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GAMEPLAY
 チャプター数は4個で、各3レベルの合計12のレベルから構成されている。レベルはそれぞれが大体30分程度の長さで、全体のボリュームとしては5〜6時間程度と短め。

 ゲームをクリアするとSingle Weapon(武器の所持が一つだけ), Berserker Rage(常にバーサーカー状態), Time Trial(時間制限)の3種のモードがアンロックされる。またクリアの際には様々なステータスに応じて点数計算が行われるので、ハイスコアを目指してのリプレイ性も含んでいるという設定。Free Weekendについては「シングルプレイを無料開放してクリアされてしまったらどうするのか?」という疑問が当然出て来る訳だが(しかも十分にクリア出来るほどゲームは短い)、この辺のリプレイ要素があるのでそれに踏み切ったのではないかと思われる。


 12のレベルは各患者の持つ恐怖に応じて作られており、その独自性が大きな売りでもあるし、またゲームを面白くする為の重要なポイントとも言える点となる。他人の精神世界に入り込むゲームとしては過去にPsychotoxicPsychonauts等が存在するが、そこでもどれだけ常軌を逸したユニークなデザインのレベルがあるのかがポイントになっていた。

 その観点からするとDKは残念ながらインパクト不足という印象で、奇抜なデザインの場所はほとんど含まれていない。各レベルの設定自体はテーマに応じて大きく異なっており、高所恐怖症ならば高層ビル、飛行機事故により森で生死の境を彷徨った患者ならば森、氷が怖いのならば凍結地帯といった感じに分けられている。流れに連続性が無いので一般的なゲームに比べるとロケーションの変化度は大きいし、また先の予測も出来ない為、次はどんなテーマのレベルが登場するのかという期待感を持たせるようにはなっている。

 しかし実際のレベル自体の形状や景観についてはまともな場所が多く、精神世界故の異常な見た目や設定という点が十分に活かされていない。例えば高層ビルのレベルならば、一部に奇妙な箇所が登場する程度で後は普通に現実世界のビルと同じという造りになっている。他のレベルも同様で、時々現実離れした場所が出て来るだけという風で、折角の背景設定が効果的に使われていない。異常で不可思議な箇所の存在はやはり面白いだけに、そういったエリアをもっと数多く盛り込んで欲しかった。

 敵はその世界のテーマに応じた者が用意されているが、あまり種類が多くはないので同じ敵ばかりが出て来るといった感じで単調になりがち。また敵がそのテーマにそぐわない世界で使い回されていたりも結構目に付くし、Painkillerの敵のスキンをちょっと変えただけとかも存在している。よって世界別の敵の変化という点でも不満が残る出来映え。


 マップの構造は非常に単純で、エリア内の敵を全て倒せばクリアとなって次のドア等が開き、緑色の方向矢印が出るのでそれに沿って先に進めるという繰り返し。進行ルートを探すといった必要性はほぼ無いし、分岐するルートもごく一部のみ。パズル性もほとんどなく、一部のボスを倒すのに特定のやり方を見付けないとならない程度。

 ストーリーは単純で特に見るべき点は無し。チャプターが終わる毎に一枚絵での紙芝居的な解説があるだけで深い内容を持った物ではない。

 PhysXを採用しているが、各種オブジェクトが動いたり破壊されたりする点はゲーム性に影響が無いというレベルで効果的には使われていない。ラグドールで吹き飛ばされた敵が、再度そこから起き上がってくるアニメーションが実現されている点くらいである。

WEAPONS
 登場する武器は全部で6種類。全てAlt Fireを持ち、また三段階のアップグレードによりダメージや機能に変化が生じる。


*Dragon’s Grasp
 素手による魔法攻撃。メインでは近距離への炎の攻撃。サブでは敵を弾き飛ばす衝撃波を放つ。エネルギーとして黄色のゲージを消費するが、これ自体は自動回復も早いのでその点は大して気にならない。ただし射程距離が短い為に敵に近付かないとならず、他の武器に比較して有用とは言えない。

*Minigun
 シンプルなミニガンで発射の際のディレイも無し。サブではロケットランチャーとなるPainkillerと同様の武器。欠点はオーバーヒートで長時間の連射が出来ない点と、ロケットを放つと自動的に次の弾込めに入るのでミニガンの方も撃てなくなるという点。

*Hailstorm
 ショットガン+冷気弾というPainkillerと同様の武器。強力な冷気弾はリチャージされる方式だが、連続発射数は最大のゴールドレベルでも5発。それでも凍らせてから砕くというコンボ攻撃は堅い敵相手に非常に有用である。

*Shock Therapy
 自動的に近くの敵に命中する電撃攻撃。ある程度の時間は当てないとダメージは蓄積されないので、敵によっては倒すまでに時間が掛かる。サブでは一直線に進む速度の遅い球体を放ち、その進路に位置する複数の敵に対してダメージを与えられる。

*Sunbeam
 レーザービーム兵器で遠距離の敵に対して有効な武器。サブの弾では落ちた地点に草?が生えて、そこに敵が集まってくるという効果を持つので、集まった所を他の爆発系武器で攻撃したり一時的に敵を遠避けたりが可能となる。

*Dream Cleaner
 グレネードランチャー。レベルが上がるとスティッキーグレネード弾に変わる。サブでは広範囲の敵を弾き飛ばしてダメージを与えるショックウェーブを発射する。


COMBAT

*武器の同時所持数は2個(素手も一つに数える)
*所持武器による移動速度の変化は無い
*武器のチェンジにはラグがある物がある
*アイアンサイトやズーム機能は無し
*リコイルの概念は持たない
*しゃがみや左右へのリーン動作は無し
*スプリントは無し
*回復は赤のDreamcatchersのみで行い、バーサーカー状態の時のみフル以上のHPに上げる事も可能になる


 特殊能力としてBerserker Rageを持ち、このモードに入ると世界が灰色になって敵が赤に見えるようになり敵へのダメージ&移動速度が上昇する。なおダメージは増すが、PKのDemon Morphの様に一発でどんな敵でも倒せるという仕様ではない。

 テレポーテーション能力も持っており、これはキーを押すと残像が進行方向に向かって走り出し、再度押すとその到達地点に瞬時に移動が可能というもの。大きく黄色のゲージを消費するので連発は出来ない。壁等のオブジェクトは透過出来ないが敵は擦り抜けられるので、敵の集団内から抜け出したりや、離れた場所に落ちているDreamcatchersを素早く取りたい時には重宝する。


 精神世界という事で弾数は無限である。ただしリチャージされるまでの間があったりはするので、幾らでも連発出来るという意味では無い。

 武器の交換はポータルを通じて行うシステムで、マップ内に青い透明なポータルが置かれておりそれぞれ内部に一つの武器を所持しているので、交換したい武器のポータルを通過すれば現在持っている武器がそれと切り替わる。(素手に交換したいのならば武器を持たないポータルを通過すれば良い)。何所にどの武器のポータルが存在するかは分からないので、好みの武器に何時でも交換出来るようにはなっていない。

 この武器交換システムは一つの大きな問題を抱えており、それはこのポータルが淡い透明な色なので、激しい戦闘中やエフェクトなどに隠れてその存在がハッキリせず、誤ってその場所を通過してしまい取りたくない時に武器が交換されてしまうという事態が発生する。しかも元々見え難い物なので、誤って取ったのを再度戻そうとしても、それが何所に在ったのかがすぐには見付けられないというケースもあったりと困りもの。場合によっては武器が変わってしまった事が致命的な失敗になる可能性もあるので、意図的かどうかはともかく嫌な設定なのは間違いない。


 武器が6種類だけというのは少ないと思うし、また同時には2個所持までというのもタクティカルではあるが、こういった激しいアクションFPSには不向きではないかという意見である。交換用のポータル無しで全て持てるという設定の方が良かった。素手以外の5種類はそれぞれに利点と欠点が在って、一応バランスの方については取れているという印象。グレードアップの方では個々の段階には特に大きな差を感じないが、さすがにゴールドまで上げると相当強化されるのが分かるので、3回まで許されているとは言え死んでグレードを下げないようにするのが重要になる。ただし一度グレードが下がると、敵がアップグレード用のDreamcatchersを落とし易くはなる設定のようだ。

 難易度別に見ると、Bad Dreamでは武器がやや強いという設定で、特にショットガン(Hailstorm)が過剰なまでに強力で無双状態。次々に敵を倒してはバーサーカーへと移行し、そのまま更に高くなったダメージで敵を倒して行ける。リロードの間も無いので弱点は遠くにいる敵のみといった感じで、大きくゲームバランス(及び武器のバランス)を崩していると言える位。しかしNightmareになると、大量の敵に比較してダメージが今一つで爽快感が落ちるという状態になり、全体的に若干武器が弱く感じられてしまう。このダメージにするのならば、もっと敵を減らしてバランスを取るべきだろう。


 大量の敵相手に撃ちまくるアクションFPSという設定だが、そのバランスには疑問を感じる点も持っている。まず戦闘エリアが狭いというケースが比較的多く、ごちゃごちゃした中をあっちこっちへと動き回らないとならずにやり難い。次にこのタイプでは敵が多いのは定番だが、それにしても多過ぎるという感想。無限沸きかと思う位にしつこく敵がスポーンしてくるので飽きてくる。スポーンするオブジェクトを壊す事でそれを止められるタイプもあるが限定的。

 またとにかく動き回らないとならないので忙しい。敵には遠距離攻撃を持つタイプが結構居て、その到達速度も早めだったりするので、それを避ける為に常に動き回らないとならない状態に置かれてしまう。この手のゲームではもっと近接攻撃型を増やすか、遠距離攻撃のこちらへの到達速度を遅くして、プレイヤーがそれを見切ってその場でかわせるようにした方が良い。更にスポーン場所が空間に浮かぶポータルだったり壁やドアだったりもするので、止まっていると突然死角から出現した敵に攻撃されてしまう。そして敵の落としたDreamcatchersを拾い回らないとならないと、常に移動を急かされる要素が揃っている。スピード感があるのは良いのだがあくまでも加減が大事であって、このゲームではそれが過剰過ぎて逆に面白さを損なっている


 ただ大量の敵を撃っているだけではゲームの流れが単調になってしまうという観点からと想われるが、Sub Consciousという要素を導入している。敵の中には体表面に赤と黄色の溶岩の様なアニメーションで表示される者が居て、このタイプの敵は通常の攻撃ではダメージを与えられないようになっている。そこでエリア内の何処かに出現する赤いポータルの中に入るとSub Consciousモードに移行し、そのモードならば敵の姿が元に戻ってダメージを与える事が可能になる。しかしこのモードへの移行には時間制限が設けられており、一定時間を過ぎると黄色のエネルギーゲージが減り始め、それが無くなると次はHPが減り出すという仕様。よってそれまでに別の場所に発生するポータルを通って元の世界に戻らないとならないのだが、エリアによってはその場所を探して回らないとならないというケースもある。それとこのモードではWolfensteinの様に通常世界では見えないルートが見えるようになるという効果も持っており、主にシークレットの発見に役立つ。

 しかし結果的にはこの機能は上手く働いているとは言い難い。このモードに移行すると大気が揺れるような効果が加わって前が見え辛くなり、それは敵の攻撃やエフェクトによって更に酷くなる。その為に敵を視界に捕らえにくくなってストレスが生じるという状態に。またBerserker Rageでも敵の色が赤に変化するので、Sub Consciousモードでこの状態に移行すると敵の見え方がより変になる(実際にはSub Consciousの状態では、通常の敵にもダメージは与えられるのだが)。元に戻る為に迷路の様なマップ内を必死に探し回るというのも特に面白いとは思えない。単調にならないように何か目新しい要素を導入しようというのは理解出来るが、この出来映えではむしろ無かった方がマシだったのではと感じられてしまう。

 その他のストレスになる要素としては、戦闘場所が狭い道や橋だったりで落下死が発生するという問題を持っている。中には通路の一部がジャンプしないと落ちてしまう隙間になっていたりするので、戦闘中にうっかりバックするとそこから落ちて死んでしまったりする。


 難易度が高いのはゲートキーパーと呼ばれるタイプの敵が出現する場所で、この敵を倒さないと周囲からの敵のスポーンが止まないので優先的に倒す必要がある。Nightmareでも通常タイプならば何とかなるというレベルだが、ボス格でこのタイプだと一度も死なずに倒すのは困難という箇所も多々ある。ただしこのゲームではBioshockの様に、3個のライフが残っている間は敵に与えたダメージや状況はそのまま維持されるという設定なので、死を恐れずに最初の2回では徹底してゲートキーパーにダメージを加える事を優先し、最後のライフでは死なないようにしながら残りのライフを削るという作戦も可能なので、極度に難しいという箇所は存在していない。ただこの様なライフ制を面白いと感じるかどうかは別問題である。


 敵の種類は想像していたよりも少なく、先に書いたように異なった設定のレベルにおいても使い回しが多いのは弱点。敵の能力自体にも面白味を感じさせる者が少ない。

 各レベルにはボスが存在するが、大抵は単純にダメージを与えれば倒せるタイプとなり、特定の倒し方が存在する相手も割とその方法は解り易い。ボスにおいてもその姿や攻撃方法がユニークな者が少ないのは残念な点。

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