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GAMEPLAY
 チャプターに番号は振られていないが選択画面での区切りでは22個。内部でパート2...の様に分割されている物もあるので、ローディングが生じるマップ単位だともっと数は多くなる。行ける所には行って探索してみるという姿勢で難易度Normalにて12時間程度。内部に用意されているいろいろなゲームで1時間程度は遊んでいたと思うので、それを飛ばすならもうちょっと早い。一本道進行のゲームなので、リプレイ性は実績目当てでもない限りは低いと感じられる。


 他のFPSとは異なる点として、版権物ゲームの如き体裁を採っているのが特徴。つまりデューク・ニューケムという世間に認知されているヒーローがいて、そのヒーローを主役にして作られたキャラゲーというスタイルになっている。例えば著名なヒーローとしてジェームズ・ボンド 007を主役にしたゲームが何本も作られているが、概念としてはこれと同じタイプの構成。最初の方はデュークの現在を紹介する様な形で実際の戦闘が始まるまでが結構長いし(プロローグ除く)、エロとユーモアに関連する会話シーンが随所に挿入されたり、中盤ではストリップクラブで丸々一章になっていたりと、戦闘以外のパートが比較的多く含まれている。

 問題はそのデュークというキャラクターを、凄い, 格好良い, イカしている、といった風に持ち上げるのがあまりにクド過ぎるという点で、確かに前作DN3Dは大ヒットしたがそれはゲーム自体の面白さに因るところが大きく、デュークというキャラクターの人気が全てを引っ張ったという訳ではない。デュークをスターの様に崇める層が存在するというのは否定しないが、映画やドラマ化されて世間一般に人気を博しているという程の実績は無く(過去に企画はあったがまだ実現していない)、例えば先のジェームズ・ボンドに比べれば遥かにスター性や認知度は低い。にも関わらずまるでデュークが誰もが認める大スターであるかの様に扱っており、むしろその推しがあからさま過ぎて引いてしまうという感じで、個人的にはゲームの評価を下げる一因にもなっている。

 ジェームズ・ボンドの版権物FPSゲームの中に、彼の映画の内容を持ち込んだりしたした場合(ボンドガールとのお楽しみ, アストンマーチンによるカーアクション, スパイガジェットを使った探索シーン等)、「戦闘がやりたいのでこんなパートは要らない」と考えたとしても、これはメインターゲットをボンドのファンに向けてのキャラゲーであると認識した上でプレイしている以上、そこを酷く叩くというのはおかしな行為となる。対してこのDNFはそれと同じ様な事をやっているのだが、これをデューク・ニューケムというヒーローをテーマにしたキャラゲーだと考えて購入している人は少数派の為に、「戦闘がやりたいのでこんなパートは要らない」という批判がこちらでは遠慮無く口に出されているという状況にある。デュークがとても人気のあるキャラクターとして世間に認知されていたならこんな風にはならなかった筈なのだが、そこは制作した3DR側の認識がズレているとしか思えない。デュークはスーパーヒーローであるとアピールしたいのならば、戦闘シーンで格好良く戦う事で魅せるという風にするべきだろう。


 リアリティへのこだわりも目に付く要素。様々なオブジェクトにUseキーで干渉(操作)する事が出来るようにされている。リアリティを増す事はゲーム内世界への没入感を増す事にも繋がるので良いとは言えるが、ではこのDNFで効果的に働いているのかとなると疑問である。いろいろな物を掴んで投げられるというのは戦闘でも使えたりするのでまあ良しとしよう。だが椅子を回せるとかシャワーを流せるとか、プレイには何の影響も与えないオブジェクトも多く、そこへの徹底したこだわりというのがどうも理解出来ない。デュークバーガーのメニューなども含めて、そこまで凝る必要は無いという所に凝っているという印象。黒板等に画や文字を書けたり、電子レンジなどの様に実際に使える物だけで十分ではないかと思える。他のコンテンツの完成度が高いならばまだ解るが、金と人を掛けるべき箇所が他に幾つも在るだけに尚更だ。リアリティを追求したいのならば、ゲーム内のNPCに個別に話し掛けられるとか、物理エンジンの適用オブジェクトを増やすとか、もっと効果的な要素に力を注いだ方が良い。

 それとリアリティにこだわる故の面倒臭さというのも生じている。あまりにリアリティにこだわると操作が面倒になるので、FPSではその辺りのバランスを考えて作られている。例としてリロード操作は普通ボタン一つで自動的に完了するが、これを銃種別に現実と同じだけの多段階操作を実行しないとならない様にしても批判を浴びるだけであろう。しかしDNFではそういった操作を要求するシーンが何回か出て来る。例えば両端がボルトで固定されている板を外す場合、まず片方のボルトの前でUse → 回転操作画面になるので緩める方向のキーを押下すると、ボルトを掴んで回すアニメーションが実行される → これを三回繰り返すとボルトが外れる → 反対側のボルトに行って同じ操作を行う → これでようやく板が外せる様になるといった具合。或いは閉じているシャッターを開く際に、オープンボタンをUseで押せば良いという方式では無く、壁に付いている操作パネルをUseで掴んで、それから上下操作ボタンの上ボタンの方を通れるレベルに達するまで押下したままにする、という風にしないとならない。確かにリアルだが、ボタン一つで通れる様になった方が面倒ではないしテンポも良くなるので、やはり無駄なこだわりとしか思えない。細かな操作はそれがパズルとして作られているシーンだけで十分である。

 無駄に面倒と言えば、このゲームでもコントローラー操作を考慮したキー連打が多いのは欠点。閉じかけているドアにUseで手を掛けてからスペースバー連打でオープン、シャッターを持ち上げて開けるのに連打、敵に捕まれたりこちらが掴んだりで連打、といった感じで結構な数をこなさないとならない。

GAMEPLAY(続)
 この手のゲームにおいてはストーリーに特にいう事は無し。特に意外な展開が待っているとかは無い。ロケーションはいろいろと用意されているが一つのロケーションが長目で、ゲームの長さの割にはバラエティには富んでいないという印象。ロケーションの選択にも疑問があり、例えばエイリアンのハイブはあまり人気が無いようなのだが、私としてはこういった変わったセクションをもっと多くするべきだったという意見。DN3Dシリーズはファンタジーや地獄等の別世界では無く、我々の身近な環境をメインに据えた点が当時は新鮮だとして評価を受けた。その流れでこのDNFでも都市部や建物内部等のセクションが多いのだが、今となっては普通に使われている場所なので新鮮さが無いのである。バーガーショップやカジノの様な見た目に変わった場所がもっと多ければ個性も出せたのだが、大半は本当に普通の、つまり他のFPSでも良く見られるロケーションばかりである。

 一応変化を付けようという努力は感じられる。だが目先を変える意味合いと思われるモンスタートラックでの移動セクションは、もっと短めにまとめた方が良かったように思える。攻撃武器が装備されている訳ではなく、敵に対しては轢き殺すか無視して逃げるかしか出来ないので単調。ルート探しやブースターを使っての大ジャンプアクションがメインとなり、特に面白いと言えるものではない。同様に前半の小さくなってラジコンカーで移動するセクションも長い割にはあまり面白くない。コントローラー操作のコンソールでは車両操作がとても受けるという話を聞くが、それが多いのはやはりそこを考えての設定なのかも知れない。しかしPCユーザーにはそこまで人気が出るとは思えない。



 進行ルート探しは近年のFPSの中では多い方だと言える。どっちに進めば良いのかを親切にガイドしてくれるゲームが多い中、このゲームではちょっと考えさせられる事が良くあった。これは昔のFPS風とも言えるが、DN3Dでも定番だったキーカード探しは無くなっている。。体を小さくして進むセクションは前シリーズからの特徴で今回も数回出て来るが、主にタイミングを合わせてジャンプで渡って行ったりのルート探しとなる。同じく小さくなった敵との戦闘などを間に挟むが、かなりの時間ルートを探してはジャンプの繰り返しなので、こちらもトラック同様にもっと短くまとめた方が良かったように思える。ガッカリさせられたのはジェットパックを使えないという点で、当然使える物だと考えていたのだがこれはマルチプレイでしか自由に使う事が出来ない。このシリーズでジェットパックを利用した進行ルート探し(戦闘も含めて)が無いというのは痛い。

 パズルの方も結構あって、Half-Life 2にこんなのあったなと懐かしさを感じさせるシーソーの物理パズルが数カ所。他にはジャンプパッド(アイテムを投げて飛ばす)を使った投擲パズルや、エイリアンのハイブではまた独特のパズルが用意されている。中でも一番多いのが操作パズルで、クレーンとかバルブなどをUseし、その後(上下)左右へと動かして進行ルートを作ったりするという物。ラジコンで車を動かすという物まで登場する(Shadow Warriorでは在ったがDN3Dシリーズで過去に在ったかは思い出せない)。特別に難しいという物は無かった。


 エロ関連は相当にパワーアップ?している。今回は会話シーンを入れられる様になったので、そういった会話の内容が大変に下品になった。下品というよりは“お下劣”とでも言うべきか、普通のゲームでは見られないレベルで相当に卑猥である。ここは面目躍如といった感じ。ストリップクラブは今作では独立した戦闘の無いアイテム探しマップとなっており、規制の項でも書いたように日本語版では修正されているアダルトグッズ類(バイ○レーター, コン○ーム)を集めるのが目的だが、その他にもストリッパーとのお楽しみのセクション等が用意されている。それ以外では前作と同じくコンピューターでエロ画像が見られたり、ポルノマガジンやビデオも鑑賞する事が出来る。エイリアンに捕らえられて卵を産み付けられた女性達は今回も登場するが一部マップのみ。


 ユーモア(ギャグ)は大半がエロ絡みで、普通の笑いを狙っているシーンはあまり出て来ない。同じくユーモアを含むSerious Samほど視覚的・直接的では無く、ウンコを掴んで投げられるとかストレートな物は少な目。中ではHolodukeのセリフが面白い。なおこれはギャグなのではないかと思えるシーンにおいて、私には意味合いが理解出来ない所もあった(電話の内容とか)。その国特有の知識・常識に引っ掛けた物だと伝わり辛いというのもあり、蛇足だが一件調べて解ったそんな物を解説しておく。

 小さくなってしまったデュークが子供からラジコンカーを借りるシーンで、その母親の来ているTシャツに文字が書かれている。最初にパッと見た際には「got milk?」、つまり巨乳の胸の部分に「got milk?」(ミルクを飲まない?)と書いてあるというエロネタかと思ったのだが、良く見ると「got milk?」ではなく「got milf?」と綴りが“milf”になっている。まずこの「got milk?」とはアメリカの乳飲料組合が販売促進キャンペーンで使ったキャッチフレーズで、当のアメリカにおいては大変知られているロゴになる。そしてこのギャグの元ネタは数年前にある会社が、公式ロゴと同じフォントで母親の来ているこの「got milf?」Tシャツを制作して組合側から訴えられたという件になる。そのMILFとは“Mother I'd Like to Fuck”の略語で、年上の性的に魅力的な女性を指すスラングとなり、日本のAVでいう熟女物に当たるジャンルの海外ポルノ界での通称である。つまりこれはMILFに当たる年齢層の女性が、「got milf?」というTシャツを着ているというエロネタと、こんな事件があったよね的なネタを合わせたシーンであり、このロゴやMILFの意味を知らない日本人からすると理解が困難という話になってしまう。


WEAPONS
 武器数は多いがDN3Dから引き続き登場する物が中心である。


*Pistol
 単発ならば正確性に優れ、ヘッドショットする事で雑魚相手になら使える武器。リロードも早い。ただしこのゲームでは弾無限の設定では無い。この武器を最後までずっと持ち歩くという実績狙いでもない限りは、特に持ち歩く必要性は見当たらない。


*Shotgun
 近距戦なら非常に強力で常時携帯したい武器の一つ。弾薬も割と手に入り易い部類。欠点はリロードがとても長いところ。


*Ripper
 高速のマシンガン。だがその高速さが欠点でもあり、50発のマガジンをすぐに撃ち尽くしてしまうのでリロードが頻繁というのと、全200発を撃ち尽くして弾切れになるのが早い。だが敵が良く使っているので弾補充はし易い。


*Enforcer Gun
 エイリアン側の使うロケットランチャー。一度に3発のホーミング弾を撃ち出す。しかしホーミングはそれ程正確では無く、離れたり動いている敵には効果的ではない。また最大で15発装備なので5発しか撃てず、弾薬ボックスでもない限りはすぐに弾切れになるのも問題。


*AT Laser
 レーザー弾を発射するエイリアン武器。3発ずつのバースト射撃を行い見える程度のスピードで飛んで行く。散りはしないが見た目の派手さほどにはダメージは与えられない。敵が良く使っているので弾薬の補充は楽。


*AT Captain Laser
 連射速度が速いAT Laserの上位版。ミニガンの様な存在で撃つ前に予備動作が入るのが欠点。弾を撃ち尽くすまでも早い。


*RPG
 大きなダメージを与える主にボス戦用兵器。真っ直ぐに飛んでいくので遠方の敵に対しても効果的である。照準を合わせておいてロックオンして当てる事も可能。しかし5発しか持てないので、弾薬ボックスが近くに無いと連射は出来ない。


*Devastator
 高速で連射可能なのでフル装填状態ならば最強兵器となる。ただし飛ぶほどブレるので離れた場所の敵には不向き。


*Railgun
 スコープ付き。即着弾なので動いている敵にも有効。威力も高く大半の敵を一撃で倒せる。最大携帯数は12発と少な目で、マガジンも3発なので連射には向いていない。必要な場所には置いてあるが携帯していると便利である。


*Shrink Ray
 敵を小さくする事が出来る御馴染みの兵器。小さくした敵は近寄って踏み潰せる(もしくは別の武器で撃つ)。強敵を小さくして簡単に倒せるので非常に有用だが、弾数は少ないし滅多に出て来ない。ただ温存しておく事で難所を楽にする事も可能である。


*Freeze Ray
 敵を凍らせて、その後打撃や銃撃で粉々に壊せる。前作とは仕様が異なっており、ある程度敵に近付かないと効果が発揮出来ない欠点を持つが、エネルギーがリチャージされるので繰り返し使えるというメリットを持つ。クリア後のチートメニューから旧式仕様に変更も可能。


*Pipe Bomb
 最大で4個と携帯可能数は大幅に減らされたが使用方法は前と変わらない。敵が落とすので数は割と豊富。複数個を投げて置いて一度に起爆する事も出来るし、使わなかった物は投げた後に拾って回収出来る。敵の出現パターンが解っている時には特に使える兵器となる。


*Trip Mines
 最大携帯数は4個。貼り付けてトラップに使うのが普通だが、敵に直接付ける事も可能。セットして待っていても敵はこちらの居場所までやって来ないケースも多いし、Normalだと普通に撃って倒した方が早いというのもあってあまり使わなかった。敵の通るルートが解っていないと効果的に使えないという感想。

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