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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度は デイドリーム / インソムニア / ナイトメア / トラウマ の四種類と変わりなし。トラウマはナイトメアをクリアしないと選択出来ない。

 大きく変わったのがレベル選択のシステムで、今回のリメイクで良くなった点として真っ先に思い付くのがここである。これまでの変則的なシステムから、普通によく見られるチャプター(レベル)選択システムに変更されている。オリジナルのPKにて途中で難易度変更をするには、新規ゲームを選択して完全にやり直すか、タロットカードとゴールドを持ち越して再び最初のレベルからやり直すしかなかった。しかしPKHDでは一般的な選択方式となり、アンロックされたレベルは自由に難易度を変えてプレイする事が出来る。画面デザインも従来の回転選択式のデザインから、全レベルが一覧出来る形式へと変わった。

 キャンペーンの進行中に難易度を上下させられるので、トラウマのアンロックの為にレベルを最初からナイトメアにて順番にプレイする必要は無く、全てのレベルのクリア状況がナイトメア以上になった時点でトラウマがアンロックされる(ナイトメアをクリアの実績も同様)。だから難しいレベルがあるならインソムニア以下でのクリアにて後回しにして、タロットのアンロックが進んでからナイトメアにチャレンジする事も可能。


セーブ&ロード
 セーブのシステムはチェックポイントセーブ方式のみに変わった。クイックセーブを含めて任意のセーブは行えない。更に保存地点は一箇所のみで、各チェックポイントでのオートセーブ履歴は無し。

 この変更は関連掲示板を見る限り評判が悪い。PKHDはオリジナルと同様にナイトメア以下ならば特に難易度が高いゲームでは無いので、任意の場所でセーブが出来ないと厳しいという事は無いのだが、シークレットやタロットのアンロックに関連して問題が生じている(別項に記載)。実際のプレイにおいても、ナイトメアだと回復アイテムが少ないので、ヘルスが非常に低い状態でチェックポイントに到達した場合にその先で詰んでしまう恐れがある。オリジナルでは全てのオートセーブを保存しているため、一つ前のオートセーブ地点に戻るとかで対応出来たが、PKHDではセーブ地点が一箇所だけなので詰んだらレベルを最初からやり直す以外に選択肢が残されていない。


 この仕様変更については、クイックセーブ可能だと簡単になるといったバランス調整の意味合いでは無く、Steam Cloudに対応させた為だとコメントしている。クラウド対応にした場合、各個人の保存スペースが限られている事から(現在100MB)、セーブデータを多数持つゲームの場合に問題が発生する可能性がある。これを上手い具合に機能させるのは極めて困難なので、他の多くのクラウド対応ゲームと同様に小さなセーブ容量で済む「一箇所のみ保存形式」にしたそうだ。

 確かに多数のセーブデータを持つ事が可能なゲームにおけるクラウドでの(セーブデータ消失)トラブル発生の件は何回か聞いた事があるが(The Witcher 2, Skyrim等)、そのゲームではユーザー側でクラウド機能をオンにしなければ問題は発生しない。危険性を知らずにオンにしたままの人に問題を発生させない為という話なのだろうが、それならクラウド非対応にすれば良いのではないかと思える。クラウド機能が便利という人よりも、無しで良いのでセーブ機能は元のままが良いというプレイヤーの方がずっと多いのではないだろうか?

 なお将来的にこのシステムを変更する可能性はあるとしている。ただしその他のPCユーザーからの要望事項を含めて、根幹のシステム面を変更するという対応は現時点では困難という説明。マルチプラットフォーム用のエンジンでは、ベースとなるエンジン上で開発したプログラムから、各機種用の実行コードやデータ類を生成する仕組み。つまり元のプログラムに対して修正を加えると、それが全機種に対して共通の変更になってしまうので、PC版の都合だけでプログラム本体を変更する事は出来ない。ただコンソールでは緊急パッチやDLCを除けば、最初のリリース時点で完成版の扱いとなるので、それ以降は元のプログラムに修正を加えてPC版のみに変更された内容のデータを生成するのもやり易くなる。よってやるとすればそこからスタートという事になる。


OBJECTIVES
 オリジナルと同様。全ての敵を倒してペンタグラム(チェックポイント)が出現すると、画面上の矢印が赤くなって方角と上下方向の位置を示す。敵が残っている場合には矢印がその方向を指す。矢印が消えているなら、新たに敵を出現させる等なんらかのイベントを起こす必要がある。


EXTRAS
 無料でプレイ可能なDLCが幾つかリリースされている。これ等はDLCの表示画面では無く、本編のレベル表示画面から選択する。

*Conclave
*Cemetery Halloween Edition
*Train Station Xmas Edition
*Easter Eggs Of Satan


英語
 メニュー画面を含めて日本語表示&音声に対応しているが、誤訳が散見されたり台詞が棒読みだったりとそのクオリティは低い。特にタロットのアンロック条件表示に誤訳が目立ち、これはゲームプレイに影響するだけに問題となっている。

・セーブの設定 → 設定のセーブ(保存)
・解像度 → 解答(“Resolution”を“Solution”と間違えている)
・ロード中のヒント表示にてゴールドとシルバーのタロットカード説明が逆

変 更 点
 システム面で変更された点を挙げる。戦闘関連についてはその項目の方で。


◎シークレット
 シークレットの場所は、オリジナルのレベルと同じ箇所もあれば違う箇所もある。全部を探した訳ではないが、物凄く高難度の曲芸的なジャンプを要求するといったシークレットは無くされている模様。今回は先に述べたようにクイックセーブが不可にされているので、ジャンプに失敗するとやり直しが大変という状況が起こりうる。よってシークレットに到達するまでにかなりの回数高難度のジャンプを続けないとならない様な物はカットされていると考えられる。

 逆にそのシークレットを発見する事自体が難しいと言える物は増えたように感じる。解説動画を見て初めて気が付く様な、「そんなの言われないと分からないよ」というタイプが存在している。


 全てのレベルでそうなのか未確認だが、レベルをクリアしてポータルが出現した時点で、それまでに閉まっていた扉が開かなくなった。オリジナルでは背後で閉まっていた扉が全部開くので、大半のエリアに戻ってシークレット探しをしたり、五つ☆クリアを目指したりが可能にされていたがそれが出来ない。よってそういったものを狙うなら、ペンタグラムに乗ってセーブされる前にそのエリア内での仕事を達成させて次に進まないとならないケースがほとんどである。


◎ブラックタロットカード
 ゴールドとシルバーの置ける枚数等、基本的な設定には変化無し。

一つのレベルに複数(2枚)のタロットカードが、別々のアンロック条件にて設定されているケースがある
・タロットを戻す際に半額ではなく、全額戻ってくるようになった
・難易度に関係なくデイドリームでも使用可能になった
・DLCに収録のカードはアンロックの必要が無く、所持していればコスト無料で本編のプレイにも使用可能


 DLCの追加カードについては、少なくとも収録したレベル内にてアンロックさせるべきだと思うのだがそうなっていない。よってかなり強力なHealth Stealerの様なカードがDLCを持っているだけで無条件に使えてしまう。バランス面を考慮しても良い仕様とは思えない。

 それとオートセーブの履歴が残らない, クリア後に扉が開かないので元に戻れないという点から、タロットカードのアンロックが難しいレベルが発生している。具体例では「X分以内でクリア」という条件において、セーブが上書きされてしまうので「このチェックポイントからではもう無理だ」と判断しても、元に戻れない為に最初からのやり直しとなる等。


◎物理エンジン
 物理エンジンは異なる物を使用しており、挙動はオリジナルに近付ける方向で調整している。(オリジナルではカスタマイズしたHavok、今回はUE3なのでおそらくPhysX)。だが物理演算の挙動の変化に対しては不満を述べる人も結構居るようだ。例えば連続ジャンプにおける動き等。他にはおそらくは偶然の産物と思われるような特殊なジャンプ類が今回は出来なくなっている(回転刃の壁引っ掛けによる壁登り等)。


BASICS
 基本的に同じ内容のままの移植というデザインなので、詳細はオリジナル版のPainkillerレビューの方を参照。ここでは幾つかの変化や新要素について述べる。


 FOV(Field of View)の値を水平方向に60〜120の範囲で変更可能(デフォルトは95)。ただしFOVをデフォルトより広げた場合、当たり判定を持つ体の位置はそのままで視点だけが後退する形になるので、敵の近接攻撃が多いこのゲームでは避ける時の距離感がおかしくなる恐れがある。

 難易度の設定が変更。デイドリーム(Easy)にてタロットカードが使用可能になった。それとトラウマ(Very Hard)でもソウルの概念がカットされていないので、ソウルを回収しての回復やデーモンモードの発動が今作では行える。

 Killerのビーム表示が変化しており、敵をライン上に挟んだ時にビームが見えるようになるのではなく、貼り付けた時点でビームが常時見えるようになった。だが貼り付けても見えない時もあるし、詳細な違いについてはまだ未検証である。

 ステイクがより真っ直ぐに飛ぶ様になった気がする。以前は遠くの敵に対して重力による落下を計算しないとならなかったが、今回はそのまま遠くの敵にも照準通りに当てられるという印象。

 加速ジャンプは可能だが、加速時の速度増加が控え目になった。オリジナル版における猛スピードでの連続ジャンプは出来ない。



 このHDで最もゲーム性を変化させている要素が新武器となるSoul Catcher。全てのレベルで最初から持っているデフォルトの武器はこれに変わっている(Pain/Killerはスタート時に持っていないケースが稀にある)。

 プライマリーでは丸い刃を撃ち出し、これは複数の敵を貫通させる事が出来る。威力はショットガン単発よりは強いが、ステイクよりは弱いという程度。敵の集団が目の前に迫ってきた際に複数を撃ち抜けるという点で役に立つが、連射速度はそれ程では無いという欠点が在る。最大で100発装填可能。セカンダリーは緑色のビームを照射し、これは自動的に最寄りの敵へと張り付く。そのまま保持していればエネルギーを吸い取ってダメージを与えられるが、威力は弱いので弱い敵にしか有効ではない。


 この武器の最大の利点とも言えるのが、名称の通りに離れた所に有るソウルを吸い寄せられるという能力。セカンダリーを照射すると自動的に周辺のソウルに張り付き、後は移動してもプレイヤーの体へとソウルが吸い寄せられる。そして結構遠くまで届くので、これまでは不可能だった高所で死んだ敵のソウルを回収する事も可能になった。またオリジナルでは難易度ナイトメアだとチェックポイントでの回復が無い為に、敵のソウルを消える前に拾うのにあっちこっちへと非常に忙しかったが、SCを使えばその労力を大幅に軽減出来るようになっている。


 そして吸い取ったソウルはSC自体にチャージされるという機能を併せ持ち、現在の数は髑髏の目の点灯で確認出来る。6個全てが点灯するとコンボアタックが可能となり、この状態からセカンダリーにてビームを接着した状態でプライマリーを撃つと、ソウルが敵に憑依して味方に付けられる。この緑色表示になった敵は自動的に周囲の他の敵を攻撃する様になり、倒されるか敵が居なくなるまで戦ってくれる(敵が居なくなると崩れ落ちて死ぬ)。味方になる詳しい仕組みには良く判らない部分もあり、例えばコンボ攻撃してもそのまま死んでしまって成功しないというケースあれば、逆に周囲を巻き込んで2〜3体同時に味方になるという時もある。当てる場所なのか、当てるタイミングなのかハッキリしない。

 この憑依の利点は数多く、第一に憑依して味方にした敵は相当強い(ソウル6個分?)。弱い集団相手ならば一掃してくれる事も多いし、中ボス格を倒してしまうというケースもあった。第二に中ボス格を味方に付けるのも可能なので、成功すると周囲の敵を倒せるだけではなく、その後自分も死んでしまうので相手にする必要が無くなる。第三に敵の注意は大半が味方になった敵に向く為に、ヘルスが危険な状態を脱する際にも重宝する。髑髏をチャージしたSCを温存しておいて、新エリアと同時に敵に撃って味方にし、ある程度の敵が死ぬまでは自分は隠れていてヘルスを守るという風に出来る。最後にチャージはたったの6個で足りるので、敵が多いエリアでは積極的にSCを使用してソウルを回収していれば短時間で連発が可能である。デメリットは味方にした敵は死んでもソウルが回収出来ないのと、チェックポイントからのリスタート時はチャージしていたエネルギーはリセットされてしまうという事くらい。

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