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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度はEasy / Medium / Difficultの三種類。プレイ中の変更は出来ない。セクション単位でのリプレイも用意されていない。

セーブ&ロード
 オートセーブ機能有り。任意の点でのセーブも無制限に可能。またセーブを保存するスロット数に制限が無いという点も当時としては珍しい。クイックセーブとオートセーブは履歴を2個まで保持してくれる。

 なお一つ付け加えておくと、ゲーム中に突然画面が暗転してゲームオーバーのメッセージが出てしまうケースがあるが、これはゲームをクリアする為に必要なNPCが死んでしまうと発生する。決してクリア出来ないのに気付かずに、そのまま進めて無駄な時間を使わないようにという配慮である。

OBJECTIVES
 現時点での目的を具体的にテキスト表示させる機能は持っていない。マップ類のガイドも無い。

英語
 字幕表示機能は持っていない。NPCの喋る英語の分量はFPSとしては多目であり、全く理解出来ないとなると現在の状況を知るのに困るかも知れない。分からなくても何とかなるのでクリアには問題ないと思うが、ヒント的な発言が分からないとその分不利になるというのは確かに考えられる。

WEAPON
 武器は5つのカテゴリに分けられており、その数は14種類とかなり多い。同時の所持数制限は無いのだが、それだけ必要な武器を瞬時に選択するのがやり難いという面は持っている。個別の武器をショートカットキーに登録する事は出来ず、カテゴリの数字キーを押して一覧を表示させてから選択するという方式。(HL2の様な高速武器選択への操作切り替えは出来ない)。


1-1.Crowbar
 バール(かなてこ)。ゲームのトレードマーク的な武器でもある。基本的には木箱・ガラス・ダクト口等を壊す物。ゾンビ等の飛び道具を持たない相手用に弾薬の節約に使える。

2-1.9MM Glock
 最も基本的なハンドガン。破壊力は無いが連射速度とリロードの短さは魅力。また正確に点を狙うときにも便利。弾薬も豊富に手に入るので結構使用頻度は高い。Alt Fireでは2発を同時に発射する.なお水中で使用できる数少ない武器の一つである点は重要である。

2-2.357 Magnum
 6発しか装填出来ない上にリロードも長め。その代わりに非常に大きな破壊力を持ち通常の生物ならば一発で仕留める事が出来る。特に敵兵士を一発で倒せるのは重要であり、ゲーム攻略の大きなカギを握っているといっても過言ではない。この武器の弾薬が残っているかどうかが生死の境目となることもしばしばある。敵前に飛び出して戦わざるを得ないときに、ダメージを受ける前に敵を倒せる可能性が一番高い物だからだ。弾薬はそこそこ手に入るが、残りが少なくなった場合は上記のような事態に備えて温存しておかないと、特に終盤はこれが無いとクリアは厳しくなる。

3-1.MP5
 サブマシンガン。Alt FireでGrenade Launcherとして使用出来る。敵兵士が使用している為に弾薬は豊富に手に入るので使用頻度は高い。ただし高速で連射が出来るが一発にはそれほど威力が無いし弾も散るので、防弾チョッキを着込んだ兵士との戦闘では不意打ちでもしない限りは死ぬ前までに反撃を食らってダメージを受けることになる。グレネードは高速で正確に発射出来るので非常に有用であるが、あまりグレネード弾の方は手に入らないようになっている。

3-2.Assault Shotgun
 御馴染みのショットガン。当然の事ながら近くで発射するほど効果的である。逆に言うと遠方の敵にはあまり効果がない。Alt Fireでは倍の弾薬を発射する。装填が8発のためリロードが頻繁に起きるのと、発射間隔が長いので多量の敵相手には有効ではない。ただしリロード中でも攻撃は可能。

3-3.Crossbow
 ボウガン。Alt Fireでズームアップ出来るので、スナイパーライフル的な使用が可能。威力も高く兵士であれば一発で倒せる。弾薬は少なめ。この武器で特に重要なのが音がしない点。音がしない=気付かれないというのは、このゲームでは非常に重要な要素になる。発射間隔は長めなので接近戦闘時には不向き。水中でも使用可能なのは利点。

4-1.RPG
 いわゆるロケットランチャーなのだが特殊な形態をしている。グレネード弾のように放物線を描いて発射された後に、点火されて高速で直線的に飛んで行く。そのために慣れないと照準が付けにくかったりする。またAlt Fireにて操縦のOn/Offが可能。赤い照準が表示されているモードでは、発射後に飛ぶ方向をリモートコントロール可能である。これを利用すると物陰から曲げて目標を狙えるが、的確に当てるのは相当に難しい。破壊力は抜群であるが一発しか装填できない上にリロードが長いので、使う場所を考えないとならない武器。

4-2.Gauss Gun
 Black Mesaにて開発されたレーザーガン。破壊力は抜群で特にAlien Grunt相手に重宝する。Alt Fireではエネルギーを溜めて発射出来るので、物陰に隠れてチャージし、飛び出した瞬間に攻撃して一撃で仕留めるといった使い方も可能だ。ただし溜め過ぎると自爆する事になる。欠点はチャージ用のエネルギー(弾薬)があまり無いこと。
 またAlt Fireでは発射時に強烈な反動が来るので戦闘場所によっては注意が必要である。しかしこれを利用して大きなジャンプが可能でもある。いわゆる”ロケットジャンプ”と言われるもので、溜めておいたAlt Fireを壁や床に角度を付けて発射する事で後方へと反動を得て飛ぶ技。これを使わないと進めないという所は無いが、使いようによっては大きなショートカットが可能となる。

4-3.Egon Gun
 超強力なレーザー兵器。敵を粉々に破壊する能力を持つ。手に入るのは一番最後だが、ほとんどの敵は一瞬で倒せるので非常に頼もしい武器である。欠点はGauss Gunと同じチャージパックを使う為にあまり頻繁には使えないということ。

4-4.Hornet Gun
 Alien Gruntの手に装着されているのと同じ武器。蜂のような昆虫を発射する。大きな特徴として弾薬が無制限という点と(8発だがすぐに補充される)、敵を追跡するホーミング機能が挙げられる。敵に使われると本当に嫌な武器なのだが、その分自分が使う場合には非常に便利な武器となる。なおAlt Fireでは高速連射となる。
 この武器も使い方によっては相当役に立つ物であるまずはホーミング機能があるので逃げた敵にも有効という点。それと狭い場所で物陰にいる敵に対して壁に反射させての攻撃が可能。壁での反射はランダムであるが、ある程度は当ってくれる。また長い距離を飛べるために遠方の敵を攻撃する事も可能であり、かなり離れた所にいる敵をこちらに気付く前に倒せたりするので、体力の無い時には非常に助かる。

5-1.Grenades
 手榴弾。照準が出ないが基本的には画面中央が目標となる。放物線を描いて飛ぶので狙った所に投げるのが難しい。特徴としてあまり転がらないのは、良い点でもあり都合が悪かったりもする。また敵兵士の目の前に投げても気付かれて逃げられてしまう事も頭に入れておこう(エイリアンはOK)。
 特に問題なのが完全防備の塹壕に入って攻撃してきたり、防護網を張った2Fの窓から銃身だけを出して狙ってきたりする敵の存在である。こういう場合ホンの少しの隙間を狙ってそこへ投げ入れないとならないので練習が必要となる。特に2Fへ投げ込む場合は、入っても角度の関係で部屋の奥に転がって行ってしまいダメージを与えられない場合もあるので、落ちた後の事まで考えないといけない。重要なテクニックとしては、助走をつけて投げると非常に遠くへ投げる事が出来る, 持つ時間を調整する事で空中で爆発させられるという2点である。

5-2.Trip Wire
 壁に設置すると青い光線を出し触れた途端に爆発するという装置で、ゲーム中にも敵の設置した物が多数出て来て苦しませてくれる。基本的には壁に設置して敵をおびき出し、触れさせて自爆させるという方法になる。この青い光線はHEVスーツの窓を通してしか見えないようで、兵士でも気付かずに引っ掛かってくれる。また近くまで誘き出せば、直接装置を撃って爆破させるということも可能である。
 別のテクニックとしては、非常に長い光線を出すようにして設置し、敵が爆発装置の近くに来た時に自分で光線を切るというやり方もある。それと水中に設置出来るというのも有用な方法である。水中では使える武器が少ないので使い方によっては便利。

5-3.Satchel Charge
 最初のクリックで近くの床に落ち、次のクリックで爆発するというリモート爆弾。非常に大きな爆発力を持っているので強力な武器となる。5個まで携帯可能であり、そこそこ手に入るといっていいだろう。まず基礎的な事として、設置した後に別の武器に切り替えられるというのを知っておこう。再度選択すればちゃんと爆破スイッチが表示されるようになっている。

 使い方にはいろいろとバリエーションが有って、まずは設置した後にAlt Fireにて複数の爆弾をセットすることが出来る。これにより更に大きな爆発を引き起こすことが可能だ。第二に動く物にも設置する事が出来る。電車とか外から操作出来るリフト等。そして三番目が最も有用な使い方。それは助走をつけて床(地面)を滑らすという方法。助走をつけて走りボタンを押すと、まるで氷の上を滑るように長い距離を滑って行くので、爆発させたいポイントまで行った瞬間に起爆スイッチを押せばそこで爆発させられる。

5-4.Snark
 エイリアンの小さな虫。敵に向かって投げると追いかけて行って15秒後に爆発する。段差も平気で乗り越えるので有用ではある。ただし自分の方へ戻って来てしまったりする事も多々あり、それ程有効な武器とはいえない。高い所から投げ込んだりとか、自分の身の安全を確保した上で使わないと危険である。そういった意味ではあまり一度に大量に使わないこと。それだけ自分の所へ帰って来てしまう確率が高くなる。
 一番有効な使い方は壁のすぐ向こうにいる敵に曲がり角から身を隠しながら投げる方法だろう。食らい付いてくれる確率も高いし、追い払おうとして動き回ったりして気を取られている所を攻撃も出来るので。


STORY
 このゲームが極めて高い評価を受けた要因としては、やはりストーリーの面白さが大きかったと思われる。それまでのFPSゲームというのはマップの面白さに重点を置く傾向にあった。各マップの構成や仕掛けでどれだけ楽しませるかという方向性でゲームが作られており、ストーリーに関してはそれほどの重点が置かれていなかったのである。しかしHLではまずストーリー在りきというのが出発点になっており、そこが革新的な所であった。


 第一にマーク・レイドロウ氏(世界ホラー小説大賞受賞作家)により原作が作成され、それに沿ってゲームが作られているという点が珍しい。そしてサスペンス&ホラーを重視して作成されたというそのストーリーは非常に面白く、それを見事な技術でゲームに仕立てあげた所が成功の理由である。これは一見簡単そうにも見えるが、そもそも誰にでも面白い原作が作れるなら、映画だろうがドラマだろうが製作には何の困難も無いという話になる。面白いストーリーを制作する事が困難だからこそ、この分野では”ストーリーよりもマップの面白さで勝負”というゲームが多かったとも言える。

 その点このHLは、サスペンス・アクション映画のトップクラスの面白いストーリーを持ち、そしてそれを主人公の立場で(自分の視点で)直接体験する事が出来る様なゲームとなっている。元々”映画や小説の主人公になったような感覚でプレイ出来るゲーム”というのは多くの製作者の目標でもあった訳だが、それを実現したのがこのHLとも言えるだろう。
 ハッキリ言ってエイリアンが次元の裂け目からやって来たというストーリーの概要自体は実に典型的な設定である。しかしHLは単純に人類を征服する為にエイリアンが地球にやって来たというストーリーではなく、オリジナリティの面でも高い評価を与えられるレベルに在る。ゲーム開始後は様々な展開が待ち受けており、次にどんな事が起きるのか?という構成が絶妙に出来ているので、ストーリー面への興味でプレイヤーは先へと引っ張られて行く。

 次にプレイヤーを世界に引き込む為に、このゲームでは演出という面にとことんこだわっている。例えばオープニングの構成は正に革命的と言える出来映え。主人公はモノレールに乗って地下の施設へと出勤する所からゲームは開始されるのだが、最初はムービーかと思ってしまうその映像は既にプレイヤーが自由に動けるゲーム内の画面であり、その後長い時間を掛けて目的地の研究所へと実際に運ばれて行く。そして地下の駅に着き警備員にドアを開けてもらい、セキュリティ・ゲートをくぐってオフィスへと辿り着く。その後は多数の科学者達に話しかけられたりしながら、更に奥深くの実験場へと仕事の為に潜って行くという風に、まるで日常の風景の様にゲームの序盤は進んで行く。
 この冒頭の一連のシークェンス(20分位は掛かる)はゲームの進行とは別に関係は無い。粗筋を簡単にムービーで見せた後に、いきなり事故が起きた直後からゲームがスタートしても別に進行自体に問題はないだろう。しかしこの最初の過程を設けた事により、事故発生後からのプレイヤーをゲームの世界に深く引きずり込むという点に大きな効果が生まれている。この様にHLはプレイヤーが主人公として実際にこのゲーム内に存在するという雰囲気作りに最大限の力を入れており、そしてそれは非常に高いレベルで成功しているのは間違い無い。

 またマップ内の世界にリアリティを出す為の工夫が随所になされているというのもある。つまりプレイしている内に自分がGordon Freemanと同一化して、ゲーム内での出来事が非常にリアルに感じられるように配慮して作成されている。例えば他のFPSでの不自然さとは一線を画している点として、普通のゲームでは回復用のアイテムや補充用の銃弾等が何故か探検するマップの地面に落ちていたりする。しかしHLでは舞台が研究所の内部の為に、こういった物が無造作に床に転がっていたりということはほとんど無い。ちゃんと倉庫や貨物の中を探さないとならないのだ。また現実世界を舞台にしているので、建物のどこかを撃つとシークレットの扉が開くといった作りにもなっていない。ネタバレになるのであまり詳しくは言えないのだが、先へ進む為の数々の問題解決方法にも、非常に現実的な解法が用意されている事が多い。

 更にゲームには従来の様なマップ(レベル)という概念が存在しない。ゲーム全体が幾つかの巨大なレベルとして構成されており、切り替えのデータを読み込むポイントでは非常に短い時間でマップ切り替えが終了するようになっている。よって自由にその接続されたマップ間を進んだり戻ったりが可能になっており、「ドアを抜けるとローディング画面となり、切り替え後は再びそのドアを通って前のマップには戻れない」という風にはなっていない。これもリアルさを演出する為の重要な手法であり、内部を移動中の現実感の演出に一役買っている。

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