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シ ス テ ム
 基本的なシステム面ではAAとは大きく変化している部分も多い。

*難易度
 最初から4種類の内から選択可能(Easy, Normal, Hard, Realistic)。ゲーム途中での変更は出来ない(行う方法は有る)。

*Objectives
 TABキーで行うべき目的は常に参照可能。コンパスに方向のみ表示される(通れる道の場所等には関係なく純粋に直接の方向を指す)。そして通常のObjectivesの他にHidden Objectivesという物が存在しており、言わばSecondary Objectivesの様な物でクリア自体には達成の必要は無い。普通のゲームと違うのは"Hidden"と有るようにプレイヤーにはその内容は明示されず、達成した時点で初めてクリアした事がリストに表示される仕組み。つまりそんな物が現在存在しているのか自体がプレイヤーには分からないので、達成は相当難しい部類に入る。Medalsの獲得に深く関わっており、これを全て達成しないとコンプリートは出来ないようになっている。
 Hero Momentsと呼ばれるObjectivesも有って、これは何等かの勇敢な行為をした場合に達成となる。こちらも特にこうすれば達成というのがプレイヤーに明示されないのでコンプリートは難しい。メインの画面から達成一覧にアクセスが可能で、その時の回想音声が流れるようになっている。

*WEAPON
 武器は同時に2種類しか持てないようになっており(AAではPistol, Rifle, Sub-Machinegun, Machinegun, Heavy Weaponという種類別に一つずつ所持可能だった)、ゲーム性への影響も大きい。GrenadeとSatchel Chargeが固定所持となり、その他の2種類を選択する事になる(Pistolも2種類の内に含まれる)。敵の武器も拾って所持可能。代わりに捨てた武器は一定時間経過すると消えてしまうので、何を持つかという選択は重要となっている。

 Iron Sightへの切り替えを採用。セミオート等へのMode切り替えは無し。デフォルトではDynamic Crosshairを採用しており、連射すると徐々に照準が開いていって弾が散るようになる。OptionでStatic Crosshairへの切り替えも可能となっており(デモには無く製品版で追加された)、この場合連射すると銃身が跳ね上がっていくのは同じだが照準は開かなくなる(より当たり易くなる)。

*基本動作
 所持武器で移動速度は変化。スタミナの概念は持っていないので幾らでも走る事は可能。シングルプレイでもLeanが可能になっており、Proneする事も出来る。命中率やスコープの安定性はCrouch >Proneという順に上昇する。

*Corpsman
 ゲーム性に大きな変化をもたらしているのがこのCorpsman(Medic)というシステムになる。ダメージの治療は原則的にCorpsmanを使うようになっており、マップ内に置いてあるMedikitを使うという方式ではなくなっている。プレイヤーは部隊内にMedicが存在する場合、Helpキーで呼び出して治療をしてもらう事が可能(コンパスに居場所表示)。その時のHPの値に関わらず全回復してもらえる。ただしプレイヤーがCorpsmanを使えるのは同一マップ内で4回までとなっており、それを使い切ったらもう回復してもらう事が出来なくなる。
 Medicが存在しないケースや、マップの難易度が高いとされている場合には、従来の様なMedikitがマップ内に置かれていて使えるようになっているが、全体の割合としては用意されているマップは少ない。

*Verge of Death
 死の扱いも新しいシステムが採用されている。HPが0になった場合でも即死亡扱いにはならず、宙を向いて倒れて画面がボヤけた様な状態となる(Verge of Death)。この状態でHelpを呼ぶ事が可能で(自動的にも来る)、一定時間内に治療を受ければHP100となって復活可能である。Corpsmanが間に合わなかった場合や、既に4回の回復を使い切っている場合には死亡となるのでLoadしてやり直し。

*Bleeding
 Easy, NormalではデフォルトではOFF、Hard以上ではONとなる要素であり、プレイ中にOptionから自由にOn/Offを選択可能である。HPが一定以下になった場合(赤表示)、bandage(包帯)で処置をしないと徐々にHPが減って行くというシステムで、一時安全な場所に隠れてから治療を行わないとならなくなる。

*Save
 Cheackpoint Saveで記録は全て残る。ただしその間隔は長い。任意箇所でのSaveやQuicksaveもサポート。



戦    闘
 このPAは前作のAAほど絶賛された訳ではないし、話題性という面では遥かに目立たなかった存在である。ただし見方によっては過小評価されている作品でもあり、その点から先に書いておこう。

 御存知の通りにAAは大ヒットしたゲームであり、通常FPSをプレイしていない層にも広く支持された作品でもあった。その続編となればファンからは期待されるのは当然であるのだが、実はこのPAはゲーム性がAAとは結構異なっているゲームである。AAは傑作とはされながらも批判された点も幾つか持っていた。

*背景設定や雰囲気はリアルだが、反対に武器を沢山持てたりとか攻撃が当たり過ぎるとかリアリティに欠ける
*プレイヤーがスーパーマンの様に強く、アクション性が強過ぎる
*たった一人で行動する事が多く作戦として不自然

 PAはこういった不満を修正する方向で作られており、スピーディーなアクションFPSだったAAからもっとリアル寄りになったゲームであると言える。しかしその方向転換が受け入れられたのかと言うとそうでもなくて、AAのゲーム性が良かったのに改悪されてしまったと感じた人が思いの他多かったようだ。製作チームとしてはよりリアリティを増すという方向性が理想的でも有るし、要望にも応える形にもなるという考えだったと思うのだが、逆にその変更によってフラストレーションが溜まるゲームとして否定的な評価を下されたりもしている。
 最初から全くの新作としてややリアル寄りのアクションFPSという宣伝で出ていれば良かったのだろうが、あまりにも有名な前作のイメージが強過ぎて、それを期待していたかなりの数のユーザーに失望されてしまったという事になる。それが全体での平均点を下げるという事態を招き、そして過小評価という結果につながっているように思える。確かにAAの様なゲーム性のFPSをプレイしたいという人(あのアクション性が高い所が好きという人)にはお勧め出来ないが、だからと言ってPAの出来自体が悪いと言う訳ではない。単にPAはAAとは違うタイプのゲームという事であって、どちらを気に入るか(または双方を別物として同時に評価するか)はその人次第である。私自身もPAでの路線変更は正しいと感じている方なので、実際にどういう風に変化したのかを、以下にゲームのメインとなる戦闘面について解説してみる。

 まずは通常の射撃については、デフォルトのDynamic Crosshairではフルオートで撃ち続けると照準が開いてしまうので、AAの様に連射で撃ち捲くるという事は出来なくなった。モード切替は持っていないので、マシンガン系では手動で小刻みなバースト射撃を行ってやるという形が有効となる。新規に加わったIron Sightであるが、こちらはそれ程正確にはならないという設定となっており、多くのFPSにおける「Iron Sightにさえすれば相当正確に当たるようになる」というのとは異なっている。それ故にちょっと全体のバランスが独特で、Iron Sightにしても大きくは正確性が増さない代わりに、通常射撃での命中率はそこそこ高いという仕様
 よって前線に出て行っての敵との撃ち合いでは通常の射撃モードが中心となる。Iron Sightにすれば正確性は増すがそこまでしなくても十分に当たるし、構えてしまうと移動速度が遅くなって敵の弾が当たり易くなる上に、PAでは目線に上げた銃による視界の遮りがかなり大きいというリアル路線なので周囲が見え難くなるという問題も起きてしまう。基本的には距離の離れた場所にいる敵を狙うのにはIron Sightを使うというケースが多い。

 AAとは異なる戦闘に関わる様々な制限要素について。まずAmmoは全般に少な目になっており、部隊内に弾薬を配給する隊員も存在していない。ゲーム後半に行くほど気にしなくても良くなるが、逆に前半はシビアな箇所も多くなっている。またAmmoはその辺に落ちていたりしないので、敵の小屋とか武器置き場を探し回って確保しないとならず、クリアしたら周囲を探索をせずにとにかく先へというプレイスタイルだと困る可能性が高くなる。これには弾の種類分けがより細かくなっており、敵の落とした武器から米軍用の武器の弾を回収出来ないケースも有るという点も影響している。なお弾はストーリーとして連続しているマップの場合には切り替え時に補給されるケースもある。照準が開くので乱射してもしょうがないという点も併せて、気楽に撃ち捲くっているとマップ終盤で泣きを見る可能性有り。
 手持ちの武器の弾が尽きたら日本兵の落とした武器を奪っても良いのだが、日本軍の武器は米軍に比較して劣っており、例えばライフルはボルト・アクションなので一発毎に間が空いてしまう。当然所持武器が二つだけという条件も強く影響しており、自分の好みの武器の弾が少なくなった場合に、それを捨てて使い難い武器にチェンジするか、それとも先で弾薬が手に入る事に賭けて持ち続けるかという選択を迫られる事も。

 武器のリロード時間が長くなっており、特に(ライト)マシンガン系(Bar等)や一部のSniper Rifleは相当時間が掛かる物有り。サブマシンガンも平均して1秒程度長くなっているそうで、1秒延びただけとは言っても戦闘中においてはかなり長く感じられる。リロード時間が長くなれば、それだけ敵の前に出てオープンに撃ち合うという行為は難しくなる事になる。移動速度についても同様の事が言えて、重いマシンガンを持っていると極端に遅くなる仕様。
 物陰からのLeanというのは基本でも有るのだが、このゲームのLeanは結構視点が下に沈むようなデザインとなっている為に、ジャングルでこれを行うと視界が草の中に入ってしまって前が見えなくなるので使えない場合が多いという難点有り。正確性が最も上がるProneも同様の理由でジャングルでは無意味な場所が多いし、通常の場所においてもこの状態からの移動速度が極端に遅く、ちょっとした段差も乗り越えられないので使う機会はあまり無い。

 そしてジャングルにおける戦闘もアクション性を妨げる要素となっている。草が茂っている場所では敵の位置が分かり難いし、夜だったりすると尚更分かり難い。このゲームでは手加減無しと言うか、「ゲームとしてプレイし易くなるように、草はそれらしく生やすが見え難くならないように調整する」といった事はされておらず、(それ程そういった場所の比率が多い訳ではないが)見えない場所では本当に見えないというレベル。敵のAIは透過型で草を通してこちらを見られるのに対し、プレイヤー側からは見えにくい上に攻撃を受けてもその方向は表示されない仕様。よって仲間が撃っている方向を頼りに(味方AIも同様に透過するので敵を発見可能)敵を見付けたりしないとならなくなっている。木の上に隠れていてより発見しにくいSniperもいるので、AAでの悪名高いSniper Townの様な難所も有り。
 ジャングルに限らず脅威となるのが敵のマシンガン掃射であり、ダメージも大きく一気にHPを削られてしまう。よって新規のエリアに踏み込む際にはよく観察してからでないとならず、どんどん先へ先へというプレイスタイルは相当不利になる。マシンガン掃射を排除するのに遠方から攻撃するというケースが多くなるので、Rifle系の武器を確保しておかないと辛いのと、Sniper Rifleを見付けているかどうかで大きく変って来るという事も多い。

 中でも最もゲーム性に影響を及ぼしているのがCorpsmanの存在である。基本的にマップ内にMedikitは存在しないので治療には彼に頼らないとならない。Corpsmanの4回の治療だけではキツいというマップには併せてMedikitも置かれていたりするのだが、全体としては割合は少ないし、むしろ置いて有るマップはそれに頼っても治療が厳しい位の難易度となっている事が多い。
 ポイントとなるのは「プレイヤーが治療してもらえるのはどのマップでも4回のみ」という点(他のメンバーは無制限)。実際問題としてこのゲームでもAAの様に5,6人の敵の集団相手に正面から撃ち合って倒す程度の事は可能である。しかしそうやって倒す度に治療をして貰えるほどの余裕は無いというのが問題となる。敵から受けるダメージはAAよりも高くなっており、「倒れたらMedicを呼んで治療すればOKで、それは4回も有れば十分」という程易しいバランスにはなっていない。

 それと治療さえ受ければ常に全回復してはもらえるのだが、逆に言うとどのタイミングで使うかという判断が難しくなっている。HP=0の瀕死状態(Verge of Death)になった時点で使えば良いのだったら簡単なのだが、Corpsmanが間に合うとは限らないとなっているのだ。これはその時の自分との距離にもよるし、周囲の他の仲間の状況にもよる。Corpsmanの治療優先順位は、一番が自分自身、次に近い場所で倒れている隊員となっており、プレイヤーが優先して治療してもらえる訳ではないので、回数数が残っていても治療が間に合わずに死んでしまう事も発生する。よって「限られた回数を使ってしまうのはHPがもっと危なくなってからでないと勿体無い」として今は治療をせずに危険を冒すか、安全策で治療をしてから戦うかという決断をしないとならないケースが多くなっており、これはゲーム中に面白い要素として働いている。
 勿論全てのマップがそういうバランスではなく、中には治療は4回も使わずに余裕でクリア可能なマップも多い。しかし初回プレイにおいてはその先マップがどの位長くて、また難易度が高いのかの予想が付かない為に、「とにかく突っ走ってダメだとなったらやり直す」というプレイスタイルでもない限りは、どうしても慎重にならざるを得なくなる。ダメージを受けない点を最優先に考えて遠方からの慎重な攻撃や、Leanを多用しての撃ち合いを狙ったりが多くなるし、或いはマップの序盤でミスって治療を一回使ってしまったらLoadしてやり直すとか、必然的にスローペースでの進行になってくる。


 総じて全体的にリアル寄りになっており、進行ペースもスローダウンしている。これに似ているゲームとなると思い浮かぶのは、ジャングルが多いのと部隊制というのもあるがVietcong (2003)になるだろう。あれ程リアル寄りではないが、AAとVietcongの中間辺りのバランスにするとこうなるという感じである。私はVietcongが好きなので今回の変化したPAのゲーム性も気に入っている。ただそれと同時に「AAの様なゲーム性を期待して購入したが失望した」という意見も理解出来る。つまりこのPAのゲーム性がどの様な物なのかを理解した上で、そういうタイプが好きという方であればお勧めしたい作品となる。

 最後に補足として戦闘面で書き残した点を少々。武器で殴り付けるMelee Attackが用意されており、これは結構多用する事になる。理由は日本兵がBanzai Attackを仕掛けてくるケースが多いのと、リロードが遅いのでその間に攻撃された場合の反撃手段として有効、そして弾の節約にもなるし威力も強力なので。
 手榴弾は威力も効果範囲も狭くなっており、AIの優秀さもあって敵を倒すのはかなり難しい。その分敵の投げた物でのダメージも低くなっており、Shellshock効果で一時動けなくはなるがあまり気にしないで良いのは楽な点。Satchelは投げられる距離が短いのと爆発までに最低でも5秒は掛かるので使い所は限定されており、手榴弾の代わりに使うという訳には行かない。忍び寄って背後から使うか、敵のトーチカに対して使う(周辺に置いて内部の人間にダメージを与える)のが主となる。

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