敵をロックオン可能というオプションが設けられていた。これはPingが悪くて狙いが付け難い人には有効に働くが、逆にONにすると特定のクラスが非常に有利になってしまう(避けられないので)という反対意見が噴出。結局最後まで有効は対策は生まれないままで終わっている。 重さによるラグの問題。マルチプレイにおいては、シングルプレイの時よりもグラフィックスやサウンドの設定を下げて軽くした方が良いというのは常識。このゲームもそれに当て嵌まるのだが、何故かマルチプレイの方は極端に重くなっている。開発側としてはファンタジー世界だけに魔法のエフェクト系は綺麗にしたいという意図があったのだと思われるが、シングルプレイでは見られないようなエフェクトも使われているせいなのか、やたらと重くてラグの原因になっている。(ラグはpingの高さが原因だろうと考えている人でも、設定を下げると大幅に改善されるケースもある)。ソースエンジン自体にその辺の問題が有るとは思えないので、改造したグラフィックス部分の最適化が進んでいないと見るべきだろう。 後にパッチにて設定を下げても重いという人用に、更にそこからGameplayのオプション項目に、グラフィックスとサウンドの負荷をより軽減する為のオプションが何項目か付け加えられている。 可能性は秘めていただけに、発売後から現在までのこの酷い状況は残念だ。「もうゲームも売れていないだろうし、いっその事無料で開放してしまえば人も集まるのでは」という意見が公式Forumでも出ているが、確かにプログラムとしてもうパッチは望めないとなれば、そうでもしないと人は増えそうにない。日本からのプレイでもPingの良いサーバーはほとんど無く、私の場合でも常に通信不良のマークが表示されたままで快適には遊べない。 |