COMBAT |
操作体系は非常に単純で、左右へのリーンはもちろん屈みの動作すらない。武器切り替えは一瞬で行えて、リロード動作も無いという仕様である。ジャンプは連続でタイミング良く飛ぶ事で加速されるようになっており、これはQuakeworldでのBunnyhopの感覚を再現するという意図と思われる。広いレベルを移動したりするには便利だが、タイミングの要求されるジャンプの時には反って難しくなったりもしてしまう。また飛んだ後に空中での姿勢制御が結構可能なのも特徴の一つ。 敵の種類はバラエティに富んでおり、優れたAIを持っている訳ではないがデザイン的には良く出来ている物は多い。死にそうになると切腹して自爆するEvil Samurai、こちらの溜めているソウルを吸い取ってしまうBones、動きをスローダウンさせるガスを出すDevil Monk、チェーンを使ってこちらを引き寄せるExcutioner、武器を使用不能にする魔法を使うPsychonun、味方を掴んで縦にするSkull、死にそうになると体内から蜘蛛を放ってくるLokhi等、様々な特殊能力を持った敵が存在している。 戦闘の感覚は難易度によって異なるので、その難易度別に解説してみる。 標準的な難易度であるInsomniaの場合、簡単であるとは言わないがアクションFPS全体の基準から判断すると易しい部類に入る。これには幾つかの理由があるのだが、最も大きな問題と感じるのはチェックポイントでヘルスが100まで回復するという点。チェックポイントの数はそれなりに多いので、その為に死の危険性が大幅に下がっている。第二に武器が非常に強力であるという点。特にショットガンのサブ攻撃であるFreezerで凍らせてしまい、それをメインのショットガンで砕くというコンボを使うと堅い敵でもほぼ一発で倒せるというのは超強力。それに通常ロケットランチャーの弱点は接近されると自爆があるので撃てないという点だが、PKではチェインガンとの組み合わせとなっているのでその心配が無い。デフォルト武器のPainkillerについても多彩な攻撃方法が用意されており相当に強力である。 第三に弾薬が非常に多い。通常だと強力な武器はその分弾薬数が少ないとなっているものだが、このゲームでは全般的に弾数が多く、それ程レベル内を探し回って弾の回収に努めなくても足りてしまうし、探せば持ち切れない位の量が見付かったりする。その為にあまり残り弾数を気にせずに攻撃が出来るので、その分攻撃力がUPしている。そして敵の攻撃力がやけに低いというのもある。チェックポイントでのヘルス回復を+30といったように制限するか、もう少しダメージが入るようにした方がバランスとしては良かったように感じる。 Insomniaはやや簡単な造りという事から、普段FPSをプレイされている人ならばNightmareから始めるのが適当と思われる。ここではチェックポイントでのヘルス回復が無いのと、敵からのダメージもUPするのでバランスが良くなっている。最初からこの難易度で始めるのと、Insomniaでプレイしてある程度のタロットを獲得してから来るのでは難しさには差が出るが、少なくとも“"Nightmare”という単語から連想されるような難易度ではないので、最初からでも大きな問題にはならないだろう。 いきなりNightwareから始める場合の不利点としては、「Insomniaで一度プレイしていない分、敵の出現パターンが分からない」, 「最初からタロットを持っていないので難しくなる」, 「幾つかのカードは難易度が上がると取るのが難しくなる」, 「一度クリアしてしまうと、タロットを集めない限りはTraumaへは行けないのでリプレイ性が失われてしまう」等。 Traumaではソウルの概念(Demon Morphも)が無くなっているので、回復手段が置いてあるヘルスしかない。その上に敵の攻撃ダメージが非常に大きい為に難易度が高くなっている。しかし弾薬量と敵の耐久力及び数は変化しないので、それ程極端には難しくならないという印象であり、他のFPSでのHardの上に設けられている最大難易度と比較すれば易しい部類となる。 またソウルが最初から無いので敵に接近する必要性が無くなり、常に逃げながら攻撃する事に集中出来るので、レベルによってはNightmareから難易度に変化が無いという物もある。タロットは使わないと流石に辛いレベルは出てくるが、それでもちょっと強力過ぎるという感も。 まとめとして、このゲームは武器が使い易い上に弾薬が多い為、撃ち捲くりの爽快感を持っているのは確か。しかしそのパワーが強過ぎて、爽快感の代償に緊張感に欠ける面があるのは否めない。やはり撃ち合いが面白いFPSゲームとは適度に自分が倒されるかもしれないという緊張感を感じさせる物と思うのだが、PKにおいてはあまりそれを感じさせる箇所が無い。特に難易度Normalに位置付けられたInsomniaでは、FPSをやり慣れている人だとカードの援助無しでも易しく感じられてしまうと思う。死ぬ可能性としては、ボス戦及び倒し方が分からない敵との戦闘, ジャンプ失敗で落ちる, 爆発に巻き込まれる(オブジェクトの爆発ダメージは相当に高く設定されている), ロケットやグレネードの自爆ミスといった事がほとんどになりそう。Nightmareではさすがに難易度が上がるが、半数程度のレベルでは武器と敵の関係から難しさが大して増加しないし、残りについても強いカードを使ってしまうと同じ事になる。 レベル毎の独立性が高いというのは前に書いたが、難易度に関しても同様であり後半に行くほど難しいという風にはなっていない。難易度は単にそのレベルによって変わるという設定で、本当にバラバラという印象である。ロケット/チェインガンが存分に使えるようになる後半よりも、むしろ2,3章辺りの方に難しい物が有ったりする。後はどうやったら倒せるのかが分からないと駄目なボス戦が難しい所になっている。 最後に全般的な問題点として、「難易度が変化しても敵の出現パターンが変わらないので変化に乏しい」のと、「出て来る敵のタイプによるのだが、難易度が上がってもあまり手応えが変わらないレベルが結構有る(こちら側が御し易い敵だと、弾が十分に有るから攻撃される前に倒せてしまうので同じ事になるという意味)」というのを挙げておこう。結論としては難易度のバランス設定には疑問が残る出来である。 戦闘に独特な要素を加えているのがソウルという存在である(ただしTraumaにはソウル自体が無い)。敵の死体からソウルを回収出来て、それがヘルスにもなるし特殊能力の発動にも関係して来るというシステム。特にPKではレベル上に置いてあるヘルスが少ないので、Nightmareでは体力回復出来るソウルは重要な要素となっている。しかし厄介なのはこれの回収がすぐには出来ないという点。死体がソウル化するのは3秒後辺りで、且つ出現してから10秒間程度の間に回収しないと消えてしまう。その為にソウルの回収を狙う場合には戦い方から考えないとならない。 敵が群れを成して迫って来る場合に一番安全なのは後退しながら攻撃する方法だが、倒した敵がソウルとなるのを止まって待つ訳には行かないので下がり続けないとならず、全部を倒し切ってから取りに戻るとなると間に合わずに消えてしまう。グレネード等で上手くまとめて倒すという手もあるが、これは数が限られている時しか使えない。そこで倒しながら敵のいる方へと突っ込んで行って、敵の攻撃を出来るだけかわしつつソウルを拾い、そのまま逆方向へと向きを変えて下がりながら再度敵を引き付けるといった動きを繰り返す等が必要になって来る。よってそこら中から敵が沸いてくる場所では、ソウル回収と敵を避けるのにあっちこっちへと相当忙しい事になる。いずれにせよソウルを回収するという行為には敵から攻撃を受ける可能性が増すというデメリットがあり、また高速ジャンプでの移動の連続で大変という事にもなってしまう。つまりソウルの回収にこだわらずに敵を倒す事に専念してその分ダメージを受けない様にする戦法と、ソウルをひたすら回収してダメージの分を埋めるという戦法を状況に応じて使い分けるという要素が含まれている。 Insomniaでは敵の攻撃が弱いので割と敵の中に突っ込んで行って回収という手段が有効であるが、それをやらないとならない程にはソウルによる体力回復の必要性を感じない難易度。逆にNightmareではソウルでの回復は重要であるが、敵の中に突っ込んで行くのはダメージが上がっている分危険となる。よってNightmareでは上手くソウルが回収出来るように敵の群れを分断するといった誘導も重要な要素となっており、これは単純な戦闘に変化を加えるという観点からは面白いアクセントになっているという印象。 次にソウルを66個集めた時に使えるDemon Morphについて。Insomniaでは別に無くてもOKだが、Nightmareでは相当に有用な特殊能力なので、ここぞという時に出せると非常に役に立つ。66個目を取った瞬間に発動してしまうので、無駄な場所で出ないように上手く溜めていかないとならないのは面白い。65個で止めておくとアクシデントで取ってしまったりも起きるし、63,4で止めておくとイザという時に発動まで時間が掛かったりする。製品版では64個以降は一瞬画面が変化するので、気が付かずに発動させてしまうというトラブルも解消されている。 ボス戦はゲームの一つのハイライトであり、ボスのデザインや動きの素晴らしさも含めて良く出来ている。しかし若干の問題もあって、ある特定の手順を踏んで倒さないとならないタイプのボスが多く、中にはその方法がかなり解り難い物がいる。また先に挙げたように物理エンジンでのオブジェクトの崩壊を扱っているボス戦では、取るべき物の位置を予め確認しておかないと不利になるという面を持っている。 それと詳しくは書けないが最後のボス戦は残念ながら出来が悪い。倒し方が判らずにやっている内に何故か勝ててしまい、その後倒し方を知った為に達成感が無い(知らない限りは倒せない様な方法ではなくて、偶然にでも倒せてしまうような方法になっている)。またこれはバグなのか、このラストに限りボスの体力メーターが動かないのも不味い点になっている。もし偶然に倒せない場合には、倒し方が判らぬままに延々とプレイする羽目になる為だ。ここは掲示板でも不満が多いようで、ラスボスなのに上手く行くと簡単に倒せてしまうという点からも問題だろう。 |
タロットカード |
1stデモをプレイした段階で気になっていた要素。それは何かと言うと、ゲームの難易度が「プレイヤーがカードをある程度集めている」のを前提として調整されているとなると、これはカードを手に入れる為の条件を満たすように各レベルをプレイする事を強制されてしまうのではないかという件である。 この心配に関しては製品版ではちゃんと調整されており、Insomniaにおいてはカードの必要性は無い程度に作られていると感じた。最初Insomniaでプレイした際には最後まで一枚もカードを使用しなかったが、その条件下でも先に書いたようにやや簡単なバランスで作られているので、「カードの取得の為に条件を守らないとならないのは面倒」と考えるプレイヤーに取っても問題は無い。むしろ自分にとってハンデとなる様な達成条件の場合、それを遵守するプレイで敢えて難しくしてバランスが上手く取れる位である。逆にカードを集めて使うのが面白いと考えるプレイヤーには、Insomniaではあまりに簡単になり過ぎるという問題はある。 難易度の上がるNightmareでは役に立つという風になるが、それでも幾つかのカードはあまりに強力という印象であり、やはり使うと簡単になってしまう怖れがある。実際のところ全く必要が無いレベルが1/3、開始時のヘルスを150にするカードだけ有れば後は要らないレベルが1/3、後のレベルでは他のカードが有れば楽になるという程度。取り合えずカードに興味無しというプレイヤーでもクリア出来るようにはなっている。 Traumaにおいて初めてカードは結構重要となって来て、半数程度のレベルではこれ無しでは相当難しくなる。しかしそれでもまだあまりに強力過ぎるという感は否めない。それと折角23枚集めてここに来ても、ソウルに関連するカードは意味無し&同じ能力で下位のカードは必要無しと、ここでは役に立たないカードを除いてしまうと、実際に選択出来るカードの幅は狭く、レベルによってのカードの使い分けの余地はほとんど無い。8枚程度の中から選ぶといった感じであり、最初から強いカードを置いたら、そのまま最後まで全く同じカードでも進められると思う。 結局カードを最も必要とするのは、あるレベルにてアンロック条件をクリアする為に使う時であり(カードの援助無しには条件クリアが不可能に近いレベルが有る)、その意味ではゲーム中で使用を強制するでもなく上手く活かされている要素と言って良い。 しかし問題もある。まずは小さな方から書くと、カードの使用にはゴールドが必要という点。カードを使わない人には関係無いが、カードを頻繁に使おうと思ったらゴールドを集めないとならない。一つにはHoly Itemを発見する事だが、これはシークレットに隠されている事が多くて見つけるのは相当難しい。それ以外となるとオブジェクトを破壊して中から出てくるコインを集める事になるが、オブジェクトはそれこそ100個以上存在しているし、出て来たコインは時間が経つと消えてしまう。よって目に見えるオブジェクトを次々に壊しながら逐一そこから出るコインを拾い集めるという地道な行為を行わないとならなくなっており、これは相当面倒臭いか或いは詰まらない作業と感じる人も多いと思われる。 最大の問題はTraumaをプレイするにはカードを全て集めないとならないという点。もしカードのアンロック条件がそれ程難しくは無いのならば納得も出来るが、実際には全部のカードをアンロックするのは極度に難しくなっている。原因は「レベル内の全てのシークレットを集めよ」といったタイプの探索型の条件があるせいで(何故シークレットがそんなに難しいのかはシークレットの項で解説)、この為に単にTraumaをプレイしたいという人の希望を阻害している。Nightmareから始めた場合、クリア後により高い難易度でプレイしたいと考えるのは当然だと思うのだが、それにはカードを全部集めないとならない。難易度をアンロックする条件がFPSゲーム本来の要素に関わっているのならば分かるが、シークレットを見付けないとならないという点に掛かっているというのは訳が分からない。私もそうだが結局こういう仕様にすれば、こんな事はやってられないと感じる人は誰かのセーブをもらってTraumaをプレイする事になるだけであり(実際にそうなっている様だが)、ここは将来的にはパッチで修正してもらいたい点である(Nightmareをクリアしたら無条件でTraumaがプレイ可能等)。 |
STORY |
当初は過去のアクションFPSの様にストーリーには重きを置かないというスタンスだったのだが、DCとの契約後に基本となるストーリーに変更が加えられた。これはインタビューを読むとDC側主導での作業だったようだ。「シンプルなシューティングゲームにはストーリーは必要無いという考え方も分かるが、我々の会社はストーリーが非常に重要というアドベンチャーゲームをメインに手掛けており、その立場からたとえそういった類のゲームであっても、より面白くする為にはストーリー展開は重要と考えている」。これに関連してゲーム途中のCGムービーも盛り込まれる事になった。 しかし結論から言うとここはPKの大きな弱点となってしまっている。DC側の付け加えた新しいストーリーの効果がゼロだったらまだ良かったのだが、逆に新しい設定がゲームの雰囲気をおかしくしてマイナス要素となっているからだ。契約した時点でゲームのコンテンツは概ね完成していた訳であり、そこからストーリーを変えようとしたので、既存のコンテンツが新しいストーリー設定とは噛み合わなくなってしまったのである。 まずゲームをプレイしている時に感じる大きな違和感として、「自分が戦っているここは一体何処なのか?」という点がある。設定では主人公ダニエルは煉獄に留まっており、戦っている場所は“天国と地獄の狭間の何処か”(或いは煉獄)とされている。私は煉獄というのがキリスト教的にどういったイメージの物なのかよく解らないのだが、何と言うか霊的な特殊な空間というイメージはある。しかし実際のレベルには軍用基地・オペラハウス・港・駅といった現実世界風のレベルが多数含まれており、煉獄には人間界と同じ様な場所が存在していると考えても何か変な感じは否めない(文字の書かれた看板とかも有るので現実世界としか思えない)。かと言って現実世界に降りて戦っているとするのはストーリー設定と合致しない。更に登場する敵もレベルのイメージと合っていない所が結構有って、完全に現実風の背景に奇妙なモンスターが出てくるという調和の無さが感じられてしまう。このレベルの統一感の無さはゲームの世界に入り込めないという観点から大きなマイナス要素となっている。 以前よりこのゲームの紹介記事を見ておられた方にはお分かりと思うが、この矛盾は過去のストーリー設定で作成されたコンテンツを無理に新しいストーリーで使おうとした点に原因がある。例えば「Painkiller」というタイトルからして製品版の設定では考えてみれば変なタイトルであり、このストーリーであれば「煉獄」の方がまだ適当だろう。これは元々「主人公がPainkillerというニックネームだから」という理由で付けられたタイトルであり、それを主人公の設定が変わってしまった為に、武器の名前の一つに付けてうやむやにしたのだと思われる。 ゲームの以前の設定をここに書くと、主人公はPainkillerの呼び名で知られる賞金稼ぎ(左SS)であり、彼は通常の人間には見る事が出来ない霊的な存在を倒す事が出来るという特殊能力を持っていた。その能力を活かして人間界及び霊界(天国&地獄)から、現実世界の様々な場所に巣食っているモンスター(Demon)を一掃するという仕事を請け負っていたのだが、、或る依頼を境にして地獄を二分する二大勢力の争いに巻き込まれる事になるという物(この二大勢力というのはゲームをクリアした方ならピンと来るはず)。 これからも分かる様に、実はゲームの戦闘の場所の多くは煉獄ではなくて元々は人間界なのである。人が行かないような僻地や人間がいなくなった跡地に拠点として悪魔がその配下のモンスターを住まわせているという設定であり、霊的なタイプと現実的なタイプの異なるレベルが存在しているのは、それぞれの勢力が主な拠点としている場所が異なっているから。またレベル間に関連性が薄いのは、オリジナルのデザインではプレイヤーが二つの勢力のどちらに与するかで進行順を選べるという設定になっていた為に、レベル間に連続性を持たせるという意図が薄かった為である。つまり元の設定ではホラー的な要素はもっと希薄であり、単なるシューティング・ゲームとしての意味合いが強かった訳だ。この設定の下に作成されたレベルを、作り直す時間が無いのでそのまま新しいストーリーに強引に組み込んだから話がおかしくなってしまっている。 単なる一般人の様に描写されているダニエルが何故こんなにも武器の扱いに長けていて強いのか?も違和感を感じさせる部分だが、これは上に書いたように本来は殺しを生業としたヒットマンの設定だったからである。同様にレベル内でゴールドを集めまくるという設定は主人公が賞金稼ぎという観点からは当然の行為であるし、Holy Itemもそれに関連した目的で作成された物だろう。それをストーリー変更後にタロットという要素を加えた際に、それを使う為のゴールドと設定変更されたと思われる。 天界の為に戦っている主人公がソウルを66個集めるとDemonになってしまうというのも製品版の設定ではおかしな話だが、これはオリジナルの設定では自らのパワーアップの為に強大なDemonであるSammaelと契約した際に(最初の設定では彼は天使ではなく悪魔)、回収した敵のソウルを彼の元へと転送すればそのエネルギー分の褒賞として変身能力を与えられるという契約から生まれている。またチェックポイントが悪魔に関連する紋章であるペンタグラムなのも、悪魔の力を借りて仕事をしているからというのが本来の理由。 もしこういった矛盾が有っても、それなりに新しく組み込んだストーリーが面白ければまだ良かったのだが、このストーリーとやらが相当に問題有り。章毎に挿入されるムービーには力が入っているのは確かだが、結局内容的には最後までよく分からない個所が多いというのが一つ。例えば何故ダニエルだけが天国に行けなかったのかは最後まで明らかにされないまま。そして力を入れて組み込もうとしたストーリー自体が単純で面白味がない。更にエンディングもかなり疑問の残る出来映えであり、この終わり方は一体?と感じてしまった。一般的に言うバッドエンディングと取れる終わり方である。続編への伏線と取れない事もないのだが、実はこのゲームには別のエンディングが存在しており、Traumaをクリアした際に見られる物がそれである。このTraumaのエンディングは一応のグッドエンディングと取れる内容であり、これが存在している以上は他の難易度でのエンディングは続編への伏線とは考えられず、単にバッドエンディングとして置かれているとしか思えない。 問題はこの真のエンディングを見るにはTraumaをプレイしないとならないが、それには全てのカードをアンロックする必要があるという非常に厳しい条件をクリアしないとならないという点と、そこまでプレイしない人が多いと考えた場合には、この通常編の終わり方はどうだろうと感じさせる点である。更に言うなら他のムービーに比べてこのTrauma編でのみ見られるムービーはアッサリし過ぎで拍子抜け。最後の物ならばもっとちゃんとした物を用意するべきだろう。 |