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GAMEPLAY
 チャプター数は全部で3個で、レベル数はそれぞれ6/5/6となり全部で17レベル。拡張パックではない単体製品と言うだけあってボリュームは結構多い。クリア時間はInsomnia(Normal)で10-12時間程度。ただし探索要素が重視されたゲームなので、クリア時の成績を良くする為に徹底的にレベル内を探すならば遥かに多くの時間が掛かるようになっている。また難易度が上がっても相当な追加時間を要するはず。


 レベルのロケーションや時代はこれまでと同様に全くのバラバラ。完全にレベル単位で独立しているという構成である。これまで以上に統一感は無くなっており、過去・現代からファンタジー・現実世界と多彩。悪い言い方をすれば滅茶苦茶。誤った世界観の日本, 宇宙のアステロイド, 南北戦争, エジプト, 原発, 北欧バイキング, 映画スタジオ等々。数多くのロケーションが新規に制作されており、遊園地以外は使い回しでは無い点は評価出来る。

 多くのレベルはこれまでの平均的な物よりもサイズが大きくなっており、それに伴ってモンスターの数も多目になっている。200体以上が登場するのはざらである。しかし同じマップ内を行き来したりとかが多い設定になっている物もあり。それとレベル単位で敵の種類をある程度統一しているので、各レベルによって出て来る敵が異なるのは良いのだが(その一つのレベルにしか出て来ない敵が多い)、逆に長いレベルの中で繰り返し同じ敵が登場するというケースが多くなっているのは欠点になる。

 ボス戦は各チャプターの最後になるが、チャプター2ではこれまでのシリーズの様なボス専用マップではなくて、普通のレベルの最後にボスが登場するという形式になっている。


 大きく変わったのはシークレットの扱い。これまでは発見するのも難しければ、場所が分かってもそれを取るのが難しいというタイプが多く、数時間を要してジャンプアクションを成功するまで繰り返さないと取れないといった物まで存在していた。しかしODでは一部を除いては発見が比較的容易になっており、またシークレットの数自体が大幅に減らされている。取得の難易度も今回は見えない壁によって進路が限定されているので、以前のようにトリックジャンプを駆使してマップ内のありとあらゆる場所へと行って探して見るという作業が軽減された。この辺の変化はPKマニアからは評判が悪いようだ。なお多くのレベルではそのレベルの出口が開いた段階で、それまで背後で閉まっていた扉類が開き、後戻りして探索が出来るようになるという点は変わっていない。


 これがシリーズ初という方向けにゲームの特徴を簡単に解説。第一にソウルという要素が在る。敵は死ぬとその場に緑か赤色のソウルを残し、これを拾うと緑ならば+1、赤ならば+6のHPが回復する。更にこれを拾った回数は画面上でカウントされており、66個に達した時点でDemon Morphと呼ばれる状態に変身する。このモードでは画面が白黒で歪んだような特殊効果が掛かり、敵が赤色に見えるようになる。そしてこの状態ではDemon Attackと呼ばれる特殊攻撃が繰り出せて、ほぼ全てのタイプの敵を一撃で倒せる。また無敵状態の上に移動も高速化する。大量の敵を次々に倒せるので、繰り出すタイミングが決まれば劇的な効果を生み出せる特殊能力である。

 ただしソウルは死後数秒してから出現し、その後10秒程度で消えてしまうので、激しい戦闘中の回収は上手くやらないと数多くは拾えない。また死体がバラバラになる事が多いのでどの部分がソウルになるのかの判断が咄嗟には難しかったり、遠くまで飛んで行ってしまって回収が大変というケースもある。


 次にBlack Tarot Cardsという要素が存在する。各レベルにはそれぞれ一枚のアンロック可能なタロットカードが設定されており、達成条件を満たしてレベルをクリアすればそのカードが手に入る。カードはシルバーとゴールドの二種類で、ボード上に必要な金額を支払って置く事が出来る。(この金はレベル内で回収して集める)。シルバーは同時に2枚まで置けて、レベルをプレイ中はずっと有効になるタイプの効力を持つ。ゴールドは3枚まで同時に置けて、これは任意の時に発動キーを押すと30秒間有効になる。使用はレベル中に一回のみ。

 達成条件は様々で、「特定の武器だけを使ってクリア」, 「レベル内部の全ての破壊可能なオブジェクトを破壊」, 「20分以内にクリア」, 「全てのシークレットを発見」, 「タロットカードを使用しないでクリア」, 「HPを一回も50以下に下げないでクリア」等。達成難易度もいろいろとあるので、もし難しければ他のレベルで達成に有利となるような別のカードを先にアンロックしてやり、それを装備して再チャレンジするのが有効なケースもよくある。またその様なスタイルでのリプレイを推奨しているゲームでもあると言えよう。

 各一枚なので全部でレベル数と同じ17枚。カードの種類はこれまでの物に加えて新タイプが5枚加わっている。カードの例としては以下の様な物がある。なおボードの画面はBooHの物を使い回しており、全17枚なのに空白が多いのはその為。

*Soul Catcher: 離れた場所に在るソウルを引き寄せる
*Hellish Armor: スタート時に+20のアーマーを所持
*Fear: 敵の初期HPを90%に下げる
*Iron Will: 無敵状態
*Fury: ダメージを2倍にする
*Assault: 敵のアーマーを透過してダメージを与える
*Haste: 時間の進行速度を半分に落とす(スローモーション)


COMBAT
 ゲーム性自体には大きな変化は無い。ひたすら沸いて出て来る敵を倒すアクションFPSである。武器にはリロードの概念は無く、例えばショットガンならば最大で100発の弾をフルオートで連射可能。移動速度もかなり速くて、タイミング良く連続してジャンプする事で更に高速化出来るようになっている。レベルはエリア単位で区切られており、一つのエリア内に入ると背後で扉が閉まり、その閉鎖空間内で敵を全て倒すと次のエリアへのドアが開くというパターン。そこを通って次のエリアへという繰り返し。


 こういったアクションFPSにおいては、Doom, Quake等の同系統のゲームでも分かるように、拡張パック系は後になるほど難易度が上昇して行く傾向にある。それまでの製品を全てクリアしている人を主なターゲットにしているので、その設定は間違ってはいない。当然このODも単体製品とは言え、ポジション的にはBooHに続く第二の拡張パックとも言えるので、当然ゲーム全体の難易度は上がっている

 ただしその変化は私の予測とはちょっと異なった感もあった。NightmareとTraumaは全般的に難易度が上昇しており、レベルによっては途轍もなく難しいという物も含まれているという意見が多い。一方でInsomniaについては、個人的にはそれ程難易度が高いという印象ではなかった。楽な場所が減って全体的に難易度は上がっているが、特に難しいと言える場所もあまり存在しないという感想。単体製品としてシリーズ未プレイの人にも配慮したのかも知れない。難易度毎の変化はこれまでと同じ。

Daydream (Easy): 受けるダメージが非常に低い。タロットカード無し。
Insomnia (Normal): チェックポイントにてHPが全回復する
Nightmare (Hard): チェックポイントでの回復無し。ダメージが高目。
Trauma (Impossible): チェックポイントでの回復無し。ダメージが非常に高い。ソウルが存在しないので、それによる回復が出来ない。


 難易度による変化がアンバランスという批判は公式でもかなり多い。Daydreamはあまりにも簡単過ぎて問題で、Nightmare以上は極端に難易度が上がり過ぎるという意見である。Nightmare以降ではチェックポイントでの自動回復が無いので、回復はマップ内に置かれたヘルスやアーマーに頼るのと、敵から回収するソウル頼みになる(Traumaではソウルすら無くなる)。しかしそのマップ内に置かれているヘルスやアーマーの数が相当少ないという設定で、それがゲームを非常に難しくしている。これまでに出て来ていたスーパーヘルス&アーマーなどはほとんど存在していない。ただしこの点についてはパッチによって幾つかのマップにて修正が行われている。以下はその中の調整の一部。ついでに書いておくとトップでの記載のようにパッチを適用出来ない製品では以下の調整が受けられないので、Nightmare以上に挑戦する際にパッチ適用者に対して不利となる。

DEAD MARSH - 全体の難易度調整
ANIMAL FARM - ヘルスを追加
STUDIOS -  ヘルスと弾薬を追加。NightmareとTraumaでの難易度調整。
JAPANESE MASSACRE -  ヘルスを追加
ASTEROIDS -  最後の戦闘の難易度をアップ
AIR COMBAT - 最後の戦闘の難易度をアップ


 更にInsomniaですら難易度が高いという声も出ているが、この辺は過去作でどれだけPKに慣れているかが大きく関わって来ると思う。単純にシューティングの能力だけではなく、PKではそれ以外の要素によっても大きく難易度が変化する。そのシステムを理解してやり、どうやって戦うのが有利なのかを考えるのが重要なゲームである。以下はこれがシリーズで初めてという方向けの簡易ガイド。

 第一に探索の重要性。PKの特徴はアクションFPSでありながら探索要素を非常に重視しているという点にある。一般的なアクションFPSでは、弾薬やアイテムの類はプレイヤーの進行通路に取り忘れないように置いてある事が多い。シークレットや脇道を探すと手に入る物は全体の一部という設定である。その理由は、「マップ内でアイテム類を探させるのはテンポが悪くなる」, 「出来るだけ入手するアイテム類を統一した方が難易度バランスの調整がやり易い」といった事による。

 しかしPKではマップ内の徹底した探索を重視している。そういう行為が好きなプレイヤー向けに作ってあると言っても良い。それはシークレット要素に限らず、弾薬やアイテムについても同様である。閉鎖されたエリアをクリアしたら、次のエリアに行く前にマップ内を隅々まで探索して、建物の陰とかオブジェクトの後ろに置いてある弾薬を回収してから次に向かうのが原則。普通のアクション物において、“誰でも手に入る弾薬”と“探すと見付かる弾薬”の比率が8:2程度だとしたら、このPKではそれが6:4程度となっている。それ故にペンタグラムが出たら脇目も振らずに一直線にそこに向かって先に進めるというスタイルだと、入手する弾薬の量に大きな差が出るのでその分難易度が上昇する。これまでもそういう傾向にはあったのだが、PKではそもそもInsomnia程度では難易度がそれ程高くないので大きな問題にはなっていなかった。しかしこのODでは全体の弾薬量がやや減っているのもあって、探さないと不利になる可能性が増している。

 次にソウルの回収をどれだけ行うか。単純にHPの回復にも繋がるし、何よりDemon Morphの威力は凄まじい。達成手前で止めておいて上手いタイミングで出せれば大きな効果を得られる。逆にこれを適当な場所で出していると難易度は上昇する。またソウルの回収もテクニックが必要となる。死んですぐにソウルが出るのではなく、3秒後辺りから出現する。なので近くで待っていると他の敵に攻撃されてしまう可能性が高く、一旦避けて他の敵と戦い、出現後に消えるまでの間に再度戻って回収するという風にする。敵はあちこちで死ぬので、高速ジャンプで飛び回って回収するのが忙しいというゲームとなる。ソウルを諦めて遠距離から攻撃という手段も有効だが、そればかりで回収を怠ると大きく不利になってしまう。

 第三にタロットの獲得と使い所。オリジナルのPKではInsomnia程度ならばタロットを全く使わなくても問題は無かったが、このODでは出来るならば有用な物はアンロックして装備すると後が楽になる、という程度には難しくなっている。しかし達成条件を満たそうとすると戦闘面で不利になって難易度が相当高くなるレベルも在るし、単純に達成が面倒と考える人もいるだろう。同じくタロットをボードに置く為のゴールドを回収するのもある程度はやらないとならない。このタロットのアンロック状況も難易度に大きな差が付くと思われる物である。

 そして純粋に戦闘への慣れ。このゲームではこちらに突っ込んで来るタイプの敵が多いのだが、その動きが直線では無いタイプが多い。微妙に軸がブレながら移動するようになっている。更に当り判定がシビアとなっており、点で当てる武器だと正確に中心付近に当てないと外れてしまう事も多い。盾を持っている敵だと、攻撃時に脇に避けた瞬間を狙うのが効果的となる。なのでより正確な狙いと敵の動きへの予測が重要視される。武器も特性が異なる物が揃っているので、特定の物に偏って使わずにその時点で弾の多い物を優先的に使い、特定の武器の弾が使いたい時に足りないというケースを防ぐようにするのが有効となる。


 全体的な感想について、まずは一新された武器。一新されたと言っても半分は前とほぼ同じなので新武器に関して。面白い物としてはScreamerとEgg Bomb。Screamerは当て易いので命中させるという爽快感は薄いが、強力なのでその意味での爽快感の方は高い。Egg BombはDuke Nukem 3Dでも面白かった武器だが、ここでも同様にまとめて投げておいてトラップにしたりといろいろと使える武器である。一方でGreen GooはStakegun的な武器だが、人気のあったStakegunに比べると見た目が地味で劣る。Hell Bladeも爽快感が足りない。総合的には新武器セットはあまり成功しているとは言えない

 モンスターは新種が40種類程度に加えてこれまでの物が結構流用されている。タイプとしては自分自身を回復させられる者, テレポート能力を持つ者, 死んだ仲間を操ってくる者等が新たに加わっており、また奇抜なデザインと攻撃を行う物も新たに加わっている。新種を盛り込むという点では頑張っているが、これは面白いと思えるタイプが大して居ないのは残念な点。

 敵の出現場所には変化が感じられる。これまではマップ内に突然スポーンする場合には、プレイヤーから見て正面方向が基本という形式。そして周囲から敵がやって来るというケースでは、周囲の高台から降りてやって来るとかプレイヤー側に若干の余裕があるケースが多かった。しかしODではレベルにもよるが、プレイヤーの横や背後等にも次々に沸いて出たりもするようになっている。更に飛び道具ですぐに攻撃して来る敵が多いので、いきなり不意打ちで攻撃を受ける事もあったりと対応が難しくなった。遠くから沸いて出て来た敵にやがては周囲を囲まれるのは構わないのだが、突然近くや背後に出て来て攻撃されるのは面白くない。或いは飛び跳ねて動きながら戦っている時に突然すぐ近くに出現したりするので、爆破系の攻撃を使っていると当たって自爆してしまうというケースに何度か遭遇した。

 マップ内での進行は先に書いたように、長くなった分同じ敵との戦闘が何回も続いて単調になりがち。パターンを変えて変化を付ける事に成功しているレベルもあれば、上手く行っていない物も混じっている。またマップの最後の戦闘がそれ程激しくないレベルが結構多くて呆気ないという感も。

問 題 点
 これはオリジナルからの難点だが、一旦全てのレベル進行をリセットしないと難易度が変えられない。タロットの獲得条件には戦闘で不利になるタイプが多く含まれており、それ故に難易度を最初からNightmareにしてしまうと獲得が非常に困難になったりする。これまではゲームの難易度的にそれでも何とかなったものが、今回は難易度が非常に高いのでそれがより一層困難になっているというのが問題点。そこで難易度を下げてしまうと、進行状況はまた最初からになってしまう。Insomniaで多くのタロットを獲得してから、それを引き継いでNightmare以降をリプレイさせるという意図なのだと思うが、難易度が高い方が好きな人は最初からNightmareで始めたいだろうし、その辺の融通が効かない点が痛い。


 タロットカードはオリジナルの悪しき伝統を受け継いでおり、相変わらず良く分からない構成になっている。カードの効用に疑問符が付く物が結構多く、役に立つカードというのが限定されているというのが第一の欠陥。そして役に立つ物ほど入手条件が難しいのならばそれも分かるのだが、別にそういう風にはなっていない。ボードに置く際のコストも、カードの効用と比較するとアンバランスと言うかバラバラ。またアンロック前にどういうカードが手に入るのかが分からず、苦労して達成しても役に立たない物だったりと不親切な設計。

 また今回はゴールドカードの複数回使用を可能にするシルバーカードが存在しないので、各レベル内でたった一回しか使えない。その上にレベルは長くなっているので、弱体化して意味が薄くなっているし爽快感も減退している。


 非常に倒し方が分かり難いと定評のあるボス戦では、最後のラスボスのみがそれに値しているのでマシになったとは言える。しかし最初のボスはシリーズ最弱とも言える呆気なさだったり、3体ともその造形が魅力的では無かったりと、総合的には今回はあまり出来が良いとは言えない。


 水に入ると即死してしまう。明らかに即死するだろうという様に見える箇所ならともかく、そうではない所でも死んでしまうのには参った。時にはそれが戦闘エリア内にも有ったりする。

 トラブルの項でも書いたが、死んだ後のロード時間が長い。死ぬ事が多いゲームなので余計に問題である。

 死亡時に左クリックでチェックポイント、右でクイックセーブを読むという仕様。単純に左クリックで最新のセーブを読む方式にして欲しかった。間違えると長いロード時間を再度待たないとならなくなる。

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