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COMBAT(続)
 ゲームのタイプとしては如何にその先の展開を憶えているか, 知っているかが重要なゲームである。いわゆる憶えゲーの要素が強く、一回クリアしたら更に難易度を上げるか、同じ難易度ならよりハイスコアを目指してのリプレイをさせる事を狙っているデザインとなる。セーブ&ロードを多用しなくても進めて行けるような適度なバランスにしようとは考えておらず、死ぬ回数が増えてロードを多用する事になってでも、敵の数と攻撃は激しくした方が面白いという発想で作られていると言えるだろう。

 このゲームでは閉ざされたエリアにて第一陣を全部倒してクリアすると次々と段階的に敵が現れるという構成の場所が多く、どういう順番でどのような敵が出現するのかを知っているといないとでは大きな違いとなる。例えば全部で5段階に渡って現れる敵が分かっていれば、ミニガン, レーザー, キャノン等をどこで使うべきなのかを計算してやれるし、どのタイミングで追加の弾薬がその場に現れるのかとかも有利な情報となる。更にキツイ場所では敵が出現する前から適した武器を構えての準備も重要となってくる。

 だが初回プレイ時には先の判断のしようが無いので、現状Max近くある弾を優先的に使用して敵を倒していくというスタイルで臨むのが基本となる。この先どこで補充出来るのかが分からないのならば、半分程度使用した時点で止めておいて別の武器に切り替えたりと弾薬のマネージメントに気を使って進めないと辛い。特にミニガンとレーザーを同時に切らしてしまうのは致命的になりかねないので注意が必要だ。


 おそらくこのデザインは、このFEがアーケードのシューティングゲームを強く意識されて作られたというのに起因するのだと思われる。このゲームはマップ単位やゲーム全体を通してスコアを計算するようになっており、どれだけ敵を倒したかは勿論の事、クリア時間が規定よりも短い場合のボーナス点や、どれだけシークレットを見付けたかという点も加算されるようになっていて、ハイスコアを出す事を目標にするという設定にされている。しかし実際のところはこのハイスコアを競い合うという要素は大して人気がなく、各掲示板等でもハイスコアの競い合いで盛り上がるというのは見掛けなかったのだが、その後の新作に到るまでこの機能は残されており、あくまでも自分達に取っては非常に重要な要素なのだというCroteamの強いこだわりが伺える。

 このFEはそのハイスコアとの絡みでの、アーケードのシューティングに近いゲームデザインという面が一番色濃く出ているゲームでもある。アーケードのシューティングではどこでどんな敵が出て来るのかや、どこで有効なアイテムが取れるのかを憶えておき、その情報を元にどうやって効率良くその面をクリアするのかを計画してから臨むというゲーム性の物が多い。クリア時間によるボーナスも有るならば、どうやったら多数の敵を早く倒せるのかを考えて実践するというのも重要となってくる。

 こういった設定をFPSゲームに持って来るとどういう風になるのかと言うと、弾薬やアイテムが何処で手に入るのかの知識をしっかりと持ち、それを元にして何処でどの敵に対して使うのが最も有効なのかを考えて戦って行くというゲーム性になる。例えばミニガンやキャノンで攻撃すれば、確かにその時は簡単に乗り切れる可能性が高くなるが、無駄に使ってしまうとその先の是非ここで使いたいと思えるような場面で弾薬が無いという事になりかねない。しかし「このエリアの先にはミニガン用の弾薬が大量に置いてある」という予備知識があったならば、そこでミニガンを撃ち捲くって楽に敵を倒すと同時にクリアまでの時間の短縮が可能になり、その先の展開もスムースになって行く。同様にこの先が難所という事前の知識があるのなら、敢えてここは弱い武器で戦って弾を温存してやった方が総合的に見ると楽に早くクリア出来るという判断も出来るようになる。

 逆に出し惜しみして苦戦しても、実はその先に補充の弾薬は有ったので撃っても構わなかったという様に損をするケースも出て来る。そういった事態を防いで効率良く敵を倒して行き早くクリアしてボーナス点を得るなら、どこで弾薬の補充が出来るのかと、どこでどれだけの敵が出現するのかの知識が不可欠。要は敵との戦闘自体には反射神経がメインで頭脳を要求はしないが、ハイスコアの為に敵を上手く早く倒すには、マップの内容を充分に把握して作戦を立てる事を要求するというアーケードのアクションと同じデザイン。もしここで存分に撃てる程の弾薬を用意してしまったら、シューティングの実力が同じ人のクリア時間は同じ程度になってしまう。そこに攻略の為の作戦で大きな差が付くという要素を組み込むには、限られた弾薬を如何に上手く使って行けるかというデザインにしておかないとならない訳だ。


 問題はCroteamが考えていたほどにはプレイヤーはハイスコアには関心が無く、リプレイ性が高いとは受け取られなかった事。また弾薬が少ないとか、逆に多過ぎるとか、純粋にFPSとして分析された際の弾薬数のアンバランスさを指摘されてしまった所とかである。つまり敵の出現パターンや入手弾薬数を事前に知っている状態でのリプレイにて丁度良い位の弾薬数が手に入るというバランス設定なので、それが判らない初回プレイではそれ程撃ちまくれないという格好になる。すると初回プレイで止めてしまったプレイヤーにとっては、敵の数と弾薬配置が上手く行っていないと受け止められたりしてしまう。

 普通のFPSでは初回プレイ時に適切な弾薬配置となるようにするし、またこんなに数多くの敵は出てこないので問題にもなり難い。言い換えると、あるエリアで激戦が繰り広げられる設定の場合、その場所にその戦闘を凌げるだけの弾薬数は置いてあるのが普通で、そこに来た時点で持っている分だけ楽になるという仕組み。(よって持ち過ぎないように、マップ切り替えで弾薬数がリセットされてしまうという仕様の物はある)。一方このゲームでは、幾つかの戦闘エリアではそこに置いてある弾薬数では厳しいという設定にされており、そこに至った時に温存している強力な武器の弾薬が無いと相当難しさが増すというバランス設定である。


 これは難易度解説の項でも述べたのだが、難易度数が多いにもかかわらずその区別の仕方が上手く行っていないと感じる。Normalではもっと撃ちまくれるようにして、Hardではやや弾薬管理を厳し目めにした方が良かった。現在の設定ではどちらも厳しい方に寄り過ぎ。なおこれはもっと簡単にしろという意味ではなくて、「弾薬数が結構有るので、敵に正確に攻撃を当てられるのならばプレイヤー側の攻撃力が上がる」というバランスの方が良かったという事である。しかし実際の設定では、「強力武器の弾薬が少なくなると、敵に攻撃を正確に当てられても攻撃力が上がらない」という状況に追い込まれるケースがちょくちょく発生してしまう。よって温存に走る訳だが、そうなると今度は温存中に強力な武器が撃てなくなるという結果に。

 付け加えると大量の敵の数に対しての武器数の少なさというのもあって、また強力武器の登場がやや遅めという印象。もう2個くらい武器を用意しておいて、もっと早くから強い武器を登場させる方が爽快感が高まって面白くなったと思える。


GRAPHICS
 自社製作のSerious Engineを使用しており、第一の特徴は広大なアウトドアを描画出来る点。相当遠くまで見渡せるような場合でもLOD機能を活用してフレームレートの落ち込みが少なくなるようになっている。なおLODとは遠くのポリゴンを自動的に簡略化して画面上の総ポリゴン数を減らすという機能だが、これが登場し始めたのは丁度この2001年頃であり、先進的に採り入れたゲームの一つになる。

 これを活かす為にゲーム展開はアウトドア中心となっており、夕焼けや夜等の変化もあって相当綺麗なレベルに仕上がっている。特にレンズフレア効果は非常に美しい。次にテクスチャの質も非常に高く、様々な圧縮テクスチャに対応している。S3TCを選択すると私のGeforceではエラーが出てしまうのだが、デフォルトの圧縮モードでも効果はあるようで近づいて見た時の石材の質感とかはなかなか良い。

 もう一つの大きな売りとしてモンスターが大量に画面上に出現した時でもフレームレートの落ち込みがそれほど無いようにされている。実際にはfpsは結構落ちるのではあるが、これだけ大量の敵を出現させている割には落ち込みは少ないという仕様。通常のゲームでは見られない様な数の敵が同時に出現してもちゃんとゲームになるような速度で動いてくれる。多い時には100匹以上の敵が出る場合もあるのだが、それでも負荷が大して掛からないと言った具合。ロケット弾等がかなりの数画面上を飛び交ってもそれによるカクつきはほとんど見られず、現在他社から引き合いが来ているというのも肯ける優秀なエンジンと言える。


 グラフィックスの質はデフォルトでQuality, Normal, Speedの3種類の設定が用意されており、取りあえずはこれで合わせてやればいい。後は別メニューのAdvancedにて更に上のクオリティーを選ぶ事も出来るし、或いは各項目を細かく調整も可能。ただし設定項目がかなり有る上にちょっと見ただけでは何が変わるのかが分かりにくいという面は持っている。対応解像度は320*240から2048*1536までと多彩。

 弱点についてだがやはり重いというのが問題。広大なアウトドアを描画出来るしモンスター出現時の負荷が少ないのも確かなのだが、それ以前に根本的に重いゲームである。このゲームの場合はCPUの速度も重要な為に一概にグラフィックス側の原因により重いとは言えないのだが、私が比較評価の基準としている[1024*768*32でクオリティーは上限設定]というので比べた場合、相当重い部類に入るゲームとなってしまう。一応MAXではなくてQualityの段階でもう相当な重さであり、戦闘になるとfps30を維持するのがやっとという程度。本当に重い個所では一桁まで落ち込んでしまう。ただゲーム自体は設定を下げても結構綺麗なので、適当に下げてやれば快適に遊べるので大きな問題とはなっていない。

 (追記) 既に発売から10年が経過している為に、現在のハードウェアでは重さの問題は解消されている


 それとエフェクト系ではレンズフレアや霧の表現は良いのだが、逆に影に関してはおかしな感じでリアリティが無い。真っ黒に一色に塗られた物が描画され、複雑な形状のオブジェクトには正常に投射されないといった問題も起きてしまう。マルチ光源を選択して複数の影を付けたりも出来るのだがちょっと嘘臭くて使えないという印象。

SOUND
 EAXに対応はしているのだが、開発側の話ではエンジンの完成度が低いらしく(ハードウェアでのアクセラレーションにフル対応していない)、音源の定位はそれ程良好ではない。特にこのゲームでは自分の周りそこら中から敵が来る為に3Dサウンドは重要なのだが、正確に位置が把握出来るようなレベルには達しておらず、むしろ正確さに欠ける故に混乱を招く可能性を持っている。よってDirect Soundを使うのが無難だろう。

 武器やモンスターのサウンドは普通の出来となるが、とにかくKamikazeの印象が強過ぎるという感じ。BGMは舞台のエジプトを意識した物がマップ毎に設定してあるが、シチューエーションに応じて数種類のパターンが用意されており、単調に同じ物が繰り返されるだけとはなっていない。激しい戦闘場面になるとロック調の音楽に変わるというスタイルで盛り上げを図っているのも効果的で、このBGMはなかなか良く出来ていると思う。

 厳密にはサウンドとは関係無いのだが、ゲーム中にサム自身がいろいろと独り言を言ったりするというユーモラスな面もある(Dukeの影響大という感じ)。あとそれらしき場面で「雨に歌えば」や「インディー・ジョーンズ」のテーマを口笛で吹いたりとか。

MULTIPLAYER
 一番の特徴はCo-opに特化していること。デスマッチ用のマップは発売時点では1つしか収録されていない(間に合わなかったのだと思うが)。サーバーの数もCo-opの方が7:3くらいで多く、Co-opを楽しむゲームというスタイルが定着している。私自身もほとんどこれはCo-opをやる為だけに買ったようなゲームなのだが、そういう人も多いという事だろう。

 しかし2011年現在ではさすがにサーバー数やプレイヤー人口も減ってきている。これにはHDの発売によりプレイヤーが分離してしまったというのも影響している。改造サーバーらしき物はまだ多く存在する様だが、スタンダードなCo-op用のサーバーはもう少ない。


 このゲームはPCゲームとしては非常に珍しい最大で4人までのSplit Screen(画面分割)でのプレイが出来るという仕様になっている。ただし2台目以降のマウスにはシリアルマウスが必須となるといった制限あり。

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