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FACTIONS WAR
 一般的なシステム系はほぼSoCと同じなので、CSでの新規要素について順に解説する。まずは最大の特徴とも言える組織間の争いについて。


 前作SoCはその発売前、A-lifeと呼ばれる人口的な世界のシミューレーターを特徴として挙げていた。これはゲーム内のNPCや動物(ミュータント)達が自由意志で動き回り、ランダムに世界が変化して状況も変わって行くというシステムである。しかし実際の製品版では大きくトーンダウンしており、世界のダイナミックな変化は大人しいレベルに留まっている。
 その理由は、どの様にでも変化するという世界の中にスクリプトで決められたストーリー進行を同時に組み込むという技術的な困難が一つ。そして「様々なイベントがプレイヤーの与り知らぬ所で起きたりクリアされたりしてしまう」、「自由な世界なので何をやっても良い」というゲームの方針が、制作サイドが考えていた以上にテストプレイヤーからの評判が悪かったという点にあった。あくまでもプレイヤーが主役で、プレイヤーの行動に応じて世界の方も動くというのが好みの人間が多かったという事である。

 しかしGSCではA-Lifeという要素はやはり魅力的だと考えており、そこでこのCSでは組織間の戦争(Factions War)という形でのA-Lifeを導入して来ている。Zoneの中には幾つかの組織が混在しており、それはお互いに協力(中立)だったり敵対関係だったりする。そんな彼等の相互作用によってZone内部にランダムな変化を発生させ、プレイヤー側にはゲーム内世界が生きているかのように見せるのがその狙いである。

 具体的には幾つかの主要組織は本拠地(ベース)を持つと共に、その周囲のポイントに隊員を派遣して陣地として確保している。特に敵の陣地との境界付近のエリアではNPC同士による奪い合いがランダムに発生するので、その時々によって確保している組織が変わったりするようになっている。そして組織が勢力を伸ばす程、マップ全体でのその組織の構成員の数が増えて行くという風に、ダイナミックに内部の情勢が変わるようになった。或いは援軍や攻撃軍として3-5人程度でマップ内部を移動するNPCへの遭遇が発生したりと、世界内部がプレイヤーとは関係無く動いているというのが実感出来るようにもなっている。


 プレイヤー視点からゲーム的にどういう影響が生じるのかというと、各組織とはプレイヤーの態度に応じて友好・中立・敵対で色分けされており、敵対の赤表示の組織と遭遇すると攻撃されてしまう。もしプレイヤーと仲の良い組織が力を伸ばしているなら、マップ内にその組織のNPCが増えるのでいろいろな場所への移動が楽になるというメリット有り。例えばマップ同士の接合地点は大抵何所かの組織が確保しているが、仲の良い組織ならば素通りが可能になる。逆に敵対している組織が勢力を伸ばしてしまうと、敵対NPCがマップ全体に増えるので動き難くなるし、マップ間の移動もその地点の敵と戦闘してからになったりする。また各組織のトレーダーやガイドといった特殊な立場のNPCとのコンタクトも、敵対組織の人間とは行えなくなるという影響が出る。

 各組織との友好関係の度合いはPDAの画面からゲージによる値として参照可能。中央のバーは親密度を表し、バーの中央の区切られた部分がニュートラル(中立状態)。仲が良くなると右に向かってポイントが伸びて行き、一定区間を越えると緑色の親密を示す状態に変化する。反対に仲が悪くなると向かって左に向かってバーが伸びて、一定区間を越えると今度は色が赤に変化して敵対状態を示すようになる。


 SoCにおいてはプレイヤーは単独行動となり、仲良くしたり敵対は可能だがシステムとしては組織に属する様な要素は考えられていなかった。しかし今回はプレイヤー自身も組織への加入が可能になっている。つまり自分自身も所属組織の勢力争いに参戦して、その力を伸ばす事でマップ内の同士の数や確保拠点を増やしてやり、その後の活動をやり易くも出来るようになった。

 組織への加入のルールについてだが、入る事が出来るのは同時に一つだけで掛け持ちは出来ない。ゲーム途中での所属組織変更は可能なケースも在る。入りたい場合には組織のリーダーとの会話で加入を希望する選択肢を選べば良い。テストとして幾つかのクエストが与えられたりするので、それを達成して認められれば加入を許可される。加入時には武器や防具等のアイテムが貰える(全ての組織でかは未確認)。

 組織に加入した場合の変化としては、第一に組織独自のクエストを与えられたりする。次にトレーダーから購入出来る商品の価格が定価になる(組織外だと1.5倍の価格で買わないとならない)。またストーリーの進行において、加入している組織によってシチュエーションが変化するケースも有る。例えばFreedomのメンバーが絡んで来るというのは固定されており、プレイヤーがFreedomと仲が良いならば協力して貰えるが、Dutyに加入しているならば敵対しているので援助は受けられない等。
 他には移動中にポイントでの戦闘が発生しているという指令が入る事が良くあり、それに参戦して拠点を守れば後にボーナスとして報酬が受け取れる。もっと積極的に敵対組織が確保しているポイントを奪えば、味方の援軍到着までそこを守れという指令が入って、達成すれば同じく報酬を貰えるようになっている。

 ライバル組織との戦闘状態は専用の画面で確認可能。戦闘員の状態ゲージは単純に出来るだけ敵を倒す事で相手のゲージを減らせる。幾つかの重要拠点の状態も同じで、緑色の自軍確保の物を増やせば勢力拡大。なお最終的には本拠地を落としたというステータス画面まで持っては行けるが、実際には敵の本拠地となる地点には何時までも敵は存在しており、敵の組織のNPCを完全に排除するような所までには至らない。

 リソースのゲージはそれぞれの装備に影響し、これが伸びると組織のNPCが使う武器にスナイパーライフルやスコープ付きの物が増えて、アーマーも全身を覆う強化されたタイプが多くなる。またプレイヤーが購入出来る組織のトレーダーの品揃えも良くなって行く。逆に減るとNPCの武器は弱い物となり、装備もアーマーが簡素な状態になって行く。同時にトレーダーの品揃えも悪化。


FACTIONS
 ゲーム内に存在する組織は以下の通り。

Faction  解     説
 Duty  2006年の爆発の際に調査に向かった軍の人間の中で、独自の考えからそのままZone内に留まったメンバーを中心に構成されている。Zoneを人類に対する害と考え、その消滅を目的とした組織。収集したアーティファクトを真相究明の為に科学者に提供したり、内部のミュータントの駆除に積極的に励んでいる。規模としては最大級の組織で、装備類もグレードが高い。
 Freedom  Zoneを人類への贈り物と捉え、アーティファクトを含めた全ての要素を全世界の人間へと開放するべきという思想を持った組織。当然その考え方からDutyとは極めて仲が悪い。規模や勢力はDutyと並んでZoneでも最大級。装備は東側の武器を豊富に所持している。
 Stalkers  金儲けや冒険を目指してZoneにやって来たStalker(Loner)達の総称。しかし個人行動では限界もあるので、小規模なグループとしての活動が行われている。よってこの組織のみ拠点が複数存在している。具体的に大きな目標を掲げて行動している訳ではないが、協力しての組織活動は行っている集団という位置付けになる。弱い個人を付け狙って襲うBanditsと敵対している。
 Bandits  他のStalkerを襲って金品を奪う強盗集団。装備は軽装で武器も基礎的な物が多く、戦闘能力が低い為に生息地域は自軍の拠点周辺と限定的。しかし非常に好戦的で積極的に仕掛けるのを好み、中立状態であっても攻撃して来る事もある。主に独立した弱いStalker達を狙っており、Stalkersとは交戦状態にある。
 Clear Sky  SoCには存在していなかった新組織。サブタイトルにもなっている事からも分るように、ストーリーの進行には重要な役割を果たしている。彼等の目標はZoneの正体や各種の謎を解明する事で、意味合いとしては科学者の集団に近い。よって戦闘能力は高くない。ゲーム中はStrelokのチェルノブイリ原発跡地への侵入とエミッションの関連性を追っている。
 Renegade  SoCには存在していなかった新組織。外見はBanditsと同じで、特にその目的や意義は明らかにされていない。武器や装備はやはりレベルが低いので、戦闘能力はあまり高くない。活動エリアも限定的である。Clear Skyと敵対している。
 Mercenaries  高級なアーティファクトの収集による金儲けや、外部からの依頼で動いている傭兵集団。表立っては活動しておらず、必要以外の戦闘は避ける傾向にある。特に敵対や友好的な組織は無い。規模はそれ程大きくないが、装備が優秀で選り抜きのメンバーが揃っているのが特徴。主人公のScarは傭兵だが、このMercenariesは組織名で特に彼が此処と関係を持っている訳ではない。
 Monolith  Zoneの中心部に存在すると言われているモノリスを信奉する狂信者集団。その影響からか精神に異常を来たしているメンバーが多い。一切の交渉は不可能。Zoneの中心部周辺にのみ存在しており、モノリスを守る為に近付く全ての人間に敵対している。
 Military  ウクライナ軍部でFactionでは無い。Zone内はあくまでも政府の管轄地域であり、Stalker達は全て出て行かなければならないという考えで動いている。装備は国からの支給品なので特別に優秀ではないが、軍用ヘリ等を利用して来るのが特徴。全てのStalkerの敵となるので加入は出来ない。

 ゲーム全体での組織数と、その中でプレイヤーが加入可能な物については発売までいろいろと情報が有って揉めていたのだが、結果的には全体で組織数は8つ。プレイヤーが好みで加入を選択出来るのはその内の半分の4つ(上段の緑色の組織)となっている。下の段の紫のMercenariesとMonolithは加入する事は出来ない。

 メインとなる4つの組織は、ゲームの前半戦の舞台となる4つのマップ、Cordon, Garbage, Dark Valley, Agropromに拠点を持っている。(SoCとは違う場所)。PDAで見られる組織の敵対図式はDuty vs Freedom, Stalkers vs Banditsで決まっており、その他にもデフォルトの設定での敵味方が存在する。この組織別の敵対と友好関係は固定であり、プレイヤーの行動によっても変える事は出来ない。例えばDutyに入るとFreedomとBanditsとは自動的に敵となり、それまでどれだけ仲良くしていても、敵対組織になった瞬間に友好度のゲージも敵側に振れてしまう。この関係悪化は修正出来ない訳ではなく、また別の中立の立場の組織に入り直せば関係は前のステータスに戻せる。ただし敵対している間に実際に組織の人間を殺している場合、それは関係復活時に有効度の値に反映されるようになっている。

 Clear SkyとRenegadeはストーリー進行の為のイベント的な役割を果たしており、双方への関与は限定的である。ゲームのスタート時点では、プレイヤーであるScarはエミッション(異常なエネルギー放出)にやられて気絶して倒れ、ミュータントに食い殺されそうになっていた所をClear Skyに助けられたという設定になっている。その後はClear Skyが仲間という設定で進み、一時的に彼等の仲間という形で自動的に加入状態になる。RenegadeはClear Skyの敵であり、本拠地も持たないので敵である事が固定されている組織。また両方共にスタート地点であるSwampのマップにしか居ないので、その後もA-Lifeへの関与はこのマップ内での拠点争いに限定される。ゲームの終盤になって再び舞台に登場して来るのみ。なおClear Skyを攻撃して敵対する事は可能な様だが、ストーリー展開にそれが影響するのかは不明。


 各組織内部にはリーダー以下特別な役割のメンバーが存在しており、トレーダーはアイテムの売買、メカニックはアイテム類の修理と改造、バーテンダーはクエストの提供、そしてガイドは特定の地域へとダイレクトにプレイヤーを連れて行ってくれる能力を持っている。ただしその利用は組織に属している必要は無く、敵対さえしていなければ利用は可能となる。組織に属すると各人の利用について特別な優遇を受けられるのかは未検証。一方で敵対状態になるとリーダーを含めて全ての重要人物は本拠地から姿を消してしまうのでアクセスは出来なくなる。

 ガイドは本拠地のみでなく、多くのポイントにも存在している。質問してリストに出て来る範囲の場所であれば、マップを超えてでもすぐに何所へでも連れて行ってくれるが、遠くなるほど料金は高くなる。ガイド無しでは通過出来ない接続地点も在り。

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