HOMEFRONT

                                  11/09/06



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製作・販売: Kaos Studios / THQ
発売: 2011/03
日本代理店: サイバーフロント




※11/09/06 PC日本語版の内容について情報を修正

概  要  Battlefield 1942の最も有名なModである“Desert Combat”を制作したTrauma Studiosは、その後DICEに吸収されてBF2の制作に協力していたが、THQがそのメンバーをスカウトして設立した傘下の制作スタジオがKaos Studiosである。デビュー作としてFrontlines: Fuel of War(2008)を過去にリリースしている。この作品はそこそこの評価を受けたが、Xbox 360がメインプラットフォームだというのもあって、PC版の方はあまり話題にならなかった感がある。

 なおTHQの傘下スタジオの整理・再編により、既にKaos Studiosは解体されている。メンバーは主にモントリオールのスタジオに移っており、Homefrontのサポートはそちらで引き続き行われている。


 この新作はPC, Xbox 360, PS3というマルチプラットフォームでのリリースとなるが、PC版はカナダのDigital Extremesが制作を担当している。古くはUnreal Tournamentシリーズへの協力参加。自社作品としてはPariah, Dark Sector等で知られる。PC版は単なる移植ではなく専用に一から制作しないとならないという方針から外部スタジオを雇う事に決め、そこで開発に使っているUnreal Engineに強いDEが格好の存在としてチョイスされたそうだ。

 そのPC版ではDirectX 11のサポート, Dedicated server, ビークル操作時に一人称視点を選択可能, クランをサポート, デモレコーディング機能, 分隊への指示メニューを装備, 専用のユーザーインターフェイス等々が加わっている。詳細はこちら


 予約本数はこれまでのTHQの歴史上最高を達成。初日の売り上げは375,000本。発売から10日で100万本を突破。2011/05の時点で260万本を出荷している。THQは現在の方針として制作するゲームを厳選しそれ等に高額の予算を掛けており、このHomefrontも200万本売れて収支はトントンだとコメントされているが、この出荷本数からしてどうやら利益を出す事が出来そうだ。前期の業績報告会では売り上げが期待値に満たなかったRed Factionの様なシリーズはもう制作しないと宣言されているが、この分ならHomefront 2の方の制作は有り得そうである。


 PC版の平均評価は68.6%とやや他機種よりも低目。他機種も70%ちょい程度でそれ程は変わらない。ただしこういったシングルプレイとマルチプレイの両方に力を入れているゲームでは、その双方を合わせての評価点数になるだけに、そのどちらかにしか興味が無い人にとって数値での判断は難しいというのはある。

 北米ではコンソール版は$60で発売されているが、発売二日後に最大手クラスのAmazonとWal-martで$40にまで値下がりし、すぐに購入したユーザーから怒りに声が挙がるという事件があった。(PC版は$49のまま)。どうやらこれは発売直後のレビュー点数が思いの外低かった為に、早期に売り切ってしまおうという意図が働いたのだと想像されている。THQの株価も大きく下げたが、その後予想を裏切って売り上げは持ち直している。


 これを書いている時点で発売からほぼ半年が経過しようとしているが、価格は下降気味で現在北米ではSteamを含めて$29.99が相場。UKの方が安くなっており、先日サマーセールで£11.98と安くなっていたので購入したのだが、既に平常時で£11.98〜14.99辺りの価格まで落ちている店が多いようだ。

 多くのダウンロード販売サイトにて扱われてはいるが、プレイにはSteamが必須のゲームなので注意。Steamで海外版を日本から登録したりプレイするのに現在では問題は無い(日本語版の解禁まではプロテクトが掛けられていた)。


 日本でのPC版はサイバーフロントから『ホームフロント 完全日本語版』として発売されている。スパイクからリリースされているコンソール日本語版の修正箇所は以下となるが(詳しい内容はGame Watchの話題のFPS「HOMEFRONT」。ローカライズへのこだわりを聞くを参照)、PC版はCEROを通しておらず修正されていない。

*オープニングムービーの「金正日氏死去」を伝える部分をカット
*ゲーム内テキスト中、実在の国を中傷しているとされたシーンにおいて、当該の国名表記を「北の某国」、
 実在の人物を中傷しているとされたシーンにおいて「北の指導者」と変更


 それと発売当時は日本語版同士でのマルチプレイしか出来なかったのだが、現在ではパッチにより海外版との対戦も可能になっている。日本語版と海外版は別々にSteamに登録が可能。


 最初の段階では敵国は中国という設定だったのだが、中国の開発スタジオから「不味い事になる恐れがある」と警告を受けたのと、設定として立場的に中国は敵国に相応しくないという意見もあり、途中で北朝鮮へと変更されている。またストーリーの設定上、韓国では発売禁止処分を受けている。


STORY  ゲームのストーリーは映画『地獄の黙示録』, 『若き勇者たち』等の脚本を担当したジョン・ミリアスによるもので、2027年の未来を舞台に世界的な強国となった北朝鮮がアメリカに侵攻するというものになっている。大凡の歴史は以下の様になる。


・北朝鮮で金正日の死後、金正恩がその後を継ぐ
・韓国を併合してGreater Korean Republic(大朝鮮連邦)とする
・中東地域での戦争発生により原油価格が高騰。ロシア等の産油国も他国への供給を停止した為に世界的な原油危機に陥る。
・アメリカでは国内経済が崩壊状態となり、日本等のアジア諸国から軍を撤退させる事を決定
・GKRは中国に侵攻。日本はその脅威の前にして降伏勧告を受け入れる。
・欧州でも経済崩壊が進み、国連が維持出来なくなり消滅
・GKRが東アジアの大半を配下に治める
・アメリカでは新型のインフルエンザが猛威を奮って死者が大量に発生
・その影響でメキシコ等の隣国から国境付近を閉鎖されて孤立し、国内の貨幣価値が崩壊して更なる経済問題に
・2025年にGKRの打ち上げた人工衛星からのEMP攻撃により、アメリカ全土の電子機器類が破壊される
・GKRのアメリカ侵攻が西側から開始される

 そして2027年現在、GKRはアメリカの西半分をほぼ支配下に置いているという戦況。米軍は燃料不足により十分な兵器を用意出来ず、これ以上の東側への侵攻を食い止めるのに精一杯であり、西側地域での反撃は行えないままである。


 ゲームの主な舞台となるのはコロラド州で、ここではGKRによる処刑や破壊活動が行われており、人々は怯えながら暮らしている。主人公のRobert Jacobsは米軍の戦闘ヘリのパイロット。GKRからの協力要請に応じなかった為に強制的に確保されるが、その途中で地元で活動するレジスタンスに救出される。彼等の目的は敵の持つ燃料を強奪してそれを米軍へと提供し、GKRの拠点があるサンフランシスコを空軍の力を借りて叩こうというもの。その為にはパイロットであるジェイコブスの協力が必要となり、彼はレジスタンに加わってその作戦に参加する事になる。


PATCH

DEMO
 Steamなのでパッチは自動適用。現在までに5回ほど出ている。

 マルチプレイ用のデモあり。こちらもSteamのアカウントが必要。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU Pentium Core 2 Duo 2.4 GHz
Athlon X2 2.8GHz
Quad Core 2 GHz+ CPU
MEMORY 2 GB 2 GB
VIDEO Shader Model 3.0, VRAM 256MB
GeForce 7900GS, Radeon 1900XT
GeForce 260, Radeon 4850
SOUND DirectX 9.0C 互換 同左
対応OS XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 Steamのインストールとアカウントが必須。最低でも一回はインターネットに接続してシリアルキーを認証しないとならない。

 私の場合にはリテール版からインストールしたのだが、インストールの画面だけは日本語になる。そのDVDからのインストール後に5GB以上のファイルを更新分としてダウンロードする。後日にも大きなサイズのダウンロードがやはりあって、現在では12GB以上のサイズとなっている。どうやらマルチプレイ用のマップファイルを追加している模様。

 ソフトウェアとしてはPhysXが正常にインストールされていないとならない。これは最新版では無い際にはSteamにより自動でインストールされる。

 コントローラーでの操作に対応。また条件さえ揃っていればNvidia 3D Visionに対応。


 トラブル対策の基本として、まずは以下の事を試す。

・Windows自体のアップデート(Microsoft Update)に漏れは無いか
・ビデオカードとサウンドのドライバを最新版に
・DirectXの最新バージョン(日付)を再インストール
・ゲームライブラリ→Homrfront→プロパティ→ローカルファイル→ゲームキャッシュの整合性でファイルに破損が無いかをチェック
・Vista/7ならば管理者モードで起動


 それと細かい設定変更用のファイルの場所は以下の通り。

・マイドキュメント内の \Documents\My Games\HOMEFRONT\GCGame\Config にGCEngine.ini
・ \Steam\steamapps\common\homefront\GCGame\Config\ にDefaultEngine.ini

 基本的にはGCEngine.iniを書き換えるが、デフォルトの値がDefaultEngine.iniに設定されていると元に戻されてしまうので、そういう場合にはDefaultEngine.iniの方を書き換える(或いはGCEngine.iniを書き込み不可に設定しておく)。それとDefaultEngine.iniを書き換えた場合、GCEngine.iniを削除して再生成させないと変更が有効にならない可能性もある。なお現在ではパッチによりオプション設定画面上からでも変更が可能な項目が増えている。


*セーブゲームの場所
 セーブデータ破損時に備えてバックアップを採る場合。セーブデータ自体は \Steam\userdata\(数字の羅列)\55100 フォルダだと思うのだが、マイドキュメント内の \Documents\My Games\HOMEFRONT の中身も保存しておかないとならないかも知れない。


*ゲームが起動しない
 上記の基本事項を試す。その他では(Vista/7のみ)Homefront→プロパティ→一般→起動設定の欄内に -d3d9 と入れて強制的にDX9モードで動作させてみる。


*プレイ途中でクラッシュする
 これは私の環境でも何回か発生した。私のケースではエラー内容に“VertexBuffer”, “D3DERR”といった文字があるのでグラフィックス系だと考え、設定を下げる事で解決した。ビデオカードが扱いきれない量のデータを読み込もうとしたり、Shaderの処理が高負荷過ぎると駄目なようだ。プリセットでVery lowからVery Highまで5段階のグラフィックスレベルを持っているので、同様のエラーや同じ場所で繰り返し落ちるのならばこれで下げて試してみる。

 他には基本事項内のビデオカードのドライバの更新や、ゲームキャッシュの整合性チェックをまずはやってみる。


*ゲーム中に音が鳴らない

・スピーカーの設定がステレオか5.1chサラウンド以外になっている。もし5.1で駄目ならステレオに設定する。
DefaultEngine.ini を開いて[ALAudio.ALAudioDevice]内の MaxChannels を128から64に下げる。
・HDMI audioの機能を再生デバイスの項にて停止させる

 その他ではオンボードのサウンドを使用している場合。GCEngine.iniの方の上記セクション内に以下の記述を付加する。

NoHALSupport0=RealTek AC97

 これはRealTekのサウンドを使用しているケースで、SigmaTelならば SigmaTel Audio と記述する。なお以下の様にして番号を増やしながらHDオーディオの方の使用も記載しないとならないケースもある。

NoHALSupport0=RealTek AC97
NoHALSupport1=Realtek HD Audio output
NoHALSupport2=IDT High Definition Audio CODEC


*音が途切れる

・純粋に処理落ちしている。Windows7ならば「Windows エクスペリエンス インデックス」でPCのパフォーマンスを検証可能。
・サラウンドからステレオに切り替えてみる
・上記のMaxChannels を128から64に下げる


*パフォーマンスが悪い
 シングルプレイとマルチプレイは別物であり、片方では良好だがもう一方は駄目というケースもある。

・設定の FPS smoothing をオフにする
・V-sync(垂直同期)をオフにする
・SLI か Crossfireを使っているなら切ってみる
・Athlon 64 X2を使っている場合には、AMD Dual-core Optimizerをインストールしておく
・プロパティ→一般→起動設定の欄内に -onethread と入れてみる
・USBのHDやヘッドセットなどを使用している場合には外してテスト。物によってはゲームとの相性が悪い。

 (Vista/7のみ) GCEngine.ini 内の[SystemSettings]に有る“AllowD3D10”をFalseに書き換え、上記の起動設定欄に -d3d9 を
入れて強制的にDX9モードで起動させる。これは -onethread と併用しても良い。

 同じく起動設定欄に -compatscale=4 と入れる。これは自動的に設定されるが、それを上書きして動作させるパラメータ。1〜5までの値が設定可能で、高いほどハイエンドのPCに適した調整になる。つまり高速なPCの筈なのにfpsが低いという時のテスト用。


 このトラブルが多く発生している事から、原因調査用のツールとして開発チームからは stat unit が提示されている。これはUnreal Engine 3使用のゲームで使えるモニターツールとして知られている物である(ゲームによっては使えない可能性もある)。他のゲームでも同様の原因究明に使えるので、ここでちょっと解説しておく。

 第一にコンソールが出せないとならないので、\My Games\HOMEFRONT\GCGame\Config 内の GCInput.ini を開いて、[Engine.Console]内の ConsoleKey 行を見付ける。先頭に ; がついている場合はコメント行として無効化されているので、それを取り去って好みのキーを設定しておく。例えば ConsoleKey=F11 の様に。

 続いては GCEngine.ini を開いて、 [SystemSettings]内のUseVSync, UseFPSSmoothing をFalseに設定。その後プレイ中にコンソールを出して stat unit と入力すると画面にモニター値が表示されるようになる。

 ここでの数値は実際のフレームの書き込み速度の意味で、fpsとは違ってここでは一コマを描くのに掛かった実時間をミリ秒で現している。緑色が安定状態。数値が34msを超えると黄色に(30fpsを切った)、50msを超えると赤になる(20fpsを切った)。つまり全ての項目の数値は少ない方が良い。

 このゲームではメニューからもfpsの表示は設定可能なのだが、このツールではより詳しい状態を知る事が出来る。簡単に言えばボトルネックになっているのはCPUかGPUなのかを判別出来る。“Game”とはCPUを含めたロジックの計算の方で、今ゲーム内世界がどうなっているのかを計算して1フレームを制作するまでに掛かった時間を意味する。ここで完成した各フレームをビデオカード側が実際に画として表示する訳だ。このゲームの様にマルチコアをサポートするゲームではコア数が多いと処理時間は減るし、逆に物理演算等がCPU処理で高負荷になると値は上昇する。ここが高い値になると言う事は、現在のCPU速度や各種設定では負荷が高過ぎるという意味になる。

 “Draw”はビデオカード側の1フレーム制作時間。ここが黄色や赤になる事が多いというのは、現在のビデオ設定がビデオカードの処理能力を超えているという話になる。よってこれを見ればどちらがボトルネックなのかが解るという仕組み。

 問題は実際のフレームレートになる“Frame”の値が、“Game”や“Draw”の値に比較して高いというケース。何か問題が発生している可能性が高く、開発側では両者の値よりもFrameが5ms以上高い状態が続くのならば両者の処理バランスに問題があるとコメントしている。このバランスを切り替える設定がGCEngine.ini内の OneFrameThreadLag で、これを TRUE に書き換えてみる。詳細は不明だがこれをTrueにするとCPU側でのレンダリング処理用に使われているリソースがより増して、純粋なビデオカードの使用負荷率も安定し、“Game”の値が若干上がる事があるがフレームレートの方は改善される可能性がある。

 ただしこれはリリース初期の対策で、現在ではデフォルトで最初からTrueになっている様だ(或いは自動判定)。逆にFalseにする事で環境によってはフレームレートが向上する可能性もある。

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