問 題 点 |
他で言及していない点について。 モンスターとレベルのバラエティさに関して。PKではその基本的なコンセプトとして、レベル毎にデザインを独立させてやり、そこに登場するモンスターも出来るだけダブらないようにするという考えで作成されている。それ故に登場するモンスターの種類は相当に多いし、ある特定のレベルでしか出てこない敵というのも多く存在している。また外見的にほぼ同じタイプであっても、登場レベルによって攻撃方法が変化するという差を付けているという工夫も見られる。よってプレイするレベル毎のバラエティさについては(ゲーム全体を通しての統一感が薄いという問題は別にして)確かに感じられる。 しかしその反面、限られた数のモンスターを24個のレベル内にバラして配置してしまった関係上、同じレベル内に出てくる敵の種類は少ないという問題点を生んでしまっている。つまりゲーム全体という広い視点で見るとバラエティに富んでいるのだが、ある特定のレベル内という単位で見た場合には単調になってしまっているのだ。数百体という数で出てくる敵が3,4種類の物からなっているレベルが多く、そうなると同じレベルの中でのプレイにおいては同じ敵がずっと出てくるので飽きて来てしまうという話である。この点に関してはもうちょっとレベル毎の独立性を犠牲にしてでも、同一レベル内の敵の種類を増やしてやった方が面白くなったのではないかと感じる。 PKでは全体的に敵の速度が遅く、プレイヤーが逃げる速度よりも速く移動出来る敵というのが相当少ない。或いは高速な飛び道具系の攻撃を仕掛けて来る敵が少ない。その為にプレイヤーがアクセルジャンプ(ジャンプを連続させるとドンドン加速して行く)で逃げて体勢を立て直すというのが可能になっていて、敵の攻撃を自分の正面という一方向に絞り易くなっている。挟み撃ちの様に敵が出てくる箇所はあるにはあるのだが全体的には少なく、出て来ても敵が遅いのでプレイヤーに有利な様に上手く誘導し易いという風になっている。この点についてはもっと移動速度の速い敵を多くするか、敵の出現方向が背後からとかといったパターンを多く含める方が面白くなったように思う。それと併せて敵の動きが遅い関係上、高速で敵が動き回るゲームに比べると戦闘する度の局面の変化に乏しくなるという面も持っている。 スクリプト的なバグが多い。全て敵を倒したはずなのに扉が開かないとか、特に発売当初はいろいろと問題が出ていた。 弾薬のケースは大きいのだが色が地味でちょっと分かりにくいケースがある。あまり派手に色を付けるのもどうかとは思うが、もっとハッキリと遠方からでも存在が分かるような彩色にした方が良いと思う。 |
GRAPHICS |
オリジナルのPain Engineにて製作されており、DX9を必要とする新世代エンジンという事になっているが、極限までクオリティを追求というタイプではなくて、パフォーマンスを考えてある程度は妥協しているという印象を受けた。昨年度までのゲームに比較するとやはり綺麗な部類なのだが、驚くほど綺麗という感じではない。 優れている点は建物等のオブジェクトが細かい所まで作り込まれている点で、非常に複雑な形状の物がレベル内に多数含まれている。レベルエディターに含まれる様な単純な形状作成ツールでは満足の行く物が出来ないという事から、レベル内に使われているオブジェクトのほとんどは3Dモデリングツール(Maya)で作成した物をインポートするという形を取っており、手が掛かっている分見映えも良い。ホラー系のレベルではその雰囲気が存分に表現されているし、現実世界系のレベルでは写真をそのまま撮り込んだかのような細かさを実現している。 暗いレベルにおけるライティングの効果はなかなか良い出来。しかし影生成に関してはシンプルなレベル。Doom IIIやDeus Ex: Invisible Warの様な複数の光源からの複雑な影生成というプログラムが組み込まれていないようで、影の効果は他のゲームとそれ程大差無し。固定された光源からの影にはライトマップ(事前に影を作成しておいて張り付ける手法)が使われているようだし、そもそも影の効果が顕著に見られるレベルが少ない。これについては大量に敵を出すという要素を考えると複雑な影生成は負荷が大き過ぎるという判断なのかも知れない。 同じくノーマルマッピングについてだが、これは武器や敵の体表面への効果として使用されていて確かに綺麗である。しかし敵の種類によっては使われていないようだし、壁や床の表面といった場所には基本的に使用されていないようだ。その為にオブジェクトの表面の表現は従来のゲームと変わらないレベルに留まっている。テクスチャは出来るだけレベル毎に異なった物を用いるという予告通りに相当多彩な物が使用されている。しかしこれもパフォーマンスを考えてなのか、それ程高解像度の物を使っているという印象ではない。特に広いレベルではメモリ使用量を考えてか、他のレベルに比較して若干クオリティが落ちる印象。 Particle系のエフェクトはクオリティが高く、武器や敵、各種オブジェクトに使われているが派手でいて綺麗である。特に袋に入って落ちている花火?を撃った時の効果は見事で、弾けて光の線となって飛び回り連鎖して次々と破裂したりするのには戦闘を忘れて見とれてしまう。Bloodは派手に出るが、死体と同じでそれ程画面内には残らない仕様(Decalで設定は変えられるが、最大でもそれ程長くは残らない)。天候エフェクトは使われているレベルが少なくクオリティも普通。キャラクターのアニメーションについてもボス以外は割と普通のレベルで、滑らかではあるがパターンがあまり無いという出来。 気になった点としてはクリッピングエラーが発生する点で、敵がオブジェクトに一部重なってしまったりが発生する。それと炎や電撃系の攻撃が壁を抜けてしまうというのは他のゲームでも存在しある程度は仕方の無い点なのだが、PKではそれが当たってしまう事もあるのが問題。 グラフィックエンジンではなくHavok物理エンジンの効果になるが、敵が吹き飛ぶ際のラグドール効果は非常に質が高い。グレネードやロケットによって派手に吹っ飛んだり、背後にいる別の敵にぶつかって止まったりが表現されている(吹っ飛んだ敵同士が空中で衝突するという相互作用もある)。またチェインガンで撃つと圧力も計算されているようで、床に倒れた死体や倒れかかっている敵を弾の運動エネルギーによって押す事が出来る。例えば壁に押し付けて腕を撃てばちゃんと腕を視点として死体がぶら下がるといった風になる。弾が当たると仰け反るリアクションをアニメーションとして持つFPSは既に存在するが、実際に物理計算によって当たった個所を支点として敵を押す事が出来るというのはリアリティが高くて面白い。 バグ的な描画異常もほぼ見られないし、その良好なパフォーマンスを考えると優秀な出来のエンジンと見て間違い無い。驚かせるような要素はあまりないが、総合的なクオリティは高く評価出来る物となっている。 ワイドスクリーン対応の解像度設定を幾つか持つが、実際には内部設定を書き換えないと正常な画面にならないし、HUDやタロットのボードなどは横に伸びてしまうという弊害もあり。 |
SOUND |
サウンドはMiles Sound Systemを使用しており、2Dの擬似ポジショナルタイプからEAX3まで各種サウンドドライバに対応している。 プレイにはEAX3を使用したが音の定位感は結構優秀な部類。すっ飛んだ敵や肉片が自分の周囲に落ちたりする音がハッキリと聞き取れる。1stデモでは途中でキーンという感じで変な音が鳴り止まなくなったりという問題があったのだが、製品場では綺麗に治っている。ただこのゲームでは足音という要素が無いので、背後からの接近が分からないという難点はある。マルチプレイの仕様に合わせたのだがと思うが、シングルでは有っても良かったのではないか。武器の音は決して地味ではないがもっと派手にしても良いと感じる出来。出来の良いゲームに比べるとシャープさが足りないという印象。 BGMはホラータッチの環境音タイプの物と、敵が出現すると鳴り出すBattle Musicに分かれており独立して調整が可能。環境音の方はゴシック系レベルでは人の囁く声が入っていたりと不気味な雰囲気が出ている物が多いが、リアル系のレベルの方は印象に残る物が少なかった。Battle Musicの方はこの手のゲームではポピュラーなハードロック/メタル系のサウンドとなっており(Quake 2の方を思わせる)、こちらは非常に出来が良く、また使い回しが少ない点も優秀と言える。 |
MULTIPLAYER |
開発者がいまだにQuakeworldでのマルチプレイを欠かさないという話からも分かる通りに、PainlillerのマルチプレイはQWの感覚を新しいエンジンで蘇らせるという意図で作成されている。とにかくスピード感重視、武器チェンジに掛かる時間は無し、空中でのコントロール性を拡大、リスポーンキルもOKといった仕様。現在メジャーなどんなFPSよりも高速でFragを取り合うスピード感のあるゲーム性となっている。なおシングルプレイとは武器の仕様等に違いがある。 ゲームのモードはDM&TDMの他は以下の3つ。当初予定されていたCTFは他にもそれを扱った面白いFPSが有るのでという点で排除された。あくまでもDM重視という姿勢である。 *People Can Fly Rocket Launcherのみの1on1で、敵を空中に浮かしている状態でのみダメージを与える事が出来る。 *Voosh 全ての参加プレイヤーが同一の武器1種(弾数無制限)を持って戦うモードで、サーバー側の設定によって時間と共に武器が別の物に切り替わっていく。 *The Light Bearer まずはマップに一つ有るRage Damage(4倍ダメージ)を取り合う。取ったプレイヤーは死ぬまでその効果をONにして使う事が出来る。また1frag毎にヘルスが増加する。プレイヤーが死ぬとRageは落ちて、次にそれを拾ったプレイヤーが同様にしてそれを使えるようになる。勝敗はFrag数ではなく、終了した時にRageを持っていたプレイヤーが勝利となる。 なおDCとの契約後、一時はDCからの強い要望によりCo-opの導入を検討するという話が出ていたのだが、物理エンジンの適用物が多過ぎてネットコードに負荷が掛かる、1人でのプレイを前提としているので複数でプレイしても面白くない、との理由でCo-opの導入は中止されている。今後もパッチ等での対応予定は無い。 発売時は製作が間に合わずにLANに最適化された状態のネットコードでリリースされていたが、その後パッチにて修正は行われている。またCPLの種目に採用されて有名とはなったが、これは他に1on1に絞ったFPSゲームが無かったという観点からの選択と思われ、ゲーム自体の人気はそれ程盛り上がらなかった。 |