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シ ス テ ム
 基本的にはHalf-Life 2と同一で変化は無い。


キャンペーン
 チャプター単位で構成されており、クリアしたチャプターからリプレイがアンロックされて行く。難易度は三種類が選択可能で、プレイ中にオプションから任意に変更可能。ゲームの最中でもその変更は即座に適用される。なおこれはダメージの変化だけではなく、時間制限がある箇所でもその時間が変化するようになっている。

セーブ/ロード
 オートセーブ方式を採用。その他にクイックセーブを含めて制限なくセーブは可能。履歴はオートセーブとクイックセーブを2個保持。オートセーブの間隔が結構短いのと、具体的にオートセーブを行ったというメッセージが表示されない為、死んだ時にクイックセーブ地点よりも最新の物を保持しているというケースも多い。よってクイックロードのキーを押すよりも、死亡画面からそのままクリックして復活するのが最適である。

Objectives
 現時点での具体的な達成目標を表示させるシステムは持っていない。マップ表示機能やレーダーも無し。

コメンタリー・モード
 テクノロジー・デモとなるLost Coastにてテストされた解説音声に対して好意的なフィードバックが多かった事から、このEP1にも同様の機能が追加されている。クリアしたチャプターはメニューから解説音声を有効に出来る。マップ内に配置されている解説アイコンをクリックしてやると、その場所がどういう意図で制作されたのかや、制作にまつわる裏話等を聞く事が可能である。

エピソード形式
 単なるHL2の拡張パックに当たる予定だったAftermathを、エピソード形式へと拡張した理由について。

 現在の製作体制においての大きな問題となっているのは開発期間の長期化。「HL1は完成までに2年掛かったが、Half-Life 2は基盤となるソースエンジンを含めて完成までに6年の月日を費やした。掛かった費用は総計で四千万ドル(約40億円)。今後新しいテクノロジーを利用して一からHalf-Life 3を制作した場合、HL2の6年という開発期間と制作予算を下回るとは思えない」 。
 ここで問題となってくるのが、発売時期におけるテクノロジーの進化の見極めが困難という点。PCゲームではテクノロジーの進化を予測してそれに合った物を制作する事になるが、発売時期にどんな要素が業界のトレンドになっているのか、どの様な設計のビデオカードやCPUが流行しているのか、PCの処理能力はどの程度まで達しているのか、といった点を見極めるのは難しい。せいぜい予測が可能なのは2年先程度だろう。そうなると5,6年後に発売予定のゲームを作る場合、未来のPC像の予測が極めて難しくなる。よってツール系を含めて3年程度は手探り状態で作っていく事になるが、予想が外れた場合に既に使っている製作エンジンの仕様や特徴が、テクノロジーの進化や流行に合わなくなるという危険性が出て来てしまう。その意味でエピソード形式での発売はリスクを減らす事が出来る。

 次にHL2の為に作り上げた現在のソースエンジンを、制作に慣れて来たのにこの一作で捨ててしまうのは勿体無いという点も挙げている。これからまたすぐに完全に新しいエンジンと製作ツールを開発するのは非効率的であり、現行エンジンを拡張する形でもっと利用するべきだと考えたそうだ。エンジンを拡張すれば、今後数年はこれでも十分に最新のテクノロジーに対応が可能としている。
 それとゲームを制作するのに6年と言う時間は単純に長過ぎるともしている。「自分達が制作している物がどういった評価を受けるのかを考えながら、6年という時間を過ごすプレッシャーには精神的に耐えられないし、もう今回の様な体験は御免だ。」と話している。


 続いては一般的なエピソード形式の利点についてだが、こちらは第一にユーザーのフィードバックが受けられる点が大きい。パート1を出した時点でプレイした人から意見を聞けるので、それを次のエピソードにすぐに反映させる事が出来る。第二に上で問題として書いたテクノロジーの進化に合わせ易いという点。パート1を出した時点では含まれていなかったような機能を、エンジンを改造してパート2から導入したりする方式が可能になる。最後にユーザー側も新作を6年といった長い期間待たずにプレイ可能になるというのもある。

 逆に問題点としては、途中まででプレイが途切れてしまい、そのまま長い期間続きをプレイするのを待たないとならない。エピソード単位だと長さが短いので満足感が得られない等が挙げられる。


 なおValveでは今回のエピソード形式は実験的な意味合いを含んでいるとしており、EP2発売時点でのインタビューではHalf-Life 3を同じ様にエピソード形式で制作するのかはまだ判らないと話している。


GRAPHICS
 描画エンジンの基盤に変化は無く、新たな機能を何点か追加するという形での拡張を図っている。よって最低環境がDX7レベルのビデオカードというのは変っていない。

 新機能の一つ目はLost Coastで導入された新しいHDR効果。(2007年には標準的な仕様となって来た)FP16-64ビットバッファの物を実装している。テクノロジーとしての詳しい解説は3Dゲームファンのための「Half-Life 2: Lost Coast」エンジン講座: 「Lost Coast」が実現するリアルHDRレンダリングの衝撃を見てもらいたい。

 次に今回はアリックスが重要な役割を果たしている為に、彼女を描画する為の関連要素が改良されている。用意されているアニメーション及び使用されているテクスチャの容量は共にHL2時代の3倍に。シェーダー・プログラムの長さは2倍に拡張され、彼女のスキンに適用されるライティング処理も複雑になっているので、より見た目がリアルになったのが見て取れる。

 同様にソースエンジンの有名な特徴であるフェイシャル・アニメーションもV2へとアップグレードされている。顔を構成する筋肉を50%アップし、またそれぞれが更に複雑な動きに対応しているので、より多くの複雑な表情を見せられるようになった。アップで見た時のリアリティに問題が有った点も改善されている。リップシンクも声のトーンに応じて口の大きさを幅広く変化させられるようになったりと精度を増している。
 この表情の変化は観察していると相当良く出来ており、目の動きや微妙なシワの出来方など感心させられる。表情の変化を繋ぐモーフィングも筋肉の連携をシミュレートしているだけあって滑らかだ。CGではなく実際にゲーム内に登場するキャラクタの物としては最高レベルと言える。

 細かい点では反射やライティングの表現用にシェーダーを追加。パーティクルの描画も改良されている。

SOUND
 サウンドはHL2と特に変化が無いように思える。SMGとショットガンのサウンドが今一つなのも相変わらず。

 3Dサウンドの定位感は4SP再生にて良好。声優のクオリティもやはり良い出来である。

 BGMは戦闘シーン等の重要な箇所でのみ限定的に鳴る方式だが、そのクオリティはHL2同様に高い。

 会話量は多い方だが、標準で日本語字幕に対応しているので問題は無い。

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