GAMEPLAY |
全10章から構成されており、難易度Normalで5時間位とかなり短いゲームである。なおこれは脇道を出来るだけ探索してみるという姿勢での数値であり、直線的に進めるタイプの人ならばもっと短くなる。これだけ短いとなるとやはり気になるが、インタビュー等の情報が無いのでその理由は分からない。発売の数ヶ月前になって初めてアナウンスされるのはバリューソフト(低予算ゲーム)に多いのだが、価格の方はフルプライスの設定であり、それでこの短さでマルチプレイも無いとなっては低評価になるのも肯ける。 ストーリーはシンプルで、米軍とベトコンがCal及びWhiteknightを確保する争いを繰り広げるという設定になり、主要な登場人物として米軍側には奪還作戦の指揮官的な役割としてGriffin、ベトコン側のリーダーとしてTrangという人物が主人公の行く先々に出現して絡んでくる。特に大きな捻りがある話ではないし、ストーリーはチャプター間での主人公のモノローグで語られるのが主で複雑な物でもない。ただ途中でちょっと驚かされる様なキャラクタが登場したりというのはある。ラストはプレイヤーの選択によるマルチエンディングとなっている。 ゲームの基本的な内容は、ベトナム戦争という背景設定にウイルスに感染して凶暴化した人間が登場するというユニークな物。米軍 vs ベトコン vs 感染者という三つ巴の図式になる。パートによってベトコンとの銃撃戦という一般的なFPSのスタイルの場所と、感染者が襲って来るサバイバルホラー風の場所が混在しており、また味方及びベトコンが感染者と戦っているシーンに出くわしたりもする。前半戦はベトコンとの戦闘の方がメインだが、後半になるに連れて感染者との戦闘シーンが増えていく構成で、全体の割合としては感染者との戦闘となるパートの方が多い。ロケーションの方はチャプター単位で変化し、それぞれの見た目はかなり異なるので雰囲気としては変化に富んでいる。 見た目としてはゾンビ風の感染者が登場するので、サバイバルホラー系の雰囲気が漂っており、その定番である暗いエリアでの戦闘となる場所がやはり結構な数設けられている。明かりとしては携帯しているトーチを無限に使用可能という設定で、スポットライトタイプなので広範囲は照らせないが、大部分の場所ではこれで暗さに悩まされる事は無い。暗くてどっちへ行ったら良いのかすら判断が出来ないとか、戦闘時に敵が見えないので大変といった「とにかく暗い」というタイプのゲームとは異なる。ただし一つだけ欠点として、トーチを点けている状態だと敵に気が付かれ易いという設定で、暗くて困るというレベル以外の場所ではなるべく消しておいた方が敵の先制攻撃を避けられる。 プレイヤーに恐怖感を与える設定としては、何か主人公がショッキングな出来事に遭遇すると心音や荒い呼吸音が聞こえるようになるという手法が使われている。また感染者の呻き声や叫び声が周囲から聞こえて来たりと、一部ではあるが恐怖感の演出が優れている場所も存在している。 QTE(Quick Time Event)が多用されているのも一つの特徴である。種類は大きく分けて三つ。一つは感染者に襲い掛かられるイベントシーンで、これは一旦操作不能になるので避ける事が出来ない。その他の通常戦闘のシーンでは接近されても発生しないように思えるが定かではない。QTEが始まると画面上にWSADキーの中から3つ程度のキーが並んで表示されるので、それを続けて素早く押すという方式。場所によって難易度は変わる可能性もあるが、通常はこれを3回成功させればクリアとなって、またその最中に2回までは失敗も許されている。成功するとマウスの左右ボタンを選択してのトドメの攻撃が繰り出されるケースもあり。 二つ目はベトコンの仕掛けたトラップで、落とし穴や反動で串刺しにする仕掛けの装置等が用意されている。引っ掛かると音が鳴って発動を知らせ、WSADキーの中から1個だけが表示されるのでそれを押せばクリアとなる。これは失敗すると即死亡と思われる。このトラップはなるべく離れた場所を通れば避けられるが、紐の様な仕掛けが目で見えないケースがほとんどなので、注意深く周囲を見回さないと避けるのは難しい。三つ目は同じ様にある地点を通過した際にイベントとして発動する物で、こちらも失敗すると即死するが、やはり発動する前に画面の色が変化したり音が鳴ったりして警告を発するという風にはなっている。 このゲームのQTEは特に難しくはないので、失敗して何回も繰り返す様なストレスは感じさせないと思うのだが、面白いのかとなると疑問符が付く。感染者に組み付かれるケースではほぼ同じ様なパターンばかりなので後半に行くに連れて飽きが来るし、イベントシーンでも劇的な演出がある訳では無いので別に効果的でもない。 |
COMBAT |
*打撃武器、ハンドガン、メイン武器を各一つだけ携帯可能 *チャプター単位で所持武器はリセットされる *アイアンサイトを装備 *敵に合うと照準が赤くなる *走ったり座っても照準のサイズは変化しない(命中率が変わるのかは未検証) *スプリント可能だが、かなり視界が揺れる仕様 *ジャンプ出来ない。代わりに障害物の前でVaultが出るなら乗り越えられる。 *HUDの弾薬数はすぐに消える方式 *エイムアシスト有り(感度調整も可能) 弾薬は落ちている武器をUseで拾う方式。持っているのと同じ武器の場合には弾薬だけを拾い、違う武器ならば持ち替える。拾えるのは光っている物だけで、そうでない武器からは弾は回収出来ない。他には弾薬の箱を拾う事も出来る。なお弾薬は共通化されて簡略にされている物が多い。 ハンドガンとメイン武器が一丁ずつしか所持出来ず、それぞれの最大携帯弾数も少ない(30と120〜200程度)。よって弾薬は少な目の設定となり、適当に撃っていると無くなってしまうケースも有り得る。終盤になるほど敵が増える分補給用の弾も増えてくるが、前半戦ではそれ程置かれていないのでより無くなり易い。またチャプター単位で武器がリセットされるので、その最初の内はかなり少ない状態でプレイしないとならない物も含まれている。その為に脇道の探索は結構重要となり、分かれ道の行き止まりの方には大抵武器や弾薬が相当数落ちているので拾えると楽になるという設定。 武器の種類はそれ程ない。M16, M14, M60, Shotgun, AK47, Mosin-Nagant, RPG等。とにかくヘッドショットが強くて、ほとんどの敵はこれ一発で死亡するが、反対に体に当たった際のダメージは低目の設定である。問題点としては差別化がよく出来ていない点で、ライフル系の武器には大きな差が感じられない。また近距離でショットガンを撃っても感染者を倒すには3,4発必要で、これは他のライフルと同程度のダメージとなり、ショットガンを持つ意味も薄くなっている。このゾンビ系の敵相手にショットガンが弱いというのは痛い。とにかくどんな武器でもヘッドショットならば一発という設定なので、それを狙えるのならばあまり所持武器は関係無しという感が強いゲームである。それと自分の脚が邪魔で一定位置よりも照準を下げられないという制限があり、下方の敵を角度的に撃てないというケースがある。 リコイルが大きい設定で、連射を続けるのは命中率の意味でも、弾薬の少なさから言っても得策ではない。大抵はヘッドショットを狙ってセミオートやバースト射撃の様に攻撃する事が多くなる。その様にしてチョン, チョンという感じで少しずつ弾を撃つのが多い事から、アイアンサイトには遠くの敵を狙う場合以外では意味が無くなっている。腰撃ちでも少しずつ撃つなら命中率が高いので、わざわざアイアンサイトにする必要が無いという意味。なおエイムアシストは試してみたところが機能しているようには見えないのだが、コントローラーに未対応らしいのでその際にONになるとも考えられず、コンソール同様に機能が働いていないとも考えられる。 グレネードは敵が大量に出て来るシーンで用意されている事が多いのだが、インドアで遠くに投げようと角度を上にすると天井に当たってしまうし、感染者の様に動いている相手には爆発のタイミングを合わせるのが困難でもある。危険は伴うが目の前の感染者相手に投げて、その後スプリントで逃げるという方法が有効。アウトドアのベトコン相手に対してならば、飛距離を調整出来るようになれば効果はある。 大きな問題点として、一つは自動(無限)回復方式であることが挙げられる。自動回復方式は使い方次第なのでそれ自体を否定するものではないが、このゲームにおいてはその採用がゲーム性に合っていない。もう一つはNormalではダメージへの許容量が大きく、結構なダメージを受けても死なない点で、短時間に集中して攻撃されないとまず死なないようになっている。こちらも上手く機能するのかはそのゲームでの設定によるが、同様にここでは上手く機能していない。 先にベトコンとの戦闘を見てみると、一般的にこの戦争を扱うゲームでは「ジャングルや夜間における敵が良く見えない状態での戦闘」と、「数の脅威で特攻して来るのに対して拠点を守る」というのが定番のパターンである。ところがHPが自動回復なので、敵が良く見えない中での撃ち合いはプレイヤーにとって怖くならない。体を曝してわざと敵に撃たせ、そのマズルフラッシュや弾のトレーサーを見て居場所を確認出来るからだ。それは開発側も分かっていたと見えて、あまり普通の撃ち合いは用意されていない。 そこで数多くの敵が攻めて来るシーンの方を使っているのだが、問題はそれが多過ぎるという点。パターンとしては前方からやって来る敵を固定銃座やグレネードを利用して倒すのと、閉鎖されたエリアの中で四方八方からやって来る敵から耐えるという二種類。こういった戦闘は白熱して面白くなるという面を持つのは確かだが、このパターンばかりが最後までずっと繰り返される傾向にある為に次第に飽きて来てしまう。やはり自動回復方式を止めて、ベトナム戦争らしいジャングルでの敵が見えない緊張感のある戦闘シーンをもっと入れるべきだったと感じる。 感染者との戦闘もチグハグである。根本的にサバイバルホラーに自動回復は合わないと思うのだが、その通りに残りのメディキットの心配をしたりする必要が無いので怖さが減退している。しかもプレイヤーが打たれ強いというダメージ設定なので、感染者に攻撃されてもあまり恐怖が感じられない。リロード時間が長く、その間に打撃攻撃をするとリロードがキャンセルされてしまうので、追い詰められて弾切れを起こすのは怖いはずなのだが、敵が2,3体程度ならば殴られても結構持つので死への恐怖感が生まれていない。ホラーとしての要素を強調したいのならば、明らかにこの被ダメージ設定が緩いという点は失敗している。 そこでそれを上回るような10体20体という数を次々に襲い掛からせるという手法が使われていたりもするが、これもまた繰り返しになると段々と詰まらなくなってくる。またそういったシーンでは弾薬が多目に用意されているので、近付くまでに銃でかなり倒せてしまうとなってバランスも良くない。そもそも敵が多ければ多いほど怖くなるというものでもないし、敵の数やダメージのバランスをもっと適正にするべきだった。 感染者はゾンビのようにゆっくりと近付いてくる者から、走ってこっちに迫って来る者までいて、そのモデル(スキン)によって動きが変わるという風になっている。だがLeft 4 Deadの様に皆が走ってくる訳では無いので、大量に発生しても応対にはそこそこ余裕はあるという設定。クリアしてきた後方の道から大量に発生して挟み打ちという出現方法も多い。 近距離打撃戦にも問題が感じられる。ナイフ(稀にナタ)が近距離戦用の武器だが、このナイフは射程範囲が短くしかも威力が弱いので全然使えない。武器を使って打撃攻撃をした方が遙かに強力で、2,3発殴れば感染者を倒せる。更に被ダメージに強いので、感染者とのド突き合いになっても相手が多く無い限りはプレイヤーが勝ててしまう。よって弾が無くなっても打撃攻撃で応対出来るケースが大半なので、弾切れの恐怖感が薄れている。 射撃の感覚については、血飛沫のエフェクトがあるので当たっているのかはちゃんと判る。感染者は被弾でノックバックするリアクションもあり。頭が吹き飛んだりとゴアや流血も多いのはプラス点。ただ演出として画面上に血が飛ぶ効果が有るので、視界が遮られてしまう事は起きる。 敵のAIはカバーからカバーへと動ける能力を持つが、先に書いたようにそういう状況で撃ち合うシーン自体が少ない。感染者はシンプルにプレイヤーに迫って来るだけの設定だが、時々障害物にスタックしてしまう事があるのは欠点。 (下) デモが無いので、冒頭の部分のプレイ動画を掲載。 |