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GAMEPLAY
 非戦闘パートを含めて全20チャプター構成。難易度Normalにて9時間程度。脇道は少ない方で、探し回るとアイテムが多く見付かるので有利になるといった感じではない。収集アイテムが用意されているが、脇道を探して見付けるというよりも、何がそれに当たるのかをDart Overlayの能力で見付けるという風にされている。なおリプレイはチャプター単位で楽しむというスタイルであり、アップグレード能力の振り直しを行ったりしてハイスコアを目指すという形になっている。


 分類としてはアクションFPSに入りステルス要素は持っていない。RPG的な能力のカスタマイズ要素はキャンペーンでは少な目に抑えられており、同様に武器改造といったシステムも持っていない(Co-opにはあり)。謎解きやルート探しパートはアクションFPSの中では比較的多い方だろう。

 ストーリーは想像していたよりもシンプルで、特に複雑で凝った物は用意されていない。そして個人的には「こうなるんじゃないか」という予想がほぼその通りになっていたので意外性も無く、ストーリー面は凡庸という採点である。


 特殊能力関連では、アップグレードの方は良く出来ている。この手の能力アップグレードでありがちな欠点として、使える物と使えない物がハッキリしている, 難易度が高くないので何を取っても大きな変化が感じられない, 大半を獲得可能なので終盤には差が生まれない等が挙げられる。しかしSyndicateでは難易度が高目の設定でアップグレードしないと厳しいバランス, 能力は有用な物が揃っている, 全17個中9個しか取れない(進行中に振り直しも出来ない)とされており、重要で意義のある要素として上手く機能しているという印象。

 それだけにどれを取るかには悩まされる事になる。後半は戦いに慣れて来る為に何を取るべきかの判断材料が増えるが、それが足りない前半が特に難しい。プレイ中の難易度, 自分のスキル, プレイスタイルなどに因っても変わるので、これを取るべきとは断言出来ない様になっている。,


 対してブリーチ・アビリティーの方は楽しめなかった。キャンペーンにおいては取得するアビリティーを選択する事は出来ず、誰でも同じ三種類の能力を使うしかない(Co-opでは選択可能)。Deus Ex, Bioshockシリーズの様な体内インプラントの要素を持ったゲームでは能力選択の自由度が面白いと思うのだが、それは採用されていないので私としては不満が残った。そうした理由としては「20種類位アビリティーを用意したら、ゲームプレイはその取得したアビリティーによって支配されてしまうので、プレイ感を変える物はアップグレードだけに限定して作る事にした」としており、自由度よりもアクションFPSという点にフォーカスして制作したという意味になるのだろう。まあそういう意図は理解出来るのだが、ある程度はブリーチ能力を選択可能にした方が面白くなったであろうというのが私の意見。

 次にこの能力は敵を倒したりしてエネルギーを貯めないと使えないので、Dart Overlayに比較すると活躍する機会が少ない。Backfireはそこそこの頻度で使えるが、SuicideとPersuadeは威力が高いというのもあって再使用までには結構な時間が掛かる様になっている。それとこれは一般兵士にしか有効ではないので、能力を使いたいと感じる中ボス戦等では出番が無い(周囲の兵士に使えるだけ)。こういう所でボスにも有効なアビリティーを取る事も出来るという風に選択肢を広げておいた方が良かったのにと感じられてしまう。


 その他の問題点としてはInfobankも含まれる。ゲーム中に入手した情報類を閲覧出来るのだが、細かい文字で長文が多くあまり読む気が起きない。ゲームに合ったアートスタイルという意図なのだろうが、画像とかをもっと増やして解り易くして欲しいと思える。例えばキャラクターのデータにアクセスしたら、そのキャラクターの画像も表示されるとか。収集したボイスデータなども再生可能にする方が良いだろう。


 QTEは無いが、キー連打させられる箇所は数多く出て来る。しかもこのゲームでは差し迫ったケースにおいてはほぼ発生せず、単なる作業としてそれをやらされるので余計にウンザリさせられる。半開きの扉をこじ開ける時などが代表例だが、せめてUseキーを一度押したら(アニメーションの時間は掛かるが)それ一回だけで開くとかにして貰いたい。


COMBAT
 Syndicateの一番良く出来ている点は戦闘その物である。敵の一般兵士達との戦闘はスリリングでとても面白い。敵兵士のアクションパターンは豊富で、カバーに隠れる, スライディング, 障害物の飛び越え, ダウンした状態からの反撃, ブラインドファイア, グレネードの投げ込み等をこなしてくる。そして平均的なFPSに比較すると移動速度が速いので当てるのが難しく、その動きもフェイントを掛けてから逆方向へ移動したりと不規則でこちらを惑わせる。内部設定ではそのシーンに応じて多数のポジションに点数が割り振られており、有利なポイントへと移動するケースを多くして知的に見せているが、それと併せて移動パスにランダム性も持たせているそうで、敵の行動に人間らしさが出ている。

 射撃時のリコイルや振動など武器の発射感覚の表現も良い出来。敵に命中した時のリアクション(アニメーション)や血飛沫エフェクト、或いは銃声なども高いクオリティである。


 難易度は全般的に高目。武器の命中精度やダメージは、アップグレードによる向上分が用意されている為なのだろうがあまり高くない設定。同じくリロードの方も、リロードまでが早い&リロード時間が長目で、これもまた不満ならばアップグレードにより改善しないとならない。敵の方もヘルメットに防弾スーツを装着している者が多く、通常兵器ではヘッドショット一発では倒せないし、ボディーを撃つにしてもかなり硬めである。そして敵は広い部屋ならばこちらを囲むようにして攻めて来るし、カバーの背後に留まっていればグレネードによるあぶり出し、また集団の中の一部がこちらに積極的に突っ込んで来てプレッシャーも掛けてくるといった具合。よってグズグズしていると囲まれてしまって、そうなると個々を簡単には倒せない為に追い込まれてしまう事になる。後は上に書いたように敵の移動速度がとても速いので、Dart Overlayを積極的に利用しないと余計に厳しくなる。

 この難易度はアップグレードの選択により結構変わると思われるが、有用な物が大半なのでどれを取るべきかは難しいところ。自分の弱点を補う物にするべきか、利点をより活かせる物にするべきか迷うし、そこは人によっても異なるのでお勧めを挙げるのも困難。ただ敵の攻撃力が高いので防御系の能力を取る方が安定するのは確か(特に後半に掛けて)。

・Toughened: 被ダメージを20%低下させる
・Regeneration Boost: ヘルスの自動回復速度をアップし、回復スタートのタイミングを早くする
・Safeguard: ヘルスの基本値を33%増加させる
・Emergency Resuscitation: 死亡直前に短時間だけ無敵状態になる(その間にカバーに逃げ込むチャンスが生まれる)
・Protective Shielding: シールド能力

 しかしその分だけ攻撃能力のアップグレードが取れなくなる為に、プレイヤーによっては攻撃力で防御の薄さをカバーした方が上手く行くかもしれない。

・Dexterous: リロード及び武器チェンジ速度を改善
・Stability: 命中精度を55%上げ、またリコイルによるブレを低下させる
・Dampen Blast: 爆発系武器による自己のスプラッシュダメージをゼロにする。同時に敵の爆破系武器からのダメージも33%低下。
・Beast of Burden: 弾薬とグレネードの携帯量を倍にする

 他には頻繁に使用するDart Overlayの能力を上げる魅力的な物が幾つか用意されていたりと選択は大変である。なお繰り返し書くが、このアップグレードはキャンペーン進行中には取り直しが出来ない。チャプター選択するとその時点で獲得していた数分は全部振り直せるが、これは各チャプター毎にハイスコアを狙うというリプレイの為で(全チャプターを最高ランクでクリアという実績がある)、クリアした時点で次のチャプターには進まずに終わってしまう。


COMBAT(続)
 敵にはリキッドアーマーと呼ばれるシールドを身に着けている者がいて、これは狙いを定めてブリーチすれば剥がせる。一番単純な物ではUAV(飛行小型ロボット)がそれに当たる。中ボス格となる敵となるともっと複雑になり、それぞれが独特なシールド状態を表示するインターフェースを持っているのだが、これは直感的に解り辛いと感じられた。そこで解る範囲で簡単に説明をしておく。

 まず初期状態のImuune(免疫)状態ではダメージを与えられない。そこである敵においては、シールドをブリーチしてVulnerable(ダメージに弱い)にする → その状態にて攻撃でオレンジのバーを白いバーの部分まで削る → Trauma Status(最終HP表示)に変わる → 普通に攻撃して全部消せば死ぬといった具合。バーの左側にノッチが複数表示される敵は、その数だけリキッドアーマーを重ねて着ているという意味になるので全て順に剥がしていかないと倒せない。それとバーを削る際に時間制限があり、一番下に細く白いバーが表示される敵では、バーが満ちる前にアーマーを全て削らないとリチャージされてやり直しになってしまう。

 後は特殊例だが、このブリーチをさせない為にジャマー機器を装備している仲間を従えているケースがあり、ボスのアーマーを削るには先にこのジャマー機器を背負った敵を倒さないとならない。ただしこの敵に近付かれると妨害を受けてHUD等の電子表示が歪んでしまうという風にされている。他には半透明化する能力を持った敵も存在する。


 通常の武器はピストル, リボルバー二種, SMG, アサルトライフル2種, ショットガン, スナイパーライフル, ガウスガン(ロックオン機能)の9個。武器スロットには収められないor滅多に出て来ない特殊な武器は、ロケットランチャー, スワームランチャー, オートショットガン, 火炎放射器, ミニガン, レーザーライフル, RLX-240(拘束電気ムチ), Riot Lance(電撃ショック弾)とその数は多い。通常武器類の中ではKusanagi ACR-10 アサルトライフルとKusanagi HSR-6スナイパーライフルが特に強く、その理由はコンクリートの壁などを抜いて撃てるから。全てを透過する訳では無いようだが大抵の物は撃ち抜ける為、Dartの透過能力と併せて使うと強力である。ただ難易度の高い終盤を除けば、壁抜き可能なのは有用過ぎるという感も受けた。

 ブリーチは対象を見てからならば壁越しでも可能。ブリーチの続行中に体を曝して敵の攻撃を受け続けながら行う必要は無い。それとマップ内のオブジェクトの中にはタレットの様にブリーチでハッキングして味方として使える物も存在している。進行ルートに詰まった時なども、大抵は周囲を見渡してブリーチ可能なオブジェクトを見付けて操作すればクリア出来る。



 最後に問題点を列挙。先に戦闘は面白いと書いたが、残念ながらそれ以外については問題点が幾つもある

 第一に武器の選択肢が少ない。武器自体は全17種類と多いのだが、その中でも特殊で威力の高い武器が限定された場所でしか使用出来ない。ゲームバランスの調整というのも絡んでくる為に、自由に武器を持てるようにはしたくないというのは解るが、折角これだけいろいろな武器が存在するのに実に勿体ないと言える。一般的な武器に関しても持ち替えの自由は少ない方である。

 第二に中盤の展開。御馴染みの武器リセットイベントが発生するのだが、その際に身体の機能がおかしくなってしまうというシチュエーションに設定されている。具体的に言えばアビリティーが使えなくなってしまう(SuicideとPersuade)。結構長く続くこのセクションでは使える武器も弱い物ばかりとなり、限定的に大型武器&数少ない強い武器の弾薬を使えるという程度の状況で、地味過ぎて単調でもあり面白くなかった。

 第三に終盤の難易度。中ボス系はブリーチしてシールドを剥がさないとならないので持久戦になる事が多いのだが、終盤になるとこのシールドタイプがやたらと出てくるので、とにかくシールドを剥がしてリチャージ前に大量の弾薬を叩き込むというパターンが繰り返される。それ故に作業感が強くなるのは否めない。同時に出現する一般兵士の数も増えるので、それまでに比較して難易度が上がり過ぎ(もしくは面倒過ぎ)だと感じられた。

 第四にMelee(処刑)攻撃の設定。銃撃戦に比較して有効過ぎるのではないかという印象で、近付かないとならないので何時でも使える訳では無いが、敵がこちらに向かって来るケースでは物陰で待ち受けてこれで倒す方が楽である。或いは敵が分散しているケースでは、それぞれのカバーの場所へと走って行って順に倒して行くという手も有効(例えば敵の火力が弱い前半)。特に敵が大量に出るシーンでは銃撃戦に持ち込むと辛いケースもあり、終盤などはこの処理法を多用していた。これで倒すとヘルスが回復するアップグレードを取っていると更に有効となる。

 第五にボス戦の出来が良くない。特殊な状況下での戦いが多く、普通に撃ち合って倒すという設定は少ない。それが面白ければ良いのだが、倒し方が解り難いとか手順が面倒とかで楽しめなかった。おそらく最初のボス戦が一番普通だが、それだけに一番面白いという感想。

GRAPHICS
 自社開発のStarbreeze engineを使用。DX10/11には未対応である。テクスチャーやポストプロセッシングはコンソール版よりもハイクオリティの物が使われている。

 最高設定ではプレイしていないので総合的な感想は控えさせて貰うが、一つ大きな問題としてブルームエフェクトが強過ぎる。とにかくこのエフェクトが強烈で周囲が見え難くなる程の効果であり、戦闘エリアにこれがあるとやり辛くなる。このページ内にもSSが有るが、これは輝度を上げているのではなく普通の状態でのSSである。除去の要望が多い事から内部設定をいじるエディターを開発している人は居るようだが、この効果を取り除くまでには至っていない模様。


 表示アスペクト比は16:9固定。それ以外の解像度では上下黒帯表示になる。

 変更可能なクオリティ設定は、アンチエイリアシング, テクスチャーのフィルタリング, 影描画の三項目だけで、初回起動時に自動判定される。

SOUND
 サウンドは5種類の設定から選択出来るが、私の環境では大きな変化を感じ取れず。Hi-Fiでプレイしたが銃声などは重量感があって良い。

 BGMはテクノ系が混ざられており、全体的には流れていないシーンも多く主張は控え目。ボス戦などのシーンにて派手な物が使われている。

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