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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度はBeginner / Soldier / Veteran の三種類。途中での変更は出来ない。レベル単位でのリプレイ機能は無し。


セーブ&ロード
 任意の場所でクイックセーブを含めて行える。セーブ用のスロットは12個。オートセーブとクイックセーブは履歴を1つだけ保存する。


OBJECTIVES
 何をするべきかという情報は一切参照が出来ない。方向ガイドやマップ機能も無し。幾つかの場所ではヒント表示があるのだが、一度表示されるとすぐに消えてしまい再度見る事は不可能。よってもし先への進み方が解らなくなった場合、最後のセーブからやり直して再度メッセージを見る必要も出て来る。(或いは出た瞬間にSSを撮っておくとか)。


英語
 字幕は一部のみ。ムービーには字幕が無く、ストーリーの説明が多いのでそれを追うには不便。それとレベルのロード時に簡単な状況説明等が出るのだが、解像度が粗くて文字が読み難い上に、ロードが終わると自動的にゲーム画面へと切り替わってしまうので最後まで読み終われない事が多い。

GAMEPLAY
 全16レベル。難易度Medium(Soldier)にて6時間強とやや短め。より高い難易度にチャレンジする以外には、リプレイ性はほとんど無いと思える。

 大きな売りとしては全く異なる能力を持った2人の主人公が用意されており、スーパーソルジャー(ミュータント)として生み出されたArtem Gorinと、特殊部隊兵士Andrey Yegorovとしてゲームをプレイする事になる。プレイするレベルの順番は決められており、1レベル単位とは限らないが双方を操作するレベルが切り替わりながら進められる。そのレベルにてプレイするキャラクタを選択したり、好みのキャラクターの方から始められるというデザインにはなっていない。


 ゲームの冒頭ですぐに明らかにされるので書くが(またストーリー紹介の時点で既に想像がつくと思うが)、2028年のパートに登場する兵士Yegorovの脳を移植されたのがGorinであり、Gorinが記憶を取り戻しながら一体何が行ったのかを探って行くというのが2029年のパートとして描かれている。つまり両者のパートを交互にプレイする形式ではあるが、その時系列は異なっている。

 その制作者曰く凝っているとされるストーリーだが、率直に言って良く解らず終い。ある程度までは理解出来るのだが、ラストの辺りではかなりの?が付くという感じで、「こういう事なのか?」と想像で補完するしかなかった。判然としないストーリーのゲームでは公式掲示板で論議スレッドが建てられたりするものだが、このゲームではロシア語の掲示板を翻訳してみたりしたが納得のいく答えは見付からず。


 レベル数は16個だが両者のプレイにて同じ場所が再使用されるケースもあり、実数はそれよりも少ない。インドアには特筆すべき場所は無いし、アウトドアの方も殺風景な場所が多く景観的には綺麗とは言い難い。ロシア特有の風景を味わえる様なエリアもほとんど無し。

 パズル要素は無いが、何箇所かは何をすれば(何所へ行けば)進めるのかを考えさせられる所は有る。後は一部にダメージを受けないようにして避けて通るタイミングアクションを要求される箇所も有り。総じてレベルのデザインに面白味は感じられない。


 まだAGEIA時代のPhysXに対応していたタイトルの一つだが、そのクオリティはお粗末な出来栄え。最初から置かれている死体がピクピクと振動していたりや、ラグドールでの吹き飛びも超高速で飛んでいったりと不自然さが目立つ。オブジェクト同士の接触判定もまともに行われておらず、自分の持っている武器や持ち運んでいるアイテムがマップ内のオブジェクトや敵を透過してしまう。それに関連して爆発のダメージは壁越しに喰らってしまうし、反対に壁にめり込んだ敵に対してはそれ越しに銃でダメージを与えられる。

 他には木製のドアを破壊出来るシーンがあるのだが、一発殴ると穴が空くがそれ以上は壊せず。最初はこれは通れないのかと判断したが、実際には1箇所穴を空ければそのまま通れるという仕様(通ると他の部分が吹き飛ぶ)。中でも最大の問題は狭い場所でオブジェクトを掴んでしまうとそれで詰んでしまうという件。天井の低いインドアでうっかり大きな物を持ってしまうと、投げ捨てようにも「ここでは狭くて投げられません」となり、広い場所に出られなければもうそれを捨てられなくなる。或いは火薬缶を持った際などは、Useキーを再度押す事でその場に置けるケースもあるのだが、置いた時点で衝撃が加わったと見なされて爆発するので自分が死ぬのは避けられない。


COMBAT(GORIN)
 Gorinは特殊能力を持ったミュータントという設定で、ほとんどのパートを素手で戦うようになっている。体力はヘルスのみで管理され、これは自動回復の機能を持つ。


 基本攻撃の殴りは1種類しかなく(押しっぱなしだと左手の攻撃も繰り出したりするが)、ブロック動作も無く非常に単純である。大抵の敵を一撃で倒せる威力を持つが、ジャストミートさせるには間合いを合わせないとならず、接近し過ぎると一撃では倒せない。また人間を含めてすばしこく動き回る相手や、背が低い&姿勢を低くする敵に対しても(合わせて屈まないと)ジャストミートは難しくなっている。

 問題はこの殴りに迫力が無い点で、サウンドを含めて実際に敵を殴っているという感覚が希薄である。パワーのある巨人が豪快に殴り倒しているという感じではなく、ジャブで軽く殴っているという方が適当であり、キャラクタの持つ特徴が活かされていない。

 その他ではアイコン表示が出るオブジェクトを持って、その後パワーを溜めて投げ付ける事が出来る。これで火薬缶を投げて爆発させ敵を倒したりも可能だし、普通のオブジェクトを投げてもダメージは与えられる。しかしこれは既に述べたように場所によっては持つと詰んでしまう危険も有り。


 特徴は幾つかの超能力で、これは自動回復するエネルギーを消費して発動させる方式。一つを除いては最初のレベルから使える様になるが、最低発動量にエネルギーが満たない状態では右下のアイコンがオフになる。なお発動後にエネルギー節約の為に途中でオフする事も可能。

 Energy Drain  正式名称は不明だが、2ndary攻撃にて敵を倒すと同時にヘルスを回復出来る能力。射程距離内に入ると手のアイコンが出るが、敵の種類によっては使う事が出来ない。Gorinのヘルスの自動回復速度はかなり遅いので非常に重要な能力となる。なお完全に倒すまでにはある程度時間が掛かり、途中で止めると敵は一旦倒れるがまた起き上がってくる。
 Slo-Mo  周囲の時間が遅くなった様に見える能力で、自分だけは通常と同じ速度で動く事が出来る。あまり持続時間は長くないが、高速で動く敵相手に有効である。
 Flash Speed  高速で移動可能になる能力で、ジャンプ力を高める事も出来る。ただし視界がボヤけて流れる様な標示になるので周囲は見辛くなる。戦闘に関してはあまり有効ではなく、高速で移動しないとならないシーンで使う程度。
 X-Eye  暗闇で物が見えるようになる能力。ほぼ付けっぱなしで使える。
 Mad Wave  これは途中から使えるようになる能力で、ほぼ全てのエネルギーを消費してエネルギーの波動を放ち敵を吹き飛ばす。近距離ほど高ダメージ。



 このGorinを操作するパートは、最初は能力を把握出来ずに死ぬ事もままあるが、戦い方に慣れてくると難易度Mediumでは簡単な部類という感想。ヘルスの回復は非常に遅いが、エネルギーの回復が速いのを有効に利用すれば楽である。

 単純にオープンスペースに飛び出してのド突き合いは危険であり、パンチを確実にジャストミートさせるのは難しいし、スローモーの能力も過信は禁物。敵の集団の近くでエネルギーが切れてしまうとエナジードレインが出来ないので、ヘルスも低ければそのまま倒されてしまう恐れが高くなる。逆にエネルギーさえ切れない様にすれば簡単となり、兵士相手ならばすぐに隠れられる様な場所で戦うようにして、危なくなったらすぐにエナジードレインにてヘルス回復。エネルギーが切れたら身を隠してその回復を待つというスタイル。
 エナジードレインが出来ない上に素早いミュータントに対しては、スローモーを小刻みにオンオフしながら戦う事で的確に殴り攻撃を当てる事が可能になる。後半からはマシンガンを持ったタフなミュータントも出て来るが、これも単にタフなだけでスローモーと殴りでヒットアンドランを繰り返せば問題無し。


 その他に問題点としては、ラスト前のレベルの大きな変化を付けた展開は上手く行っていないと感じられた。あまりも単純な上に易しくて詰まらない。それと一部のインドアにて、背が高いという設定から逐一屈まないとドアを通れないという風になっており操作が面倒。


 Gorinのパートは素手+超能力という観点からするとある程度は新鮮であり、どちらかと言えばこちらの方が面白いという印象

COMBAT(YEGOROV)

*武器は全て持ち運べる
*照準サイズは移動や連射等にて変化しない。リコイルは少しある。
*弾薬は単体で置いてあるか、敵の落とした物から回収する
*アイアンサイト無し。ズーム機能は一部の武器のみ。
*スプリント無し。よって移動速度はやや遅め。また横移動と後退が前進よりも遅いという設定。
*左右へのリーンは無し。屈みのみ。
*被弾方向インジケーターあり
*アイテム回復方式。ヘルスとアーマーで管理。
*レベル切り替え時に両方共にフル回復する
*命中エフェクトは赤い出血表示。ゴア表現は無し。


 武器はナイフ, MR-443 Rook(ピストル), Sayga 12K(オートマチックショットガン), Sawn-off shotgun(2連式ショットガン), SR Vintorez(サイレンサー付きスナイパーライフル), ABAKAN(AN94アサルトライフル), AK-108(グレネードランチャー付きアサルトライフル), Bumblebee(単発式ロケットランチャー), グレネードの9種類。プライマリの他に2ndaryの攻撃方法を備えている物も在る。ロシア軍の物が中心であり、シングルプレイのFPSでは滅多に見ない物が多い

 武器のアサインはキーの1〜8までになっているのだが、実際には同じ番号に複数の武器が割り振られるので使うのは6番まで。また同一スロットを選択した際に画面上部に今所持している武器の一覧が出ないので、場合によっては持っているのにそれに気が付かないという事も考えられる不親切な設定。


 Yegorovのパートは一般的なFPSのスタイルとなる。こちらは特殊能力の様なパワーは持っていない。ウイルスに冒された人間や変異したミュータントと戦って進めて行く。一部だが自分でトラックを運転したり、荷台に乗って戦うレベルも出て来る。

 戦闘の難易度は前半戦は高目の設定(トラックのパートが終わるまで)。難しい要因の第一として、アーマーが硬めでダメージの多くを吸収してくれるのだが、いざこれが無くなってヘルスだけになると非常に脆くなるという仕様にされている。よってヘルスだけになると、バーがフルであっても簡単に死んでしまうというバランス。そしてアーマーがそれ程用意されていない。それとアーマー及びドクターバッグ(ラージヘルス)はダメージ量が低い状態では勿体ないので取りたくないのだが、うっかり棚等に置いてあるのに気が付かずに近付いて取ってしまったり、弾薬の近くに置いてあると一緒に取るしかないとなっている為に、ただでさえ少ない数が無駄に使われてしまう事がある。

・敵の射撃が正確である。特にビルの高階等の遠くから攻撃してくる相手が厄介。
・ある地点に到達するとスクリプトで一気に湧いて出て集中砲火を喰らう。それを知らないと対処が困難な憶えゲーの要素が強い。
・敵が壁を超えたり屋根の上から振って来たりと、死角から一斉に且つ一瞬で登場する事が多い
・リロードが長目なので、敵に囲まれている時に発生してしまうと危うくなる
・武器の種類が少ない。また遠距離攻撃に使いたいアサルトライフルの弾薬がそれ程無い。
・集団相手に有効なグレネードが跳ねるので狙った所に落とすのが難しい
・初見では対応は無理だろうと感じられるシチュエーションが出て来る(トラック移動時)


 敵はこちらを追って来る事が多いので、逃げて待ち伏せするのが有効ではあるが常にその手が使える訳では無いし、突然出現されたら対応しきれない。以上の様な点から詰みの危険性を持ち、ヘルスだけでそれが低い状況だと後はどうやっても進められないという事にもなりかねない。オートセーブは各レベルの先頭だけなので、アーマーとヘルスがフルの状態でスロットにセーブしておいてからクイックセーブで進め、これは無理となって詰んだらその地点からやり直すという形にするのをお勧めする。なお簡単なGorinの方でも先に書いたようにオブジェクトを持つと詰む可能性があるので、そちらでも定期的なセーブはしておいた方が良い。


 他には武器の使い勝手に癖があり、それに気が付くまで余計な苦戦を強いられる。言い換えると初めからそれを知っていれば結構難易度を軽減出来ると思う。まずAbakanは2ndaryのセミオートの方が(当然と言えば当然だが)精度が高く、集団相手でもこれでヘッドショットを狙った方がリロードが入る危険性も減るし弾の節約にもなる。プライマリの方は近距離戦で敵が少ない等の余裕がある時以外では使わない方が良い。弾切れの心配が無いSayga 12Kはショットガンとなっているが、プライマリなら離れていてもそこそこ当たるのでAbakanの節約の為に積極的に利用したい。

 ソードオフショットガンは2ndaryでは2発同時発射となりリロードの隙が出来易いが、命中範囲と複数の敵に対する貫通力が増すので、プライマリは捨てて2ndary一本で攻撃した方が役に立つ。AK-108はスコープ付きのアサルトライフルだがそれが曲者で、当然離れた敵に対して有効と思いきやフルオートだからなのか命中精度が低く、Abakanのセミオートを使った方がずっとマシである。これは2ndaryのグレネードランチャー専用の武器と考えた方が良いだろう。


 だが中盤からは様相が変わってくる。遠距離から狙えるスナイパーライフル等の武器が増えると共に、弾薬数も豊富となり攻撃力が増す。何よりアーマーやヘルスが置かれるインターバルが短くなり、アーマー切れの危険な状態がかなり少なくなる。併せて無敵の仲間が一緒に戦ってくれるのも楽になる一因。よってこの中盤戦の難易度は普通に戻る。

 再び1人になる終盤戦は銃を持った兵士系が減ってミュータント相手が中心となるのだが、こちらの方が御し易いのでむしろ簡単となる。ヘルスやアーマーは依然として多い状態なのでその意味でも楽で呆気ない位だ。総合的にはもうちょっと難易度のカーブを考慮して、序盤の難易度を下げて終盤をもっと厳しくした方がバランスが取れたと考えられる。最後に書き添えておくと、英語版に相当するV1.2ではこのYegorovの幾つかのレベルの難易度を下げる方向での調整が入っているそうだ。しかし前半戦はまるでおかしいし、反対に終盤は調整したのであれば簡単にし過ぎ。


 敵の人間は精神的におかしくなっている弱いタイプが少しと、武器を持っている一般タイプの2種類。後者は持っている武器の違いだけで、顔を変えたりといった細かい変更は無いので、終盤まで来ると繰り返し同じ見た目の敵と戦っている感が強まるのは否めない。そのAIはオブジェクトにスタックして走り続けたり、こちらを見失って変な方向へと移動したりと問題も見受けられる。これは味方AIも同じ。ただシンプルなアクションFPSなので大きな障害にはなっていない。一方でミュータントの方は種類が数タイプしかおらず、せっかくの背景設定を有効に利用出来ていない(Gorinの方に出て来る物の幾つかはこちらには出て来ない)。


 まとめとしてこちらのパートは普通のFPSであり、ユニークで面白いと感じられる要素が足りない。目新しさは変わった武器が使えるというくらいか。

GRAPHICS
 エンジンは自社製の物を新しいバージョンに変えたそうでShader 3.0に対応している。しかし「やたらと大層なグラフィックス設定項目が用意されているが、全部をフルにしてもクオリティは低い」というロシア系FPSのグラフィックエンジンという点は同じであり、オリジナル発売年の2007年の比較においても平均レベルを下回っている。

 ノーマル・マッピングの使用が増えていたり、エフェクト系は綺麗な物もあったりと確かに一部には改善が見て取れる。だがテクスチャの質が悪い, エフェクトの種類は少なくて使い回しが目立つ, キャラクタのモデリングの粗さ, アニメーションのぎこちなさ等、全体的な質には問題がある。

 ワイドスクリーンには未対応。アンチエイリアスは用意されている。

SOUND
 EAXによる3Dサウンドを実装。ハードウエアアクセラレーションもオンオフ出来る。

 銃器類を含めてエフェクト音の質が低いのが大きな欠点。余計に当たっている感が出ていない。

 BGMは昔のアクションFPS風にレベル単位でハードロックやテクノ系の物がずっと流れているという方式(一部イベント時に変わる事あり)。しかしその種類は少なく、また曲としては悪くないのだがゲームの雰囲気にまるで合っていない明るい調子の物が多い。一番インパクトがあるのはメニュー画面で流れる寝起きの声?が入ったBGM。

MULTIPLAYER
 8人までが参加可能なHuman vs Mutantsのチーム戦を収録。切り替えスイッチは設けられているが、インターネットでの対戦に対応しているのかは不明(過去のエンジンではLANのみだった)。試した限りではサーバーは見付からなかった。

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