問 題 点 |
書き残した点について。いずれも欠点と呼ぶほどの大きな問題ではないが記しておく。 このゲームでは特にアウトドアにおいてはルート選択の自由が与えられているのだが、そのルート自体が判らないというケースが結構多い。見た目で明らかに通れそうなルートが全て分かる場合も勿論有るのだが、そもそも別のルートが何処に有るのかを見付ける所から始めないとならないという事もあったりする。必死で敵の攻撃をくぐり抜けてからその先に進んだところ分岐の道が有り、それを辿って見たら初めて「実はそこに敵を迂回出来るステルス向けの道が有った」というのを知るというケースも少なくない。或る意味初回のプレイはリプレイ時に備えて、マップの形状やルートを把握するという色合いも強くなっていると言えよう。 ルートが見つけ難い原因としては、「広くて草木が多いというのが逆効果として働き、そこに通れる道が有るのかが判別し難い事が有る」、「あまりにも大回りするとヘリがやって来る警告メッセージが出るので、かなりの大回りが可能というルートを見逃し易い」、「敵が居る場所をなるべく避けて通るという姿勢だと、逆にその場は逃れられるが敵が集結しているルートへと誘導されてしまうケースがある(実はその最初の避けた敵を倒しに行った方が、その先には敵が少ないルートが設けられているとか)」、「任意にセーブが出来ないので、あそこにはルートが有るのかというのを確認したいのだが敵が居る場合、危険を冒してまで探しに行くべきかという問題が生じる(無かったら丸損となる)」といった物が挙げられる。 敵はメインのルートに集結しているので分かり易い明確な道には敵が多く、ステルス系の敵が少ないルートを見付けられるのかが鍵となるのだが、それにはセーブポイントからの死を覚悟したトライアル&エラーが必要となる場合も多い。ちょっと敵が多過ぎるのではないかと感じたら、チェックポイントに戻って他を探してみるという手法も有効である。このルートの選択はチェックポイント・セーブという観点からもかなり重要で、おそらく製作サイドが正解と考えているルートにはセーブポイントが設けられているのだが、そうではない方を通るとセーブが行なわれないので、死んだ場合にはより長い距離に渡ってやり直さないとならないというケースも生じるようになっている。これだと折角のマルチルート設定が活きないという事にもなり、詳しい情報はともかくとしてプレイヤーにはせめて全体マップ(道が何処に有るのか程度は判る物)が提供されるべきだったと感じる。 Vehicleの操作性やゲーム上でのバランス設定はあまり良くない。特に車両系はちょっとスピードを出すと操作が難しくなり、道も曲がりくねっている上に細い箇所が多いのであまり飛ばせないようになっている。次に視点変更は可能だがどちらにも問題が有る。一人称では銃の操作はし易いが周囲が見えないので、敵に囲まれているというケースでは不向き。三人称だと銃が上下に動かせないので(カメラが動く)敵を攻撃可能なレンジが狭まってしまう。座席変更して上部の銃座に座れば狙えるようになるが、これだと車が動かせないし視界も戻ってしまうという問題あり。破壊力という点ではロケットを使う事でアンバランスな程の強さを発揮するケースも有るが、その分耐久力は低く抑えられておりロケットやGrenadeの爆発で乗っている自分まで即死という事が多いと両極端。 救出したValと一緒に戦うというシーンも幾つか有るのだが、指示が出来ないので扱いに困る。彼女が死んでしまうとゲームオーバー(Jack自身が突然死んだらそれはValが死んだという意味)なので守りたいのだが、勝手に進んで行って敵と撃ち合ってしまう。現在の残りHPを知る事も出来ないし、下がっていろと指示も出来ないので、安全に進めるには出来るだけ敵から離れて戦うしかないとなっている。時々オブジェクトに引っ掛かって付いて来なくなるという問題も有り。 噴出するガスによるダメージを受けるという箇所が有るのだが、どれがダメージを受ける物なのかが判別し難い。普通に通れてしまう場所も有るし、同じ様に考えて通ったら即死してしまい戻ってやり直しとか。同様に必要なキーカードも小さくて見つけ難い事が有る。 |
MULTIPLAY |
モードはDM / TDMというポピュラーな物とAssaultと名付けられたモードの3つのみ。仕様としては32人までのプレイが可能。 Assaultは2チームに分かれて与えられたObjectivesの達成に挑む側と守る側での対戦モードであり、順に達成可能な設定のObjectivesを攻撃側は一つずつクリアしていって(Spawn箇所も同時に移っていく)、時間内に最終のObjectivesまで達成すれば勝利となる。クラス制でGrunt(一般的な兵士), Sniper(RifleとRLを使っての遠距離攻撃を行うクラス), Support(固定機関銃や施設といった物を設置&破壊したり、Medicとして仲間の治療を行う)の3つのクラスが用意されている。 実はマルチプレイは最初の頃に試してみた程度なのであまりレポートする事が無い。初期に言われていたのは以下の様な問題だが、パッチによってどの程度変っているのかも詳しくは知らない。ただ三年を経過した現在でもそれなりのプレイ人口を誇っているので人気は有ると言えるだろう。 *マップがモード別に分けられているので種類が少ない *広いのでSniperやRLが非常に有利になってしまうとアンバランス *Vehicleは有るがあまりゲーム性に活かせていない *マップの広大さに比較してスプリント可能時間が短い トラブルが多かった事でも有名で、最初にUbi.comにログインしないとならないのだが、この認証サーバーのトラブルによってログイン自体が出来ないのでプレイにならないという問題が有った(今はそうでも無いようだが)。それとCDキーの認証問題や使用中というトラブルでも知られている。 エンジン自体の仕様が極めてMod FriendlyでありMod系の製作は盛ん。またSandboxという名前の優れたLevel Editorを同梱しており、ユーザー製作によるマップ数も多い(シングルとマルチ共に)。 |
GRAPHICS |
使用されているのはオリジナル製作のCryENGINEである。DirectX 9.0に完全対応しておりVertex and Pixel Shadersも使用。中でもPolybumpと呼ばれる機能が特徴で、これを使う事により非常に少ない数のポリゴンで大量のポリゴンを使っているような表現を行う事が可能になり、よって画面上に大量の精細なオブジェクト類を描画する事が出来る。これまでのアウトドア系エンジンで使用されていたLOD機能(遠景の物ほどポリゴン数を減らして描画する)とは原理が異なっており、その為に2kmの距離までをfpsを落とす事無くLODよりも綺麗に描画が可能。これにより大量の木々を描画しながら同時に長距離描画を行っている。 確かにPolybumpは効果的であり、これまでの様に遠景のオブジェクトが相当大雑把に見えるといった事は無くなっている。フレームレートも遠くまで見通せる方を向くと突然落ちるといった事が無いし、右クリックや双眼鏡のズームが変化に対応出来ずにカクカクするといった事も無かった(勿論設定が高いと影響は出る)。草木に関しては相当な量がビッシリと密に茂っている描画が実現されており、その草の種類も多彩であると同時に風で揺れるといったアニメーションも行われている。それでいて草が画面に多くなっても特にfpsが落ち込むといった点は見られなかった。こういったfpsの安定性もこのエンジンの大きな強みであると思う。 最初にデモで体験した際にはマシンの能力的に設定を最高まで上げられなかったのもあって、それまでムービーで見せられていたのに比べると綺麗ではないような?という感想を持っていたのだが、その後設定を最高にしてプレイしてみると実際には相当な美しさであるのを実感させられた。水面の表現は綺麗で波打ち際でのアニメーションも凝っており、影もリアルタイムで生成されるので天井の電灯の揺れ等がリアルタイムで反映されるし、椅子や死体を動かせばちゃんと影も変化するようになっている。キャラクタを中心にしてNormal Mappingも使用されており効果的。また多くの鳥や虫が飛んでいて動物も居るし魚も泳いでおり、これは南国の雰囲気を出すのに効果的に働いている。 フルにShaderを使用するスタイルの描画へと移った時期の最初期の作品であり、その能力をまざまざと見せ付けてくれたエンジンである。最先端のテクノロジーと言うとその後のDoom 3の方が有名だが、それよりも前に出たゲームとしてそのインパクトは大きかった。扱っているのが南国の元々景観的に美しい島々というのも勿論有るだろうが、それを考慮しても大変に美しい描画を実現している。 死体の描画時間は調整が可能(長いと当然重くなる)。当るとBloodが見えたりノックバックのアニメーションが有ったりと、敵に当たっているという描画もキチンと行なわれている。体にはちゃんと弾痕と血が付くようになっているが、流血の表現は限定的にしか行なわれない。ラグドール表現を採用しており、手足が飛んだりといったGoreは含まれてはいない。 描画の雰囲気を変更するRender Modeの指定が可能で、2Dシェーディング調にしたり、ParadieseやColdといった切り替えが出来る。 V1.3からはHDRをサポート(内部の設定を書き換える必要あり)。しかし試験的な意味合いが強く、使用すると場所によっては描画がおかしくなるという面も持っているので、初回プレイ時に使うというのはお勧め出来ない。 美しい分非常に高いシステム性能を要求するゲームでもあり、その点は当時欠点として採り上げられもしたが、既に現在では特別に重いゲームという訳でもなくなっている。その上で今でもこれだけの美しい描画を実現したゲームはそうは多くなく、グラフィックスのクオリティについては非常に高いという結論である。 |
SOUND |
サウンドはEAX2.0に対応しており、4SPでの定位はちゃんと行なわれている。銃器系の音のクオリティは普通レベルと思うが、アウトドアではエコーが掛かったようになるのは効果的である。 特徴としては環境音が多く使われており雰囲気を出すのに効果的に働いている。BGMは戦闘シーンになると鳴り出したりや、特定のポイントで鳴っていたりという設定で結構その曲数は多い。 字幕機能は無し(英語版)。特別な場合にのみしか表示はされない。指令自体は参照可能なのでゲームを進めるのにそれ程不利にはならないと思われるが、ストーリーをちゃんと追いたいのならば日本語版の方が良いだろう。 |