COMBAT |
前作からの変化を中心にまとめてみる。第一に2では武器の種類が増えて能力もアップした為に、生存者チーム側の攻撃力がかなり上がっている。特にアサルトライフルの種類が増えて強力な物も加わったので、ショットガン以外でもTankに大きなダメージを与えられるようになったし、感染者のラッシュが接近する前に数多くを倒す事も出来るようになった。これも2での「籠もって戦う事の繰り返しを排除する為のデザイン」の一環だと思われるが、確かに戦闘能力が上がっている分、籠もらずに普通に撃って戦えるシチュエーションが増えている。よってサバイバルという面を強調していた1に比較すると、一般的なアクションFPSに近くなったという印象。 ただ感染者の出現数は前作の1.5〜2倍に増やされており、嫌らしい特殊感染者も加わっているので簡単になったという訳では無い。前作ではクレッシェンドイベントでは皆で籠もればそう難しくはないし、それ以外では設定的に難所という所もほぼ無し。よってAdvancedまでだとリトライを繰り返す可能性があるのはフィナーレのみといった感じであり、Expertでもやはり問題は突出してフィナーレという点に変わりは無かった。その点今回はガントレットクレッシェンドを代表として難所が増えており、全体的な難易度は1よりも上がっている。1ではAdvancedだと物足りなさがあったが、平均的に難しさが分散して普通のチャプターでも気が抜けなくなった事から、Advancedでのプレイが丁度良い難易度に調整されたのは評価出来る点。 武器の使い分けも面白い要素。1と違って様々な性能の武器を使えるのでプレイ感の変化を楽しめる。なお2では弾薬キャッシュの場所が1に比べて大幅に減らされているが、これはテストプレイにて「弾薬キャッシュが有るとプレイヤーはそこで補充するのみで、同じ武器をずっと使い続ける傾向にある」という結果から、強制的に違った武器に持ち替えさせるようにする為の措置。つまり武器だけが置いてある場所が増えていて、弾が少なければそこで武器ごと交換するようになっている。 殴り制限も改善された点。1ではあまりにも有効だったので、連打すると疲労が生じて待ち時間が発生するというのは適切なバランス調整だと言える。(1ではサバイバルモードや対戦で導入されたが、何故かキャンペーンではそのまま)。これにより籠もって殴り連打という応対がやり難くなったのは、単調さを解消する意味で有効に働いている。 ゾンビ物と言えば近接打撃武器であり、1の発表時から待たれていた要素でもあるが、これについては良い点と悪い点がある。ほぼ一撃で感染者を倒せたりと相当強力で、またFFは最小限に抑えられている上に殴り攻撃と違って連打に制限は無い。よって皆で固まった際の殴り攻撃に変わるものとして相当有効であり、使っていての爽快感も高い。「打撃武器が強力過ぎる」という見方も在って難しい所だが、FFでのダメージを上げてしまうとそれを恐れて使う人が減ってしまうというのもあるし、用意した打撃武器を積極的に使って貰おうという狙いからするとこの設定もやむを得ないか。 それとメイン武器の弾補給or交換地点までが長く、弾薬が足りなくなってしまうという箇所が結構在るので、それを補う意味でも近接打撃武器の出番が増えている。弾無限のピストルは遠距離から狙えるもののパンチ力に欠けるのに対して、近距離でしか使えないが破壊力抜群の打撃武器は上手く使えば非常に役に立つ。よってチーム内で近接とピストルを2:2位で分かれて応対するといった作戦の幅も広がった。 一方で問題に感じるのは、10種類も用意されている割にはチェンソーを除けばどれも似たり寄ったりという点。連打速度やリーチをもっと変化させて、武器別の差別化を図るべきだったと感じる。一撃で殺すのは難しいが多数の敵を一端なぎ倒せるとか、能力自体に変化を付けても良かった。 キャンペーン毎の多彩さは非常に良い点だと評価している。暗いトーンで統一されており見た目の変化が少なかった前作に比較して、時間帯設定が幅広くなって昼間のシーンが出て来たりするし、ロケーションと景観の方の変化も大きい。それとキャンペーン別に特別な設定があるので、プレイしていても個性が感じられる。 新タイプのガントレットクレッシェンドも、戦い方に変化をもたらしており効果を挙げている。これまではとにかく固まって離れないように移動するというのが基本中の基本だったが、ここではスピードが重要視されるので、徹底して固まるというやり方が逆効果になる恐れがある。誰かが倒れたらその都度皆で止まってクリアリングしてから助けるというやり方では、ラッシュが無限の設定なので(特に難所では)最後まで体力が持たない。とにかくゴール地点のアラームを止めるのが最重要であり、途中で倒れた仲間を置いてでも突進するという行為も要求されてくる。しかし単独で行くと特殊感染者に捕まった際にどうしようもなくなる危険を孕んでおり、ゴールまでの残り距離と味方の状況を見て、突進するか遅らせてでも味方の回復を優先するかという素早い判断が要求されるようになっている。 続いては問題点の方に移る。マップのサイズが大きくなっており、かなりゴールまでが長い物も用意されている。問題というのは途中でのセーブが行われないので、失敗した場合にはやり直しの時間が長くなってしまうという点。一般的にマップの最後の方に難所が設けてあるケースが多いので、そこでリトライになるとまたその地点まである程度の時間を費やしてやって来ないとならなくなる。しかしその道程は特別に難しくはないとなると、最後のパートにチャレンジする為に緊張感の欠如したパートを繰り返しプレイするのは苦痛となる。 前作と全く同じ不満だが、難易度による差が極端過ぎる。まず初心者向けにEasyという設定を設ける意図は理解出来るが、他のゲームにおけるEasyと比較しても簡単過ぎるのではないかというのが第一。回復アイテムも多いのでまるで4人全員が一回もダウンしないでクリア出来るかの様な設定に見えるのだが、L4Dはダウンや死亡したりするプレイヤーが出ないと面白くならないという性質をもっており、それを考えるとNormalのバランス設定が一番下の難易度で良いのではと思えてしまう。 そしてAdvancedとExpertの差が大き過ぎる所も変わっていない。実績一覧で見られるデータによれば、全てのキャンペーンをExpertでクリアしているプレイヤーは2%台に過ぎない。クリア時に生き残っていないとならないという制限が厳しいとは言え、これは相当に少ない割合である。1にあった一つでもExpertをクリアという実績は無くなったが、1でのそれは12%程度であり2でもそれ程変わっていないはず。これを見てもExpertが大多数のプレイヤーからは相手にされていない難易度というのが判る。 だがやり込みという観点から非常に高い難易度は必要だと思うので、例えばAdvanced→Expert→Nightmareの様にして、Advancedをクリアしたプレイヤーが次にチャレンジするのに適当なレベルにまでExpertの難易度を下げてやり、代わりに更に高いレベルとしてNightmareの様な物を作るという形で良いのではないか。Realismという選択肢は加わったが、これはゲーム性自体を変えてしまうので万人向けではない。 Tankの仕様変更も一長一短である。Co-opにおける変化は以下の通り(L4D1 → L4D2)。 1.ダウンさせたプレイヤーを死ぬまで攻撃 → ダウンさせたらターゲットを変更 2.燃えると速度がアップ → 変化しない 3.火を点ければ後はタイマー処理 → ダメージが一本化され、火炎と武器攻撃のダメージが合算される 4.火が消えてもタイマーは止まらない → 火が消えると効果も消える 1は状況によって生存者チームにとって良いのか悪いのかが異なる。全員がダメージで移動速度が落ちている状態だと全滅の危険度が増していると言えるし、Tankを誰かが引き付けている間にダウンしたプレイヤーを死亡させずに助け易くなったという利点もある。2は生存者チームにとっては良い事だが、逆に3は火を点けたら後は逃げていれば良いという点は変わらないが、ダメージが一本化されたので一切攻撃しない場合には死ぬまでの時間が1よりもずっと長くなっている。4は水場が有る場所では生存者側に取って不利な設定。 総合的に見るとTankは1よりも弱体化している。ショットガン以外の武器でも、特にアサルトライフルにて離れた距離からでもダメージを与えられる様になったのが大きい。突出して恐ろしい存在だった1に比較してバランスが良くなったとも取れるが、恐怖を感じさせる敵が弱くなったというのは寂しさも感じさせる。 問題点というよりは期待外れという件だが、ダイナミックな移動ルートの変化要素はほとんど意味が無い様な印象。大きな変化が見られるのは墓地の中だけで、そこにしてもそれで面白さが増しているのかとなると疑問符が付く。ちょっとした変化については目立たないし、プレイ感に変化ももたらしていない。アイテム配置の変化の方がよっぽど影響が大きいと言えよう。チームを分割するような演出は良くないという方針は理解出来るのだが、それなら用意した二つのルートの片側は完全に塞いでやり、ランダムに進むルートをある程度の長さに渡って変えるという方法で良いのでは? 期待外れという点では、普通ではない特殊感染者も同じ。それぞれに特徴を持ってはいるが、戦っていて特別な変化が感じられない。背後からしか倒せないタイプが一番対応の変化を要求されるという程度。 サバイバルモードについてはちょっと試した程度だが、戦い難いマップが増えているという感想。オープンな場所では多数出現する特殊感染者に持って行かれるので、攻撃方向をなるべく限定出来る場所に籠もるという対策が基本なのだが、それが出来る場所が見当たらないというマップが多くなった。またアイテム類が広範囲に散らばっているので、回収の為に頻繁に移動を余儀なくされるというマップ構造も増えた。よってかなり早い段階から特殊感染者の大量出現によってメチャクチャにされてしまい、連携どころでは無くなったりと難しさが上がっている。特殊感染者の種類が増えた分難しくなるのは当然なのだが、その辺のバランス調整が考慮されていないように思える。その意味で1の方がバランスとしては良く出来ていたという結論。 |
シングルプレイ |
Botを引き連れてキャンペーンをプレイする際の感想。能力自体は前作からあまり変わっておらず、超人的な能力を持っていたりもするが、同時に大きな欠陥を抱えていたりとアンバランスである。その辺の詳しい説明は1の方を参照して欲しい。 基本ルールは前作と同じで、シングルプレイではプレイヤーが死亡したら他のbotが生き残っていてもゲームオーバーとなり、Co-opとはルールが違っている。指示コマンドの類は無く、botの動きは常に自動的に判断される。マップ内の移動時は常にプレイヤーが先行して引き連れないとならない。botによるFFは無しで(命中時の振動エフェクトは発生する)、攻撃はプレイヤーの体を透過してしまう等。 botの持つ利点の方に先に言及する。今回は特殊感染者の種類が3つ増えており、その早期発見と攻撃しての処理がより重要となっている。その点でbotは暗さや障害物に関係無く先を見通せるので(オブジェクトを透過して先を見られる)、特殊感染者の発見能力は人間のプレイヤーの比では無い。それ故にこれは大きなアドバンテージとなっている。 次に今回新しく加わった能力として、「ダウンしている生存者を敵の攻撃に影響されずに助け起こせる」というのがかなり強力である。通常はダウンしている生存者が囲まれて感染者から攻撃されている場合、まずは周囲の敵を先に倒さないとならない。しかし敵の数が多い場合には時間が掛かるので、ダウンしているプレイヤーの死亡確率が高まってしまう。ところがL4D2のbotはダウンして敵に囲まれている生存者をそのまま妨害されずに助け起こせるので、ラッシュ時などでの難易度が軽減されている。(救出役のbot自身がSmoker, Jockey, Charger等に移動させられるような攻撃を受けた場合にはリセットされる)。おそらく助け起こすタイミングを判断させる能力を持たせるのは困難なので、そのまま助け起こせるようにしたのだろう。この能力故にシングルプレイでは助け起こしを出来るだけbotに任せた方が良くなっている。 その反対に新規要素のガントレットクレッシェンドを大の苦手としている。この新形態を認識する能力自体を持っていない様で、普通に行動する事しか出来ない。無限ラッシュなのでとにかくスピードが命なのだが、敵に囲まれると律儀にその場で対応→倒れた仲間がいれば助け起こす→全員揃った所でまた移動開始→次にやって来た敵と遭遇、の繰り返しとなり、無限ラッシュに逐一応対するので先に進まないし最後まで体力が持たない。また投擲物を投げられないという点が、このクレッシェンドでは非常に大きな弱点にもなっている。その為にプレイヤー自身が単独突破を図るしかないのだが、ルートが長くて難しい箇所だとbotと相当離れるので非常に危険な状態になる。 それとTankの動き方が変わったのも問題となっている。前作でもbotはTankから一目散に逃げずに、常に攻撃しながら後退する傾向があったりと対応が上手い訳では無かった。それが今回はTankが生存者をダウンさせたらすぐ次の目標に切り替えるようになった為、Tankの周囲に居るbotが連続して次々にダウンさせられる危険度が高まっている。しかもTankに倒された目の前の生存者の救出に状況を省みず即向かったりもするので余計に危ない。その為にプレイヤーがTankをすぐに燃やせない場合には、一気に他の3人がダウンしてしまって大ピンチになる事も珍しくない。 総合的にはAdvancedまでならば、シングルプレイでも大半のチャプターはリトライを何回も繰り返す様な事はせずにクリアが可能。しかしガントレットクレッシェンドを含むチャプターは本当に難所となる。具体的にはDead Center: CH3, Dark Carnival: CH3&CH4, The Parish: CH5。フィナーレも上記Tankの件もあって前作同様に苦手としているが、そこはプレイヤーが豊富な火炎瓶を利用して優先的にTankを処理するとかで、それ程リトライせずにクリアは可能だろう。 ただしbotの動き方や能力は人間とは別物なので、シングルプレイを楽しめるかとなると前作同様に疑問ではある。取りあえずどんな風なのかシングルプレイで確認する事は出来るという程度で、実際に人間同士で行うCo-opとは大分感触も異なっている。 例えば[Hard Rain]だが、先にオフラインでプレイしてからCo-opをやったところ、随分と両者のプレイ感覚は違っていた。典型的なのがCH2と3で、botとのプレイではCH3の豪雨の帰り道が難しく、行きのCH2はそうでも無かったのが、Co-opではCH2の方が難しいという印象で、調べてみると掲示板等での評判もその通り。実際に検証してみるとCH2は大量のWitchが彷徨っているのだが、botはこの移動型のWitchに対しては攻撃の当たり判定が無しにされており、誤射を恐れずに通常感染者を倒す事が出来るという利点を持つ。エレベータ前でのクレッシェンドでも、FF無しで攻撃が透過する事から優位。またサトウキビ畑の突破も、視界が遮られないので他とは変わらない状態で戦える為に、人間だけでのプレイに比較して大きなアドバンテージになる。 逆にCH3では豪雨に影響されないという利点はそのままだが、上部を渡っていくという点に問題がある。もし誰かがSmoker等に引き摺り下ろされるとすぐに全員が下へと飛び降りてしまい、上に残って援護するという発想を持たない。しかも上部へと戻るルートを辿るのを苦手としており、プレイヤーが上に残っているとウロウロと登れる場所を探す形になる。そして下の部分は冠水して動きが遅くなっているので不利なところへ、時間を掛けた結果次のラッシュがやって来てしまうという状態。また通れるルート判定の問題から、プレイヤーがダウンした際に助けに来られない可能性が他よりも高いように感じられた。 以上の様に一応は遊べるというレベルで、協力して遊ぶという面白さを体感するにはまだまだ知能が低いという段階。隊員等のAIの仲間を引き連れてプレイするゲームは多いので、シングルプレイしかやらないという人がその類だと割り切ってプレイする事は可能だし、これを書いている時点では値段も下がっているので、その意味で発売時に比較すればオフライン専用としての価値も出て来てはいる。しかし練られたストーリーがある訳ではないので、その辺を期待する人にはやはり向かないだろう。 ※参考 シングルプレイで自分が死亡してもゲームオーバーにしない方法 1と同様にそういう設定にも出来る。ただしコンソールコマンドの仕様が変わっておりやり方が異なる。 まずゲームのプロパティ→起動設定の欄内に +allow_all_bot_survivor_team 1 を記載する。これにより自分が死んでもゲームは進行する様になる。これはサバイバルモードでも有効で、チームが全滅するまでタイムは止まらない。1との大きな違いは、この起動コマンドパラメータはチートモードにしなくても有効になるので、チャプタークリアやサバイバルモードのタイムがちゃんと記録されるというところ。しかしキャンペーンについてはいろいろと難あり。プレイヤーをクローゼットから救出出来れば良いのだが、何かの特別なアクションが必要な所で止まってしまう可能性がある。またオブジェクトを透過して見られる事から、オブジェクトの背後に居る敵を撃ち続けて前に進まなくなるという欠陥も存在する。 よって1同様に sv_cheats 1 でチートモードにして、コンソールコマンドかショートカットキーの設定にて他のキャラクタに乗り移れるようにしておくべきだろう。やり方は1の同じ解説頁に書いてあるので、その名前を2のキャラクタの名前に変えればOK。ただしチートモードになるので、1と同じで実績関連は解除出来なくなる。なお2ではsv_cheats 1をそのままでは使えなくなっており、コンソールからマップを直接呼び出してやる必要がある。 map マップ名 coop の様にして直接マップをロードすれば、そこではsv_cheats 1が使える様になる。 |
GRAPHICS |
バージョンアップされたエンジンを使用。一番目立つ変更点はゴアと流血で、感染者の体はより細かい単位でバラバラになり、腹に穴が空いたりもするようになった。更に敵は体の一部がもげてもそのまま攻撃したりしてくる。流血も派手で噴き出した血が飛ぶようになり、自分に向けて画面に点々と付着したりも発生。仲間の生存者にも付着のエフェクトが確認出来る。 物理エンジンとアニメーションの融合も細かくなり、パイプボムではラグドールで感染者が吹き飛ぶ処理が追加されている。殴った敵のよろめき方や、倒れた敵の起き上がりなどもアニメーションが滑らかになった。生存者の顔のアニメーションも進化してリアルになっている。 その他では新規に追加された豪雨の天候エフェクトは素晴らしい出来。看板等のテクスチャ類の精度も高い。 開発チーム大きな成果として挙げられているのが新しい感染者の生成システムで、特にXbox 360ではメモリ量が限られている為に、基本的なパーツ類からどうやって多彩な通常感染者のパターンを作り出すかに努力したそうだ。大量に出現するだけに全く同じ見た目の感染者が繰り返し出て来ては興醒めしてしまう。結果的にメモリの使用量は半分にした上で、約24,000種類の異なる通常感染者を生成する事を達成している。 |
SOUND |
サウンド面では大きな変化は無し。生存者の喋る台詞の種類が40%増加している。 |