RESURRECTION OF EVIL
07/01/10
BOTTOMLINE
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製作・販売: Nerve Software / Activision
日本代理店: サイバーフロントより日本マ付き英語版
発売: 2005/04
概 要 |
本編から一年も経たずに発売された拡張パックで、既に本編製作中から開発されていたそうだ。製作はRTCWのマルチプレイを製作したNerve Softwareが担当。プレイには本編がインストールされている事が必要。 日本代理店版は既にカタログ上は販売を終了している(在庫分のみ)。海外では2007/01時点でまだ容易に入手可能。廉価版としてはまだ再発されていないが既に価格は安い。本編とのセットは欧州の幾つかの国で発売されているようだが、英語圏では行われていない。 ゲームの舞台は本編の2年後。UACで発生した一連の事件はたった一人の生き残り(主人公)を残して幕を閉じ、施設の全ては閉鎖される事となった。しかしその後火星の人口衛星がSite 1から発生する奇妙なシグナルを検知し(本編に登場する発掘サイトとは別の場所)、この件の調査の為にDr. Elizabeth McNeil(本編では調査に向かったSwanに最近のUACの異常を警告した女性研究者)をリーダーとする探索チームが組まれた。信号を辿った一行は地下に存在する奇妙なアイテムを発見するが、それは強力なパワーを持ったEvil Artifactであり(Soul Cubeの対極にある存在)、それが原因となって再び地獄との間にゲートが開いてしまう事になる。 本編における黒幕的存在であったXはこれに気が付き、Artifactを取り戻すべく三匹のHunterを送り込んで来る。プレイヤーは発見者のMarine Combat EngineerとしてArtifactの謎を究明するべく基地内を探索し、最終的にはXを倒す為に戦うというストーリー。RoEの主人公は別人で本編のMarineは登場しない。 必要動作環境は本編と同一。パッチは本編と共通でV1.3までリリースされている。この拡張パックのデモはリリースされていない。 |
新 要 素 |
本編とは異なる追加・変更要素について Artifact ストーリーの中核を成す特殊なパワーを持ったアイテム。呼び出した状態で攻撃キーを押すと発動し、10数秒程度能力が持続する。初期段階では使えないが、その能力は追っ手の三匹のHunterを倒す毎にパワーを吸い取ってグレードアップして行く。 第一段階がHell Time。時間がスローダウンして見えるようになる一般にBulletTimeとして知られる能力だが、RoEではプレイヤーの動きに相対して遅くなるという方のタイプなので非常に強力。自分だけ移動速度が上がり、武器のリロード速度も遅くならない。第二段階はBerserkで、敵に与えるダメージが大幅に増加する。最後がInvulnerabilityとなり、一切のダメージを受けなくなる。能力は選択式ではなく積み重なる方式で、その時点で持っている能力が全て同時に発動する。 使用するには死体のSoulが必要となり、オレンジ色に光る死体の近くでArtifactを取り出すと自動的に吸収する(発動させた時に近くに死体が有ると同時に吸収する)。倒した敵の死体からは吸収出来ない。最大で三個まで保持が可能で、どの段階であっても一回に付き一つのSoulを消費する。 Ionized Plasma Levitator (Grabber) Half Life 2で言うGravity Gun。プラズマビームの力で物体を引き寄せて操作する事が可能。なおインタビューでは「本編発売時点から装備されていた機能であり、HL2の真似をしたのでは無い」とコメントされている。 HL2の物とは特性が異なっており、利点・欠点を併せ持っている。吸い寄せられる物にはカーソル表示が出るようになっており、Medikitや弾薬系も吸着可能。ただし吸着時間に制限が有り、10秒程度でエネルギーが切れて下に落ちてしまうので長距離を運ぶのには不便。掴んだ物は離すと勢い良く投げる事になり、切る時はリロードキーを使えばすぐ下に落ちる。 大きな利点は小さな敵ならそのまま掴んで投げて倒せる事と、敵の放つエネルギー弾を掴んでしまいそのまま投げ返せるという点。またHL2とは異なり死体を掴む事も出来る。 Double Burrel Shotgun 至近距離では絶大な威力を発揮する武器で、要望が多かったので旧作からの復活となった。多くの敵を一撃で倒せるが、ノーマルタイプよりも弾の散りが激しいのでより近寄らないとならないのが難しい点。また一撃毎に二発の弾を込め直すので、連射が出来ずに隙が生じてしまうというデメリットを持つ。 Monster 新モンスターとしてはImpをより速くタフにした高速で飛び掛って来るVulgar、両手にキャノン砲を装備したBruiser等が登場する。Lost Soulも旧作に近いデザインとなった。 |
GAMEPLAY |
まずは基本的なゲーム性から。実は発売前の話ではゲーム性に大きな変更を加えるという事になっていて、それはFlashlightの扱いについてである。一々ライトと武器を持ち替えないとならないという点は不満点の中でも多かった件で(ライトを持った状態にするModも出ている)、今回はそういった不満に応えて頭部にライトを装着したEnviro-suitを着込んだ状態で行動するようになっているという話だった。ところが実際にはそのスーツを着るのはゲーム内の一箇所のみで、後は同じくライトと武器を切り替えないとならない仕様となっている。 それとマップに関しても本編終盤の古代文明の採掘サイトのデザインが評判が良かったという事からそのパートを増やし、その分一般的な建物内部のロケーションは減少しており、またよりオープンなスペースが多くなっているという話になっていた。しかしこちらも実際には序盤の遺跡のパートは特に長くないし、その後は本編と同じく狭い建物内部を行動するというシーンがほとんどである。よって見た目の雰囲気という点に関しては、本編と何ら代わり映えはしていない。 内部のテストではプレイ時間は9-10時間が平均だったそうで、実際にそんな感じであり拡張パックとしては充分な量ではあるが、相当長かった本編に比べると短いという印象。難易度については後に詳しく述べるがちょっと表現するのが難しい。難易度は3種類で、一度クリアすると更に上のNightmareがアンロックされる方式。 D3はホラーとアクション性を両立させようと目論んでいる珍しいスタンスのゲームで、通常のホラーゲームに於いてはプレイヤーの武器や弾薬数といった能力を制限してハンデとしてやり、その攻撃力の低さを弱さに繋げて恐怖感を引き出すという手法が一般的なのだが、D3では武器は多くて強力だし弾数もタップリという設定にされている。しかしそうなるとプレイヤーの攻撃能力が増してしまい、それは恐怖感を増加させるという点に於いては大きなマイナス要素となってしまう。代わりに敵を大量に出して難しくしても、プレイヤーに「自分は武器も弾薬も持っており強い」という意識が有る以上は恐怖感は生まれ難いし、また閉塞性のあるマップ構造からそれ程多くの敵を発生させられる訳でもない。 そこでどうしているのかと言うと、別の方法でプレイヤーにストレスを与えて恐怖感を生み出すという風になっている。プレイヤーを様々な戦い難い状況に追い込んでやり、それを恐怖に変えて行くというデザインである。 *暗い場所での戦闘。武器を構えてしまうと周囲が見えなくなるという戦い難さ。 *敵は空間に突然出現するようになっている。準備が出来ていない状態からの戦闘になるという難しさ。 *アイテムを取ったりすると壁が開いて突然開いて襲って来る。油断した状態への不意討ち。 *移動速度が遅い。ダッシュ可能だがキーを押していないとならず切り替えは出来ない。 *ダメージを受けると体がノックバックする。また近距離打撃だと視界が揺さ振られる上に、赤いダメージのエフェクトで更に見え難くなる。 *柱が林立していたりで狭い場所だと動き難いし、幅の狭い廊下では飛んで来る誘導弾をかわし難い。 *エアボンベを使うアウトドアでは時間制限が設けられていて、補充のボンベを探したりで落ち着いて戦えない 以上の様なプレイヤーへのストレスはこのRoEでも変っていない。と言うよりも難易度を上げる為に更にストレスを増す方向でデザインされており、悪い言い方をすればより嫌らしくなっている。拡張パックなので本編よりも難しくしようというのは当然だが、その為にプレイヤー側の基本的な戦闘能力を落とすような事はしたくないし、かと言って敵をやたらと増やしても恐怖感にはつながらない。だからストレスを増してやり徹底してプレイヤーを戦い難くさせる方向性を選択というのは分からないでもないが、恐怖感よりもアクション性を求めるプレイヤーには不評を買いそうなバランスであるのも確か。ここをどう取るかがRoEの大きな評価の分かれ目と言える。 例えば暗さについては特に終盤に掛けてエスカレートして行き、武器を構えてしまうと敵がほぼ見えないという状況がちょくちょく発生する(無理やりデスクトップやモニター自体の明るさを上げるという手はあるが、やり過ぎるとPDAの画面が白飛びして見えなくなる)。本編では暗い際にはImpの様な比較的見易くて且つ弱い敵という調整が有ったが、今回は体自体に光る部分が少ないので見え難いという敵の出現が多くなっている。また暗い上に柱が林立していてどこが通れるのかすら判らないというミックスタイプもしばしば。通常時の敵の出現も背後や挟み撃ちというパターンが増えており、またImpに替わって基本の敵となるVulgarの動きが速いので、近距離から攻撃されて「視界がそっぽに向かされる&打撃エフェクト」によって反撃の狙いを付ける前に連打を食らうというケースも増えている。時間制限についてもガスの充満した箇所を抜けないとならないというパターンが追加されており、ここはゲーム中でも一二を争う難易度となっている。 新要素についてまずはGrabberから。小さな敵なら直接掴んで倒せるという能力は大変便利であり、本編では苦労させられたCherubsなんかも簡単にあしらえる。一方で敵の投げた弾を掴んで投げ返せるという点は強力ではあるのだが(Vulgarなら一発で倒せる)、物を掴んでしまうと周囲の空間が歪むし、エネルギー弾だと光るというのもあって敵が見えなくなってしまうという大きな欠点がある(或る程度勘で投げ返すしかない)。また近くから投げられた物は掴み難いので、これを持っている時に接近されてしまうと不利になるという面も。物を投げ付けようにも短時間しか持っていられないし、狭い場所が多いのでぶつかってしまって運ぶのが困難というケースもある(例えば火薬缶だと接触で爆発して死んでしまう事も)。Artifact用の余った死体を運ぶのにも使えるが、誤って離すと叩き付けて破壊してしまう事になる。 弾薬は山ほど有るのでこれを使って節約する意味は薄いし、他に強力な武器が無いという訳でもない。よって敢えてこれを使って戦うという意味が感じられず、またHL2の様に物理パズルが組み込まれてはいない。その為趣味で好んで使う以外は、特定のシーンで使う程度というパターンになると思われる。結論としてあまり上手く機能していない武器である。 Artifactという強力なパワーが加わった分、敵の出現数が増えたりと調整は成されているのだが、2番目のBerserkが加わった辺りからバランスが崩れてしまっている。このBerserkはHell Timeと組み合わさるのであまりにも強力であり、中ボスクラスのHell KnightやMancubusを一撃で倒してしまえる上に、その攻撃にはリロードを必要としない拳を使えるので、複数匹存在しても連続して捌けると反則的なまでに強い。発動させられる状態にあればボス以外の通常戦闘はほぼ怖い物無しで、ここまでアンバランスに強いパワーアップはFPSゲームの中でも珍しい。 発動に必要なSoulは3個までしか貯められないが、それをチャージする為の死体は結構有るので、必要な場合を考えて取りあえず1個残しておけば気軽に使えるというバランスになっている。ただしこちらや敵の爆発系の攻撃で死体が消し飛んでしまって回収出来なくなるというのに注意は必要だし、ボス戦前には多く残っていた方が楽というのは確か。 強くなるのは爽快感が有って結構なのだが、これだけ強いと自分から自粛して使わないようにしないとむしろ面白く無いという風にまでなってしまい問題あり。ゲームのデザインとして「時間を遅く出来ないと無理」という箇所を設けてしまうと、進行をデッドエンドにしない為に必ずそういった箇所に死体を置いておかないとならず(そこまでに使い切っている可能性が有るので)、それが繰り返されると乱発しない限りは余る位の死体の数となってしまう。同様に破壊力に関しても、「これを作動させないと辛い」という強大な戦闘力を必要とするシーンを設けてしまえば、そうではないシーンで破壊力が強くなり過ぎる事になる。この点はもっとバランスを上手く取るようなシステムとしての工夫が欲しかった。 弾薬は充分に用意されているし、極端に敵の数は増えていない。それと戦い難くて敵の攻撃を受け易くなっているという配慮からか、見た目の派手さ程にはダメージは入らないというバランスでもある。続編の上に短い分易しい箇所が少なくなっているが、一方でボス戦は本編に比べると易しくなっている。こういった点だけから評価すると、総合的にはやや難しくなったという程度である。よって実際の難易度はArtifactをどの程度積極的に使うかに掛かってくると言える。大目になった敵に正面から戦いを挑むやり方を好むのならば、戦い難いシーンが増しているのを含めて難しくなって来るし、連発するなら苦労は大幅に減るのでむしろ易しくなったと感じる人もいるかも知れない。 |
そ の 他 |
マルチプレイは最大人数を8人までに増加。それとQuakeファンには有名なThreewave Softwareが手掛けるCTFが新規に加わっている。ただ今回レビューを書くに当たってマルチプレイのサーバー状況を見る限りでは、RoEの方にはほとんど人もいないしサーバーも建っていないようだ。 グラフィックスの方は本編と同じで特に変化は見られない。またマップのデザイン上の問題で重くなっているという面も感じられない。本編がちゃんと動くならば同様に動作するだろう。Option関係にも変化は無い。 サウンドはV1.3によってEAX 4.0へと対応しており、呻き声等の環境ノイズの響きの不気味さが増している。 最後に問題点を幾つか。モンスターのデザインに手抜きが感じられて、新しい動きを見せてくれるような敵が存在しない。特にボスとなるHunterは同じタイプを使い回しており魅力が無い。いきなり最初のムービーで姿を現してしまうのもどうかと思うし、ここは本編に大きく劣る部分となる。 Flashlight, Artifact, Grabberに独立してキーが割り当てられており、それぞれ再度押すと最後に持っていた武器に切り替わる方式を採用しているのだが、一々呼び出すのが煩雑で面倒に感じてしまう。例えばSoulの吸収は一々Artifactを呼び出さなくても近付いたら自動で問題ないと思えるし、Flashlight機能はQuake 4同様に今回出番の少ないマシンガンとくっ付けても良かったのでは。 火薬缶が相当数マップ内に転がっており、利用しろという事なのだろうが、先に書いたようにGrabberでは扱いが難しく、戦闘中だと自分の方が敵の弾からの爆発に巻き込まれてしまうケースもあったりと厄介。その上にダメージが非常に大きく、自分が巻き込まれると即死する事が多い。 ストーリーを紹介するムービーの出来が悪く、主人公が全く喋らないのは匿名性を強調するというデザインからなのだろうが、一方的に御使いを命じられている感じで非常に奇妙に映る。主人公が姿を見せないゲームだと問題ないと思うのだが、実際にムービーに出てしまうならば喋ったりさせないと違和感有り。 |