次の頁     TOP

GRAPHICS
 初期段階のオリジナルのエンジンから、途中でUnreal Engine 3へと切り替わっている。どの程度の独自改造を施しているのかは不明。

 従来よりキャラクタのアニメーションや表情の変化といった点には特に力を入れてきたシリーズだが、今回も独自のテクノロジーとして"e-cap" (emotion capture animation system)を開発しており、これはキャラクタの動きや顔のアニメーションを感情に合わせて変化させるというシステム。ただこれはムービーのシーン以外はそれ程目に付かないし、他のゲームの同様の機能に対して特別優れているという感じもしなかった。

 キャラクターに対してはNormal Mappingが使用されており、かなり細かい造形が成されている。マップ内のオブジェクトの作り込みも細かく、いろいろな場所が壊れていたりと使い回しを感じさせない。テクスチャの質については悪くないが優れているというレベルでもない。ただこちらも均一な物を使い回しているという感は無く、上手く現実風にランダムな模様として見せるのに成功しているとは感じる(UE3ではその機能を備えているので、EAがそのまま使っているのかも知れない)。

 エフェクト系統では濡れた石畳の表現が目を引くが、それ以外は特別印象に残った物は無い。スモークのエフェクトや、モーション・ブラーの表現も従来レベルに留まっている。逆に気になった点では、HDRの表現がピカピカと強く光り過ぎる表現で不自然。手榴弾の爆発エフェクトが特殊で妙な表現になっている点。空から降下する際に下のオブジェクトが徐々にポップアップして見えて来るのも頂けない。エラーとしては影が床を抜けて下のフロアに投影されてしまうという問題が見受けられる。

 ゲーム内にはグラフィックス関連の設定は存在せず、事前にセットアップ用のプログラムからしか行えない。また設定可能項目自体も少ない。ワイドスクリーン設定には対応している。なおUE3という事でこのゲームにもアンチエイリアスの設定は無い。よって低解像度でのプレイだと弱点になる。

 グラフィックスにインパクトは感じられないが、その分同時期の他のFPSと比較するとパフォーマンスとしては軽い部類に入るのではないかと思える。綺麗さと重さのバランスとしては上手くまとまっているとも言えるだろう。


SOUND
 サウンドについては特に悪いとは感じなかったのだが、これまでの同シリーズはサウンドを大きな売りとしていただけに不満が残る出来映えである。周囲の喧騒の音が少なくてそこら中で戦闘が起きているという雰囲気がしないので迫力が感じられなかった。

 SP設定は4CHが無く2CHの次が5.1CHとなっており、この構成が選べないSP構成だと3D再生が上手く行かないかも知れない。

 武器のサウンドについては、オマケのムービーで実銃の録音風景を見れたりもするし凝っているのは確か。ただ13本の独立したマイクで録音を行ったという話だが、最終的にはそれを合わせて2CHにミックスダウンしないとならない訳で、そうなると素材を基にしてどんな音にするのかはサウンド担当の人間の考え次第という事になって来る。実際に撃っている人間の耳元で聞こえる音が良いのか、横に立って聞いている時の音に近い方が良いのかという判断も有るし、ユーザーのSPの再生能力を考えて低音や高音をブーストした音に加工するという調整も入って来る。他にはリアルであっても長時間の再生でプレイヤーの耳が疲れるような音は避けたいという考えも有る筈。
 その意味でこのゲームについては自然で耳疲れしないような音になっている様に思え、その為にやや迫力不足という印象である。あまり低音・高音がブーストされておらず、ダイナミックレンジが狭く感じられる。大きなSPで音を大きくしてプレイするのに適したバランスにも思えて、TVに接続してプレイするコンソールに合わせたデザインと言えるのかも知れない。

 或いは5.1CHでサラウンドを構成する際には、センターのSPを質の良い物に変えると効果が有るというのはよく言われる話であり、その点でCSPからの再生を重視しているのでやや迫力が足りないという可能性も考えられる。私の場合はCSPにはLRと同じ型の小型SPを使っているのだが、これは音色を合わせるという意味では有利な反面、迫力に欠けるという問題を持っている(とは言えPCの周辺に大型の良質なSPを何個も置くのは無理)。ただもしそうだとしてもUE3を使っているのだから、PC用にEAX対応を行って貰いたかった。



MULTIPLAYER
 マルチプレイについてはほとんど試していないので概要だけ。

 プレイにはEAアカウント(無料)が必要で、既に持っているのならばそれが使える。ゲームではこのアカウントによる成績管理システムを導入している。

 最大参加人数は12人と少ない(今後のパッチで増加予定)。アンチチートにはPunkBusterを採用。モードはノーマルなTDMの他にTDM Airborneと呼ばれるモードが含まれており、これはAllies側が空からマップ内に降下して来るという設定。後はマップ内の3箇所の旗を奪い合うObjectiveモード。

 マルチプレイについては発売直前までほとんど情報が出て来なくて、シングルプレイに注力しているので大して力が入っていないとも噂されていた。実際にコンテンツが充実しているようには見えないし、かなりシンプルなデザインに留まっていると感じられる。公式Forumを見ても不満の声が多く、適当に作られて充実していないと非難もされている。宣伝に重要となるPC版向けのデモは依然としてリリースされていない。
 現時点(2007/11)でサーバーを見る限りは多ければ100人程度は集まるようだが、やはりこの程度ではとても成功とは言えないだろう。パッチを含めて追加コンテンツのアナウンスも行われているが、今更出してももう遅い(年内予定だった何本かのマルチプレイ用ゲームが既にリリース済なので)という雰囲気になっている。今後の巻き返しは難しいだろう。

変 更 内 容
 2006年当時とはゲームのデザインが大きく変わっているので、その辺の過去のデータを参考までに記載しておく。


 マップのサイズは一辺がKm以上と相当に広く、クリアまでには相当な時間が掛かるという設定だった。

 Objectivesの数は10個以上と多く、最初はプレイヤーに対して明確には示されない。プレイヤーが降下してから一番近い目標がアナウンスされる形式で、プレイヤーの移動によって次々にメイン及び達成が自由なサブのObjectivesが明らかになるので、リプレイ時には全く新しいObjectivesが現れたりするという風になっていた。

 マップ内全部を回る必要は無く、プレイヤーの採ったルートに応じて最終的に幾つか用意されているマップのクリアとなる目標が出現するという形式だった。

 降下地点としてマップの大外部分等は安全だが、目的地に到達するまでにマップ内の状況が変わってしまう可能性が有るというリスクを持っていた。

 主人公が二人存在しており、同じマップを別の主人公でニ回続けてクリアするというシステムだった。最初にPathfinder(海軍におけるNavy SEALsの様な存在で、空軍におけるエリート揃いの特殊部隊であり、本隊の降下前に先に目標地点に降下し、ビーコンの設置・索敵による敵の情報収集・味方が攻撃を受けないように敵の設備等を破壊、といった作戦行動に当る部隊)Eddie La Pointeとして降りたち、ステルス重視のミッションをクリアしないとならない。このクリア状況が次に別の主人公でのアクションパートのプレイ時にマップ内に変化を及ぼすと言われていた。
 しかしこれは「ミッションを二つに分けてプレイするというのが上手く行かない」、「ステルスの要素がゲーム性とマッチしなくなった」といった理由から、前半のPathfinder部分がカットされている。

 Vehicleに乗れるという要素は、実際にWWII当時製造を担当していた会社と契約して実物をモデリングした物を出すという所まで進んでいたが、マップが小さくなった関係で意味が薄れた為に全面的にカットされている。

 戦場でのAIの動きはリアルタイム制で、プレイヤーの到着を待ってスクリプトで動き出すようにはなっていない。例えば味方が敵の攻撃を受けて苦戦しているという設定が、プレイヤーが角を曲がった途端にスタートするというのではなく、こういった戦闘はAIがマップ内のあらゆる場所で自発的に行うようになっていて、何時どこで戦闘が勃発するのかはプレイヤーの行動に関係が無い。プレイヤーはタクティカル・マップで周辺の敵味方の動きを知る事が可能となっており、これを見て次の行動を決定する。もし味方が敵の攻撃を受けている場合、そこに急いで行って援護をするか、周辺を探し回ってアイテム集めを優先するか、はたまた無視して別のルートを通るのかは自由。ただし遅れた場合には既に味方が全滅しており、その先を不利な状況で敵軍に相対しないとならなくなったりする(勿論到達した時点で味方の勝利で決着しているというケースも有り得る)。これはほぼ全面的にカットされた。

 上手く降りないと木に引っ掛かったりして時間をロスするという要素は、降下を複雑にするのが好まれない・面白くならないというテスト結果からカットされた。

 武器をアップグレードするには、その為のアイテムを事前にマップ内を探索して見つけておかないとならなかった。

   次の頁     TOP