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GAMEPLAY
 ゲームのロケーションは南米・東南アジア・中央アジア・ロシア・USAの5つのブロックに分かれており、それぞれが幾つかのマップから構成されている。全部で18マップとなり、その中の3つはボート・ヘリ・トラックに乗ってのレール・シューティング。マップ数の割にはボリュームはあって、クリアまでには15-20時間程度掛かると思われる。特に最後のUSAのパートが異様なまでに長い(全体の1/3位はある)。
 マップはアウトドアとインドアが混在しており、Serious Engineを採用しているだけあってアウトドアはそれなりに広い場所も多くなっている。しかし非常に広大な場所と言うのはほとんど無いし、割合としては結構インドアの部分も多いので、開放感という点ではSamほどではなくなっている。

 基本的に多数の敵相手のシンプルなシューティングであり、パズル・謎解き要素は薄い。ガスを吸い込んで飛んで行なうジャンプパズルや、コンボにより宙に浮かした敵をバスケットのボールの様にして上手く撃ちながら運んでやり、指定の場所に入れる事でSWを動作させるパズルが用意されている程度。ゲーム全体の雰囲気はSam同様にユーモアと言うか”お馬鹿”な雰囲気が漂っており、シリアスな雰囲気はほとんど感じられない。開発チームの話では、明るさ・ユーモアに”お色気”要素を加えたゲーム性を狙ったそうだ。


 ゲームのメインとなっているコンボシステムについて。まずコンボはそれ程簡単に実現出来る訳ではなく、連続してカウントを上げるにはそれなりのテクニックが必要である。コンボ中でも敵にダメージを与えるので、弱い敵では敵が途中で死んでしまって回数が続かない。よって或る程度耐久力を持った強い敵が出て来た際には狙い目となる。しかしそれでも回数を伸ばすには「出来るだけ敵にダメージを与えないようにする」という通常のFPSの概念とは真逆の攻撃を行わないとならず、わざわざ敵から狙いを外してやり、「ダメージが少なくなるが、外して落ちてしまう程度ではない」箇所を狙って撃ったりする事も必要になる。敵との距離を適当に保ち、あまり近付いてダメージを高めないようにするのも重要。

 左右武器はそれぞれが独立したリロードとなっており(キーが別)、しかもリロード時間がかなり長い上に、弾切れでリロードになるまでも早い(特にアップグレード前)。よって折角敵を跳ね上げても途中でリロード動作が入ってしまいチャンスを逃がしたりする。この欠点を補う為の機能としては、プレイヤー自身の操作能力(キー捌き)を上げる事で対応が可能という風にしている。リロード時間については左右独立の武器サイクルキーを使うことで短縮が可能。三回押せば元の武器に戻る訳だが、この際に武器の交換を担当する背中のMariaが武器をリロードしてくれるので、専用キーでのリロードよりも早く完了させられるようになっている。
 また左右の武器を独立してコントロールする事で、片方にリロードが発生する際には反対の武器で攻撃を切らさないようにするという管理も可能。例えば左Shotgun・右Rocketで構えておいて、右Rocketで浮かせた後に左Shotgunでコンボ攻撃し、その間に右Rocketを切り替えキーでShotgunに切り替えてやって、左Shotgunが切れた瞬間に右Shotgunに切り替えて攻撃し、そうなったらすかさず左の切れたShotgunを切り替えキーでRocketにスイッチして次なるRokect攻撃に備えると行った具合。

 コンボとの絡みで人によって変化が生じるので、ゲームの難易度についても(総合的には普通だと思うが)何とも言えない面を持っている。コンボで敵を攻撃するメリットは幾つか有って、例えばコンボを成功させるほど金が貯まり新武器やアップグレードが早く行えるので後の戦闘の際に有利になる。また空中に跳ね上げられた敵は攻撃が出来なくなるので、普通に陸上で撃ち合うよりも有利。
 逆にコンボを行う際には宙に浮いた敵を狙って撃たないとならないので、他の敵からの攻撃に対して無防備になってしまうという弱点がある。普通に戦って倒す事に集中すれば難易度は減少するが、それだと金が稼げないので新武器やアップグレードが手に入らずに総合的な火力という点では不利になってしまう。

 コンボというシステム自体はユニークな発想として評価したいし、また良く考えられているとも思う。ただ「プレイヤーに対してコンボを行う事を推奨する」というこのシステムの導入によって生じるマイナス面も大きいのが問題点。その第一に普通のFPSと比較すると確かに多いのだが、NFでは敵の数がSamやWill Rockの様なゲームに比べると少なくなっており、大量の敵が一気に押し寄せて来るといったシーンはほとんど含まれていない。これは戦闘のスケール感という観点からは弱点となる。何故こうなっているのかと言うと、コンボをしている最中はその他の敵から攻撃を受けてしまうので、あまり多く出してしまうとコンボ中に受けるダメージが大きくなり過ぎるからという理由と見て良いだろう。
 武器についても同様である。コンボ用の3個セットと他4種となり全部で7種と少ない。またその中でSniper Rifleは滅多に使う物ではないし、最終兵器のNukeも単にダメージが大きいというだけで弾数は少ないし爽快感が感じられない凡庸な物となっている。Grenade Launcherも使用感はあまり良くなくこれも地味なイメージ。要するに爽快感が高く強い武器を数多くプレイヤーに渡してしまったら、コンボを狙わずに普通にその武器を使って戦われてしまうので、コンボを行う事を強制するには制限せざるを得なかったという事だと思われる。
 コンボ用の武器の能力の低さもそうだ。コンボする事に大きな意味を持たせる為に、それで金が稼げて武器のアップグレードが可能になるという設定を盛り込んだ。ところがそういう設定にしてしまうと、アップグレード前の武器の能力は当然低くしないとならない。よってゲームの前半では連射性が低くてやたらと戦闘中リロードが入ってしまう武器を使って戦わないとならない羽目になりストレスを感じてしまう。

 またコンボを優先させる関係上、敵との接近戦が少ないのも難点。コンボを連続させるにはそれなりに遠距離から攻撃してやらないとダメージが大きくて早く死んでしまうので距離を置いて戦う事が多くなるし、コンボ中に他の敵からの攻撃を受けないようにするには離れていた方が有利である。それと敵を宙に飛ばすロケットは自爆ダメージが有るのでその意味でも離れて戦う事になりがち。他にMariaの鞭はほとんどの敵を一撃で倒せるので危ない状態においては役に立つのだが、プレイヤーの意思とは関係無しにこれを行う為に、連続コンボのチャンスとなるタフな敵にうっかり近付くと勝手に倒されてしまう危険が有るという理由も存在する。
 よって近距離で戦うのはどうせコンボが続かない体力の無い雑魚ばかりといった具合になって、突進して来る敵をギリギリまで引き付けて交わしながら攻撃するという面白さを欠いている。


問  題  点
 武器はそれなりに撃ちまくれるシーンが多いが、このタイプのゲームとして重要な爽快感という点では物足りなさが残る出来となっている。その原因の第一は銃器系を持った敵が多く、敵の攻撃を見て交わすという要素が薄いから。こちらに突っ込んで来る肉弾戦タイプの敵も少ないので、避けながら撃つというアクションにならない。単に敵の攻撃を止める為に早く倒すという片方の要素だけが強調されてしまっている。
 第二に敵は普通の人間タイプがほとんどとなっており、ドラッグの影響なのか妙な頭身になった変な体付きの者は存在するが、大半はサイズ的に普通の人間という範囲に収まっている。更に戦闘が遠距離主体になるので、余計に幅が細くて小さい敵ばかりと戦うという印象が強く、大きくてタフな敵との戦闘が滅多に無い。数が多くても大きな敵が出て来ないと倒したという達成感は低くなり、よって爽快感に結び付かない。
 第三にプレイヤーの武器の破壊力が抑えられている分、ロボット系等の耐久力のある敵との戦闘が大変になってしまう傾向にある。なかなか破壊出来ないのでストレスが溜まるし、ロボット系はコンボが出来ないので余計に倒すのが困難になる。

 コンボを使うか普通に戦うか、両手持ちの武器の組み合わせの選択、片方ずつ撃ってスイッチしながら攻撃を切らさないようにするか同時撃ちで一気に倒すかの選択等、コンボのシステムは戦闘において状況に応じての戦略性に幅を持たせている。その意味でプラスになっている面は確かに存在する。しかし常にコンボを意識せねばならないので、敵を倒す事に集中出来ないという問題あり。純粋に多数の敵と撃ち合って倒すのではなく、そこに条件を付けられて戦っているのでどうも熱中度という点で今一つである。
 コンボのシステム自体に問題は無いのだが、ハッキリ言ってしまえば大量の敵相手の撃ちまくりゲームには合わないのである。コンボさせる事をメインに据えるならば、敵の数がそれなりに多い程度のノーマルなFPSとして別のデザインにした方が良かったように思える。コンボは連続させる方が爽快感が高くなるはずなので、敵がもっと高く飛んで落ちてくる速度が遅いとか、撃つと再度上に高く跳ね上がるとかいろいろと調整は可能だろう。宙の敵を一回跳ね上げてからその間に地面の敵を攻撃してやりその後再度コンボに移るとか、何人もの敵を宙に舞わせて落ちないように順に撃ってコンボを連続させるというようなシステムも考えられる。コンボ以外のパートでは稼いだ金で購入したもっと強い武器で普通に戦えるとか変化を付ければ良い。それなのに、コンボはしないとならないが、その間に他の敵が多くて撃たれるので、コンボにのみ集中する訳にも行かないという中途半端なデザインになっている。

 ダメージについては比較的寛容な設定であり、結構HealthとArmorは多いしその最大値も高目である(数値ではなくバー表示だが)。ところがこういった回復アイテムのほとんどが箱やオブジェクトを壊さないと出現しないようになっている。車や飛行機の様なロケットを何発も撃ち込まないと破壊できない物も有るし、そもそもどれが壊せる物なのかがハッキリ分からない。また敵の数が多い場所やボス戦ではこういった箱が多くなっているが、いざ戦闘が始まってしまうと先に壊さないと拾えない為に難易度が上がってしまうので(或る意味ではタクティカルな設定だが)、可能なら遠くから先に壊しておくとかの作戦も必要になる。敵が片付いた後に何発も撃って壊して拾って回る時も面倒である。

 敵の攻撃に問題の有る箇所が結構多い。角を曲がったり部屋に入った途端に攻撃されるというパターンはよく有るが、このゲームではその反応速度がやたらと早い箇所が結構存在する。特に自動砲台やロボット系の敵に多い。普通だと角から身を出して撃っては隠れるの繰り返しで破壊したりするが、出た瞬間に高速でスプラッシュダメージが凄いロケットが飛んで来るのでダメージは避けられないというケースも。始まってロードされた直後に突然撃たれてしまうという箇所も有り。
 その他だと木々でこちらからは見えない場所からエリアに入った瞬間に攻撃されるとか、アクセス出来ない場所からMortarで砲撃を連発されるとか、ジャンプ系のアクション中に攻撃を受けるとかストレスが溜まるシーンが多い。最後に明るい場所は明るいが、暗い場所ではライティングが少なくて相当暗くなって見え難くなるというのも戦い難い点(暗い場所ではbrightnessを調整してやらないとならない位に暗い)。

 終盤のデザインも問題あり。逆にこちらを宙へと打ち上げるコンボ武器を持った敵が出現するようになり、頻繁に空へと飛ばされてしまう。それだけならまだしも、対応しようのないタイミングで突然敵が周囲に現れるので、ほぼ全てのケースで滅多打ちに遭う事になる(撃たれる前に倒し切るのは不可能)。よってその滅多打ちによって生じた逆のEcstacy Modeを利用して状態が元に戻る前に出来るだけ倒し切るか、敵の出現の瞬間を憶えておいて先に弾を撃ってから動いて出現させるか、といった戦闘になってしまう。もしHPが十分に無い場合には最初の集中攻撃で死んでしまうので、過去のセーブに戻ってやり直さないとならない可能性もある。

 マップのデザインは単に道を進んで行くというだけで工夫といった物はあまり見られない。ただこれはSamでもそういう面は有るので、使い方や見せ方に問題が有ると言える。例えば先にも書いたが非常に広い場所での戦闘といった開放感が感じられない点とか。しかし幾ら何でも終盤の同じ様なデザインが繰り返されただけの延々と続く構成には閉口させられた

 敵の種類は相当多く、ロケーション毎にちゃんと存在する敵が異なっていたり、ボス戦も用意したりと飽きないような工夫が行なわれている。デザインはユーモア狙いなのか奇妙で粗っぽい物が多い。しかし魅力的な敵はほとんど存在していないのは残念。Autoaimのマシンガンでないと倒しにくい ニワトリや、鞭を巻き付けて瞬間的にこちらにやって来る奴。コンボ出来ない上にタフな空飛ぶロボット、バイクからロケットを放って来る敵、爆弾を抱えて超高速で突っ込んで来る親父等、対処するのが面倒な敵しか思い浮かばない。それと同じエンジンのSamでも発生するが、角に引っ掛かってスタックする敵の割合が明らかに元祖よりも多い。

 ユーモアについてはそれ程成功しているとは感じられない。 ラスボスの脱力するような馬鹿さ加減は或る意味凄いが.....。感心したのはゲーム終了後のクレジット画面か(洒落た仕掛け有り)。

 デモの時程ではないようだが、オブジェクトとのクリッピングのエラーが発生する。敵自体が壁の向こうへと入ってしまったりや、壁や床を通して弾が当たってしまうといった問題。特に倒した敵の数をカウントして扉を開けるといった場合には敵が居なくなると困った事になる。

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