GAMEPLAY |
全12チャプター。難易度Normalで14時間位掛かった。ちょっと後半戦を慎重に行き過ぎた感もあり、またどうやったら先に進めるのか迷った箇所もあったし、広いマップ内を隅々まで探索するシークレット探しに力を入れたというのもあって長くなった。今回はシークレットが多くてマップも広大な為に、どれだけ探し回るかがプレイ時間に大きな影響を及ぼすが、一般的には初回プレイでは10〜12時間程度の長さとなるのではないか。なお各チャプターにはCroteam側が設定している標準クリア時間が記載されており、これの合計は8時間20分であるが、これ以内でクリアするには探索や回避可能な戦闘を避けて直線的に急いで進まないとならないだろう。 Croteamでは今回の新作を「全くのシリーズ新規ユーザーにも楽しんで貰えるようにしたい」という意図と、新しい面を採り入れたいという狙いから、やや従来の作品とはその内容を変えてきている。具体的にはクラシックなアクションFPS風のパートがある程度導入されているのが新しい面となっている。Serious Samと言えば閉鎖された空間内に大量の敵が現れるというパターンがその典型であるが、前半のチャプター1〜4についてはこれまでとはデザインが異なっており、一言でいうなら「らしくない」ゲーム性である。チャプター5以降から徐々に従来のSSらしくなっていくという構成を採っている。 その前半戦では広々としたエリアでの戦闘となるのは一部のみであり、設定されたルートを配置された敵を倒しながら進んで行くという感じの、昔の一般的なアクションFPSに似たデザインにされている。武器の登場も制限されており、ハンマー, ピストル, ショットガン2種, アサルトライフルのみしか使えない(シークレット武器を除く)。CH4のラストでようやくロケットランチャーが手に入るという設定。よってこれまでに比べると相当地味な火力という印象を受けてしまう。敵の方もクローン兵士とスパイダーがやたらと多目で、この2種は戦っていてもあまり面白くないタイプなのでそれもマイナス。他の敵も弱い物が中心となり盛り上がりに欠ける。 狙いとしては新規ユーザー向けのウォーミングアップなのかな?と感じられるが、このスロースタート感には従来のファンからは批判的な声も多い。個人的にもここは大きなマイナスポイントで、こんなデザインのマップはやるなら最初の2つ位で良かったのではと思う。特にダメだと思うのが[CH2: Into the Spider’s Nest] と [CH4: No Place to Hide]である。 前者はクモとの単調な戦闘が続いた後に、次は暗闇エリアに入りここでは前が見え難い状態での戦闘になる。旧作でもイベントとして非常に視界が遮られるエリアという演出はあったが、今回はそれがずっと続くので面白くない。被ダメージが低いので難しくはないが、避けられない直撃系の弾を撃ってくるクローン兵士が暗闇の中から攻撃してきたりするのでストレスになるし、少なくともSerious Samというゲームにこの様なシチュエーションの連続は不要だと言いたい。一方で後者は市街の入りくんだ路地に即死級のダメージを与えるミニガンタレットが多数設置してあり、これを止めるスイッチを迷路の様な街路を歩き回りながら延々と探して行くというのをやらされる。それが終わると今度はボスから逃げ回るという設定に変わり、こちらも同様にこのシリーズに期待される内容に合っていない。 マンネリ化したゲーム性に新風を吹き込むという点を評価するという意見も当然ある訳だが、私としては広い戦場で大量の敵相手に豪快に撃ちまくって戦うというのは、このシリーズにおけるいわゆる“様式美”であり、そこを変える必要性は無いという意見である。変化を付けたいのならば武器, 敵, ロケーション, 戦場といった点を変えてバラエティさを出すべきであり、今回の序盤パートの変化には賛成出来ない。とりあえずこれを読んでいる人で、序盤の詰まらなさに投げてしまったという方は、我慢してCH5に入るまではやってみるべきだと書いておく。 上記の様な暗い場所というのは以後も所々に登場するが、やはりこれは無い方が良いという感想になる。厄介な事にこういった見え難い場所において、スイッチ探し, 進行ルート探し, 戦闘等が組み合わされておりストレスになっている。簡単なスイッチ探しによるパズルやルート探しは従来も在ったが、暗闇となるとその難易度が上がる。中でもCave Demon(Space Monkey)の存在が鬱陶しく、彼等は高速で壁面や柱を飛び回っている知能の低い敵で、ランダムにサムに向けて跳び掛かってくる。被ダメージは低いので通常は相手にしなくても良いのだが、暗闇の中で長時間探索をしていたりするとそのダメージ累積も馬鹿にならなくなる。だが倒そうにも素早いので時間が掛かるし弾の無駄でもある(Mutilatorがあれば柱を折るという手はあるが)。 もう一点明るいエリアと暗いエリアの差が激しいというのも問題。地上部分のギラつきを抑える為に明るさを低減するとより暗闇エリアでの視界が悪くなり、暗闇対策で明るめにすると今度は地上が白飛びしたようになってしまう。いずれにせよ暗闇エリアでは迷い易くなっており、実際にCo-opでは未クリアのプレイヤーだと思われるが、進行方向が解らずに置いてけぼりにされたりするケースも多々見受けられるという状況。やはりこの点もSerious Samに難解なルート探し要素は要らないと思える。 ロケーションはストーリー設定上どうしようもないがエジプトオンリーである。序盤の市街地エリアから、後半になるにつれて遺跡エリアが増えてくるという構成。よってその中でどれだけ変化を付けられるかになるのだが、その点はあまり成功していないという印象。特に後半の遺跡パートでは似たような風景が目立ち、個性的なエリアは大して見られない。初代TFEもエジプトオンリーだったが、あちらの方が夜等の時間帯の変化を採り入れたりしていてチャプター単位での変化がハッキリしていたように感じられる。 変わったと言えば、これまで強調されていたユーモアの要素が減退したというのもある。今回はちゃんとタイトルの通りにかなりシリアスなトーンであり、ギャグや悪ノリは最低限に抑えられている。これも新規ユーザーを出来るだけ集めようという意図なのか、確かにこれまでそのお馬鹿要素を理由に敬遠していた人に対しても、普通のFPSに近くなったのでお勧めはし易くなっている。だがこれもまた個人的には不満な点であり、ユーモア要素の減少は残念な点と言わざるを得ない。私は批判の多かった前作のSS2なども、ゲームプレイにはいろいろな問題があるものの、ゲーム全体のユーモラスなトーンやノリは良かったと考えているので、そこからの激変振りには驚いていると同時にガッカリもしている。 シークレットはその数を増やし、また難易度が格段に上がっている。教えられなければまず気付かないだろうという物も在るし、見えてはいるのだが到達するにはPankillerばりの難易度の高いジャンプを成功させないとならない物も含まれている。私も結構探したが、初回プレイでは半分位しか見付けられなかった。なお後に戦闘の項で詳しく述べるが、これまでに比較してシークレットの発見は重要度が高い(特にシークレット武器とその弾薬)。しかしNormal程度では発見が必須というレベルではないので、このシークレットの発見難易度の高さは大きな問題とはなっていない。ゲームの特徴の一つとして楽しみに感じる人もいるだろうし、悪くはない変化だと思う。 データベース兼アドバイザーの脳内コンピュータNETRICSAは、時代設定という観点からなのか単純化された。本当に単なるデータベースとなり、人格を持った存在でも無くなっている。これまでのように大量のデータを次々に提示しないので見易くはなったが、同時に味気無くもなった。敵の弱点等を示してくれるので、これを参照するのは今まで通りに重要な行為となっている。 キャンペーン以外にHDから追加されたサバイバルモードも用意されているが、マップがまだ2つだけと寂しい状態。そもそもとにかく難易度が高いのでCo-op向きであり、個人でのプレイは特に面白さが感じられない。 |
COMBAT(弾薬) |
CH5以降は従来のSerious Sam風に戻るが、それでも結構変わった部分は存在している。その辺の違いを中心にしてここでは解説する。なお比較対象となる旧作はThe First Encounter(TFE)とThe Second Enconuter(TSE)とし、SS2は独自要素が多いので外して考える事にする。 難易度Normalでの比較において、今作はシリーズ4作中で最も難易度が高い。同時に近年のFPSゲームの中でも、難易度Normalの中ではかなり難易度が高い部類に入る。CH1〜4までの前半戦は上で書いた様にストレスを感じさせる面を持つものの、難易度としてはそれ程でも無い。しかし中盤戦から後半戦に掛けては難所が従来よりも増えており、総合的にも難しくなっている。旧作でSerious Sam特有の大量の敵ウェーブとの戦闘に慣れ親しんだプレイヤーでも(同じ難易度でのプレイなら)苦戦すると思われる。Croteamでは「近年のアクションゲームはストーリーを解説するカットシーンを重視するあまりに、進行のテンポを重視してなるべくプレイヤーを途中で詰まらせないように簡単になっている。しかし我々としてはプレイヤーにチャレンジ要素を提供したい。」と話しており、確かにその意図通りに手応えのある難易度のゲームである。 ちなみに掲示板で「難易度下げたいんだけどどうやるの?」といった要望もチラホラと見掛けたのだが(実際のやり方はシステムの頁を参照)、相変わらずEasy以下では極端に難易度が下がってしまうという仕様は変わっておらず、Normalからの下位難易度への変更はあまりお勧め出来る物ではない。Easyにおける最大弾薬携帯数は従来の2倍から1.5倍へと調整されたが、ヘルスとアーマーの通常上限値が200なのは変わらず。何より自爆ダメージが一切無いというルールなので、接近してきた敵に対してロケットもC4も使い放題という事になり相当難易度が下がってしまう。この辺は難易度数を増やすとかして、もっとなだらかに変更可能にして欲しいものである。それと反対に今回は難易度Seriousにて弾薬数が倍にならないという設定なので、Hardとの違いが明白では無くなったというのもある模様。 難易度が上昇した最大の要因と言えるのは弾薬数の減少である。ユーザーのコメントとして「弾が足りないからもう進めない」といった、その少なさを嘆く声も何回か目にした。原因としては第一に純粋に弾薬の入手量が減った。旧作では敵大量発生エリアの前に目一杯弾薬を置いておいたり、戦場の中心に大量の弾を用意していたりしたが、この様な配置をされるケースが少なくなっている。従来の各種弾薬パックである緑と赤のリュックも無くなった。 第二に弾薬の配置の仕方が変わった。これはヘルスやアーマー等の回復系アイテムにも共通する事なのだが、これまではプレイヤーが取り忘れないようにメインルートにまとめて置いてあるという形式が多かったのが、小分けにして広い範囲に配置されるという方式に変わっている。アイテム類は全て色付きでハイライトされるので視界内の物を見付けるのは容易なのだが、SS3では障害物が大量に置いてあるという点が問題となる。例えば前半戦における市街などは建物が多くてエリア全体の見通しが悪いのだが、そういった街路の至る所に少しずつ弾薬やヘルス等のアイテムが配置されているという設定になった。よって発見するには少なくともその街路を覗かないとならない。しかし建物の内部とか障害物の陰など、実際にその路地を通らないと見えない物も数多く、くまなく探すには全ての街路を実際に通って探索しないとならない。その為に直線的に進んでしまうと、弾薬数及び回復アイテムという両面で不利となってしまう。 これは直接の戦場でも同じ事で、これまでの「戦闘前にまず大量に取らせてからスタート」では無く、戦場内に大量の建物や障害物(瓦礫の山等)が存在しており、そういったオブジェクトの陰や内部(時には登った上部)に数十箇所に分けて弾薬やヘルスが散乱しており、敵と戦いながらそれらの障害物の周囲を走り回って随時弾薬と回復アイテムを回収していくという形になった。時にそれは数百メートル四方の戦場の隅々にまで散らばって置かれていたりもする。故にここでも動き回るのを怠ると、十分な数の弾薬と回復アイテムを得られない。 第三にレーザーガン消失の影響が大きい。(実際にはシークレットで入手は可能だが弾薬もシークレットにしかないので、十分に使うには難解なシークレット探しを必死に行う必要がある)。旧作ではこのレーザーガンとミニガンは重要な武器となっていた。連射性能と威力が高いのは勿論だが、何と言ってもスプラッシュダメージが無いので近距離戦に強いというのが大きい。敵に迫られた際でも自爆ダメージを気にせず撃てるし、威力も高いので多くの敵軍を一掃するにも役立つ。更に強大な敵が突然出てきても、持ち替えずにそのまま撃って倒せるだけの威力も持っている。旧作ではこういった際に使える武器が二種類あったので弾薬数を見ながら使い分けたりが可能だったのだが、今回はそれに当たる武器がミニガンだけになってしまっている。付け加えると同様に自爆ダメージ無しの武器としてキャノン砲があるが、こちらも今回は出番が半分以下になっており旧作ほどの乱発は不可能である。 結果的に片方のレーザーガンが無くなった事から総合火力が半減。更にミニガンの弾の入手可能数が半減といった感じなので、旧作に比べて1/4程度しか近距離戦での万能強力武器が使えないという状況になった。そのため高速で迫って来る敵が数多く湧くエリアの難易度が高くなっている。特にKleerのラッシュが難関。これはKleerが非常に強くなったのでは無く、これまでKleerラッシュに有効だったミニガンorレーザーガンの連射が使い難くなったというのが影響している。よってSS3ではミニガンの弾の温存、そして使い所の判断が重要である。旧作では弾が割と多い事から、手っ取り早く敵を倒して先に進めたい際に安易にミニガン(レーザーガン)で片付けたりしていたが、今回は安易に無駄遣いすると後で泣きを見る事になる恐れがある。 その他には上記項目よりは影響度は小さいが、どれだけ弾薬を貯め込んでいても途中で定番の全武器消失イベントが発生する事。またマップのラストにて、敵を倒してしまうと即カットシーンから次のチャプターへと切り替わってしまい、出口に到達する前に残った弾薬やアイテムを回収するというのが出来なくなるケースがある。 まとめとして(特に上位武器の)弾薬数の減少から、そのマネージメントの重要度が増している。それを考えずに弱い敵に上位武器を無駄に使っていると、弾が足りずに困る事にもなりかねないし、最悪の場合には詰みも可能性としては有り得る。当然Kleerの出る場所にはミニガンの弾が、大物が出る場所にはDevastatorの弾が用意されていたりはする訳だが、例えばミニガンならば500発置いてあるのを拾って使うのと、温存していた500発+その場の500発では全然難易度が変わってくる。Devastatorも100発まで携帯出来るので、温存しておいて難所で連打が可能になると大分楽になる。赤メック, Khnum, Witch-Brides, タココプターなどが複数出て来るエリアでは高速で排除するのにとても有効となるし、小型の敵の群れに乱打してその数を減らすというのにも役立つ。それと高速で着弾する上に広いスプラッシュダメージを持つので離れていればKleerや牛のラッシュにも有効で、ロケットとは違い横方向に動いている時でも当て易い。逆に手持ちが少ないと、ロケット弾コンテナが有っても苦戦する可能性が高くなる。キャノンなども入手弾数が格段に減っているので、どこで使うのかはより重要になっている。 しかしあまりにも温存し過ぎると、わざわざ自分から難しくしてしまうというのもある。私もこれでも倒せるからとあえて下位武器を使用したりしていたのだが、最終的に振り返るともっと上位武器を使っていればずっと楽にクリア出来たという格好だった。それと全武器消失イベントもあるので、そこでは貯め込んでいても全て無駄になる。先の見えない初回は匙加減が難しいが、非常用に半分程度は残しておく位の感じで上位武器を使っていくのが無難だろう。 そしてこの弾薬数の減少は旧作ではよくあった「自分の好みで余っている弾を適当に撃っていれば良い」というシチュエーションを減らしている。同様に今回は高速な武器チェンジが要求されており、ホイール選択では無くショートカットキーでのダイレクト装備が重要となった。(コントローラーでの操作は未体験だが、放射型の選択システムと使っていたりとその辺を考慮している)。いわば旧作では弾が結構有ったので、武器切り替えを積極的に行わずに安全策(武器切り替え失敗を避ける)で同じ武器を撃ちっぱなしにして戦うというのもある程度は行えた。しかし今回は上位武器の弾薬を節約する事が大事なので、ミックスされて登場する敵の群れと自分との距離を考えながら、どの敵から, どの武器を使って, そして今は弾薬を温存すべきシーンなのか, を素早く判断してやり、武器を頻繁且つ正確に切り替えつつ戦う事が要求されるシチュエーションが多くなっている。それが結果として戦闘に緊張感を生んでいるので、弾薬数の減少はプラス面が大きい改善要素だと評価したい。 |