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GAMEPLAY
 全部で14章から構成されており、難易度Normalならプレイ時間は8-12時間程度。これは別項でも詳しく書くが、難易度が低いのでアイテム類を探索する必要性が薄く、先を急ぐスタイルでもスイスイと進められてしまうのでそれだと8時間程度。それなりに脇道探索したり数多い資料類にも目を通せば10時間、賞の解除を狙ってアイテム類を重点的に探すスタイルだと12時間位といった感じ。


 前作では「インドアばかりで閉塞感が強い」, 「同じ様な場所ばかり出て来る」といった批判が多かったので、今回はそれを改善するべく各マップをデザインするという話だった。実際にプレイしてみた感想としては、想像していたよりも市街戦の様な純粋なアウトドアは少なかったが、インドアでも屋根が高く広い場所が多かったりと閉塞感は減少。またマップ単位での見た目の変化も大きくなってバラエティに富むようになっており、単調さの改善という点においては合格点を与えられる出来である。インドアの装飾類も非常に細かく作り込まれており、室内描写のリアリティはトップクラスである。

 ストーリーはそれほど深い物ではなく、手に入るドキュメントで背景が解説されるという部分が多いので、見せ方としてもあまり上手い方法とは思えない。ドキュメントの探索は自由なだけに、ストーリーに興味が無い人には単なるアクションゲームとして楽しんで貰いたいという程度の割り切り方ではないかとも感じられる。個人的には謎が多い曖昧なストーリーという印象で楽しめる物ではなかった。ラストの意味合いについてもいろいろと議論が行われているが、そこでの一般的な結論に対しては懐疑的でもある。


 視界については特徴的なデザインを採用しており、同社のCondemnedと同じアスペクト比が横長のレターボックススタイル(上下黒帯)を採用している。画面の解像度を無理に変えれば黒帯は無くせるが、縦横比が正規の比率よりもおかしくなってしまう。しかしこれはユーザーからの反発も多かったので、パッチにより黒帯を無くす形での表示が可能にされた。

 それと視界が装着したゴーグルを通した描画になっている。ゴーグル上に映し出されたヘルスやアーマーの数値を見るという設定で、このゴーグルに血が飛び散ったり水滴が付着したりといった演出が行われている。ただ実際にガラス面を通して見ているかの様な描写になっているので、目の前に一枚薄膜が置かれているかの様であり、見辛いという程ではないがクリアでは無い。これには最初は違和感もあったが、慣れて来るとあまり気にはならなくなったので大きな問題とは言えないだろう。なおパッチではこの効果はOFFに出来ないが、フィルムグレインの効果をOFFに出来るようになったので、それを使えばややクリアな感は増す。


 ホラー要素については発売前からいろいろとコメントされており、「前作と同じ事をしても既に慣れている人には効果が薄いので、もっと様々なスタイルの別の手法を採用する」, 「得体の知れない漠然とした恐怖では無く、ダイレクトに伝わる恐怖感を重視する」として、「内容が分かってしまうと恐怖感が薄れるのであまり話せないが楽しみにしておいて欲しい」という話だった。しかし率直に言って、新しい手法や効果的な演出というのは感じられず、恐怖感の演出という点では失敗に終わっているという印象

 突然不意を突いてアルマ等が襲って来るというパターンが多くてマンネリ化しているし、プレイヤーの視界が幻覚モードに切り替わって奇妙な映像を体感するというシーンも相変わらずで、もうこのスタイルでは怖さはさほど感じられない。新しいタイプの演出というのも特に見られず、アイディア不足に感じられた。効果的なシーンとしては、先が良く分からない暗い中で精霊系の敵が襲って来る所くらいか。

 恐怖に関連して暗さについてだが、非常に暗いという場所は少なく、フラッシュライトがあった方が良いという程度の暗さが大半。(最初の明るさ調整にて、制作側の意図する明るさに合わせた状態にて)。そして今回はバッテリー式ではなく、ライトは常時点灯させた状態に出来るので暗さの影響というのは大きく減少している。アイテム類もオブジェクトを通してでもハイライト表示されるので暗い中でも見付け易い。そこで暗さを使った恐怖感の演出シーンでは、ライトが弱くなって点滅し見え難くなるという形を採用している。それに加えてモーションブラーの様な効果で視界を歪ませたりするやり方となり、こういったシーンでのみ暗さによる恐怖が効果的であるという程度。

 注) 一応前作を未プレイの方に大きなネタバレ抜きで説明しておくと、ゲームの中でアルマは成体の姿と少女の姿で登場しているが、ゲームの舞台の時間軸での実体となるのは成体の姿の方である。少女の方は幻覚として作り出されたビジョン程度に考えておけば良いだろう。


 QTEが随所に用意されており、また敵に組み付かれた際にも発動する。そもそも個人的には面白い要素とは思わない要素なのだが、このゲームでは特に問題が感じられる。基本的な概念は画面上に表示されたキー(ボタン)を素早く正確に押す事が出来るかどうかにチャレンジするミニゲームだが、このFEAR2では同じキーばかりが表示されてそもそもゲームになっていない。ほぼ全てがQキーを押せ(連打)という指示で、稀にマウスの左ボタンが指定される程度。よってゲーム終了まで一回も失敗する事無く、ゲームではなく単なる作業に陥っている。


COMBAT
 前作からの変化を含めて基本的な仕様を解説。回復系は別項を参照。

*武器は同時に4個まで携帯可能(要望が多かったので+1されている)
*ビジュアル的なWeapon Selectorが装備されたが、コントローラー用の機能でPCでは必要無し
*グレネードは4種類でコッキングでも投げられる(タイマー表示付き)
*照準はしゃがむと小さくなり、移動すると広がる
*アイアンサイト採用(新規追加)
*武器によっては発射モード切替有り
*左右へのリーン動作は無くなった
*Melee Attackの他に、成功させれば強力な跳び蹴りやスライディング等が用意されているのは変わらない
*スタミナの分スプリント可能になったが、慣性が付いてすぐには止まれないようになっている


 武器は全体的に集弾性能が高く、アイアンサイトでなくても結構当るという仕様。特定の武器以外は弾は豊富なので、弾切れを心配する必要性は無い。やはりFPSでは武器の使い分けが面白いので、同時携帯数が4つに増えたのは非常に良い点である。武器のバラエティさについても水準以上のレベルだろう。敵の装甲の厚さによって効果的な武器が異なるという差別化も面白さを生んでいる。

 一方でちょっと残念なのは、武器を撃っている感覚はやや減退したように感じられる点。武器の暴れやリコイルがそれ程無いのが原因で、サウンドもやや弱くなったように思える。他にはショットガンの威力が武器解説にも書いたように低下しており、結構な数の敵が一発では倒せないようになった。前作ではスローモーにした状態で敵をショットガンで吹っ飛ばすという点に爽快感が有ったのだがそれがやり難くなっている。


 また戦闘時における粉塵・煙・オブジェクトの散乱といった派手な効果は前作での売りの一つだった訳だが、より派手にするという宣言とは裏腹に、むしろ効果は減少してしまったように感じられる。特定のオブジェクト以外は爆発によって動いたり壊れなくなったし、銃弾によって壁や柱等が削れて行く効果もカットされた。グレネードによる大気の動きのエフェクトも、敵に直撃させても爆発しなくなった関係で減少。舞い散る粉塵や煙の量も減っている。タンク類を撃って爆発させたり燃やしたりはより多くのシーンで可能になったが、それ程効果的な演出にはなっていない。

 更に今回はラグドールの効果がリアルになっており、敵の死体の吹き飛びにちゃんと重量感が感じられるようになったのは良いのだが、逆に言えば派手さが無くなった。前作ではスローモー状態で回転しながら吹き飛んだりする敵を眺められる点に爽快感があったのだが、そういった吹き飛び要素が大幅に弱くなってしまっている。結果的に戦闘シーンのエフェクト類の派手さはむしろ後退したと言わざるを得ない


 戦闘面での前作からの一番の変化としては左右へのリーン動作がカットされた点で、体を隠しながらの攻撃は出来なくなっている。カバーの背後から立ったり座ったりするか、横に出たりしてはまた隠れてを繰り返して戦うしかない。一応その補助機能として、幾つかの操作アイコンが出るテーブル類を引っ繰り返したり移動させたりして新たなカバーとして使えるようにはなっている。

 しかし敵の攻撃を避けようと動きながら撃つと照準が大きく広がる仕様なので、出来るだけ止まった状態で撃つのが理想的である。その点でリーン動作の場合は被弾面積が減っているのでその場で動かずに撃てて狙いも安定していた訳だが、今回はそれが出来ない。だからといって狙いを安定させようと敵の前で棒立ち状態での戦闘は不味いとなると、必然的に敵の目の前でも優位に立てるスローモーの重要度は高くなる。


 スローモーはこのゲームの中心的な要素であるのは間違いないし、爽快感を感じさせる面白い能力でもある。しかしやたらとスローモーを連発させるとプレイヤー側が無敵状態の様になって戦闘時のスリルが減少するのも確かであり、この辺のバランスは前作でもそうだったが難しい所である。ただリーンを無くした事により、2ではより数多くの戦闘でスローモーを使用するような調整になっているのは確か。そしてそれが前作に比較して戦闘の緊張感を削いでいるという感じがする。同様にスローモーが有効過ぎるので、オブジェクトを動かしてカバーを作成するという行為にもほとんど意味が無くなっている。そんな事をしなくてもスローモーを使って撃ち合った方が早いからだ。

 根本的な問題は「どんな時でもスローモーのリチャージ速度は変わらない」という点。通常の戦闘時の難易度バランスに合わせてリチャージを相当に遅くすると、敵の多い難所での連発が困難になって難易度が増す。反対に敵が大量に出て来るのでスローモーを連発しないと厳しいという箇所用にリチャージ速度を調整すれば、それ以外の場所では過剰な連続使用が可能となり簡単になってしまう。そしてこのゲームでは後者を選択しているので、多くの部分でスローモーが連発出来過ぎて簡単になるという弊害が生じている。

 実際の自分のプレイにおいても、まずはリーンしての敵の位置を確認したりや、その状態からの攻撃を考えてみるという過程が存在しないので、単純に物陰から飛び出してはスローモー発動というパターンが前作に比較して大幅に増えてしまった。特に敵が数多い場合には、どうしても普通に撃ち合うのを避けてスローモーに頼ってしまいがちになる。タクティカルな戦闘という観点からも攻撃時に選択肢が少ないのは上手くないし、プレイ感が単調になるのは避けられない。そういった事を総合すると、やはりリーンを排除したのは大きな失敗だったと言わざるを得ない。


 一般的な車両系の操作は固定銃座を操作するシーン以外には無いが、搭乗可能な戦闘兵器としてElite Powered Armor(EPA)が用意されている。プレイヤーからのリクエストが多かったので加えた要素だそうだ。このロボットは両腕にミニガンと両肩にミサイルランチャーを装備しており、時間を置けば自動回復するアーマー機能も備えている。外部の視界はビデオカメラによって内部のモニターに送られる仕様で若干見難いが、熱源探知センサー画面に切り替えれば周囲の状況は分かり難くなる代わりに敵の位置を掴み易くなる。

 これに乗り込むシーンでは敵側もロボットや大量の兵士の同時攻撃という激しい攻撃を仕掛けて来るが、自動回復機能を持っているのであまり先を急がないようにすれば難しくは無い。(もし破壊された場合でもゲームオーバーにはならず、降りた状態からの戦闘に切り替わる)。むしろNormalだと強過ぎるというレベルで、爽快感はあるが特に面白いという要素にはなっていないという感想。あくまでもアクセント的なシーンと考えるべきだろう。開発側でもそう話していたように、ゲーム中で乗り込めるのは二箇所だけとなっている。

 なお用意されている場所で乗り込まずにあえて徒歩状態で戦うという選択肢も可能だが、掲示板での感想だとそのシーンだけは倒した敵の弾が回収出来ない設定にされているので、最初から途中に置いてあるアイテムを拾うしか手が無く、敵の数の異常な多さの為に弾が足りなくなるので難易度が非常に高いそうだ。弾が切れたら戻って乗り込むという風にするか、途中まではEPAで進めてから降りて戦うかしかない。




 敵は前作と同じくレプリカ兵士の他に、所持武器で区分される数種類の人間タイプの兵士。そしてロボット系や精霊系の敵もやはり含まれ、光学迷彩の特殊なスーツを着込んでアクロバティックに素早く動いて攻撃して来るアサシンも再登場する。

 新しいタイプの敵としてはまずAbominations。Armacham社の実験の失敗作として生まれた精神の崩壊した元人間で、自分の血や排泄物を使って壁・床に文字や記号を描いたりしている。知能が低いので必ずしもプレイヤーを攻撃して来るとは限らないのだが、壁や天井を這いずり回ったりと動きが不規則で読めない敵である。他にはRemnantsと呼ばれる周囲の死者を赤い糸の様な物で操るタイプの敵が登場する。本人を倒さないとその動きは止まらないが相当タフなボス系の相手となっている。以上の様な敵の種類が多い点はアクセントになっているし、戦闘をバラエティに富んだ物にもしている。

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