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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度はEasy / Normal / Hardの三種類で、プレイ中に変更は出来ない。アンロックされたミッションはリプレイ可能となるので、ここでミッションの最初からならば難易度を変更する事が出来る。


セーブ&ロード
 チェックポイント方式。一箇所のみを上書きして保存する方式で履歴は残さない。


OBJECTIVES
 テキスト表示で現在の状況確認と、HUD表示キーによって目標地点を確認する機能を持つ。マップも見られるが縮尺の問題でほぼ役に立たない。


EXTRAS
 PC版には実績機能無し。


英語
 字幕機能有り。仲間の隊員から指示を与えられるケースが結構あるので、なるべく理解出来た方が良い。ただ必ず指示に従わないとならないという訳ではないので、クリアする事自体は英語が解らなくても何とかなるだろう。

GAMEPLAY
 全部で10チャプターから成り、難易度Normalにて5〜6時間程度のボリュームと短い。ライバルのModern Warfare(Call of Duty)シリーズもシングルプレイが短いと批判される事があるが、もっと短いという印象である。リプレイ用に各チャプターを別モードとしてプレイ可能な“Tier 1”が設けられてはいるが(後述)、これを気に入る人が多いとはちょっと思えず、大半の人に取ってリプレイ性も低い事になる。


 プレイヤーが操作する事になるキャラクタは全部で4人。進行に応じてチャプター毎に切り替えられ、プレイヤーによるプレイ順の選択肢は持っていない。

・AFO Neptune(Tier 1)のコードネーム“Rabbit”として、Mother, Voodoo, Preacherと4人チームで行動する
・AFO Wolfpack(Tier 1)のコードネーム“Deuce”として、相棒のDusty(パッケージの人物)とコンビで行動する
・第75レンジャー連隊(陸軍)の“Dante Adams”として、Sgt. Patterson, Cpl. Hernandez, Sgt. Ybarraと4人チームで行動する
・AH-64 Apacheの射撃手“Captain Brad Hawkins


 それぞれの登場回数は順に5:2:2:1。MWの様に複数の主役格キャラクタが存在するという設定ではなく、メインの主人公としてラビットが位置付けられていて、その他のキャラクタはあくまで脇役的な扱いになっている。

 各操作可能キャラクタは明確な外見やボイスを持っておらず、プレイヤーにとっては「自分自身がプレイしている」感覚は得易い方。だがゲーム全体が短い割にはキャラクタが次々に切り替わってしまうので、第三者的な外部視点からゲームを眺めているかの様になっているのはマイナス。更に主人公のパートが全体の半分程度しかないので、「本当の主人公」という印象も薄くなっている。これだけ短いのならばバラエティさを犠牲にしてでも、もっと主人公のパートを増やした方が良かった。



 操作するキャラクタ別にゲーム内容を見てみよう。まずは主人公ラビットとNeptuneチームのメインパートだが、ステルスで慎重に進める事もあれば、シンプルな撃ち合いもありという構成で、終盤以外はオーソドックスな作りとなっている。ただしこのパートには弱点が在って、それはゲームのテーマと実際のゲーム性が合っていないという点になる

 例として敵の集団を発見したケースで、プレイヤーは「静かに」と命令されて、その後見付からないようにして敵を4人チームで取り囲み、合図と共に敵を一斉攻撃して倒す。しかしプレイヤーは「自分のHPが自動回復」で且つ「味方が無敵」というのを知っているので、(10人以下程度の数ならば)わざわざそんな事をしなくてもいきなり銃撃戦に持ち込んで勝てると感じてしまう。それなのに慎重に取り囲んでから倒すという作戦にはリアリティが感じられないので、その様なシーンに違和感が生じる訳だ。

 つまり製作チームの「映画を観ているような感覚ではなく、実際に自分(チーム)がアフガニスタンにいるかのように感じてもらいたい」という宣言通りに、Tier 1という特殊部隊の活動をリアルに描くという点を最重要視するのならば、この様なアクションFPSではなくて、(昔の)Ghost ReconRainbow Sixの様なもっとリアル系のゲーム性にするべきだった。(ヘッドショット被弾一発で即死, ボディーでも数発で回復の手段も無し, セーブ箇所少ない, 武器の命中率は体勢を安定させないとずっと低い等)。

 上記の例ほど極端にする必要は無いと思うが、少なくとも「出来る限り被弾を避けないとならない」, 「下手をすると味方が死亡(ダウン)してしまう」という設定にしてこそ、慎重に敵を取り囲んでから皆で一気に攻撃して反撃を許さないようにして倒す、という行為に説得力が出て来るのだが、そうはなっていない。ゲーム内でチームが採る慎重な作戦行動は現実に即してリアルなのだろうが、ゲームバランスとしては単なる普通のアクションFPSなので、そんな事をする必要が無い為に変に思えてしまうのだ。


 これに関連して、戦闘の規模が小さいという問題も在る。米軍からコンサルタントを招いてリアリティを高めるという手法は過去作と共通で、今回も実際に戦争に参加した兵士達が協力している。その証言からミッションが製作されたりしているのだが、リアリティとゲーム性のバランスを取っている結果として、派手な戦闘シーンや大規模戦闘は少な目である。ライバルのMWではリアリティをほぼ無視しており、同じく4人チームで進むシーンにおいても、「実際のところはこんな数を相手にするのは無理だろう」という位の敵が登場したりもする。あくまでもゲームバランスとして、どの位の敵を出すのかを決めているという立場。

 しかしこのゲームではリアリティを考慮しているので、4人チームでの戦闘に相応しい程度の数しか敵が登場しない事が多い。「たった4人しかいないのに、こんな状況ではあえて戦わない」という観点から、大量の敵相手に派手な撃ち合いをするという様なゲーム的なシーンが減らされている。中には敵の数が多いシーンも登場するのだが、そういう場合はやはり現実的に航空支援のイベントになり、プレイヤーはガイド役となって空からのロケットや機銃攻撃をサポートするだけで、敵との銃撃戦には持ち込めないようになっている。

 結果的に銃撃戦においては敵の数が少ないという設定で、もしリアル系ならば納得出来るレベルの数なのだが、アクションFPSとしては敵の数が物足りないのである。言ってみれば敵の数が少ないMWの様になっており、当然難易度も低目となる。そして難易度が低ければ緊張感も低下し、困難な極秘任務を遂行する特殊部隊としてのリアリティも薄れるという話に。発売前に繰り返されていた「同じ現代戦にシフトしたと言っても、このゲームはMWとは全然違う物になる」というコメントは確かに間違ってはいないのだが、悪い方へと違ったゲームになってしまっていると感じられる。


 こうなってしまった理由自体は理解出来る。あわよくばMWレベルの一千万本越えを狙うとなると、コアゲーマーだけではなくライト層にも受けないとならない(と言うかこのクラスになると、むしろライト層の方が重要視される)。しかしリアル系にしてしまうのは初心者には受けが悪く、特により売り上げに重要なマルチプレイの方で嫌われる危険性が高い。従って一般的なアクションFPSのゲームバランスを採用せざるを得ないという話になる。個人的な意見としては、シングルプレイとマルチプレイは別物なので、思い切ってシングルプレイの方だけリアル寄りのゲーム性にしても良かったのではないかと考えている。折角のTier 1という設定が十分に活かされていない。

GAMEPLAY(続)
 Wolfpackのデュースとしてコンビで行動するチャプターでは、キャラクタの役割はスナイパーとなる。その他には敵を避けてステルスでの行動もあり、真っ向からの銃撃戦は比較的少な目。スタンダードなラビットのパートに対して変化を付ける為に設けられたと思われるが、実際に効果も挙げているという評価になる。チャプターが2つというのも適当だろう。なお相方のダスティがプレイアブルなキャラクタではないのにパッケージに起用されているのは、彼が現実のTier 1の隊員をモデルにしているからだそうだ。

 レンジャー部隊のアダムスとしてプレイするチャプターが2つ。彼の役割は機関銃手(M249)。このパートは一言でいえばMWそのもの。設定として巻き込まれ型を採用しており、予想外の出来事によって4人チームで大量の敵を相手にせざるを得なくなった、という風にしている。広い戦場で戦うシーンが多く、敵の数も多目で定番の防衛ミッションも含まれる。プレイ感はMWとほぼ同じで、そして皮肉な事にこのパートが一番面白い。アクションFPSのバランスにマッチした数の敵が登場するからで、更に広範囲な戦場なので迫力も十分。これも小規模戦闘中心のメインパートからの変化球として設定されているのだろうが、あまり多くしてしまうとゲームがMWと似てしまうので、配分としてはこの2章程度で正解と思われる。

 ヘリの銃座についてプレイするホーキンスのチャプターは、CoDシリーズでも使われている定番の兵器搭乗物。歩兵ミッションから目先を変えてプレイする為に用意されている。ここでは操縦はパイロット任せとなり、プレイヤーは攻撃に専念するので自由度は低い。敵の対空攻撃を自分で避ける事は出来ないので、RPGの敵を撃たれる前に倒すといった形になる。攻撃についても結構アバウトで、「実際にそうなっているから」と言われればそれまでなのだが、目標地点に表示される大きな四角内に照準を合わせてからヘルファイアミサイルを発射すれば、後は勝手に自動で目標に命中してくれるので、面白味という点では今一つのミッションである。


 現代戦とは言えアフガニスタン紛争という史実の舞台設定が在るので、MWシリーズの様なオリジナルで破天荒なストーリーがある訳ではない。終盤に来てようやく盛り上がりを見せるが、そのまますぐに終わってしまうので物足りなさは残る。このストーリー面はTier 1の行動のリアルさを重視するというコンセプトからも、地味になってしまうのは仕方のない所であろう。

 ロケーションはアフガニスタンだけだが、単調にならないように風景には変化が付けられている。ただしMWほどでは無い。マップは特別に広くはないがそれなりのサイズ。しかしブロックされて通れない場所が多く、プレイヤーの進行ルートは限定されている。


 スクリプトによる進行はかなり多目で、特殊部隊のリアリティを追求というのもあるのだろうが、プレイヤーが勝手に動けるというシーンは少ない。例えば仲間がゆっくりと進むシーンでは自分も走れなくなり、勝手に撃たせないようにしたいシーンでは強制的に銃を下げて撃てなくなる。或いは銃撃戦の最中に通路を味方がブロックしていて、スクリプトによってその先に進むのでそれまでは行かせない様にしているという箇所まである。後はやたらと高い段差を登るのに味方に手を貸されて引き上げられるというイベントが出て来るのも不自然。

 その他ではイベント発生時に敵が空間に沸いて出てくるのが見えてしまったり、イベントでプレイヤーに倒される為にずっと棒立ちで待っているというのが見え見えの敵が居たりと、スクリプトによる演出は露骨過ぎてあまり良い出来映えとは思えなかった。次のイベントを起こすトリガーが解り難いシーンもあって、HUDの示す地点に向かっても何も起きず、結局は一定時間が過ぎると発生するイベントだったりもする。


 一緒に行動するメンバーだが、キャラクタが立っているとは言い難い。唯一ダスティは個性的な外見且つコンビの相方なので印象が強いキャラクタになるが、ラビットの仲間3人は特に個性的ではないので顔やボイスが印象に残らない。メンバーの個性を際立たせるという狙いならば、カットシーンにおいてメンバー同士がやり取りする様な場面をもっと盛り込むべきだったと思う。むしろそのカットシーンで何回も出て来て意見を戦わせるColonel DruckerとGeneral Flaggの方が強い印象を残すキャラクタになっている。


 その他に気になった点として、頻繁に専門用語が出て来るというのがあった。キャラクタ同士の会話において軍事関連の略語が次々に出てくるので、カットシーンの内容やプレイ中の指示がどういう意味なのかが解らなかったりする。特に米軍における部隊名等の略語。(或いは「NODを取れ」と言われたりするが、後で調べるまで何の事か解らなかった等)。解らなくて進めなくなる事はないと思うのだが、話に入って行けない感は出てしまう。

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