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GAMEPLAY
 全部で23のマップから構成されており、クリアまでの時間はNormalにて15時間程度だった。ただしこれは後に述べる様に、人や運によって結構変動する要素を含んでいる。当初の予定では30-40時間程度の壮大なゲームだったのを考えると、内容の半分程度は削られた事になる。

 内容としてもかなり予定よりも単純化されたらしく、様々な星系を旅して異なる文化や生態を持った種族と対立or協力するという話だったが、それ程多くの種族やロケーションは出て来ない。仲間との共同での戦闘は極一部しか無いし、ステルスや人質救出等の多彩なミッションという謳い文句も実現されていない。アドベンチャーゲームの様に複雑で面白い謎解き要素を含むという件も、バッサリとカットされたようだ。

 ストーリー面は凝っているのは確かで、最初の「裏切ったグランドマスターを倒す」という目的から状況は二転三転して行く様になっており、その背景は複雑である。だがどうやら40時間分の内容を強引に切り詰めたと思われ、途中が端折られているので展開が急すぎて付いて行けないという感が強い。またラストで最後の謎が解けるような展開にしておいて、何の説明もないままに終わってしまうのは消化不良でいただけない。

 ただしその世界観については優れており、ゲームの売りの一つにもなっている。SF的な設定では巨大な内部空間を持った宇宙船や各種建造物の造形。そして異世界における奇抜で宗教的な世界の描写や、各種エイリアンの世界での雰囲気等、グラフィックス面において印象的なデザインのロケーションが多い。マップの見た目という意味でのデザインは高いレベルにあり、SF系が好きな人にはアピール出来るであろう。


 その反対に「レベルの形状」という意味でのデザイン面には問題有り。デモをプレイした際には戦闘面に問題があると感じていたのだが、製品版ではそちらは特にそうでもなく(後述)、このゲームの最大の欠点はそのレベルデザインの方にあると言える。全てではないがデザインに問題があるマップが多く、以下それについてどういう物があるのか詳しく書いていこう。

 まずKreedのマップのデザインは、DOS時代に主流だったキー(カード)収集方式をベースにしている。簡単に言えば、目の前の扉を開けて進むらしいのは分かるのだがそれがロックされており、別の場所に行ってアンロックの為のキーやアイテムを回収してきたり、離れた場所に在るスイッチやレバーを操作して扉を開く方式。近年の物ではSerious Samなんかを連想してもらえば良い。マップ内部をあちこちへ行ったり来たりする方式とも言えて、近年ではあまり見られなくなっている。


 問題の一つ目はマップが広過ぎること。SF的な設定として広大なのは雰囲気的には良いとしても(実際に個々の部屋が広いのは壮観で良い点)、無意味に広いというマップが結構多く含まれているのが難点。やたらとエリアを連結する廊下が多く、またそれが長い。思わず絶句するような広いエリアも含まれており、やり過ぎという感がある。加速ジャンプ(タイミング良く前進+ジャンプ移動を続けると高速移動になる)をサポートしているのが救いと言えば救いだが、広くするならもうちょっとそれに意味がある様にするべき。

 実例としては上記のSerious Samでの典型的なデザインとして、正面の扉を開ける為に、そのハブとなるエリアから左右に伸びているルートAとBに向かって、双方の最深部に在るスイッチを入れるかアイテムを持ってくると扉が開くというのがある。Kreedでも同じ様な物が出て来るのだが、そのAとBのルートがやたらと長かったりする。しかも帰り道には敵が出ないので、単なる退屈な移動パートでしかない。
 他にデザインとしておかしいと思う物では、延々と進んだ挙げ句にその最後の地点でフラグが立って、そこからまたスタートまで戻らないとならないというマップが在る。次々とエリアをクリアして進んでいった結果、最後のエリアでスイッチを入れると、「スタート地点の横の扉がこれで開いたから戻って」と命令されたようなものだと言えば、その感覚がお解りいただけるだろうか。なんですぐそこにゴール地点を設けないでわざわざ最初まで戻させるのかが謎。DOS時代の様にマップが小さい場合には問題がないが、感覚的に1〜2kmはあろうかという道のりを最初まで戻るのは辛いし面白くもない。


 第二に進行するべきルートが判らない。このゲームにはかなりの量の脇道が含まれており、そこを回ると弾薬やアイテム類が手に入るようになっている。メインのルートがハッキリしていて、そこから脇道に寄ってアイテム集めをするかどうかはプレイヤーの自由という形ならば良いのだが、そもそも何所がメインのルートなのかが判らない。典型的な例としてデモに含まれているマップで中東の街の様な方を採り上げてみると、このマップではスタート地点からいろいろな方向へと自由に進めるようになっているが、実際にクリアの為に必要なエリアは限られている。よってクリアの仕方を知っていればそれ程時間が掛からないし無駄も省けるのだが、初回プレイ時は勘しかないのでどれだけ早くクリア出来るのかは運による。

 問題はこのデモのマップ程度の広さだったらまだしも、その4倍, 8倍といったサイズの巨大なマップが幾つか含まれており、そうなると選択によってはクリアまでに相当な時間差が生じるようになる。例えばスタートからすぐに左右にA, Bのルートが有るとして、Aを選んで進み更にその先の分岐を含めて数十分間費やして探索した結果、実はそのAのルート全てが枝道だったとかそういう構成が出て来る。Bに進めばAの方を完全に無視してもクリア可能なのだが、一切のヒントは分岐点では出て来ない。
 同様に「出口に到達するルート」と「その出口を開けるアイテムが在るルート」が出て来て、先にアイテムの方に向かえば移動は最小限で済むが、反対だとまた戻ってという形になるので移動距離が相当に長くなる。これもまた先にどっちに進むのかは運任せである。進むべき方向がハッキリと示されないタイプのゲームは嫌という人には、最も向かないタイプのゲームといって間違いない。


 第三に迷い易い。広いというのもあるし、やたらと道が分岐しているというのも影響している。更に場所のデザインが似通っていたりするので、何所のドアがどのルートに通じているのかという記憶が大変。一部のマップでは明らかに移植時にやっつけで作ったと思われる、違和感のある英語の看板が掲示されているのだが、それすら無いと神経衰弱をやっている様で混乱する。ミニマップが有れば良かったのだが、そういったガイド機能は全く用意されていない。それとデモのマップでも出て来るが、ダクト状の狭い通路の迷路が繰り返し出て来る。総当たりで通れる場所を探さないとならず、単に面倒なだけ。マップの中には全体が一つの巨大な迷路という物も存在する。

 なお大抵のスイッチ類には、粗い画像だが何所の扉が開いたのかを示す画面が付いているので、その点については理解し易い。目標としていたUnrealの様に、どのスイッチが何所の扉を開けるのかも分かり難い箇所が在るので、攻略サイトが無いと厳しいという風にはなっていない。広大なマップ内をひたすら探索すれば何とかなるという風にはなっている。ただしマシというだけで、広過ぎるし迷い易いのは確か。


 まとめとして特に前半に分かり難いマップが多く、途中で挫ける人も多いかもしれない。なおこれらのデザインは拡張パックでは普通になっているそうで、その理由としてレベルデザインの担当チームが退社して変わったかららしい。もしこのゲームでの責任を取らされてクビにされたのだとしても、何の疑問も感じない位にそのデザインには問題があると感じる。


 その他に問題点を列挙。

 オブジェクトに挟まりスタックしてしまう事が多い。当時“正”の字を書いて数えていたが8回位挟まっている。ロケットを床に撃ったりして脱出出来た事もあるが、ほとんどはそのまま動けなくなる。最後にはチートを探してNocilpで抜けていた。

 エレベーターが箱ではなくて単なるプラットフォーム状なので、乗る位置が外れると挟まって即死する事がある。またそのプラットフォームの上で何か動作を行った場合、動作が優先されて空間で一瞬静止状態になり、そこに上がって来るプラットフォームとの接触判定が生じてバラバラになり即死する。


*クイックロードの時間が長い
*USEする位置がオブジェクトと合わないケースがあり、またUSEの表示がしばらく残るので勘違いする事もある
*ダクトの様な狭い場所に入るのに、ジャンプしてしゃがみ動作というアクションが必要だが、このタイミングが微妙で入るのに苦労する事がある
*Weapon Selectorの様にメニューのOn/Offが逆の物がある


COMBAT
 戦闘面はオーソドックスなアクションFPSとなっており、デモをプレイした時に比較すると印象は改善されたが、特に面白いというレベルでもない。人間タイプや各種のモンスターを倒して進めて行くというシンプルなスタイルで、発売された2003年頃のレベルとしてもそのクオリティは普通ではないか。何か新しさを感じさせるゲームではないので、昔のFPSの戦闘は詰まらないと感じる人には同様に詰まらないだろう。


*武器は全て同時に携帯出来る
*使用武器による移動速度の変化は無し
*動いて撃っても照準は変化しない
*左右へのリーンは無し
*スプリントは無いが、前進ジャンプをタイミング良く続ける事で加速して高速移動が可能
*2ndary Fireを持つ武器もある
*オートリロードが可能かは武器によって異なる
*プレイヤーの能力を一時的に上昇させるタイプのパワーアップアイテム類は存在しない


 回復にはRegeneration Ampoulesを使用。最大で10個まで携帯が可能。回復量はその時々によって異なり、HPが低い時ほど多く回復が行われる。逆に最大の100近くになると少ししか回復出来ない。使用には時間が掛かり、また走れなくなるので戦闘中には使い難いというハンデがある。他には最大で200までアーマーを装着可能。


 武器類はナイフ, ショットガン, アサルトライフル(兼スナイパーライフル), 三連ショットガン, ミニガン, 火炎放射器, ロケットランチャーと定番が揃っている。特殊な武器としては三種類。武器セット全体ではそれぞれに個性や差が設けられているし、特性に応じた使い分け要素も持つので水準以上という評価

*Dolphin: Tiglaaryが制作したプラズマライフル。メインで5発分を固めた強力なライフル弾。サブで球状のプラズマを高速連射する。
*VARD: 広範囲にスプラッシュダメージを与える巨大なエネルギー弾を発射。サブでは障害物を透過して生体のみに当たる弾を飛ばす。
*GRENDEL: 最大の破壊力を持つプラズマロケット弾を放つ兵器で、両手に抱えるようにして装着する。サブの弾はホーミング機能を持つ。

 感想としては、まずDolphinは使い勝手も良く優れた武器である。一方でVARDは発射までに数秒間銃身が振動する為、発射時に正確に敵に照準を合わせるのが難しい。またその遅さ故に、特にこれを使わないとならないという必要性も薄く、あまり有効ではない武器に感じた。GRENDELは破壊力は確かに高いのだが、有効利用出来るシーンが少ないというのが欠点。この武器が登場した後には非常に高いHPを持った敵が出て来ないので、活躍の場が無くなっている。画面の大部分を覆う様な武器自体のデザインはユニークで面白い。


 戦闘の設定では(少なくともNormalでは)弾が多目なのでかなり撃ちまくれるバランス。ロケットやミニガンの弾も多いので爽快感は高目。防御アイテム類はどれだけ脇道を探すか(このゲームでは「探す羽目になるか」とも言えるが)によるが、結構多目なのでそれ程厳しくもない。被弾ダメージは低めだが、グレネード等の爆発系のダメージはかなり高い設定。全体的には幾つかの難所以外の大部分のパートはやや簡単という難易度であった。

 敵に当たっているという感覚が乏しいのは欠点。血は背後の壁や地面に飛び散ったりするし、爆発で肉塊になったりという表現は含まれているのだが、当たっている際の出血表現が控え目で確認しにくいのが問題。逆に敵からの ダメージを受けた時の出血エフェクトは派手で見難く、またダメージ量にかかわらず一様なので鬱陶しい。ちょっとしたダメージを受け続けても常に画面が赤くなってしまう。(設定で効果はOFFも可能だが、そうなると今度は当たっているのかが判らなくなる)。

 事前のアナウンスに反して乗り物に搭乗しての戦闘は一部に出て来るのみで、また面白くもない。設置されているマシンガンや迫撃砲を使えるシーンもあるが、精度が低いのでそれ程役に立たないという印象。


 (他にもこういった設定のゲームは在るが)このゲームの戦闘の大きな特徴は音に反応する敵のダイナミックな動きである。例として部屋の左右に2つのドアが有ったとして、その片方の中の敵と戦いを開始したとしよう。この時にドア付近で戦っていたりすると、その音を聞きつけてもう一つのドアからも敵がやってくる事がある。これは良い面と悪い面を併せ持っている。

 敵の動きがダイナミックなのは良い点で、後ろから突然襲われたりするので気が抜けない。スクリプトによって部屋の中でずっと待っている訳ではないので、やり直しの際にも敵の動きには変化が見られるようになる。敵の移動能力も高く、相当遠くまでドアを越えてプレイヤーを追って来られる。しかし一方で連結されている部屋の数が多い場合、一気に大量の敵が集まって来てしまい、グレネード連発を喰らったりで裁き切れなくなる事もある。(逆にそうする事で一気に倒せるというケースもあるのだが)。それと部屋から出てやって来るので、それを倒した後は本来居た部屋の中が空になってしまい、探索しても敵にしばらく遭遇しなくなるという状態になってしまうことも。ただ総合的にはゲームの持つ個性としてプラスになっていると思う。


 敵は各種の人間型とモンスター(エイリアン)が出現。全部で60種類以上と言われていたその数は大幅に減っており、やはりそれが問題となっている。ロケーション毎に生息する種族を変えるという点は概ね実現出来ているのだが、その分ロケーション内で出て来る敵の種類は2種類程度と少ない。もし数多くの異なったロケーションが用意されているならそれでも通用したのだが、それが少なくなったのでゲーム全体で登場する敵の種類が少ない。宣伝時に良く出ていたエイリアンすら出て来ないという状態で、それが単調さを生んでいる。他のカットした種族を敵としてもっと出して欲しかったと切に感じてしまう。ついでにアクションFPSには不可欠と言えるボス戦が無い。中ボスクラスは出て来るが、巨大なボスは最後まで出て来ない。

 AIでは一端逃げたりやカバーに隠れたりと、戦況を読んで動いているとは思えないが、一応それらしい動きは見せてくる。またかなり不規則に動いてくるので、照準をそれに素早く追随させて攻撃したりや、着弾までの時差を読んで命中させたりという面白さは感じられる。ただし発売前には相当な自信があったようだが、宣伝していた水準には到底達していない。
 問題はドア越しの戦闘などで開けた瞬間に予期していたかのように撃たれる事がある点(これはUbersoldierでも見られた)。それとオブジェクトを透過するVARDを持つ敵は、こちらを壁を通して認識してしまう。


 最後に他の欠点として、ラストの4つのチャプターでは敵の種類が一つだけで(正確には2タイプ)、またそれに対抗する武器も一種類だけ(正確には他の武器に使える物もあるが、弾薬が一切出て来なくなる)という設定にて数時間のプレイとなる。この最後の敵のタイプが個人的にはどうだろう?と感じてしまう種族で、また難易度的にも大半の場所は簡単である。よってこのパートに入ってから最後までは盛り上がりに欠ける。

 これはバグなのか処理落ちなのか不明だが、ダイレクトに呼び出すキーを押しても武器が切り替わってくれないというシーンが何回もあってストレスを感じた。ホイールでの選択だと10種類在るので素早く望みの物を出せない事もあるので、アクションFPSとしてはかなり気になる問題である。

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