問 題 点 |
敵のAIに関連する事なのだが、このゲームの欠点としてNormalでの難易度が低いというのが挙げられる。確かに近年のFPSにおいてはNormalとされる難易度での難しさは減少傾向にあるが、その中でも低い部類と言えるレベル。Easyとまでは言わないが、EasyとNormalの中間程度に位置するといった印象である。 ミッション単位で見ると手応えが感じられるのは最後の方のM13位で、それ以外では時々あるイベントやボス戦でやや難易度は上がるものの、全般的に難所はほとんど無し。折角難しければ何時でも難易度変更が出来る機能を持っている訳だし、中盤辺りからM13位のバランスにした方が良かったのではないかと強く感じる。 例えば回復系について見た場合、メディキットを3個まで携帯可能となっているが、ほとんどのシーンでそれが2個以下に減る事は無かった。一般的には先にアーマーが削られて、それが無くなるとヘルスが減り始めるのだが、ヘルスが危ないというレベルまでダメージを受けるシーンは少ない。そして敵が多く出て来る場所では小型の回復薬やアーマーが置いてあるので、それを拾って回復すればメディキットは使う必要が無くなるというループの連続。結果的に難易度に比較して置いてあるメディキットの数が多くて余ってしまうというバランス。 このメディキットの数が多いというのにはリプレイ時の設定も影響していると思わる。リプレイしてやり直す場合にはメディキットは0の状態からのスタートとなり(全てのマップ&難易度でそうなのかは未確認)、それ故にマップ序盤ではややメディキットが確保し易くなっているようだ。なので普通に連続してキャンペーンを進めているケースでは、メディキットが過剰に有る様に感じられてしまう事になる。かと言ってリプレイ時にメディキットを幾つか持たせた状態に設定すると、「難易度Hardで全てのミッションをクリアする」という賞において、マップクリアの時点でメディキットが0とかだったら、そのまま続けずにリプレイから次のマップを選択してやり、メディキットの数を増やすというチート的な行為が可能になってしまう。(だから初期値が0なのだろう)。 そしてヘルスの自動回復という要素も実質意味が無くなっている。HPが30以下になると自動回復状態に入るが、そもそもそこまでヘルスが下がる事自体が少ない。またメディキットが余る位に入手出来るので、50以下程度になったらすぐに使ってしまっても構わないのもその原因。メディキットの数がシビアなバランスならば、常に全回復可能なメディキットの無駄使いをしないようにギリギリまで粘るべきだが、そうではないので気軽に使えてしまう。よって一般的な回復アイテムのみの使用方式とほぼ一緒のゲーム性と考えて良い。ただしこれは別に欠点ではなく、自動回復方式が嫌という人にとってはむしろ喜ぶべき設定と言える。 しかし回復アイテムが余るというのは相対的な要素であり、他のFPSに比較して純粋にその数が多いとまでは感じられず、むしろ他の面に問題が在ると見る方が正確だろう。即ち敵の弱さに根本的な原因があると思う。デモの時点で不安に感じていた点なのだが、それが残念ながら的中してしまった。 まず第一に「遭遇時のリアクションが遅い」, 「攻撃の命中精度が低い」, 「被弾時のダメージ量が少ない」という基本的な面が弱い設定になっているのが大きい。試しにこちらから攻撃せずに敵の前に出て動き回ったりしてみると、敵の攻撃の正確性の低さやダメージ量の低さにより、こちら側がそう簡単には死なないというのが実感出来る。当然これには「リーンを無くしたのでそれを補完する意味で反応等を遅くした」という考えが背後にあるとは思うのだが、代わりにスローモーを存分に使える設定ではバランスがより崩れているだけである。メディキットをもっと頻繁に使わせるように、これ等の能力をもっと高くするべきだった。 そしてこの設定によりこちら側から先制攻撃を仕掛けられる事が多いのだが、敵側は撃たれた際のリアクションが大き目になっており、武器にもよるが最初に当てればそのまま反撃を許さずに連続攻撃して倒せてしまうケースもある。またショックグレネードや火炎グレネード等の、敵の攻撃を止めてしまえる武器も結構手に入る。 続いて“障害物の背後に隠れる”という行為が上手く機能していない。これはオブジェクトが複雑な形状になったのも関係していると思うのだが、物陰に隠れてもその一部が見えてしまっているケースによく遭遇する。一部体が見えてしまっているのでそれを撃てるのだが、撃たれても「見えていないはず」という認識なのか、そのまま動けずに死んでしまう。カバーからリーンの様な状態で攻撃して来たりもするが、時々身を乗り出して撃つのではなく、そのまま一部が見えている状態でずっと攻撃してくるので対処が楽。或いはカバーの無い場所で完全に見えているのにその場にしゃがみ込んで動かなかったりも時々見られる。総じて物陰に隠れるという行為が非常に下手という印象。更にはこちらが隠れている状態も正確に認識出来ないようで、こちらの頭だけが出ている様な状態では見えないという風に捉えられる事が多い。よって頭だけが出るようなカバーの背後からの攻撃が有効となってしまう。 敵が積極的に前に出て来なくなったのも問題。やたらと突っ込んで来るのも勿論良くないが、前作では部隊行動のシステムが用意されており、後方からの援護を受けてこちらの居る場所まで前に攻めて来る兵士もいるという風になっていた。しかし2では部隊機能が存在するのかはともかくとして、プレイヤーがある一定線から引いてしまうとそこまで攻めて来るというケースがほとんど見られなくなった。そういった怖さが無いとスリルも減少してしまう。結果的に後方の安全地帯から、スローモーの補充を待ったりしての楽な攻撃が可能になるという状況に陥っている。 こういったプレイヤー側の安全地帯への退避行動に対しては、主に自動回復を採用したゲームでのバランス調整として、グレネードの投げ込みによるカバーからの燻り出しというシステムが良く見られる。安心して回復行為を行えない様にする為の牽制攻撃である。しかしAIに反射角度や転がる距離を考慮に入れてグレネードを狙った場所に正確に着地させるのは非常に困難なので、普通は一種のチートではあるが「プレイヤーの近くに落ちた事にする」という方式が主体である。その点このゲームでは、敵はグレネードを「ちゃんと計算して投げる」という方式を採用しておりそれが逆効果となっている。計算して投げさせるので、それがプレイヤーの近くで正確に止まるというケースが少なくなり、脅威に感じさせるまでには至っていない。グレネードのインジケータは用意されていないが、敵はコッキングによるタイミング調整を使えないので、近くに落ちてもそれから避けるのは容易いのである。 更にこれもリアリティの追求による犠牲とも言える点だが、敵の迂回ルートが用意されている箇所がほとんど無くなっている。前作では「実際にこんな形状の内部構造を持った建造物は無い」と言われるほどに入り組んだ構造の箇所が多かったが、それによってプレイヤーからは全く見えないような別ルートを通って来た敵が横や背後から襲って来るという可能性を持っていた。しかし今回は敢えてプレイヤーが前に出ない限りは、前方からのみ敵の攻撃が行われるというパターンが大半であり、敵の攻撃から奇襲の怖さが減っている。 最後にマップ内に爆発物が多いのもあって、それを撃ってしまっての自爆もそこそこ多い。グレネードの投げそこないでの自爆も同じく。なおこちらがグレネードを投げ込むと避ける事は出来るのだが、ランダムな方向に走り出すだけらしく、逆にグレネードの方に走って爆発してしまうのも見受けられる。 以上の様にNormalでの敵には手応えが感じられないケースが大半となっている。死ぬ回数も前作と比較すれば減少しており、初めて見るタイプの強い敵に遭遇したケースとか、爆発物に巻き込まれて吹き飛ばされるといったのがほとんど。スローモーに過剰に頼らなくても何とかなるバランスと考えれば良いとも考えられるが、それで敵が弱く感じられる点が治る訳ではない。 では難易度をHardにすれば良いのかと言うと、これもまた違った意味で問題あり。発売時点ではHardでも易しいといった意見が多かった為に、V1.02にてHardでのバランス調整を行っているが、そのV1.02でのテストの感想を書いてみる。調整されているのは主に被弾ダメージの量の様で、Normalの数倍といった感じですぐに死んでしまうバランス。ヘルスがフル+アーマーが残っていても、ヘッドショットという意味なのか稀に即死する事があるし、ショットガンの攻撃はヘルスがフルでも基本的に即死。ヘルスが減ったらメディキットを使用しないと危険なレベルなので、メディキットの数という点においては適当とも言えるバランスにはなる。 しかしちょっとダメージの増加が極端過ぎるというバランスで、この難易度でこそ自動回復の意味も出て来ると思うのだが、ヘルスが30以下になるどころか一気に即死というケースが大半で、丁度ヘルスが30以下0以上になるという事が少ない。ここはヘルスが0になっても一旦死ぬのを留めて、すぐに隠れて自動回復状態を維持出来れば回復可能というシステムの方が良いと思える。 結果的にその多大なダメージを避けるにはスローモーを多用するというのが有効な対抗策になってしまい、それで対抗は確かに出来るようにはなるが、スローモーを連発してばかりなので単調さから面白味が減少して行くという状況に。よってNormalは簡単だからHardでプレイした方が良いとも薦められず、難易度のバランス設定は今後もパッチで修正の必要が大いにありという結論。 今回はAIの知能を高めると同時に、同じ兵士でもその種類を増やし、ユニフォーム(タイプ)によって動きが異なるという設定になって、兵士のタイプ別に有効となる戦略を考えながら戦わないとならないという話だったのだが、それ程の動きの変化は正直言って見られなかった。 また同じシチュエーションでもランダムに相手の反応は異なるといういう風にされており、「例えば火を点けられた場合ならば、転がって火を消そうとする兵士も居れば、パニックになって叫ぶ者、または水を探して走り回る兵士も居るし、中には構わずに攻撃を仕掛けて来る者も居る」としていたが、実際には皆苦しがるだけでリアクションは同じに見える。 |
GRAPHICS |
Condemned 2と同じバージョンのLithtech Jupiter EXを使用しているようだ。エンジンの名前的には前作と同じであり、内部的な細かいバージョンの違いは不明である。F.E.A.R.に比べてポリゴン数は5倍程度を扱えるようになっており、エフェクト系も最新のシェーダーで書き直されているのでクオリティが向上している。 Soft particles, Dynamic lighting and shadows, HDR, Motion blur, Parallax bump mapping, Depth of field等の現在のトレンドには全て対応。DirectX 10にも対応するという話だったが、時間的な問題からこれは見送られた。ただし予定していたDX10レベルのグラフィックスはDX9にて実現出来たので、実質DX10レベルのクオリティであると話している。 グラフィックス系で目に付くのはテクスチャの精度で、クリアで高解像度の物が使用されている。これだけはPC専用に高解像度の物が使用されているそうだ。ノーマルマッピングの使用によってオブジェクトの質感も増している。併せてマップ内部の作り込みが相当に凝っており、特に室内部分では非常に細かいアイテム類までもが配置されているのでリアリティが高い。ここは高く評価出来る点と言える。 キャラクタのモデリングは細かく、表情の変化を含めて自然な表現になっている。アニメーションも滑らか。 ![]() 揺れている光源からのダイナミックな影生成を見せてくれるシーンはあるのだが、通常のシーンに影が少ないのでは意味が無い。明らかに少な過ぎるという印象なのは否めず、残念ながらコンソールとの同時開発の悪影響が出てしまっていると想像する。コンソールに合わせて影の生成対象の数を決めてマップのデータを制作しているので、PC版用にそれを変更するには内部のデータをいじらないとならず、その様に特定機種でのマップのデータを変更するのは面倒なので止めたという事ではないだろうか。 出血の表現も今一つ。最初から流れている分は良いのだが、飛び散る方の表現は不自然である。撃った際の死体も全く綺麗な物から、全身が血だらけだったりと両極端。この効果は前作よりも後退した様に感じられる。 綺麗さに対する軽さとしては優秀な部類で、設定を上げても特に問題なくプレイ出来た。 V1.02よりワイドスクリーンの設定が追加されたが、これをONにするとレターボックスの表示形式になるという意味であり、上下黒幕が要らないのならば、16:9等の解像度でもワイドスクリーンはOFFにしておく。 |
SOUND |
3Dサウンドの定位感は良好。ただし今回は敵が前方に集中しているので、あまりその設定が活かされていない。 銃のサウンドはやや弱い。BGMは恐怖感を表すアンビエント系と戦闘になると流れる物が混在しているが、アンビエント系は特に良いとは思えず、戦闘系の原始的なリズムを多用している物の方が優れている。 スローモー時の効果音は前回と同じレベル。突然大きな音を出して怖がらせる様な演出は偶にある程度。 |
MULTIPLAYER |
マルチプレイについては仕様の説明のみ。経験値が管理されるランキングサーバーへの参加はGamespyのアカウント要。前作は無料公開後に人気が出ていたが、今回はDedicated
Server, SDK, アンチチートのいずれもリリースする予定が無いとされており、既に人気を得るのは絶望的といった声が公式掲示板では増えている。 ゲームのモードは6種類。DM, TDMの他は以下の通り。 *Control マップ内の3つのコントロールポイントを奪い合う。 *Armored Front 5つのコントロールポイントを両側から順番に確保しあって、敵陣まで全てを繋げた方が勝利。ポイントを2つ確保するとEPAに乗れるようになるのが最大のポイント。双方一台ずつが使用可能で、その破壊力をどういう風に活かすかが鍵となる。サーバー一覧で見る限りは最も人気があるようだ。 *Failsafe 爆弾を仕掛ける側と解除側のチーム戦。 *Blitz 敵陣からアイテムを奪い取って自陣まで持ち帰るチーム戦。攻守交替制で2ラウンドでのポイント数で勝敗を決める。 ゲーム前にポイントを自由に使って武器や装備をカスタマイズ出来るのも大きな特徴。デフォルトのクラスは用意されているが、自由に自分の好みで新しいLoadoutsを構成出来る。 |