START ANYWHERE |
最初にゲームの基本構造から説明する。全てのマップは二部構成となっており、第一のパートでは空から降下して好きな場所に降り立ち、そこから幾つか存在する目標をクリアして行くというスタイルになる。目標のクリア順はプレイヤーの自由であり、このパートでの死亡時には再度空からの降下となる。ロードされるのは死んだ瞬間ではなく最後にオートセーブされた時の状況になるので、敵の状態やオートセーブ後に達成していた武器のアップグレード等は元に戻されてしまう。ただしHealthはセーブされた時に少なくてもフル状態での復活になるし、武器の弾薬数についても(基準はハッキリしないが)少なかった場合には或る程度増やされたりするようだ。 全ての目標を達成するとイベントシーンになり、ここからの第二パートは初代のMoHAAの様なリニアな展開となる。閉じていた門等が開いて、それまではアクセス出来なかったエリアに行かれるようになり、最終的な目標の達成の為に戦って行くというスタンダードなスタイルのプレイに切り替わる。このパートでは死亡した時は随時切り替わる地上のチェックポイントに復活してやり直すという方式となる。ボリューム的には第二のパートの方がかなり短いが、敵の攻撃は一般的に激しくなる。なおこれまでのシリーズの特徴でもあったスクリプトによる演出は相当控え目にされており、この従来のスタイルとなる第二パートでも挿入されるカットシーンの数は少ない。 これまでのMedal of Honorシリーズと言えば、良くも悪くもスクリプトによる映画的な演出を重視した一本道のFPSというイメージが強いが、今回はその根本部分を変更している。その変化としてゲームが打ち出している特徴の一つが、Start Anywhereと呼ばれる「空中から降下が可能なので、マップの何処からでもスタート可能」な機能である。まずはこの要素について検証してみよう。 先に結論から言うと、確かに働いてはいるのだが同時に問題も感じられて、期待していたほどには上手く機能していないという印象である。例えば一番典型的な降下場所としては地表になる訳だが、ここにまず一つ目の問題が存在している。それは「地表の様々な場所に降りる事は出来るのだが、実際には何処に降りようが変化が薄い」という点。その原因はマップのデザインにあり、中でもマップが狭いという点が悪影響を及ぼしている。 最も明確な降下地点は緑のスモークが焚かれた安全地帯である。ここは通常敵が居ないので安全だし、弾薬やMedikitの補給が行えるという利点も持っている。それ以外には目標地点としてA, B, C...等が存在しているが、これ等の目標の入り口地点(敵が出現し始める場所)を待機地点A, B, Cとでもしてみる。ところがマップが狭い為に安全地帯からそれぞれの待機地点までの距離が短く、またその間に派手な敵の攻撃を受ける場所もほとんどの場合は存在していない。よって地上降りるのならば、実質安全地帯の緑のマーカー地点以外に降りる意味が薄くなっている。単にこの安全地帯に降りて弾薬を補給し、それから行きたい目標の待機地点まで走って行けば良いだけである。 もし当初のデザインの様なkmの長さを持ったマップであれば、マップの端の方の安全地帯に降りると待機地点まで数百メートルを移動しないとならず、更にその間に激しい敵の攻撃を受ける箇所を突破しないとならなくなるという様な設定が可能である。逆に待機地点に直接降りると弾薬補給の恩恵は受けられないが、そこに至るまでの敵との戦闘を避けられるというメリットが生じるという様に降下地点による変化が付けられる。しかし実際のゲームでは移動可能範囲が狭いので、どこに降りても後は走って移動すれば意味的には同じ事という感覚になってしまっている。 一方でこの要素が機能しているのは高所に降り立った時である。高台からは広範囲が見下ろせるのと、下からの攻撃に対して角度的に隠れ易いので戦闘面でかなり優位に立つ事が出来る。地上戦では厳しい数の敵相手にでも応対出来るし、味方を上からサポートして戦況を変えたりと大きな変化をもたらす事が可能になる。或いは屋根を伝って別のルートから建物内部に侵入したりという行為も出来たりする。アイテム・サプライ系にアクセスが出来ないというデメリットは有るが、それを補って余りある優位と言えるだろう。高台は全てが繋がっている訳ではないので降りる場所によって変化が生じるし、またマップ内で優位となる高所を探すのは重要にもなる。この高所に降りられる点は新規な要素でも有るし、リプレイ時に変化を生む意味でも効果的に働いている。 最後に特殊例として目標地点に直接降りるという選択肢が有る。通常は空中からマップ全体が眺められるのだが、実は見えない壁が有ったりで全ての場所に降りられる訳ではない。つまり最も近くでもその目標の待機地点(敵の攻撃が始まる場所)から始めないとならないのが普通である。だがどのマップにも一箇所程度はダイレクトに降りられる目標が有って、当然自分一人で降り立つ上に敵の数が多いので難易度は高くなるが、それを選択して成功すればショートカットが可能になる。 しかし実際には難しい場所からクリアするという意味が無いので(これについては後述する)、あえてこれを選択するという意味合いは薄い。それと成績を上げたい人にとってもクリア時間は関係無いし、達成するとその地点の敵の大半は消えてしまうのでむしろマイナスという面も持っている。 この自由な降下という要素でどうもチグハグだと感じてしまうのは、”高い自由度”という点にこだわるあまりに、逆にゲームを詰まらなくしている様に思える点である。「何処に降りるのかで戦況が変化する」というのが売りなのに、同時に「降下後に何処へでも自由に移動可能」というそれを否定するような要素も入れてしまっている。つまり「降りた後にでも自由に動けるのだから、最初に何処へ降りても構わない」というマイナス面が生まれてしまう。例えば有利な高所に行きたい場合に下からハシゴ等で上れてしまうケースも多く、それは確かに自由度が高いという意味にはなるが、同時に最初に高い場所に降り立つ意味も失わせてしまう。 つまり「何処に降りるのかで戦況が変化する」という要素を活かしたいのならば、「最初に降りた地点から自由には移動が出来ない」ようにしなければならない。やり方の一例としては、マップがブロック化されていて自由な移動が出来ないので、最初に降下する地点が重要になるというデザインが考えられる。そのエリアをクリアすれば扉が開いて他のエリアにもアクセスが可能になるという仕組みで、クリアの順番は自由だが最初に降りた地点からは自由に他の目標には移れないというゲーム性である。逆に「降下後に何処へでも自由に移動可能」という点を推したいのならば、空から何処へでも降りられるという要素自体をカットして別のゲームとしてデザインするとかになるだろう。要は噛み合う筈の無い二つの特徴を同時に実現しようとして、結果的にお互いの良さを消し合っているという事になる。 それと合わせて折角の空挺部隊というテーマなのに、その設定自体が活かし切れていないとも感じた。降下の操作その物に深みが無いというのもその理由の一つであり、どんな風に降りてもダメージを受けないという点も単純過ぎるのではないか。非常に難しくしろとは言わないが、もっと降下のコントロールに修練が必要なバランスにする事で、それを「有利なポイントに的確に降りられるようになるまでには練習をしないとならない」という風にも出来ただろう。或いはランダムに風の影響を受けるので、それを考慮しないとならない等。しかし実際にはただ降りるだけで、ちょっと慣れてFlaredで降りられるようになればそこで終わりという感が強くなっている。唯一Skill Dropsを狙う人には練習が必要になる程度ではないか。この様に降下要素が物足りないのは残念である。 次に大きな特徴として、マップ内に存在するObjectives(目標)のクリアの順番が自由であり、その為に高いリプレイ性を持っているという点について。こちらは残念ながら上手く機能しているとは言い難い。理由は自由にマップ内を移動して進行出来るデザインになってはいるが、実質リプレイしてみてもその変化は大して感じられないからである。 その第一の原因として、どういう順番で目標を達成してもマップ内の状況にほとんど変化が無い。それぞれの目標はエリア別にブロック化されており、その範囲内にしか影響を及ぼしていない事が多い。目標地点毎に見た場合には、AIの動きのランダム性と到達ルートの選択という変化を持っているが、それはあくまでもそのエリア内のみに収まった変化となっており、他の目標をクリアしているのかどうかには影響されていない(少なくともそうは見えない)。その為にどこからクリアして行くのかという戦略的な要素が薄くなってしまっている。 解決策の一例として、各地点のクリアに意味を持たせれば達成の順番による変化を発生させる事が出来ただろう。「対空砲を破壊すると、空中からの味方の降下(Spawn率)が増える」、「通信システムを破壊すると敵の援軍(Respawn率)が減る」、「HQを落とすと敵の士気が下がりAIの能力が減少する」、といった設定を設けてやり、どこからクリアして行くかによってその後の展開に変化が生まれるようにしてやるという方法。またはクリア後にその地点で貴重な武器や弾薬が手に入るという設定もあるだろう。別にこういったやり方ではなくても構わないのだが、クリア順が何等かの変化を生んでそれをプレイヤーが実感出来るようなシステムを組み込まない限りは、リプレイ性は当然低くなる。 当初のデザインであった「スタート時点で全てのAIをマップ内に配置してやり、Respawnは敵味方共に基本的に無しにして、プレイヤーの居ない場所でも自由に戦わせておき、マップ内で戦闘の激しい場所へと援軍として移動の動作も行う」というのは、CPUの能力的に難しいという気は確かにしていた。だから多少背景でのAI処理はサボってでも、それなりにそういう処理が行なわれているかの様に見せて来るのではないかと想像していたのだが、実際には全くと言っていいほど背景でのAI同士の戦闘や他のエリアへの移動といった動きが感じられないようになっている。最初に行こうが最後に行こうが、その入り口地点に到達した時点から敵味方の戦闘がスタートするという風になっており、AI同士の戦闘を発生させてから一度その場を去って、時間を置いてから再び来てみても戦況に変化は見られない。あくまでもプレイヤーがトリガーとなって進められるというデザインである。勝手にAIが目標をクリアしてしまう(或いはほとんどそのエリアの敵を倒してしまう)のは面白くならないからというのは分かるのだが、あまりにも静的な世界過ぎるという印象で、もうちょっと上手い見せ方が有ったのではないだろうかと思えてならない。 最初に最も難しい目標からチャレンジも可能となっているが、上記の様な理由から敢えて難しい地点から攻略する意味も無い(プレイヤーが難しい事に挑戦したいという考えならば話は別だが)。 第二の原因として、全ての目標をクリアしないとならない設定なので、リプレイしても一度来た事がある場所しか出て来ないようになっている。例えば途中でA・Bの二つのルートに道が分岐するFPSの場合、リプレイ時には最初と違う方を選ぶ事で未知のエリアを体験出来るというリプレイ性が生まれる。しかしこのゲームでは全ての目標箇所を最初のプレイで回ってしまうので、2回目以降は新鮮さが薄れてしまう。それ以外の連結する小道等は通らない箇所も出て来るが、マップが狭いので連結用のルートを進むのはすぐ終わってしまうし、またそれ等エリアは繋ぎでしかなく大した意味を持っていない。 当初のデザイン通りにマップを広くしてやると共にObjectivesの数を多くしてやり、その内の一部を達成するのがクリア条件といった設定にすれば、リプレイ時に以前のプレイでは見た事が無いエリアを探索出来る可能性が高まるので、リプレイの面白さを向上させられるようになる。それと連絡通路として設けられたルートもマップが広くなれば長くなるので、そこで別に戦闘が起きるようにもデザインが出来たはず。 以上の自由度に関連する要素2点(Start Anywhereと目標クリア順による変化)については、やはり革新的な要素としてアピール出来る程のレベルに至っているとは感じられない。このゲームはリプレイ性は確かに持っているが、あくまでも従来レベルのリプレイ性であり、製作側が宣言しているような何回でもリプレイが可能というゲームにはなっていない。その中でも大きな問題に感じられるのがマップの狭さである。 初期の広いマップから小さなマップへとデザインを変えた理由は、リプレイ性をより高める為とされている。つまりサイズが大きくなるとリプレイするのが大変になるので、「2,3回程度のリプレイではなく、5,10回とリプレイしてもらえるようにするにはマップが小さい方が理想的」という観点からそうしたとコメントされている。しかしゲーム自体がリプレイ性を高めるような工夫をしていなければ、リプレイに掛かる時間が短くてもリプレイ自体へのモチベーションは上がらない。ではこのゲームではどうなのかと見てみると、結局は”内部に配置されたAIが状況に応じて動く”という機能はマップが狭くなってAI数が減ったにもかかわらず実現されていないし、クリア順によるマップ内状況の変化さえも目立たないので、リプレイする意義自体が薄れてしまっているというのが実際である。 私自身はこのアイディアというかゲームの構造自体はユニークで面白いと思っており、もし初期のデザインが完全ではなくとも実現されていれば相当良くなったのではないかと想像している。このアイディアが特許の様な物で守られているのかは判らないが、将来的に他の会社がこの空から自由に降下可能(或いはマップ内のどこからでも選択してスタート可能)というデザインを採用して、もっと広いマップでそれを実現すればかなり期待出来ると思う。広いマップならば降下地点による有利不利の変化も付け易いし、未探索エリアを増やせるのでリプレイ性も高くなる。その意味でマップが小さくなってしまったのは実に痛い。 「コンソールとの共通デザインで開発されるゲームは全てダメ」というのは極論と思うが、このゲームに関してはやはりそれが裏目に出たという気がしてならない。コンソール市場ではグラフィックスの凄さは重要とされる傾向が強いし、Xbox 360とPS3はまだ新しいマシンなので一定レベルのクオリティは譲れないというのもあるだろう。しかしグラフィックス系でメモリを多く取ってしまえば、その分マップのジオメトリデータに与えられるメモリ容量は狭くなる。つまり複雑な形状の広いマップを構成する事は難しい。特にこのゲームは空から何処にでも降りられる設定上マップのストリーミングでの読み込みには対応し難いし、自由に動き回れる分切り替え地点でロードを行うというのも困難。よって広大なマップを構成するならその代わりにグラフィックスは劣った物になるという選択肢しか無く、それがデザインが途中で変えられた理由の一つではないかと私は想像している。PC専用のゲームとして製作されていたなら、マップの広さ優先でグラフィックスはその分落とすというデザインも十分に有り得た筈である。 念の為書いておくと、マップが小さくなる事自体は致命的な問題ではなく、その中でもリプレイ性を高めるようなデザインは十分に可能だった筈なのに、その点に努力が成されたようにも見えない。AIが状況に応じて動くという機能の方は相当難しいとは思うのだが、クリア順によるマップ内状況の変化の方は単なる設定だけなので実現はそんなに困難では無いはずである。それなのにその様な工夫が組み込まれていないという点からは、結局どういう狙いで作られたゲームなのかが見え難くなっている。 |
GAMEPLAY |
上記のリプレイ性に関わる記述は一般論であり、マップ全てに共通した話ではない。その辺について以下にマップ毎の違いについて言及しておく。前半の3個のマップはデザイン的に似通っており、それぞれの目標の独立度が高くてリプレイ性が低い。各エリアがやや離れているので、どこかに取り掛かったらそこをクリアするまでは他のエリアへは向かわないで居座るという形になる。要はどのエリアを先に攻略するのかの変化が生じるだけで、実質リプレイしても変化に乏しいのである。またそれ程マップに高低差が無く、広い範囲を見渡せる様な地点があまり無い。或いはそういった場所も有るのだが、降下時には降り立てないので(建物の内部から上らないとならない)大きな変化が生まれないとなっている。 4,5番目のマップはデザインが異なり、目標の数が多くなってそれぞれが地形的に固まった様なデザインにもなっている。例えば目標Aとなる「3個のXXを破壊せよ」をこなしている最中に、近くの別のエリアに入り込んだので先にそこの目標Bへと向かったりという事も起きる。その分マップに広がりが感じられないというのは難点だが、それぞれが近いので気が向いたら別の目標へと移り易い。またそれぞれの目標が近いのでクリアの順番によって多少の変化は生まれるという点も異なる。例えば「建物の上階に居座るマシンガンを排除せよ」という目標を先に達成した場合、そこから視界に入る別の目標地点にてマシンガンの攻撃が止むのでやり易くなったりする。 マップ全体を通して見晴らしが良く、高低差も大きくなるというのも異なる点。高い場所に敵の据付マシンガンやスナイパーが存在するようになるので、地上からはかなり高い位置にも注意を払わないとならなくなる。逆にプレイヤーからすると下からは上れないような非常に高い位置に降り立つ事で、高台の敵スナイパーを先に排除したり広い範囲に渡って下方の敵を攻撃したりが可能になり、地上エリアに向かう前に下の状況を大きく変えたりも出来る様になっている。ただしいきなり高所に降り立つと、同様に自分自身も敵のスナイパーから狙われ易くなるという危険性は持っている。全般的に見て前半のマップに比較するとかなり面白い作りになっていると言えよう。 最後にラストのマップは特異な構造を持っている。なおこの最後のマップはシークレットみたいな話を聞いていたのだが、実際には既にゲームプレイ用ムービーで公開されていた"Flak Tower"の名前で知られるマップであり、マニュアルにも解説が載せられているので秘密でも何でも無い。ただMoHシリーズの”史実に忠実なゲーム”というイメージを覆すような敵がこのマップには数多く出現するという点は(正確には前のマップで初めて出現する)、ネタバレ的な要素として隠しておくべきシークレットとは言えるだろう。 ここはマップの大部分が高く巨大な塔になっており、他のマップとの大きな違いとして、最初に降りた地点から他の場所への移動が困難というデザインになっている。例えば地面に降りた後にいきなり塔の最上階に向かおうとしても、敵の攻撃が激しいのでそれは困難である(死んで再度降下する手は有るが)。つまり降下後の移動の自由度は最も低いのだが、皮肉な事にそれがこのマップの面白さ&リプレイ性の高いにも繋がっている。ただし最後のマップという事で非常に難易度が高くなっており、それが折角の面白さにマイナスとして働いているというのは残念。具体的にはスタート地点は塔の上からでも下からでも良いのだが、下からのスタートが不利過ぎて大抵は上から始める事になってしまう。それと内部構造が相当に複雑で、一旦目標階よりも降りてから別の階段を使って再び上へ行かないとならないとか迷い易いのもマイナス点。 初回のプレイ時間はNormalなら6-8時間程度。少なくとも一回分はリプレイ性が有ると思うので、それを足して10-12時間程度はプレイ可能となり、極端に短いというゲームではない。ただリプレイ性が高いとも言えないので、初回で飽きてしまった人には短いゲームとなるだろう。その意味でマップ数がもうちょっと多かったらとは感じる。 物理エンジンはUE3のデフォルトであるAgeia(旧名NovodeX)を改造して使用しており、新しいタイプの物なのでその評価についても書いておく。マップ内のオブジェクトに関してはほとんど動いたりはせず、機能は主に死体のラグドール計算に使われている。新しい所とは「物理エンジンと連動したアニメーション・システム」であり、ゲーム内のキャラクタと弾丸には共に運動量が設定されていて、これをアニメーションと組み合わせてリアルな表現を可能にするという物。これまではその場に止まっている敵を撃とうが、こちらに向かって走ってくる敵を撃とうが、攻撃力が同じだったら死んだ場合に行なわれるラグドールの処理に変化は無かった。しかしこのゲームでは走って来る敵の運動量がちゃんと計算されており、押し返す銃弾の運動量がそれに勝れば今までのように背後に吹っ飛ぶが、釣り合うならばその場に倒れ、前進する運動量の方が勝るのならば前のめりになって且つラグドール処理が行なわれた状態で倒れ込むようになっている。 実際に見てみた感想としては、確かに一律後ろに吹き飛ばされるという画一的な表現にはなっておらず、ちゃんと走って来て前向きに倒れ込んだりする敵も存在している。また死体には重量感も感じられて、ゴム人形の様な軽さと柔らかさは感じられない。だが粗も目立ち、特に前へ飛ぶ時に不自然な勢いで飛んだりする事が有るのが目に付く。これまでとは異なったタイプのラグドール表現として面白かったが、同様に解決すべき問題も併せ持っている。 |