次の頁      TOP

シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度はEasy / Normal /Hardの三種類で、プレイ中の変更は出来ない。プロファイルの機能は持っていない。

 アンロックされたマップはリプレイ可能となり、その際には難易度を自由に選べる。


セーブ&ロード
 チェックポイントによるセーブのみ。一箇所を上書きするので任意の地点には戻れない。ミッションの途中で抜けてもセーブ地点は保持されるが、他のミッションをプレイすると上書きされてしまう。クイックセーブ等は不可。


OBJECTIVES
 目標地点への距離と方向が画面上に直接表示される方式。テキストによる説明も参照可能。


EXTRAS
 実績の様な物は存在しない。シークレットや集めるアイテムも無いので、探索要素はゼロと言える。


英語
 字幕機能付き。

残酷表現
 シリーズのトレードマークとなっている残虐表現については、既に前作のリリース後から、「グラフィックスの進化によって更にリアルな表現が可能になっては行くはずだが、これ以上リアルになると規制の面から問題になってしまう可能性がある」という点が不安視されていた。

 実際に開発側の話によると、当初のアイディアでは進化したハードによるリアルなグロ表現というのを考えていたそうなのだが、アリゾナ基地トレーニングセンターの記録フィルムにて実際に銃撃で破損された死体を多数見た結果、あまりにグロ過ぎて吐きそうになり、「誰もこんな物をゲーム上で見たいとは思わないはずだ」という結論に達して、グロに関してはあくまでもゲームとしての表現に留めるという路線変更を行ったそうだ。


 使われているゴア用のエンジンは完全な新作で、これまでのGHOUL Engineのコンバートではない。まず全般的な感想としてはリアルな印象ではなくなった。つまり現実同様にリアルにはグロ過ぎて出来ないとしたら、「リアルではないが、リアルであるかの様に見せる」という路線と、「完全にゲーム的であり、リアルには見えない」路線のどちらかになるが、これまでの2作品が前者寄りだったのに対して、今回は後者が選択されたようだ。

 ゴアとして人体の切断は確かに派手になっているのだが、体が千切れるようには見えない様な武器での攻撃でも簡単に分離してしまうので奇妙な感じになってしまっている。「ポロポロ取れる」という表現が適当であり、攻撃すれば何でもかんでも手足がもげてしまうという状態。残酷と言うよりも滑稽という方が合っている。良い方に解釈するなら、「どうせリアルに出来ないのならばゲーム的で派手にしてしまえ」という観点から、狙いとして敢えてそういう風にしたとも取れるが、進化した残虐性に期待した人には肩透かしの内容となっている。同シリーズはこれまでは最もグロいゲームというステータスを維持していたが、今回に関しては死体のグロさを感じさせるゲームが他にも出て来ているので、相対的にインパクトが薄れていると言える。


 進化した部分で目立つのは当時はまだ難しかった物理演算との融合で、当った銃弾の威力と部位に応じて敵の体が物理演算により動くようになっている。軽い銃弾ならば体のその部位がややノックバックするという程度だが、威力のある弾だと部位によっては千切れ飛ぶ。もし上半身の様に切れない箇所をハイパワーの武器で撃てば、後方回転するようにして敵が吹っ飛ぶというようになっている。死亡時のラグドールも当然含まれており、その後の死体を撃って破損させたりも可能である。

 敵の苦しむアニーメーションもパターンが増えた。苦悶の表情やアクションをしてからやがて倒れるという際にも、撃たれた部位や傷の程度によってアニメーションが分かれている。腕や足が千切れているのに這って逃げようとしたり、一度倒れた状態から最後の力を振り絞って攻撃をして来たりもする。モーションキャプチャーには相当な時間を掛けたそうで、その成果は出ていると言えるだろう。


 反対に欠点としては、人体の構成パーツについては数が少なくなった様で、例えば頭部などは完全に壊れるか否かという形で前作の様に部分的に壊れたりはしない。内臓が見えるという表現もカットされた。また先に書いたように、手足や体が頻繁に転がって血も流れているが、見た目にはリアルには見えなくなっている。更に死体が消えるまでの時間がかなり短いのは弱点の一つ。

 物理演算も良い事ばかりではない。自前のフィジックスはそれ程完成度が高くなく、跪いて立ったままの死体や、不自然な格好でもたれ掛かった死体が結構目立つ。同様に地面に転がった状態でそのまま体の一部がブルブルと振動を続けていたり、オブジェクトや他の死体と重なってしまうケースも見られる。物凄い勢いで変な方向へと飛んで行ってしまう事もあり。


 総合的にはこれだけ手足が取れてしまうゲームは無いと思うが、逆にリアリティもあまり無いので残酷だと感じる人はむしろ少なくなるかも知れない。見本を置いておくので気になる人は自分の目で判断して欲しい。


 最後にゴア表現の設定はオプションからOFFにする事が可能である。

GAMEPLAY
 ロケーションは5箇所。全14ミッション(マップ)から構成されており、プレイ時間はNormalにて6-8時間程度。根本的にマップにあまりボリュームがある訳ではなく、どれだけ死んで繰り返すかが一番影響して来るので、Easyとかだと4時間程度しか掛からないかも。

 ミッションと武器選択のシステムは、これまでよりも良くなった点の一つに挙げられる。アンロックしたミッションは自由にリプレイ可能だが、その際に所持する武器類も自由に選べるようになった。シングルプレイを連続プレイ中は、同じロケーションでマップ(ミッション)が切り替わった場合には前の所持武器を持ち越しになるのだが、リプレイ時にはそれをマップ単位で自由に変更可能である。よってシングルプレイ中に現在の所持武器では不味いとなったら、一度終わらせてからミッション選択画面の方に入り、そこで武器を選び直してマップを最初から進め直す事も出来る。ただし選択可能な武器はゲームの進行に応じて増えて行く仕組みで、クリア後には全ての武器の中から自由に選べるというようにはならない。

 前作では選択が可能なのはそのロケーションの最初のマップに入る前のみで、マップ切り替えの際には選択が不可能。しかもその選択が前のミッションの終了後に設定されている上に、そこでのセーブも出来なかった。よってミッションに入る前に武器を選び直したければ、前のマップの最後のセーブからやり直してクリアし、そこで出て来るギア選択画面から改めて選び直すしかなかった。それが今回はマップ選択時に全て選べるように修正されている。


 ゲームの進行は短い単位で通れるルートが分かれたりは出て来るが、ほぼ一本道の作りとなっている。分岐ルートは若干存在する程度で、脇道を探すと交換用の武器が置かれていたり、敵を別の角度から攻撃可能な箇所を見付けられる事もある。味方兵士が登場するのは最初だけで、後はずっと単独行動で進めて行くスタイル。Vehicleは自分で操作する物は無く、動く物に乗って戦うというシーンがあるのみ。


 敵は多くの場合マップ内に最初は配置されておらず、プレイヤーの進行に応じてスクリプトで登場して来るというスタイルに設定されている。しかしこれがゲームの一つ目の大きな欠陥となっている。このゲームはいわゆる“憶えゲー”なのだが、昔のアクションゲームを髣髴とさせるような、「そういう風に敵が出て来るというのを予め知らなかったら死ぬ」という様なパターンが多く使われているのが問題である。

 敵は周囲の建物の上階や、クリアして来た後方のエリア等に突然湧くという方式に加えて、一度に出現する敵の数が多目である。そして出現した敵は既にプレイヤーを認識しているので、一気に攻撃を喰らって死亡してしまう。意表を突く展開でもそれにプレイヤーが対応可能なバランスならば良いのだが、そうではなくてNormal程度でも一気に殺されてしまうケースがある。更には草木が茂っているとか、暗くて良く見えないというシチュエーションで敵が湧いて攻撃される事もあり、この場合には敵の視線は完全にこちらを透過しているのに、こちらからだけ相手が見えないという状況で応戦しないとならない。もし見えるのならばマズルフラッシュを頼りにするか、または照準が赤くなれば敵がそこに居るという事になるのでそれを利用して探そうとするが、その前にこちらが殺されてしまうケースもしばしば。

 その他でよく使われるパターンとしては、プレイヤーの目の前に敵が湧いて出て来て、それを倒し終わってから進もうとすると、そういった銃撃戦に関係無く持ち場を動かない設定の敵が死角に隠されていて、前に出てその敵の視界に入った瞬間に横や背後から突然撃たれる。また終盤になると反撃の余地なく撃たれると即死という武器を敵が持っていたりするケースも有る。その為ゲームの難易度はやや高いというレベルになっている。

 チェックポイントセーブの間隔が短いとか、クイックセーブが可能ならばその難易度も緩和される。実際に前作でも敵のグレネード連発攻撃は厳しかったが、クイックセーブを可能に出来たので問題という程では無かった。しかし今回はそれが無いので、殺されたら最初に戻ってやり直し→さっき殺された地点は予見しているのでクリア→その先でまた突然死→また最初から....という感じの箇所も出て来てストレスが溜まる。憶えゲー自体はFPSでも別に珍しくは無いが、ここまで嫌らしくて意地の悪いゲームはちょっと珍しい。よりその要素が強まる最後の方は面倒臭いと言うか馬鹿馬鹿しくなって来たのでEasyに落としてプレイしていた。

 よってゲームのテンポも妙になりがちである。アクション重視でテンポ良く進めていると突然攻撃されて死ぬ危険性が高くなるし、敵が湧くのを警戒し過ぎるとテンポが悪くなるといった具合で、落とし所がハッキリせずゲームの持つ色が曖昧になっている。Easyにしてプレイすればストレスは減るのだが、難易度が大きく下がるので普通のセクションでは簡単になってしまうとなりこれまた上手く行かない。意地悪な箇所を減らしてNormalでの難易度を普通レベルにしたら、ゲームのボリュームからしてプレイ時間が短いという不満が出たとは思うが、それでもこの製品版の意地悪な構成よりはマシな評価だっただろう。

     次の頁      TOP