シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は2つ別種の物が存在している。一つは“Arcade”でこちらは戦闘の難易度を現す。Easy / Normal / Hard / Very Hardの四種類で、ゲーム途中での変更は出来ない。与えるダメージと被ダメージに関係する。 もう片方が“Adventure”でこれは謎解きの難易度となり、Easy / Hardの二種類。Hardは普通のADVと同じで、何かを使う際にはマニュアルでそれを選択しないとならないのだが、Easyではある程度それが自動となる。例えばドアをアンロックする場合、Hardではプレイヤーがその扉に該当する鍵をインベントリー内から選ばないとならないが、Easyでは持っていれば自動的に選択されて開ける事が出来る。ただしアイテムを選んで置かないとならないシーン等では、Easyでもちゃんと自分で選択してやらないとならない。こちらはF3キーにてゲーム中に何時でも切り替え可能である。 セーブ&ロード 任意の場所でセーブが可能。クイックセーブも可能だが、行うと上書きしても良いかを毎回尋ねてくる方式。セーブスロットは19個で、スロット0がクイックセーブ用になっているのだが、これだけはロード画面からは呼び出せないので少々面倒でもある。例えばゲームを再開する際にはメニュー表示からとなるが、ここからクイックロードは出来ないので、最新のセーブがクイックセーブの場所だった際には、どれかを一度読んで開始してからクイックロードという手順を踏まないとならない。 また通常時はF10でクイックロードなのだが、死亡時にはスペースキーが最新のセーブを読み込む復活キーとなるという仕様。つまり復帰不可能な溶岩等の場所に落下してしまった際には、死ぬまではF10だが死んだ後はスペースキーとややこしい。そして死亡してから短時間の内にスペースキーを押せないとメニューに戻ってしまうので、そうなったら一度何かのセーブを読み込んでからクイックロードで元に戻るという二度手間となる。 その他の注意点として、動いているプラットフォームを渡るタイミングアクション等の際には、その動いているプラットフォームの位置はセーブされない為に、幾つかクリアした時点でクイックセーブしてしまうと、クイックロードしても脚の下のプラットフォームが消えてしまい、繰り返し落下死するしかなくて詰んでしまう事もある。 OBJECTIVES 具体的な目標を表示する機能は無い。方向矢印やミニマップ機能も無いしオートマップも無し。アイテムとして幾つかの場所のマップを手に入れる事は出来るが、常時表示させておく事は出来ないし、見ても表示ウインドウが狭くて一部分しか表示されないので使い難い。 英語 字幕機能有り。ムービーとゲーム中の両方を独立してオンオフ可能。英語量は一般的なFPSと比べると多目だが、一度見たムービーは一覧メニューから後でも見られるし、アイテムに関連する会話も何回でも繰り返し再生出来るようになっている。ただし英語の理解力は結構要求される方で、これからするべき事や、謎解きのヒントなどが理解出来ないと詰まる恐れがある。英語無視でもクリアが不可能では無いと思うが、相当なハンデを背負うというのは間違いないだろう。 |
操 作 性 |
トップで述べた様に先行発売の欧州版は操作キーの設定が出来ないという仕様。MS-DOS時代のゲームはシステム予約キーが多く、ユーザーが変更可能なキーは少ないor全く出来ないという物が一般的だったのは確かだが、一切出来ないというのはこの時代としては珍しい。しかもマウス操作が必須で、前後移動がカーソルキー,
サイドステップが<>キーという設定では、非常にプレイがし難いというのは容易に想像が付く(DOSBoxならばキーマッパーが有るが)。ただ私のプレイしたのは北米版なので、この件については欠点として触れないことにする。 設定可能キーは、前後左右への移動, 左右への視点移動, ジャンプと屈み, 武器発射のみ。なおC, Vがブライトネス調整に固定されているので、屈みをCに割り付ける事は出来ない。視点の上下はスプリングで離すと元に戻る操作がPageUp/Downとなり、動かした視点をそのままにするのがHome/End。どちらも固定キーで変更は出来ない。 インベントリー表示がIキー(画面左上クリックでもOK), Run/Walk切り替えがCaps Lock, 素手が1, 武器のショートカットが2〜6キーなのは固定。 近代の3D空間を実際に動き回れるタイプのADVでは、その基本的なインターフェイスは3DFPSと大差ない。つまり画面センターに位置する照準がポインタとなり、それを対象物の位置へと持って行って何等かのアクションを行うというスタイルである。ところがこのRotHではオブジェクトの操作に2DのADV的な操作性を採用しており、それ故に操作性は一般的なFPSとは異なっている。 マウスの操作は、通常時はマウスの動きに応じて視点ではなくポインタが画面上を動くという形式。つまり常に画面中央にポインタが位置するのではなく、視点は固定された状態でポインタを画面上のどこの位置にでも持って行けるというシステム。ポインタには上下二つの丸いインジケータが有り、オブジェクトを指した際に上のインジケータが緑になればLMBでインタラクトが可能, 赤なら攻撃可能, 青ならインタラクト可能だが遠くて届かないの意味となる。下のインジケータが眼のアイコンになった際にはRMBで観察が可能という操作方法となる。 RMB押下の状態では移動モードとなり、マウスを前に押し出すと前進で手前に引くと後退。左右移動で視点を左右に動かすという風に変わる。おそらく欧州版における考えでは、このRMBモードのマウスで基本の移動を行い、左手側で左右へのステップ(Strafe)動作の他にジャンプや屈みなどの別のアクションを行えば問題無いと考えたのだろう。 実際にクラシックなFPSでは左右へのステップ移動を特に頻繁に行う物ではない動作と位置付け、通常は左右キー(A, D等)で水平方向への視点移動を行い、Strafeキーを押している間だけ左右キーが左右へのステップ移動キーに変わるという操作方法もポピュラーだった。移動しているラインを横にずらしたい場合などは横にステップするのではなくて、視点を斜め前に向けて進みラインが変わったらまた視点を動かして前を向くという風に操作していた訳である。 しかしこのゲームにはStrafeキーが存在せず、<>で左右移動を行う方式なのでやはりやり辛い。とにかくマウスだけで移動&戦闘したりも可能だが精密な動きがやり難く、FPSゲームとして楽しむにはKBとの兼用操作が不可欠であり、やはりキー設定が可能な北米版でないと楽しめないと思われる。(北米版では修正されたのも不満の声が多かったからだろう)。 フリールックの方法はマウスボタン両方押し状態で、このモードにすれば自由に上下左右へと視点を移動可能になる。単に両ボタン同時押しですぐ離すと視点がセンターへと戻る仕組み。このフリールックの間の移動も勿論可能であり、これが現在の一般的なFPSと同じ状態である事になる。ただこの状態ではポインタが消えるのでオブジェクトへの操作は出来なくなるし、両方押しを一度離さないとLMBでの攻撃も出来ない。 |
GAMEPLAY |
全20チャプター。個人的にはArcade難易度がNormal, Adventure難易度がEasyにて25〜30時間位掛かった。アドベンチャーゲームとしての謎解き要素を持つので、それにどれだけ掛かるかによって当然プレイ時間は変化する。解くのに30分から1時間程度掛かった単一のパズル
or 一箇所に集中した複合パズルが10個は有ったと思う。少なくともノーヒントでは短時間でクリアするのは難しいだろう。 ゲーム内世界はArqua, Heled, Raquia, Sheolの4つのワールドに分かれており、Towerと呼ばれる4世界へのゲートが存在するエリアを通じて、各世界へとテレポートしながら進めて行く。同じ場所を複数回訪問したりもするし、一方通行で戻れない場所もある。全体的にマップは広く、また次に何をするべきかを明確な説明文として参照する機能を持たないので、ストーリーの状況から自分で次に行くべき場所を考えないとならないケースも多い。よって英文を読んでストーリーを理解していないと、次に何所に行くべきなのか迷う事になる。総当たりでも可能は可能だが、テレポーターを使うと現在行く必要が無いエリアにも行かれてしまうので、相当無駄な時間を費やす事になりかねない。 ロケーションは多岐に渡り、架空の世界設定でもあるので特異な景観や雰囲気を持った場所も多数存在する。当時のグラフィックスとしてはそういった異世界等を高いレベルで描いており、そのデザインや独特な世界観は素晴らしいと言える点の一つである。 俳優を使ってのFMVの分量は全体で2時間以上用意されている。しかし多額の予算が掛けられているとは思えず、当時の有名俳優を多数採用しての大作FMV ADVとは大きな差が感じられる。俳優の質は悪くないのだが、物凄く高度な次元の存在であるキャラクタが普通の格好をしていたり、人間ではないメーキャップをしているキャラクタが安っぽく見えたりと、おそらく高額予算は組めなかったのであろうと思わせる。ただし水準レベルはクリアしているし、俳優のギャラと撮影費用に予算の大半を使い果たしてしまったかの様な「ゲームとしては駄作のFMVアドベンチャー」に比較すれば全然良い。 FMV再生中には会話での返答や行う動作の選択肢も登場する。選択肢には単により詳しく背景設定を知る為の物も在れば、ゲームオーバーになっしまう物もある。しかし選択前にそれが判らないという場所はほとんど無いし、ゲームオーバーになる選択肢も少ないので意地悪という印象は無い。なお選択肢によって以後の内容が変化するという要素はない様だ。 ストーリーには力が入れられており、その出来映えはかなり良い。本筋自体は単純であり、この世界を悪が支配しようとしている危機を主人公が救う為に活躍するという物である。だがそこに肉付けとして絡んでくるストーリーを膨らませる様々な要素や、伏線として語られていく数々の謎が魅力的であり、そのストーリーを複雑で面白い物へと仕上げている。 登場人物はそれ程多くはないが、序盤では各人の明確な役割や位置付けはハッキリせず、チャプター11で数々の説明が行われて大凡の全体像が掴めるまでは、かなり漠然としたイメージでストーリーは進められていく。例えば明らかに敵であると思わせるキャラクタは独立して3人出て来るのだが、それぞれの関係や目的はなかなか判らなかったりと複雑である。なおその複雑な点が面白い所でもあるのだが、アクションをメインで進めたいと考える人に取っては複雑過ぎる(参照する文章類が多過ぎる)という感もあるのは確か。また最後までクリアしてもハッキリしない点も幾つか存在していた(入手出来なかった解説文章類が有ったのかもしれない)。 背景設定等の知識を得るには、見付けた文章を読んだり、アイテム類を観察したりが基本となる。アイテム類を拡大するとアイコンや選択肢が登場する事が有り、これをクリックするとアダム自身の考えを参照可能になったりする。つまりアイテム類は取っただけでは駄目で、必ず観察しないとならない。これは登場人物についても同様で、インフォメーションの項目に追加される登場人物アイコンもクリックして情報を参照可能。ストーリー進行と共にアイテムや登場人物に新しい項目が加わる事もあるので、現在の展開からして何か加わったのではないかと思ったら参照してみる必要がある。 ここで重要になるのが相棒のレベッカで、彼女との会話を発動させる項目も多く、そこには謎解きの為のヒントが含まれている事もある。また会話後に新しくクリック出来る項目が増えたりもするので、可能な項目の参照し忘れがない様にしないとならない。なおレベッカとの遭遇後は、彼女はアダムに付いて動いているという設定になるが、一人称視点のゲーム画面上には現れない仕様。 3D空間を自由に動き回れるアドベンチャーゲームとしては早期の作品で(この頃のADVでは1999年のGabriel Knight 3が最も有名だろう)、当時としては非常にユニークな存在でもあり、また臨場感という点では大変に大きな効果を挙げているのは間違いない。だが同時に3D化の代償として幾つかの問題を引き起こしているのも事実である。 現在においては完全3D視点のADVに大きな問題は無い。しかし1997年初頭はまだ2.5Dと呼ばれる疑似3Dが主流であり、このゲームのエンジンもそれを採用している。その為に特に近場の上下方向は空間が歪む様な描写になってしまい、正確なパースで世界が表示されなかったりもする。制作側もそれは理解していたようで、普段の視点の位置から上方にアイテムを配置するというケースは少なくされているのだが、下方にはどうしても置かざるを得ない。しかし視界が正常ではないので、下に有るのだがプレイヤーからは見えないという事態が発生してしまう。 例えばプレイヤーの真下に何か有った場合、その場からは見えずに離れると見えるようになるという状況も発生する。その為にアイテムの見落としが起きる恐れがある。また箱の様な形状の中にアイテムが入っているケースでは、見る方向によってアイテムが見えたり消えたりするので、異なる角度からや座ったりして確認しないとならない。 続いてはゲーム世界の描画の粗さの問題。FPSゲームとして見るなら同世代のゲームに比較してグラフィックスは見劣りしていないし、純粋なFPSゲームであるならこのレベルで特に困る事は無い。だが2Dの一枚画を使用する多くのADVゲームに比較すると、ポリゴンでの描写は大変に汚くて粗いレベルになるのは避けられない。この時代であっても2Dの手描きの画等であれば相当ディテールに凝った物が使えるが、全てをどの角度からでも見られる3Dデータとして制作される世界ではそれは不可能である。 結果的にゲーム内に置かれているアイテム類の描写が粗くて背景と見分け辛い為に、そこにアイテムが在ると気が付き難い状況を時に生んでしまっている。何かの書類が床に落ちているという場合だと、それが拾えるアイテムなのか、確かに書類だが拾えない単なる背景なのか、或いは床の模様がそういう風に見えているだけなのか、その判別が難しかったりする。実際にプレイしていて、「えっ、これ取れるんだ」とか、「こんな所にアイテムが在るとはちょっと見た目には気が付かなかった」といったケースが何回もあった。干渉出来るアイテムを指すとポインタの色が変わる機能はあるが、画面全体をスキャンする様に探し回るのは面白い行為ではない。 それと発売当時は特にADVゲームを普段プレイしている人だと高速なマシンを持っていない比率が高く、そうなると低解像度モードでのプレイを余儀なくされる訳だが、320*200の様な解像度では更に背景とアイテムの識別が難しくなる。 |