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全編をエジプト世界にて統一していた前作から、TSEでは3つの異なった世界をタイムトラベルする構成となった。順にマヤ文明,
古代バビロニア, 中世東ヨーロッパという計12レベルを旅する形を取っている。今回は前作に2つあったシークレットレベル当る物は存在せず、純粋に12レベルのみの構成となる。 三世界在るという点からバラエティに富んでいるのは勿論なのだが、その各世界の中での変化の付け方も多彩になっており、マップによってもデザインや雰囲気が大きく異なる。更に同じマップ内でも突然環境が変わったりとかの変化も結構採り入れられており、ちょっと風景が単調だった前作とは大きく異なっていると言えよう。インドアとアウトドアの組み合わせもより複雑になっており、この辺は単調との批判に応えての改善とCreteam側もコメントしている。大雑把にだが各世界の特徴を述べると以下の様になる。 1.マヤ文明(5マップ) デモでも見られたような青々とした緑が特徴的。茂った草の表現は前作には無かった物である。ただこれは最初の2レベルのみで、その後は割とインドアも多く、構成や風景も前作風になる印象。もう一つの特徴はマヤ人が外敵に対して備えたトラップが多く、失敗イコール即死系のアクションを要求される場所が結構存在する。 2.バビロニア(4マップ) グラフィックスの雰囲気はアジア調となっているが、広々とした場所が多くエジプト編に一番近い雰囲気の世界だろう。一部を除いて構成もスタンダードであり、プレイ感覚も前作によく似ている。グラフィックス的にも一番綺麗かもしれない。難易度的には前半2つは楽な感じだが後半急に厳しくなると差が大きい。 3.中世東ヨーロッパ(3マップ) ここはそれぞれが大きくデザインが異なっており、また前作とは一番印象の違ったマップが揃っている。そういった意味でユニークな作りであり、個人的には三世界中で一番出来が良いと感じた。終盤なので難易度は全体的に上がっているが、特に最終レベルはかなりの難しさであり、敵の数も1000を越える。1の最後のマップ[The Great Pyramid]も凄かったが、今作のボス戦前の戦闘はあれ以上の大迫力で今作の目玉の一つだろう。 マップ数は前作よりも3減ったが各マップがボリューム感を増した事から、マップ数は少なくなっているのに反して全体の広さ自体は1.5倍程度増えている。前作にそこそこあった短めの物(スタートからの4つとSuburbs, Sewers等)は最初のマップ位しか無い。実際のプレイ時間の長さはシークレットにどれだけこだわるか(探すか)によってかなり変わるはずだが、仮に無視して進んだとしても前作よりも確実に長時間は遊べる分量だ。ただし前作での慣れにより、TFEを初回プレイした時に比べると進行スピードは早くなる人も多いと思われるので、それで相殺されてしまうかもしれない。個人的にはそこそこシークレット探しをしながら廻ってNormalにて11時間程度だった(TFEに比べると2時間程度長かった)。 この世界観の評価について言えば、今作はFEに比べてずっと良くなったという感想である。前作は当時のレビューに書いた様にやや単調という問題があったが、今作は変化に富んでおり最後まで飽きずに楽しめる。限界のあったマップ毎のグラフィックスの変化も、三世界制を導入する事でバラエティ豊かになって改善された。 シークレットはTSEではその数が134個と大幅に増加しており(TFEでは84個)、中でもジョーク的な物がかなり増えた。ただし発見が難しい物の数には大きな変化は無く、TFEに比べると見付け易くなっている。前作同様のパロディシーンもあり、また口笛でテーマを吹いたりとか、映画のセリフを吐いたりとかで面白い。デモの冒頭にもあった電話のシーンの様なゲーム関連のジョーク(Duke Nukem Forever)もあったりと多彩。 評価が分かれそうなのはトラップについてだろう。落ちると即死のジャンプパズルとか、潰されないように逃げたりとかのアクションを要求される場所が幾つも存在している。変化を付ける意味では良いのだろうが、まさかこんなに多いとは思っていなかった。御丁寧にも微妙なタイミングジャンプの最中にモンスターが襲って来る事もあるという嫌なオマケ付き。異常に難しいという物は無いがゲームの流れを止めてしまう感じもあり、個人的にはマイナス評価と云わざるを得ない。 最後にI/F関連について幾つか記載。やっていて不便に感じた問題はキーのアサインについて。今回武器が増えた事からある種の物が同じキーにまとめられてしまっており、これで実際の戦闘中に希望の物が一発で呼び出せずに非常にストレスを感じてしまう。それほど他にキーを使う訳でも無いので、個人の好みでキーを各武器毎に分離させられる様にするべきではなかったか。並の難易度のアクションFPSならグループ管理で呼び出すという方式でも我慢出来るが、ここまで高速なアクションを要求されるゲームなのだから、その辺は何とか可能にしてもらいたかった。 今回目立つのはサムの頭部に埋め込まれたコンピューターNETRICSAである。前作ではごく普通の分析用コンピューターだったのだが、今回はどうしたのかギャグやジョーク満載で異常な位に変になっている。例えば「サム、私の分析ではこの部屋はどこか怪しい.....というか私はいつでもそれしか言っていない様な気もするが.....」とか。他にも洒落を言ったり俳句を詠んだり叫び出したりと暴走気味。前作ではロクに見なかったと言う人も今回は目を通しておくべき。 |
COMBAT | ||||||||||||||||||
敵の数はNormalにてTFEの全体で5.065匹に対して、TSEでは6,440匹と大幅に増加している(無限発生とかあるので人により若干差はあるが)。ただしマップが広くなったので、登場の密集度が上昇したという風では無い。 まずはTSEでのゲームの特徴を幾つかTFEと比較しながら分析していこう。大規模戦闘でのTFEにおける基本パターンとは「非常に広い場所で四方八方から敵が襲いかかって来る」という物であった。例えばMetropolisの最後の場面, Alley of the Sphinxesの最後, Karnakの最後, Luxorの最後, The Great Pyramidの前半等々、その他のマップでもこのパターンというのが多かった。 しかしこのパターンがTSEでは全体的に減少している。インドア中心に少から中規模戦闘シーンにおいては相変わらずだが、山場となる場所での大量のモンスターが出てくるシーンは大きくパターンが変わった。その変化を表で比べてみる。
全てが同じパターンとは言わないが、以上の様に大規模戦闘時には縦方向への戦いへと形態が変化した。攻撃方向が絞れる代わりに、偏っている分だけ押し寄せてくる敵の攻撃力は高いという設定なので、自分の近くにやって来る前にある程度は倒さないと危うくなる。TFEでの360度全方位攻撃では、ある方向の敵を倒してスペースを作りそこに動いて逃げるという戦い方が出来たが、TSEでは敵の流れを捌いて逃げるというやり方は困難となっている。 それと何時アイテムや弾薬を置いてある場所まで行って補充するかといった戦略性も加わった。敵を出来るだけ引き付けておいてSerious Damageを取るというのはパターンではあるが、そこまで待ったばかりに敵が増え過ぎて扱いきれなくなったりとか、或いは後で取ろうとして残して置いた弾薬が敵の数の多さに圧迫されて取りに行けなくなったとかが起きる危険性あり。こういった失敗をせずに如何にして戦うかが重要である。 大きな変更点のもう一つは、変則的なシチュエーション及び場所での戦闘が加わったという点である。TSEを作成するに当ってCroteamでは、前作を踏襲したシンプルな意味での難しさ(敵がとにかく沢山出て来る)では無く、違った意味でのチャレンジ性を大きく打ち出してきた。つまり大量の敵を撃ち倒す能力だけではなくて、物凄く戦い辛い or 困ったシチュエーションでどれだけやれるかという要素をデザインに組み込んでいる。何と言うかプレイヤーが嫌がるシチュエーションを徹底的に集めてみましたという感じであり、相当にこの変則戦闘パートの難易度は高くなっている。 これには二通りの種類があって、一つは他のゲームにも見られたりする類の物。例えばTFEにおいても滑る床や暗闇での戦闘というのが一部取り入れられていたが、こういった物をもっと大々的な戦闘に使っている。もう一つは通常では見られない様な特殊な環境での戦闘。これらはまずは自分で体験してもらった方がいいのでここでは詳しくは書かないが、本当に特殊であり評価も分かれそう。とにかく唖然とする物から、思わずプレイしながら笑ってしまった物まで何種類か存在している。 それとトラップとは別だが、遠距離攻撃の敵に関しても嫌らしい場所に敵が配置されるようになった。TFEでは攻撃を受ければ敵の位置はすぐに把握出来る事がほとんどだったのだが、TSEでは敵を上手く木々に隠れる地点や非常に遠くの高台に置いたりして、攻撃されているのに敵が何処にいるのかすぐには判らない場合も多い。特に緑の誘導弾を撃って来るReptiloidは非常に嫌な存在となっている。 TFEにて話題を呼んだ巨大ボス戦だが、TSEでは世界毎に異なったボスが最後に用意されており、3回楽しめるという設定で魅力的になっている。ただし分割されてしまったせいか、それぞれに1のボスほどのインパクトは無いのは残念。また一番最後のが特に強いかと言うとそうでも無く、最後はちょっと呆気無い感じもしてしまう。私としては最初のボス戦が一番面白い(そして難しい)と思う。 |