PAINKILLER: RESURRECTION

                                  12/06/21



   SYSTEM / GAMEPLAY

   BOTTOMLINE

   公式サイト


   HOME








製作・販売: Homegrown Games / DreamCatcher Interactive
発売: 2009/10
日本代理店: 無し




                              ※Version 44でのレビューになります

概  要  本編, 拡張パックBattle out of Hell, Overdoseに続くシリーズ新作。スタンドアロンなのでこれ単体でインストール及び動作が可能。制作はHomegrown Games(会社はまだ存続しているが、このドメインは売りに出されている)。オーストリアのインディーズ会社で、過去のPK関連作品に関わったスタッフやMod制作者を雇い入れて制作されている。以前にはRobert D. Anderson & The Legacy of Cthulhuというクトゥルー神話物のFPSを出しているが、これは相当酷い評価に終わっている。

 レーベルはPKの権利を持っているDreamCatcherになるが、その後オーストリアのJoWooD Entertainmentの配下となったのでリリースはJoWoodより。そのJoWoodは2011年に破産しており、現在はそれを買収したNordic Games GmbHがPKのブランドを扱っている。


 製品版はSteamにて発売時に配信の遅れが発生し、更にそれが古いバージョンを誤って流してしまうというグダグダな状況でリリース。デモのリリースの方も誤配信で後に差し替えられている。

 そしてその製品版の評価も非常に酷い結果に終わっている。ゲームサイトによるレビュースコアも低ければ、ユーザースコアの方も同様に低い(これを書いている時点でGamespotのユーザースコア, メタスコアは共に4.2)。ただしこれには純粋な内容のクオリティ以外にも、評価を下げる要因が幾つか存在していた。

 第一にリリース当初は相当動作が不安定だったらしく、それに加えてゲーム進行に関連するバグの発生。更にはセーブデータの破損が頻発という安定性の問題。次に発売時の価格が$29.99と高目の設定で、その割にはHomegrownのロゴに(fan made product)と記載されていたりとアマチュア色が濃厚に漂っており、完成度の低さが余計にユーザーの怒りを増加させてしまった。

 第三にCo-opに関する誇大広告。シリーズで初めてキャンペーンCo-opを可能にしたというのが大きな売りだったのだが、実際には発売時点ではCo-opは未収録というのが後からアナウンスされている。またこのCo-opは実際にはキャンペーンCo-opではなく、単にマルチプレイのFree for Allの形式にてシングルプレイ用のマップを読み込み、参加した人がそこに湧いて出る敵を倒していくという非常に原始的な仕様でしかなかった。よって結果的に掲示板が「詐欺だ!」として荒れる事に。挙げ句の果てには制作側から「キャンペーンCo-opが出来るとは言っていない。FFA形式で擬似的なCo-opが出来るだけだ。」と言い訳が出て来たのだが、これもまた「広告にそう書いてあるだろう!」として更に荒れてしまう(Steamでは消えているがGGではまだその一文が残されている)。

 その後制作側からは「わずか12人での製作でその能力の範囲を超えていた」, 「低予算なので限界があった」といった謝罪文も掲載されたが、最初の緊急的なパッチ以降はサポートも無く、未完成のままに現在でも放置されているという状態である。


 この件について現場では何が起きていたのかは、以下の様な状況だったとコメントされている。(一応Homegrown側の言い分である事は記載しておく)。2009年の時点でJowood(とDC)は深刻な財政難に陥っており、HGに支払われるはずの定期的な予算の支払いが滞るようになってしまった(その内の幾らかは未だに支払われていない)。その結果プロジェクトに参加しているメンバーに給料が払えなくなってしまったので辞める人が出て来て、それによる人員不足がコンテンツを作り込めないという状況へと繋がってしまった。

 発売予定は2009年の12月と内部的にはされていたのだが、突然JoWood側から「今まとまった現金が手に入らないと会社が倒産してしまう」という理由から、10月に時期を早めて発売すると一方的に通告された。当然こちらは無茶だと意見を述べたのだが取り合ってもらえず、結局彼等に渡していたβ版に位置付けられるバージョンが完成版だと偽られてリリースされる事になり、我々は出来るだけ早くパッチを製作するようにと宣告されただけだった。なおこの教訓からHGでは、自分達と同じインディーズ会社がパブリッシャーと契約してゲームを製作する際には、法的に強固に武装して契約金が支払われない等の問題には「訴える」として脅すくらいの姿勢が何よりも必要だとアドバイスしている。



 単体でのリテール版は既に数が少ないと思われる。現時点でのダウンロード販売の相場は$9.99。SteamやGamersGateでは過去に75%オフ($2.49)まで下がった経緯があるし、今後もセール対象になるケースは多いだろう。統合パッケージとしてはこのResurrectionまでを収録したPainkiller Pandemonium、シリーズ全入りのPainkiller Completeがあり、どちらもダウンロード販売とリテール版の両方で出ている。

 Steam版には独自コンテンツとしてTower of Powerという特殊マップが提供されている。


STORY  ストーリーは過去作とは特に関連のない新しい物。主人公のWilliam “Wild Bill” Shermanは裏の世界で働く殺し屋で、金の為に様々なダーティーな仕事を引き受けて活動していた。

 そんな彼は今回もターゲットの車に爆弾を仕掛け、彼等が乗り込んでそのタイマーがスタートしたのを確認する。ところがその直後に一般人を乗せたバスがその場に走ってくるというアクシデントが発生。一般人を巻き込まないというのがポリシーのビルはとっさにバスの前に飛び出して止めようと試みるが間に合わず、爆弾の爆発と共にバスもろとも吹き飛ばされて死亡する。


 死んだはずのビルが目を覚ました所は天国と地獄の堺となる煉獄。そこで彼は天使であるElyahimから魂を浄化する為の戦いを命じられて、悪魔達を倒しながら煉獄の世界を進んで行く。しかしその過程で彼はその戦闘能力を見込まれて、悪魔のAstarothから自分の軍勢に入らないかと誘われる。更に天使のRamielからは地獄の軍勢を煉獄から追い払う代償に、再び生を与えて元の世界に復活させてやろうという契約を持ち掛けられる....。


PATCH

DEMO
 最終バージョンはPatch 44で、これはメニューから確認出来る。\Painkiller Resurrection\bin の中に ResurrectionUpdater.exeという自動アップデートが存在するが、既にこれはリンク切れで機能していないのでダウンロードして適用する。おそらくダウンロード販売ならば最新版になっていると思われる。

 その他にEggtooth氏(この後のRedemptionを製作)によるMega Fix Mod 2.0というのが出ている(非公式)。これは細かいバグの修正, マップの変な場所を修正, 難易度やアイテム配置の修正, 難易度の低下等の多数の調整が行われている。個人的には未検証。


 デモの最初の物はC9L3 Gloomy Mountainsのレベルだったが、その後C9L1Cathedralへと差し替えられている。おそらくはバグが多いというか粗が目立つという理由からの差し替えだと考えられる。新デモの方は普通の構成のレベルなので、このゲームならではの広大なマップを体験する事は出来ず、互換性検証以外にはあまり意味が無い物となっている。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU Single-Core CPU with 2.8GHZ
MultiCore CPU with 2.4GHZ
Multicore CPU with 2.8GHZ
MEMORY 1.5GB 3GB
VIDEO VRAM 256MB DX9対応
GeForce 8600, Radeon 2600
VRAM 512MB DX9対応
GeForce 8800 GT, Radeon 4850
SOUND DirectX 9互換 同左
対応OS XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 過去のゲームよりは若干必要環境は高くなっているが、旧エンジンの使い回しなので要求されるスペックは現在では低い部類である。Windows7 64ビット環境でも動作はするが、エンジンが古いだけに問題が発生するケースもあるようだ。これはこのResurrectionに限らずシリーズ全般に関連する件となり、一般的な対策として知られる項目は以下の通り。

・管理者モードで実行する
・ゲームをXP互換モードに設定して起動する
・マルチモニタ環境ではプライマリ以外を停止させる
・ワイドスクリーンの場合、デスクトップの解像度を1280x720, 1365x768, 1600x900のいずれかにしてから起動させる


 初回ロード時間はエンジンの仕様としてやはり長い。途中でのセーブデータ読み込みもそこそこ掛かるが、死亡直後のクイックロード読み込みは過去作に比較してかなり早くなっている。ロード時間はエンジンの仕様上改善不可能という話だったのだが、どうもメインメモリ上にデータをキャッシュしてそれを読んでいるような印象。初回ロードの長さについてはOverdoseでも書いたが、マシンスペックが優秀でも2〜3分掛かったりと原因が判明していない。Vsyncを強制的に外部からOFFにすれば改善されるという情報はある。


 プレイして気が付いたバグらしき点としては、大型の敵を倒した際に残される赤色のソウルが表示されない。他には一部のエリアで視点がマップ外へと突き抜けてしまう事がある。



*セーブゲームを読み込ませると落ちる
 セーブデータ内にスクリプト関連のデータを収納している為に、一度壊れてしまうと以降は全ての継続セーブデータが駄目になる可能性がある(オートセーブも破損する)。途中で破損に気が付いたら、過去のデータで読み込める物を探してやり直すしかない。特にこのゲームのオープンな形状のレベルでは、多彩な辿り方が可能なのでスクリプトがおかしくなる可能性がより高いとも考えられ、定期的にセーブが読み込めるかをチェックした方が良いだろう。さもないと数時間掛かるレベルの最初からやり直しにもなりかねない。

 なおセーブファイル数が増えると破損確率が増すという過去のシリーズの問題は、レベル数が6個だけなので影響は少ないと思われるが、100個以上とかならばその時点でバックアップを採取しておいた方が良いかもしれない。セーブフォルダはXPだと
C:\Documents and Settings\(アカウント名)\Local Settings\Application Data\Painkiller Resurrection の中。


*7つ目のシークレットレベルにはどうやってアクセスするのか?
 AngelsDustというシークレットレベルが存在するという件。これは結論を先に書いてしまうと収録されていない。どんな難易度でプレイしてもレベルは6個だけである。

 ゲームの初期バージョンでは C9L5 High Seas → C9L6 AngelsDust という構成で、このAngelsDustがラスボス戦用の小さなレベルになっていた。しかし製品版ではC9L5 Hangarという小さなレベルが新たに挿入され、High SeasがC9L6となり最後のレベルに変更。そしてそのレベルの最後にラスボス戦が発生するという風に構造が変わっている。

 パッチ前のバージョンでは内部ファイルをエディターで開いてこのAngelsDustをプレイする事は可能だったそうだが、パッチにてデータ自体が削除されている。将来的にはパッチでこのAngelsDustを組み込むという話は出ていたそうだが、結局サポート自体が打ち切られる形になっている。

    次の頁