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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度はDaydream / Insomnia / Nightmare / Traumaの4種類。このゲームでは最初からTraumaの選択も可能である。途中での難易度変更方法は初代と同一で、チャプター1の最初から引き継ぎ方式でのやり直しとなる。なおこの切り替えを行っても以前の難易度のセーブデータが消去される訳ではない。

1.オートセーブから最新のレベル先頭データを読み込む
2.メインメニューに戻ってからNew Gameを選択
3.全てのレベルのアンロック状況がリセットされるという警告が出るのでYesを選択
4.現在のステータスを削除しても良いかどうかを聞かれるのでNo
5.新しい難易度選択の画面となるので希望の物を選択
6.タロットのアンロック状況と所持金はそのままの状態で最初のレベルからのプレイとなる


セーブ&ロード
 任意の地点でのセーブが可能。クイックセーブも可能で履歴を10個保持してくれる。(ただしTraumaでは任意のセーブは行えない)。オートセーブはペンタグラムにて行われ、こちらも10個履歴を保持。ペンタグラムの上では難易度に応じてヘルスの回復が行われる。


OBJECTIVES
 画面上部のコンパスは通常時には最も近い位置に居る敵の方向を指し示す。その位置が上方か下方になるのならば、コンパスの上下の部分がそれに応じて赤く光る。ペンタグラムが出ている時には矢印が赤くなってその方向を知らせる。


英語
 字幕は無し。ストーリーを語るシーンではコミックブック形式になるのでセリフが表示される。

BASICS
 ブラックタロットカードの要素はこのゲームにもあり。これはマップ毎に設定された条件を満たしてクリアすると入手出来る特殊能力発動カードの事で、各レベル開始前にボード上に置いてやると有効になる。ただし置くにはカード別に設定されたコストが必要になる(戻す時には半額分は戻ってくる)。なお一番易しいDaydreamではこのカードは出て来ない。

 カードを装備しているとレベル中ずっと有効になるのがシルバー、発動キーを押してから一定時間だけ有効になるのがゴールドカード。その数はレベル数と同じで計6枚である(Iron Will, Triple Haste, Soul Catcher, Armor Regeneration, Health Stealer, Rage)。場に置けるカードの枚数はシルバーとゴールド共に1枚だけ。このゲームではゴールドの使用はレベル毎に3回まで可能にされている。


 チャプター単位でのリプレイは可能で、その際にはタロットのアンロック状況と所持金はそのままで維持される。これが初代からのシリーズの特徴となるシステムで、タロットカードのアンロック条件をクリアするのに初回プレイ時では不可能に近い物が結構在って、そこで一度先に進めてクリアに役に立つカードを入手してから戻ってチャレンジするという方式になっている。


 敵が死んだ後に残す緑色(強い敵は赤色)のソウルは取るとヘルスが+1される。そしてこれを66個集めるとデーモンへと変身し、その間は白く歪んだような画面になるが敵は赤くハイライトされ、大型ボスを除くほとんどの敵を一撃で倒す事が出来る様になる。またその間はダメージも受けないし移動速度も速くなる。直前になると一瞬画面が変化してそれを知らせるので、なるべく敵が多いタイミングで発動させるのが重要である。


 その他の基本事項は初代のレビューを参照。

GAMEPLAY
 本編との大きな違いとしてアピールされているのが、通常の3〜5倍という巨大なマップサイズと、一本道ではなくある程度自由に進められるオープンフィールドでの戦闘という要素である。レベル別に見ていくと、最初の[C9L1 Cathedral]はスタンダードな構成でこれまでと同じスタイル。[C9L5 Hangar]は一箇所での集中戦闘型で小さなレベルとなる。

 特徴に合致するのは残りの4個で、[C9L2 Forbidden Valey], [C9L3 Gloomy Mountains]の2つがオープンフィールドタイプ。ゴールまでのメインルート以外に探索するのが自由なエリアが広がっており、全てを回るのと直線ルートでは大きく差が付くという構造である。必須エリアとそれ以外の割合は6:4程度という印象で、おおよそ必須エリアだけを通る最短ルートで60分、全エリアをくまなく探索して回ると90〜120分コース。この2つのレベルのタロットアンロック条件はそれぞれ「全モンスターを倒す」, 「全てのシークレットを発見」とされており、マップ内を隅々まで探索する必要がある上にそのサイズが巨大なので大変な作業となっている。

 残りの2つは巨大サイズだが進行は直線的という構造。[C9L4 Haunted City], [C9L6 High Seas]は共に脇道の探索エリアは存在するが、本ルートと脇道は9:1程度と構成自体は普通のマップとあまり変わりない。ただし「一体このレベルは何時終わるのか?」と不安になる位にただひたすら長く、通常マップを3〜5個合わせた様なサイズとなっている。脇道が少ない分前者2個のレベルの様にショートカットは効かず、初回プレイでは90〜120分コースになると思われる。

 その長さが特徴とされているので「レビューするにはそれを体験せねばなるまい」と考えてプレイしたのだが、行ける所には行ってみるという姿勢ではとにかく時間が掛かる構造。Insomnia(Medium)で8時間程度掛かった。物理的に長いマップが含まれるので、探索を放棄したとしても6時間位は掛かるのではないか。


 ではこの巨大サイズ&オープン形状のレベルが面白味を向上させているのか?となると、残念ながらそれには成功していない。サイズが巨大な[C9L4 Haunted City], [C9L6 High Seas]は単に普通のレベルを数倍に引き伸ばしただけであり、これなら幾つかに分割して提供した方が良かったとしか感じられない。

 オープン構造の[C9L2 Forbidden Valey], [C9L3 Gloomy Mountains]の2つも、オープンになった事による面白さの向上点というのが見当たらない。いろいろな事が出来るゲームでは街を一つ作ったりは効果的だが、戦闘のみのこのゲームではその効果がほとんどない。或いはステルスか戦闘かを選べるスタイルのゲームならばマルチルートは活きてくるが、そういったゲーム性でもない。強いて言うなら一本道でその通りにしか進めない物に比較してレベルの形状にリアリティは感じられるが、そもそもそれはこの手のジャンルでは重要ではない要素である。

 もし新素材をふんだんに使用したレベルであったならば話は別だが、レベル構成の素材自体はほぼ過去作の使い回し。そんな中でどうやって過去作との差別化を図るかという意図から生まれたアイディアなのかも知れないが、結果的には失敗と言わざるを得ない。

 その長さが悪い方へと影響している面もあり、一つはタロットカードによるリプレイ性。このゲームでは「レベルが長いのでカードの獲得までが大変」, 「カードの種類が少ないので差し替えの楽しみが低下」, 「リプレイしようにもレベル数が少ない」となっており、タロットによるリプレイ性を活かすには短いマップが数多く有った方が良いのだがその逆を行っている。もう一つは敵の種類。データ量を減らす為にレベル単位で登場する敵の種類はある程度決められている訳だが、とにかく長いので同じ敵が出現する頻度がどうしても高くなってしまう。これも分割してそれぞれに登場する敵の種類を変えてやりバラエティさを出した方が良かった。


 レベル内部のデザインにも問題がある。第一に単なる移動がやり難いという箇所が有って、典型的な例としてはデモでプレイ出来る最初の[C9L1 Cathedral]などは、瓦礫が邪魔をしたり地面がデコボコのトンネルがあったりと、普通に前に進むのにも引っ掛かったりしてしまうのでストレスとなる。当然この様なエリアにて戦闘が発生した場合でも、引っ掛かりが起きるのでやり難くなる。或いは他のレベルだと、崖の縁近くなどで自動的に体が滑って行ってしまうエリアが在り、うっかりすると落下死の危険性を持つ。最悪のケースではオブジェクトにハマった状態で動けなくなり、ロードしてやり直すしかなくなる。

 第二に行けるのがどうかが判断し辛い場所がある。坂の様になっていて下方には地面も見えるという状況にて、そのまま落ちる事でショートカットやオプション用エリアに到達出来るケースもあれば、落下死として処理されてしまうケースもあり、実際に試してみないと判らないようになっている。第三に進行方向を示す画面上部の矢印が正常に機能しない事が多い。これはオープンな構造なので進行ルートを示すのが難しいのと、いろいろなエリアに湧いて出て残っているモンスターの中のどれを指し示すのかの判断が出来ていないからだと思われる。

 続いては特定のレベルの問題として、ラストのHigh Seasは浅い海に点在する小島を渡りながら進んで行く構成なのだが、一定以上の深さの水に入ると即死するという設定なので、ジャンプを成功させないと渡れないのか、そのまま水の中を進んでも良いのかが判断し難い。それとここは意図的なのだろうがブルームのエフェクトがキツく、遠くを見渡せないようにされている。それは良いのだがそのエフェクトが明る過ぎて通常のプレイに支障を来すほどになっている。私の環境では他のマップではデフォルトよりも明るめに調整しないと見え難いのだが、ここではデフォルトまで明るさを下げてもギラついて見辛かった(設定を切るとかでも良いだろう)。

 最後に進行ルートが解り難い箇所が幾つか存在している。特に「そこを通れるというのが解り辛い」ので詰まるという地点が何箇所か出て来る。それに関連して弾薬やヘルス類が手に入る建物等も、見逃し易い物が結構在るという印象。


 なお少しだけ擁護しておくと、マップの構造などは別として、景観のデザインは良いと感じられるエリアはそれなりに見られた。


 物理エンジンは新しく改造したそうなのだが、これがまた問題を引き起こしている。特に厄介なのがオブジェクトの破壊で、例えばCathedralの序盤にシークレットエリアとなる石が積み上げられた高い壁があり、本来ならばこれを撃って破壊すると全てが吹き飛んで中に入れるようになっている。ところがこの吹き跳びの処理が正常に行われず、岩が残ってしまって以後はもう撃っても動いてくれないという事態が発生してしまう恐れがある。同様にHaunted Cityにて、道を塞いでいる板を撃って道を開けるというシーンがあるのだが、ここでは撃っても板が動かないので「違うのか?」と思い周囲を探索していたところ、30秒位してから突然板が吹き飛んで道が開くというケースに遭遇した。他にも杭で撃たれた敵が空中に刺さったり、ラグドールで飛んだ敵が宙に浮いたりというおかしな結果も多々見られる。


 ストーリーは所々でグラフィックノベルにて語られる形式となり、低予算故の選択なのだろうがクオリティの低いCGムービーよりもむしろこっちの方が良いと感じられる。ゲームは三通りのマルチエンディングで、普通にクリアした場合にはバッドエンディング, Traumaでクリアするとグッドエンディング, 全てのタロットカードをアンロックしているとベストエンディングに到達する。リプレイが面倒ならば \Painkiller Resurrection\data\movies の中のoutroという3つのムービーがそれに当たる。

COMBAT
 武器セットはオリジナル版の5種類の武器に加えて、新武器となるMr.Molotovを追加。プライマリーでは熱された杭を発射。セカンダリーでは大きな火薬缶を発射し、5秒後位に広範囲に渡って炸裂する。だがこの新武器が早速の問題となっており、レベル5から登場するのだが威力が高過ぎてバランスを崩している。

 杭の方はステイクガンの改良型であり、リロードの時間が短いので連射速度が勝る上に直線的に飛ぶので当て易い。更には弾薬がステイクガンとは別換算で、また300発持てるようになっている。セカンダリーの方は爆発までの時間が長いので、動いている集団相手には別の武器に持ち替えて火薬缶を撃って爆発させるといった対応は必要。それでも相当広範囲に大爆発を巻き起こすので、大量の敵を一気に倒す事が出来ると威力は絶大。ただし自分が巻き込まれないように距離は置かないとならない。いずれにせよセカンダリーの方も弾数が多いので強力過ぎるというのは確かである。


 敵は幾つか旧作からのバリエーションタイプもいるが、ほとんどはそのまま使い回されている。ボス類も旧作の普通の敵を大型化したりと目新しさは感じられない。変わった所はボスの倒し方で、これまではとにかく倒し方が解り難くて教えられないと気付かないという不満も多かったが、今回は単純にダメージを与えて倒す方式になっている。


 戦闘の問題点の一つ目はスポーンのさせ方。テレポーターが出現してそこから湧いて出るという形式ではなく、突然空間に湧いて出るという風にされている。しかもそれが目の前やら上方から降って来たりやらなので、先制攻撃を避けられなかったりしてしまう。

 二つ目はオープン形式のレベルに限られるが、プレイヤー側の動きに自由があるので、一定距離離れると自動的に爆発して死んでしまうようにされている(これは時間経過によっても発生するように思われる)。「プレイヤーが戦闘を避けて逃げられるようにもした」という話なのだが、ゲーム性に合っていないように思えるし、勝手に爆発して死んでしまうので手応えにも欠けてしまう。

 次にこれが最大の問題点と言えるのだが、複雑なマップ形状がもたらしている障害として敵がやたらとオブジェクトに引っ掛かってしまう。これまでのシリーズでも敵のオブジェクト類へのスタックは偶に見られた現象だが、今回はそれが酷いという頻度にてそこら中で発生する。どちらかと言えばAIの問題というよりはマップ形状やオブジェクトの配置が原因なのだが、結果的にはどちらでも同じ事。例えば広大でデコボコした地面一面に板を渡してあるので、そこら中で移動しようとしたモンスターが板に引っ掛かってしまったりとか、どうしてわざわざモンスターがスタックし易い形状のエリアをこんなにも沢山作ったのか理解に苦しむ。

 柱や手摺り等に引っ掛かりそのまま足踏み状態になるので楽に倒せたりと、幾らオブジェクト数を多くして見た目を豪華に見せようとしてもこれでは意味が無い。プレイヤーが上部に居るケースでは下に集まって来てしまってグレネードで一網打尽とか、ギャップを挟んで向かい合うとこちらに直線的に向かって来ようとして下に落ち即死してしまったりも発生する。ボスでもその多くはハメが可能だったりするのでそれにもガッカリ。パッチの文面ではAIを改善したとあるのだが、初期バージョンよりも良くなっているのかはともかく、酷さが残されたままであるのは確かだ。


 全体的な難易度はシリーズ作品の中では易しい方だろう。PKシリーズはこれが初という不幸な方はどうか判らないが、他作品をクリア済みでPKでの戦い方に慣れているのならばBooHやOverdoseほどは難しくない。まずレベル内の敵の数は多いのだが、これはサイズが極端に大きいからであり、単に長く引き伸ばされているだけなので敵のラッシュが発生する箇所はあまり用意されていない。過去作品のように連続して大量の敵が次々に登場するという様な難所がほぼ無いということ。なおラスボスは呆気に取られる位に弱い。

 弾薬数は多目だし、上で書いた様に新武器の威力も高い。(ただしPKの定番として、各レベルの序盤はPainkillerで戦って他の武器の弾薬を貯めるべきという点は同じ)。ヘルス類ではスーパーヘルスも結構有るので厳しくはない。ただよく固まって置いてあるというその配置バランスには疑問も。そしてショットガンのアイスコンボはここでも非常に有効であり、効かないタイプも居る代わりに、大型の敵でもコンボ一回で倒せてしまえたりとその破壊力は抜群。タロットカードは一枚だけアンロック出来たが、別にそれを使うまでもないという程度の難しさである。

 難所としては一番はレベル5のHangerの冒頭。ここは大量の敵が次々に湧いて出るラッシュエリアであり、遠隔攻撃を使うタイプも出てくるので難しくなっている。他にはミニガンバイカーが大量に出るエリアがレベル3に何箇所かあって、迂闊に前に出ると一気にヘルスを削られて数秒で殺される。だが出るのが解ってしまえば、見えない場所からグレネード等で問題無し。あとは最後のレベル6の終盤はヘルスが少なくなってようやく難しくなる。他にはゴーストや毒攻撃を乱発するタイプが鬱陶しいのと、大砲やレーザー作業員の様に避け難い攻撃を受けるケースくらいか。

GRAPHICS
 Painkiller 2.0 engineとしてダイナミックライティングや反射処理を改良している。その通りに影描画や水面の映り込み等は良くなっているが、大きく変わったという印象は受けない。

 ワイドスクリーン対応。設定項目には変化は見られない。

SOUND
 EAXに対応している。BGMには新曲が幾つか追加されているが、大半は過去作からの物となる。

 主人公のビルの声優はまともだと思うのだが、プレイ中に定型のセリフを何度も繰り返し吐くのが鬱陶しい。

MULTIPLAYER
 存在するが新規要素は特に無し。

 大きな売りであった初搭載のCo-opは結局不完全な状態のままで、マルチプレイのメニューから選択する事だけは出来るようになっている。

*Listen Serverでもプレイは可能
*参加者は基本的に4人までだが、16人まで指定する事は可能
*敵の数の調整機能は無し
*死亡するとその時点でのリスポーンポイントに復活する
*ヘルスや武器類はサーバー側でリスポーンさせるのかと、そのインターバルを設定出来る


 実際にテストは出来なかったので詳細は不明。ローカルで建てるとBotが1人入って来るが、道を正確に辿れないし一緒のプレイは無理というレベル。今後はテストしようにも一緒にプレイしてくれるフレンドが居ないと困難であろう。

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