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パ ズ ル
 特定のタイプに偏るという方式では無く、ロケーションによって多彩なパズルを使い分けるというスタイルを採っている。具体的な例としては以下の様な形式のパズルが含まれている。

*幾つかの場所に正確にアイテムを並べ替えて置く
*持っているアイテムを組み合わせて新しいアイテムを作り出す
*一定のエリア内にて、インベントリー内のアイテムを適切な箇所で使用しながら目的を達成する
*純粋なパズル(ストーリーや設定とは関係の無い)
*迷路パズル(迷路内でのアイテム探しや脱出経路の発見)
*動くプラットフォームを渡ってのアクションパズル
*通れる場所を憶えて進む記憶パズル
*特定の方法で敵を倒す必要があるというパズル


 純粋なパズルとは、例えば「多数の動くプレートが存在しており、7個のボタンによってその中の何枚かが上下に移動する。その全てを片側に寄せて道を作るのが目的で、それを達成する為のボタンの組み合わせを見付ける」の様な物。全体的にこのタイプには難解な物が多く、何をすれば良いのか漠然としているパズルもあるし、解けても正確な意味が解らない物もあった。

 迷路タイプのパズルは登場箇所も結構あり、これはADVの世界では定番だが好き嫌いが分かれるタイプだし、安易な多用は批判を受ける事も多い。迷路の場所では地図が用意されている事も多いのだが、プレイ画面にて同時に参照出来ないし、アイテム画面から見るにしても一部しか見られないので使い辛い。ただこのゲームでは単に迷路を抜ける方法を見付けるだけという箇所は少なく、途中で戦闘になるというケースも多いので、単調な作業を繰り返す事によるフラストレーションは軽減されている。中ではマップが無い上に広くて迷い易い形状の“Brain Maze”が最大の難所と言えるだろう。

 動くプラットフォームを渡って行くパズルでは、先に書いた様にプラットフォームの位置が正確にセーブされないので、途中でのセーブは固定された床の上でしか行えず、それが不可能な場所では難易度が上がるという面を持っている。一方で救いもあり、落ちるとダメージを受けるが上る階段等が用意されている箇所もあって、その場合にはインベントリー呼び出しでポーズが掛かるので、回復ポーションを何回か使用する事で戻れるチャンスも残されている。


 簡単に解決出来る物も在れば、時間を費やさないとならない物もあったが、平均的なADVに比較すれば難しくは無く、飛躍的な発想を要求される様な物は含まれていない(そんなの思い付く訳がないという様な解決法)。この辺はFPSとのハイブリッドでもあるので、ADVに慣れていない人に対して異様に難解にするのは不味いという意図があったのかもしれない。

 総合的に斬新なパズルはほとんど無いが、全体的なクオリティは上々だと感じられた。種類が豊富なので飽きも来ないし、適度に難しいという風でバランスも取れている


 アイテム類には使用しても消えない物や、全く使う所がない物も含まれるが、数はそれ程多くないのでスロットのマネージメントはやり難いという事は無かった。あとは一度使用したアイテムを別の場所で使ったりするケースもたまに在るが、取り忘れてもデッドエンドにはならない構造である。


COMBAT
 謎解きのパートや世界観等の出来映えに比較すると、この戦闘のパートはそれ程出来が宜しくない。発売当時のFPSゲームの水準からするとまあそれなりというレベルだが、今となっては近年のFPSに慣れたプレイヤーがこれからプレイしても楽しめない可能性が高い。

 武器の基本から解説すると、1が素手のパンチとして固定。武器のショートカットが2〜6キーで、武器スロットの最初の5個がそれぞれに対応するので、ここは好きに差し替えや並べ替えが可能。通常武器はハンドガンとショットガンで、これは弾薬をマップ内で入手して使用する。その他の武器には魔法をベースにした無限リチャージ式の物が多く、各々リチャージ時間, 効果, 弾数, 弾速等が異なってる。最強の武器は結構早い段階で手に入るのだが、これはリチャージはされないタイプなので注意。

 敵によって効果のある武器が異なっている点は戦闘に変化を生んでいて良いのだが、それにより武器の能力の差異があまりハッキリしないという欠点も見受けられる。特にリチャージ式の武器は皆似たような印象が強い。どれかを撃ち尽くしたら他のリチャージ式に切り替えて使い、また次、そしてまた別の物という感じで使えるので、余計に差別化が難しくなっている。


 操作方法の項で説明したように、戦闘の方法は普通のFPSとは異なっている。常に画面中央にポインタ(照準)が位置するのではなく、ポインタを画面上のどこの位置にでも持って行けるというシステムなので、敵を画面中央に捉える必要が無い。ポインタを敵に重ねると赤くなるので、その状態にすれば撃てるという設定である。逆に赤くならない限りは武器を撃つ事が出来ないルールなので、当時一般的だった「垂直方向は敵とのラインさえ合っていれば、敵に照準を合わせなくても自動的に調整されて当たる」という方式にはなっていない。垂直方向の敵にも正確にポインタの位置を合わせる必要がある。

 このゲームの操作方法における非常に大きな問題とは、マウスルックを行うには左右のマウスボタンを押したままにしないとならないが、それを行おうとする際にインタラクト可能なオブジェクトを指しているとそちらが優先されてしまうので、マウスルックの状態に持って行けないという所になる。例えば即座に右方向に振り向きたい際に、現在のポインタがRMBにて観察可能なオブジェクトを指している場合(LMBで操作可能なオブジェクトを指している場合も同じ)、その操作が優先されるのでマウスルック動作がキャンセルされてしまう。よってまずはポインタをオブジェクトに干渉しない位置まで動かし、それからマウスルックに入るしかないので、素早い動作が必要な際に反応が遅れてしまう。

 特に厄介なのが狭い通路で周囲に多数のオブジェクトが有るケースや、広範囲のエリアがインタラクト可能なオブジェクトで覆われている所。マウスルック可能となる画面上の場所を見付けるのが大変になるので、そこで動き回って戦うという際には思った方向をすぐに向くのが難しいという状態になってしまう。(キー操作で左右を向く方が良かったりする)。

 その他ではマウスルックモードに入った際にはポインタが消えるので、撃つ為には解除してポインタを出さないとならないのだが、出現するポインタの位置はセンターでは無くモードに入った時の位置となるので、画面の端等だと解除した瞬間に何所に在るのか見付けるまでに少し反応時間のロスが生じる事がある。またマウスルックを押した際にそれが敵以外で攻撃可能な窓等に向いていると、撃ってしまって自爆ダメージを受けてしまう恐れがある。


 上記の様に戦闘では操作がやり難い面を持っているのだが、実際にはそれを差し引いてもFPSのパートだけで言うならかなり簡単なバランスである。私がプレイしたのはNormalだが、以下の説明を読んで貰えば解るように難易度を上げても数段難しくなるとは考えられない。

 敵の種類は多く、デザインが多彩で造形も良いのだが、姿や動きが異なるだけで攻撃パターンが少ない。ほとんどの物が近接打撃攻撃のみしか持っておらず、スピードが若干違う程度なので対処が楽。しかもプレイヤーの走るスピードの方が遥かに高速なので逃げるのも簡単。要は逃げながら離れて攻撃していればノーダメージで倒せてしまう敵が多い。遠隔攻撃にてエネルギー弾の様な物を放つ敵は少数で、しかもそれが特に速い訳でも無いのでこれも容易に避けられてしまう。避ける事が不可能なのは黒服が撃つピストルだけ。


 更に知能が低い。ドアの様な場所を通り抜けられない事がほとんどなので、そこを挟んで引っ掛けてしまえば対処が簡単になる。ドアの向こう側のスペースで一定の巡廻ルートをループし始めるので、後はじっくりと撃って仕留められる。アウトドアの広いエリアでもこちらを追尾する能力は低く、通路を抜けて追って来られなかったりと問題あり。

 当時は知的なAIを作るのが難しかったのは事実。しかし頭が悪くてもアクションゲームとして面白くする事は可能である。この時代の敵にモンスターが多かったのは、単純な動きや攻撃しか出来ないとしても、人間を超えたレベルでの高速移動や、特殊な攻撃を高速で放ってきたりが可能になったからである。つまりプレイヤーに高度な反射神経や正確な射撃を要求する敵のタイプを設定する事で、知能は低くてもアクションゲームとしては面白いという敵は作る事は出来た。しかしこのゲームではその設定を活かせていない。ADVのファンもプレイするという観点から、スピードが速い敵や遠隔攻撃を削ったのかも知れないが、ここまでの簡易化はちょっと残念である。

 その他では回復ポーションが多目の設定で、後半は難しくなるのかも?と温存していると大量に余る。しかも使用時にインベントリーを開くとポーズが掛かるので、危機的状況でも持ってさえいれば心配が無い。ハンドガンやショットガンの弾も、リチャージ武器が多いので大量に余った。


 一方で難しい面を挙げておくと、ヘルスポーションの配置は極端で無い所には無い。だから無くしてしまうと困る危険性があるが、全体としては多くて簡単なので途中で尽きるという事自体が考えられないレベルである。

 敵は空間に突然湧いて出る方式で、背後からも登場するので不意を突かれる事がままある。その場合ヘルスが低い状態だと危険になる。無限沸きや、何かを行わないと発生が止まないというエリアもあり、こういったシーンでは敵が多いので難易度は上がる。

 後は上で書いたマウスルックがやり難いエリアや、狭い場所に数多くの敵が沸くエリアになるだろう。

GRAPHICS
 自社開発のエンジンを使用。これは前作のアドベンチャーゲームとなるNormalityで使った物を改造している模様。

 解像度は320*200から640*480まで。当時の一般的なFPSと同様に上下左右に段階的にボーダーを設定可能で、描画面積を減らす事でパフォーマンスを上げられるようになっている。

 同時代の3Dエンジンの中では描画は美しく優秀なレベルで、パフォーマンスの方も他と比較して特に重くは無い。特に良いのがモンスターの動きで、モーションキャプチャーを採用しているそうで当時としては非常に滑らかである。


 オリジナルはフルスクリーン表示のみだが、DOSBoxならばウインドウ表示も可能。

SOUND
 サウンドの中では特に環境音が優れており、水の垂れる音やドアの開く音などがリアルである。他にはホラー要素を含んだ人の声等が効果を挙げている。

 BGMもそれ程種類は多くは無いが良い物が多い。銃声は普通の出来。

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