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COMBAT
 我らが主人公であるChris Hopeは、どのエピソードでも最初から全ての武器と最大の弾薬を所持している。確かに大量の敵が予想されるのにハンドガン一丁で乗り込む数多くのゲームの主人公に比べたら、敵地に持てるだけの武器と弾薬を抱えて行くのは姿勢としては正しい。だがスタート時点から完全装備体制で臨むのは、残念ながらゲームとしては間違っている。

 ラスボス出現エリア前の武器置き場で完全補充したかの様な最強状態なので、それに釣り合った相手となるとボス格か大量の強い敵位しかない事になってしまう。しかし実際にはそこそこ弱い敵から出てくるという普通のパターンなので、それでは簡単になるのは必然。仮に危うくなった場合でも、強力な武器を使ってピンチを凌げるので死の危険性も減っている。この最初からマックス状態システムだと、プレイヤー側の強さに合った敵を徐々に出していくという手段が採れないし、進行に応じて新しい強い武器が手に入って行くという楽しみも無い。要するにFPSのデザインとしては上手いやり方ではないという話である。


 そしてこの設定だと弾薬の入手量が大きく戦闘に影響する事になるが、その入手方法も一風変わっている。たまに在る先行部隊の死体からランダムに少量の弾薬が拾えるが、それ以外はマップ内には一切弾薬は落ちていない。弾薬及び携帯メディキット&アーマーは各世界に設けられた隠し場所に収められており、ゲーム上はシークレット扱いのその場所を探し出さないとならなくなっている。具体的にはゲームのロゴマークが記されている場所を探し出して、届く場所ならばそのマーク自体をUseすれば仕掛けが作動して弾薬庫が開く。(若しくはその印の近くに何等かの仕掛けが在る)。その中には全武器を少なくとも一回分はフル装填可能なだけの弾薬が用意されており、部屋の状態はそのまま保存されるので後でまたやって来て再補充する事も可能。またマップの起点となる一箇所だけについては、時間を置くと弾薬類がリスポーンするようだ。

 問題はこのシークレットの発見が目印が存在するのもあってあまり難しくなく(一般的なゲームのシークレットに比較すると簡単)、それ故に弾薬に困るケースはまず無いという点。結果的にロケットランチャーの様な強い武器でも大して弾薬を気にせず使えるので、それがゲームの難易度を下げている

 更に壺のリスポーンもバランスを崩している要因。ダメージを受ける可能性があるので瀕死の状況では取れないのだが、壺の中身は凡そ[回復:空:ダメージ]が2:2:1位の比率なので、そこそこダメージを受けている程度ならばリスポーンした物を次々に取っていけば、最終的には回復用の方が多くなってプラスになる事が見込める。プレイヤーが同じ場所を何度も通って繰り返し敵と戦うという設定からの仕様なのだろうが、明らかにリスポーンする敵の強さに比べて回復が容易過ぎるバランスで問題あり。


 ゲームプレイでも述べた敵の無限沸きの問題について。敵のタイプという面から見てみると、あまり強い敵が居ないのがやはり弱点となる。「強い敵が次々にリスポーンして来るので探索が進まない」という件はクリアしているものの、その反面で「弱い敵がチョロチョロと出て来るだけなので戦闘に張り合いがない」という事になってしまっており、特に2番目のエピソードまではそれが顕著である。最後のエピソードはやや難しくなるが、それでも厳しいという程では無い。少なくとももっと高い難易度設定は用意しておくべきだった。

 またリスポーンのさせ方にも欠陥あり。扉を開けると出現するというパターンが多いのだが、例えば扉を開けたら出現したので戦う→ダメージを受けたので元の部屋に戻って回復アイテムを取る→再び扉を開けると別のモンスターが出現等、完全にランダムらしく不自然なパターンが発生してしまう事がある。この為に出来るだけ扉は「本当にそこを通るまで」は開けないという風にしないと、雑魚モンスターとやり合う回数が増えてしまう。

COMBAT(続)
 敵の種類には死ぬと別の形態で復活するタイプが多いのは一つの特徴。例えば頻繁に登場するスケルトンは、倒すと少しの間を置いて骸骨だけになって蘇るか、髑髏に脚の生えた小さなHead-Crackerとして襲って来る。特に後者は小さくて当て難い上に、天井や壁を這って突然飛び付いてくるので大変に鬱陶しい存在。(よってスケルトンは火炎で焼くのが一番効果的)。他には以下の様な物がいるのだが、これだけ居ると単に面倒臭いだけで、復活するという点に面白味は感じられない。攻撃力は高いが倒すのは一回だけという方がずっと良くなったと思える。

*Chancellor: 死ぬと骸骨になる
*Red Demon: 死ぬとShadow Demonになる
*Sand Man: 死ぬと小さなサイズに分裂し、更に攻撃するともっと小さくなって向かって来る
*Mercury: 死ぬと追尾式の爆弾を残す
*Flower: 死ぬとワームになり、土に潜る前に殺さないと復活してしまう


 ボス敵が存在しないのもこの手のアクションFPSとしては弱い点の一つ。ゴールのテレポーターに近付いても特に難しくはならない。強い攻撃力を持つ敵はあまり無く、壁に剥製の様に顔だけで張り付いており接近するとプレイヤーを強い力で吸引してダメージを与えるガーゴイル(吸引時にしかダメージを与えられない)は数少ない例外。他には何所からともなく飛んで来てぶつかり高ダメージを与えるLightning Ball(白球)というのも居るが、突然背後や上方から当たってくるのでウザくて嫌なだけの存在であり戦闘相手としては面白くない。

 耐久力の高い敵というのもあまりおらず、最後のエピソードになって数種出て来る程度。戦闘時に厄介な敵としては即着弾系の攻撃を仕掛けてくる相手のケースで、投擲モーションが見えているなら避けられるのだが、エフェクト等で視界が遮られていると困った事になる。


 肝心の戦闘が面白ければ救いもあるのだが、残念ながらこの点も出来が良くない。AIは無いと同じでこちらを見付けると攻撃してくるだけだが、扉が開いた瞬間にそれを予想していたとばかりに攻撃してくるのは興醒めだし、壁等の障害物の認識が変で射線が通っていないのに攻撃してきたりも発生する。扉を超えてどこまでもこちらを追い掛けて来られる点だけはまともだが、逆に探索モードに入っている際には無視して通り過ぎたのに突然攻撃されたりとむしろ邪魔。

 見た目の動きもアニメーションのコマ数が少なくて粗いし、動き方自体が不自然な物もいる。命を持った生命体が動いているという感触が皆無であり、重量感の無い単なる“標的”を撃っているようで味気ない。また死ぬ時以外には被弾のアニメーションがほぼ用意されておらず、出血表現も無いので当たっているのかが判り難い点も駄目。死体はすぐに消えてしまうし、ゴア表現はあるが単純にバラバラになるだけである。物理エンジンも導入はしているのだが、もっとラグドールを含めて効果的に使うべきだろう。


 総合的に「敵が弱い」, 「攻撃が当たっているのか判らない」, 「敵に重量感や生気が感じられない」, 「戦闘の幅とか戦略性が無い」等々で敵を倒しているという充実感に乏しく、何にせよアクションFPSならばもっと爽快感が欲しいところである。


GRAPHICS
 自社製のエンジンを使用。Nvidiaとの協賛というのもあったのだが、実際にはそのクオリティはさして高くない。バンプマッピング, ダイナミックな影描画, 大気の歪み等の効果を導入してはいるのだが、基本となるキャラクターや世界のグラフィックスのクオリティが低いので、昔のゲームのグラフィックスエンジンをModで差し替えたような感じになっている。

 テクスチャは精度の方は高くないのだが、バラエティさという点では頑張っている様に見える。逆にキャラクタのモデリングやアニメーションについては、物凄く手抜きに感じられて出来が悪い。この点は5年前のゲームといった水準。エフェクト系でもまともな点ばかりではなく、炎の描写や爆発系のエフェクトについては凡庸なレベルでしかない。

 総合的には2006年発売のゲームの中でも平均以下としか言えないグラフィックスで、負荷は軽いがそれはこのクオリティにおいては特に意味が無い。キャラクターのアニメーションが重要な役割を果たしている事が良く解るゲームだと言えよう。

 もう一つ余計な欠点として、メニュー画面を切り替える度にエフェクトを掛ける様になっており、画面切り替え時に毎回若干のラグが発生してしまう。

 ワイドスクリーンに対応。AAも装備している。

SOUND
 EAXに対応しており、4SPでの定位感は良好。

 BGMは種類が少なく可も不可も無し。銃器のサウンドは酷くはないが平均以下で、もっと音に迫力が欲しい。

 

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