GAMEPLAY |
全16チャプター。セーブ地点から特殊能力系を試してみたりと実験も行ったので少々不確かだが、脇道が在るならちゃんと行ってみるという姿勢だと、実質難易度Normalにて12時間位のボリュームだろう。製品版サイトには「20チャプターで25時間」と書いてあるが、これは完成前の予定の数値だと思われる。 最も影響を受けたのはゲームでは無く、ウィリアム・ギブスン, ブルース・スターリング等のサイバーパンクの小説と話しており、ゲームとしてはインプラントによる特殊能力の面でDeus Ex, AIとの戦闘面でF.E.A.R., ホラー要素ではResident Evilシリーズ, その他にChronicles of Riddickを挙げている。一見すると影響が強そうなDoom 3にはあまり影響を受けていないそうだ。 進行はほぼ一本道で、中盤辺りからA1〜A4程度のセキュリティカードを探してマップ内を行ったり来たりするチャプターが増えてくるが、方向ガイドもあるし探索が難解なケースは稀である。パズル要素もほぼなく、蒸気の噴出を近くのバルブで止めたりとか、端末操作して扉を開けたりくらい。3Dスキャナーが優秀なので、分かれ道でどっちが本道かの判断がし易く、急ぐ人には便利な機能となる。脇道ルートの方はそこそこあって、特殊能力のレベルを上げる改造キットは脇道に多い上にあまり数がないので、これが欲しいならば脇道エリアをちゃんと廻らないとならない。 難所というか気を付けないとならないのは数カ所存在する時間制限エリアで、オートセーブが各チャプターの最初だけなので、絶対に間に合わない途中の段階でクイックセーブしてしまうと詰んでマップの最初からになってしまう。時間制限が始まった時点でマニュアルセーブを行っておくべきだろう。 デモをプレイした時点ではホラーを重視したゲームという印象があったのだが、実際にはホラー要素はかなり低い。ライトを点けないと見え難いエリアは確かに結構出て来るのだが、プレイヤーを驚かせる様な演出はほとんど組み込まれていない。序盤はミュータントも多く閉塞感のあるエリアが出て来るものの、中盤からは兵士との戦闘が増えてロケーションも明るく開放的なエリアが多くなる。 サイレンサー付きの武器を用意したりとステルス要素を含んでおり、暗いエリアでは暗視能力を利用したりして敵兵士をやり過ごす事も出来る。また(スクリプトによる登場ではなく)最初から兵士が配置されているエリアでは、見付からずに通り抜けたりも場所によっては可能ではある。或いは部屋の中の防犯ベルを鳴らされると増援がやって来るエリアでは、それを避ける意味でステルスが有効になったりもする。 ただし常に戦闘を避けるステルスが出来る訳ではなく、ステルス状態から一人ずつ排除するとか、ステルスを使って優位を築いてから戦闘に持ち込むとかで、“ノーキル型ステルス”ではなく“戦闘の為のステルス”を意図している様に感じられた。ステルスを強要されるシーンは無く、やりたければ一部でステルスも可能というゲームである。 サイバーパンクというゲームのテーマから見ても、インプラントによる特殊能力は重要視されている。完成に近い時点のインタビューにおいて、「各特殊能力は最も重要な要素の一つであり、プレイヤーは生き残る為には全ての能力を駆使しなければならないようにデザインされている。序盤の段階では能力のレベルが低いし、エネルギー(バッテリー)も数が少ないのであまり使用は出来ない。しかし後半になるに連れてレベルが上がり、またエネルギーも増えるので、それを使って状況を打破しないとならないようになってくる。複数の能力を組み合わせて使うような工夫も大事になるし、敵側にも能力者が増えてくるので、それに対抗するにはこちらも能力を使わないとならなくなる。」と述べている。 ところが実際にはそういう風になっていない。何時でも使えるスローダウンやシールドは確かに重要だが、ハンドモードに切り替えて使う5つの能力はそれ程重要ではなく、おそらく全く使わなくてもクリアは可能。使うかどうかはプレイヤーが好むかにより、使わないとならない様なシーンは出て来ない。 必ず使わないとならない様にするというコメントとは裏腹に、代用能力があるので武器戦闘オンリーでも問題無い。Regenerationはメディキットで代用可能。Gauss attackにはEMP系の武器やグレネード有り。RampageとMind Controlは普通に戦えば良いだけの話で、もしプレイヤー側が弱いのならば敵を同士討ちさせる手法も有効だがそういう事にはなっていない。(この辺は戦闘の項でも詳しく書く)。 Telekinesisは中では一番有効と思える能力で、一部を除く敵兵士を吹き飛ばせる(ミュータントは不可)。一撃で倒せるケースは少ないが、飛ばされた兵士はメイン武器を落としてしまい起き上がるまでに時間も掛かるので、その間に武器に持ち替えて倒すのが簡単になる。また敵を高台等から落とせれば倒せるし、オブジェクトの上に引っ掛かったりした場合には、復帰の起き上がりアニメーションが行えないと判断された時点で死んでしまうので、場所によってはより有効に働く能力である。エネルギー消費は低いし、クールダウン時間も短い。しかし結局は普通に武器でも戦えるので必須では無い。 更にハンドモードの欠点を列挙すると、まずレベルが低くてエネルギー消費大な序盤は使い辛い。レベルが上がってエネルギーも増える後半戦は使い易くなるが、同時に武器の方も揃って改造レベルが上昇しているので特に入り用ではなくなってしまう。能力が効かないタイプの敵がいたりするので、武器類ほど汎用的に使用出来ない。クールダウンの時間があるので能力によっては連発出来ない。そしてハンドモードと武器モードの切り替え操作が面倒なので、武器一辺倒で戦ってしまうようになる等々。最後にインプラントのアップグレード用キットは私がプレイした限りでは数が少なく、全てをレベル5(4回改造)にするには足りない。そして非常に有効なスローダウンとシールドに優先的に割り振ってしまうと、他のハンドモードの5つを高レベルに上げるのは難しくなるので、より使うケースが減ってしまうようになる。 結論として特殊能力をプレイヤーに必ず使わせるという意図は成功しておらず、無意味ではないがあくまで使うかどうかは好みの問題でしかない。特殊能力を使って戦うスタイルが好きな人が使えば良いだけの存在で、普通の銃撃戦スタイルを好むプレイヤーにとっては大して意味のない要素となっている。 |
WEAPONS |
第一の特徴は銃の命中精度が極めて低いこと。銃は改造によって照準のサイズが縮小して行き、それに応じて命中精度も上がるというシステム。ズームにすると更に照準は小さくなる。また難易度によっても精度が変わるようになっており、Normalではフルオートの照準は変化せずにセミオートの照準のみがグレードアップに応じて小さくなるのだが、Easyではフルオートでも照準は小さくなるしセミオートの照準の縮小度合いも高い。反対にHardではより縮小度が低くて当たらなくなる。 実際の戦闘においてはEasyでの命中精度はそれなりなのだが、Normal以上ではそれがずっと低くなる。例えばサブマシンガンやアサルトライフル系だと、デモの時点では単に改造レベルが低いからだと考えていたのだが、最大となるレベル5まで上げても精度は物凄く悪い。まず銃のリコイル(反動)は実際に照準が上方に動いて行ってしまう方式なのだが、銃によってはフルオートの連射ではものの数秒で視点が天井を向いてしまう位に凄い。「本当にこいつは極秘特殊部隊の精鋭なのか?」とツッコミたくなるくらいに銃の反動を抑える事が出来ず、そしてこれはレベル5に達しても治らない。 最も正確性を高めるにはレベル5まで改造して、“セミオート+可能ならばズーム”で撃つ事になるが、この状態でも一発撃つ毎に照準は少しずつ跳ね上がって行くので修正が必要。しかも命中率が低くて、通常だと照準のサイズが弾の散らばりの目安になるのだが、このゲームではサイズと散らばり方は一致していない。その散り方は物理法則を無視しているというレベルで、例えば目の前にある障害物に弾が当たるとかも発生する。(銃口から出た弾が各方向に45度以上の角度で飛び出す)。敵を倒せば経験値は上昇するので、武器グレードアップ用のポイントは貯まり易いのだが(最終的にはかなり余るくらい)、レベル5まで上げてもこれではしょうがない。 具体例としてFN HARというアサルトライフルだと、図Aくらい離れた位置から扉の丸い突起部分を、「しゃがんだ敵の頭部」と想定して狙った場合、レベル5でセミオート+ズームという最も精度の高い状態でさえ、図Bの赤丸の範囲程度に弾はバラけてしまう。つまりヘッドショットは、この位近くても命中確率が低いという設定。コピープロテクトの手法の一つに、「違法コピーでもプレイは可能だが、銃の命中率が極端に落ちる等で実質ゲームにならなくなる」というのが在るのだが、最初はもしかしてそれが誤動作しているのではないか(プレイ時に媒体を入れなくても起動するので)と疑った位に当たらない。(媒体をセットしても変化無し。またEasyにすれば、照準のサイズ差以上に弾は正確に飛ぶようになるので違うはず)。 ![]() ![]() ![]() これに加えて中盤以降多くなるボディアーマー+ヘルメットの兵士は結構硬く、ヘッドショットでも何発か当てないと倒せない。他の敵に対しての武器のダメージも一般的なFPSに比べて半分程度という印象で、通常の弾だとヘッドショット1発で死ぬ敵はあまり居ないというレベル。それが命中精度の低さと相まって、ちょっと離れてしまうと敵を倒すのに時間が掛かるという状況になってしまう。敵と5mも離れてしまえば、最高レベルにしたサブマシンガン&アサルトライフルのセミオートでも、狙った場所には1/5位の確率でしか着弾してくれない。それで3〜5発程度ヘッドショットを当てないと倒せないとなると、20〜30発ほどの弾を一発毎に照準を修正しながら延々と撃ち続けてやっと一人倒せるという感じで、出来ない訳ではないがテンポが悪過ぎるし爽快感も低い。 結果的にその命中精度の低さを補うには敵に接近して命中率を上げるしかなく、サブマシンガン&アサルトライフルでの撃ち合いは、中距離戦を省いた近距離戦にせざるを得ない。具体的には図C位が限界距離であり、これ以上離れるとほぼ当たらなくなる。しかも普通だったらフルオートのこの間合いでも、フルオートは激しく照準が動いて行ってしまう為に、セミオートでボタンを高速連打する事になって忙しい。 武器紹介を兼ねてより具体的な説明。HK-G2060はすぐ手に入るサブマシンガンで、セミオートにすれば上記のFN HARよりは集弾性能はマシ。しかし9mm弾は貫通力が低いので、ボディアーマーに対してはダメージが与えられない設定の為、アーマーを着込んだ兵士が出始めるとヘッドショットを狙うしか無くなる。だがそれは命中精度が低いので難しく、また他の弾より数多く当てないと倒せないので、その辺りからは実質使えなくなる。序盤戦のミュータントやアーマー無しの兵士用の武器でしかない。フルオートでのリコイルも極端に激しい。 AK94-MkVはズーム機能を持たないが、サイレンサーを装着可能なアサルトライフル。5.56mm弾なのでHK-G2060よりも威力は高いし、命中精度は図Bよりは高い。なので離れて戦うにはFN HARよりもマシではある。 FN HARはグレネードランチャーを装備したアサルトライフルで、弾当たりのダメージはAK94よりも上だしズームも出来る。しかし図Bの様に弾の散りが激しいので、実質ライフルとしての効果はAK94とあまり変わらない。フルオートでのリコイルも激しい。 だが低い命中精度への対抗手段が無い訳ではない。その一つ目はハンドガンのBeretta-2020D。私はレベルを上げさえすればサブマシンガン&アサルトライフルは使える様になると見てそちらを優先したのだがこれは失敗で、実際にはレベル5にすればセミオートでのブレは上記3つの銃よりも遥かに少なく、このベレッタの方が中距離での正確性が高くて使える。9mm弾なのでアーマーを避けて頭に当てるしか無い上に、威力が低いのでより多く当てないと倒せないという欠点はあるものの、他の銃の性能が悪過ぎるので結果的にはこちらの方が早いという状態になっている。そこそこの距離で撃ち合いたいのならば、中盤まではこれを優先的にアップグレードして戦う以外にない。 次に中盤で手に入るスナイパーライフルHiPow-XI。やはり不自然なブレ幅はあるのだが、レベルを上げれば2発に1発は照準地点に飛ぶという、このゲームの中では抜群の正確さを誇る。貫通性能は最高で、ヘッドショットでなくてもアーマー兵士を1発で倒せたりもする。そしてアサルトライフル代わりにこれを使えば、中距離戦でも敵を素早く倒せる様になる。欠点は弾がかなりレアな点で、しかも脇道ルートの倉庫等に置いてある事が多い。それと敵スナイパーとの遠距離戦や近付きたくないタイプの敵との戦闘用に、ある程度は弾を常に温存しておかないとならないので、あまり頻繁には使えない武器となる。 JP-EMはEMP弾を撃ち出すアサルトライフル。集弾性能は特に良くはないのだが、このEMP弾はアーマーに対して大きなダメージを与えられるのが最大の利点。アーマー兵士との戦闘で無理にヘッドショットを狙う必要が無く、もっと大きな的のボディーを撃てば良いので、他のアサルトライフルに比較して格段に倒し易い。ただしこれが手に入るのは中盤過ぎであり、弾薬も5.56mmに比較すると少な目なのでずっと使い続けるのは無理。なおこのEMP弾はミュータント系には効かないので、下部に装着されたショットガンに切り替えも可能だが、こちらは精度や威力共に単体のショットガンに劣っている。 なおこの命中精度の低さについてだが、自分側だけが低いのではなくて、敵側が同類の武器を使っている際には同じ様にそれ程当たらないようになっている。よってバランス自体はおかしくないし、ゲームとして破綻している訳でも無いのだが、FPSとしては明らかにバランスがおかしいと言わざるを得ない。 この異常な命中精度の低さの理由だが、「実銃の命中精度はゲームの様に高くない」と言いたかったとかではなくて、そう設定したのはプレイヤーの目をハンドモードによる特殊能力に向けさせる為と見て間違いないだろう。つまり銃の正確性が普通のゲームレベルだと、銃だけを使ってクリアされてしまうので、「こんな当たらない銃を使っていられるか!」と思わせる位に精度を下げてやり、そこから特殊能力を使わせるように誘導したかったのだと考えられる。 しかしハンドモードによる特殊能力が、銃での攻撃力に見合うほど多彩でも強力でもないので、結果的にはハンドモードに移行して長時間戦う訳にも行かず、中途半端なバランス設定で終わっている。どちらを使っても進められるという風にしたかったのならば特殊能力の数を増やしてパワーも上げるべきだし、そうではないならハンドモードを使わないと倒せないタイプの敵を多く出すとか、別の形で“切り替えの必要性”を実現するべきだった。 |
COMBAT |
サブマシンガン&アサルトライフルが相当接近しないとなかなか当たらない位に命中率が低い事を上で書いたが、そうなると「そこまで接近するのならば、むしろ接近戦に向いた武器を使えば良いのでは」という発想が当然出てくる。そしてその通りにショットガン(Striker XXI)の攻撃力が突出して高いのが、戦闘における第二の特徴になる。 ショットガンの弾も散るのだが、敵に接近して撃つ事で大分それは抑えられる。貫通力も高く大半の敵は至近距離から頭を目掛けて撃つ事で1〜2発で倒せるので、スナイパーライフル以外の武器よりもショットガンを使う方が早い。しかもこのショットガン攻撃を推奨するような設定が幾つも用意されている。まず弾薬は50発以上を持ち歩けて、序盤以外は結構手に入るので頻繁に使用可能。次に敵の攻撃の正確性と被弾ダメージが低目なので、簡単に敵の居場所まで近付ける。そして敵が複数居る場合でも、シールドの能力を発動させる事で被弾ダメージを軽減出来る。 中でも一番大きいのはスローダウンの能力との併用で、この特殊能力はレベル5まで上げる事で(25% x 4)で単位エネルギー当たり2倍の持続時間となり、一つのPSYバッテリーでかなりの時間継続が可能。しかも無くなりそうになったらバッテリーを継ぎ足せばずっと継続させられてクールダウンも必要無い。スローダウン中は自分と敵は等速で遅くなる仕様だが、それでも動いている敵に的確にヘッドショットするには有利だし、ダメージもゆっくりと減るのでメディキット適用のタイミングを逃さずに済む。 ショットガンでの攻撃自体は、F.E.A.R.の様にスローモーションの中で敵をラグドールで豪快に吹っ飛ばす爽快感は確かに持っている。問題は中距離での銃撃戦が命中精度の低さからやり難いのに対して、スローダウン時間が長い為に敵に接近しての戦闘が容易となり、その際に一番効果的なのがショットガンという図式なので使用頻度が上昇。故にやたらと“スローダウン+ショットガン”での戦闘が繰り返されてしまい単調になってしまう様になる。 ここで別の問題点を挙げておくと、PSYバッテリー及びPOWバッテリーが多過ぎで、やたらと手に入るのでスローダウン&シールドの能力が使い放題になってしまう。10個以上になると9+表示になるので正確な数は確認出来ないが、最後のチャプター16で数えてみたところ両方共に50個以上所持していた(そこで面倒になって止めた)。 ハンドモードで使う特殊能力ではこのバッテリーを大量に消費するので、それを多用するプレイヤーの為にこれだけ多いのだと思われるが、それならばスローダウンとシールドでももっと消費速度が早いようにしておくべきである。或いは特殊能力を使わないと倒せない敵を増やすとか。銃器をメインに使うプレイヤーにとっては明らかに過剰で、2つの能力を使い放題なので易しくなってしまっている。 続いての特徴としてグレネードの破壊力が高い。フラグとEMPの2種類だが厳密に効果が分かれる設定ではなく、アーマーを着た兵士にはEMPも効果的だし、ロボット・機械系の敵でもフラグでダメージは与えられる。投げてから爆発までが早いので敵に逃げる隙を与えずに倒せたりするし、狭い場所では敵が逃げ辛いのでより効果的となる。更にFN HARのグレネードランチャーも強力で、アサルトライフルとしてはあまり良くないのだが、後半からグレネード弾が手に入る様になるとグレネードランチャーに変貌を遂げる。こちらは転がりが少ないので、より正確な場所に落とすには便利。 グレネードの破壊力が高いのはその数が多いというのも強く影響しており、所持数は各10個までだが手に入り易い。中距離で敵が何人も居るケースでは、銃を撃つ前にグレネードを次々に投げ込んで敵を減らすという手段が簡単且つ速いので、これもまたアサルトライフル等での銃撃戦を少なくさせる要因になっている。周囲に補給出来るグレネードが在るのならばスパムの様に乱発する事も可能。更にシールドをレベル5にするとグレネードのダメージを受けなくなるので、この状態で敵陣に突っ込んで行って周囲に撒き散らして敵だけ吹き飛ばすという荒技もあり。ほぼ全ての敵に対してダメージを与えられるのも強みで、ボス系の敵との戦いでも離れた場所からグレネード攻撃は有効である。個人的には最後のチャプターにてグレネードランチャーの弾が余っていたのでポンポンと撃ち込んでいたら、知らぬ間にラスボスが死んでしまっていて拍子抜けだった。 やはりグレネードの数が多過ぎる点は問題と言わざるを得ず、最大所持数に制限があるとはいえその威力を考えると、最大5個所持で出現数も半分以下で良い位である。 敵はミュータント系と人間系に分けられて、種類は多くて能力にも違いがある。各々弱点が異なったり、ある種の攻撃に対しては免疫があるので、Wikiメニューに追加されるデータを読むのは大事。例えば盾を持っている兵士にはナイフ攻撃が最も有効とか、このタイプの兵士には精神攻撃系が通用しない等が解る。ただしWikiに掲載されている画像と実物に差があったりもするので、正確にどのタイプに属するのかが判り難かったりもする。 完全にミュータント化した敵は姿が変化しても近接打撃ばかりでほとんどに遠距離攻撃がないので怖くなく、火炎放射器やミニガンを持っているタイプは注意しないとならないが数は少ない。他には精神だけをウイルスに侵された作業員がショットガンを持っている。兵士系は後半になるに連れていろいろなタイプが出て来て割と面白くなる。高速移動で光学迷彩を使うタイプ, スピードの速い女アサシン, 非常にタフなヘビーアーマー兵士等。ロボット・機械系では小型ドローン, キャタピラ移動するマシンガン砲台, 天井の自動小銃, ミニガン装備の大型メック等が登場。 一番の難敵はボス系でEMPライフルを使用してくる兵士。この銃に撃たれるとダメージを受けると同時に武器を下ろしてしまうので、自動的に再度構えるまで攻撃が出来なくなる。そして復帰した瞬間に撃たれるとまた武器を下ろすというループに陥る。更にHPも相当高いので、隠れられる場所が無いと近接戦は難しい。ただしグレネードを使って遠くから攻撃したりとか対処方法はいろいろとあるので、一般的なゲームにおける難所という程ではない。 あと付け加えると、近接打撃攻撃は見た目よりも間合いがずっと長いので最初は戸惑うが、その間合いを掴めば逃げるのは容易くなる。兵士にも接近し過ぎると打撃攻撃を喰らうので注意。 AIは他社製のAutodesk Kynapseという、物理エンジンでオブジェクトが動く中を、ダイナミックに移動可能パスを見付けられる能力を持ったエンジンを導入している。確かにその能力は感じられて、敵兵士はランダムに異なったルートを次々に移動してきたりする。またオブジェクトをカバーに使ってリーンしながらの攻撃も行える。ただし時々障害物の認識がおかしくなり、射線が通っていないのに撃ち続けたり、障害物に向けてスタックしてその場で走り続けてしまうケースも見られた。またチーム行動も行えるエンジンらしいのだが、味方同士が重なっても撃ってしまったり、味方が居るのにグレネードを投げ込んできたりもあった。 その他の問題点では、ラグドールで吹き飛んだ後の起き上がりアニメーションが適当で、倒れた姿勢から滑らかにでは無く突然起き上がり前の状態へと移行してしまうので、倒れた場所によっては起き上がりがオブジェクトの中で発生してしまう(衝突判定が無い)。後はトラップが在っても気が付かないでそのまま通過してしまうし、グレネードを目の前の障害物に当てて自爆する事も少なからず発生する。 F.E.A.R.の様なAIが目標だそうだが、根本的に非常に近い距離での戦闘に持ち込む事が多くなるゲーム性なので、その意味でルート移動のダイナミックさが活かされていない。要するに頻繁に移動してカバーに隠れながらリーンで攻撃してきても、こちら側がいきなりそのカバーの裏まで突進して行ってショットガン等で攻撃してしまえるので、隠れるという意味があまり発揮されないのである。 全般的にゲームの難易度は低めであり、これは一部の人を除いては弱点と言えるだろう。上記の様にショットガンとグレネードの攻撃が強力であり、スローダウンとシールドの能力も使い放題な位に2種のバッテリーが豊富。更にメディキットも多いので気軽に使用可能。失敗してメディキットが少なくなっても、Regenerationを使えばバッテリーのエネルギーで回復可能なので詰みもまず無い。とにかくいろいろなアイテムが多過ぎるのがその原因になっている。しかも困った事に途中からHardも試してみたのだが、あまりNormalと変わらないという感触で難しくなってくれない。スローダウン等の能力が強過ぎるのがその理由だと思われる。 全体の流れとしては前半パートが弱いのが欠点である。前半は武器が少ない上に改造レベルが低いので命中精度が更に低く、特殊能力もあまり使えない。そして敵も普通だし種類も少ない。それが後半になると武器類もスナイパーライフルやEMPライフルが使える様になるので爽快感やスピード感が上昇し、敵の種類もバラエティに富むようになるのでこれもプラス点と、後半の方が出来は数段上である。ただし難易度に手応えが無いという点までは改善されないのがネックである。 |