COMBAT |
*武器は3丁まで同時所持可能 *所持武器による移動速度の低下は起きない *CrouchのみでLeanやProne動作は無い *照準は敵に合うと赤くなる(味方は緑) *照準は移動しながら撃っても広がらない。逆にCrouchしても縮まらない。 *ズーム視点にすると照準が小さくなって命中率が上がるが、代わりに移動速度が大幅に落ちる *グレネードは専用のキーで投げる方式 *スプリントも歩きの概念も無く一定速度での移動のみ *リコイルは連射すると照準が徐々に上がって行く方式だが、それ程顕著ではない *メニューからFOV(Field of View)を75-120の範囲で変更可能 照準の形状は十字形の小さな物にも変更が可能(掲載されているSSはデフォルトの形状)。マウス感度はスムージング機能無しのシンプルな設定となっている。なおメニューからFOVが変更可能というゲームは珍しいが、好みで変えられるのは便利な機能と言えるだろう。 回復は自動回復方式となり、ダメージを受けたら隠れていれば時間と共に幾らでも完全に回復が可能。アーマーの概念は含まれていない。 基本的なゲーム性だが、時間操作が含まれているのでFPSゲームとしてはかなり変わったプレイ感となっている。戦闘においては時間操作を使う事が前提となっているバランスであり、ゲーム全体を通じてだと時間操作の状態で戦うシーンの方が多い。普通に戦っていて、ピンチになったらスローダウン(時間操作)という一般的なゲームとは異なっている。例えばF.E.A.R.はこのゲームと同様にスローモーションに必要なメーターが自動的にリチャージされて使える方式だが、やたらと頻繁にこれを連発させないと戦えないというバランスではない。一方でTSは頻繁に使わないと苦しいという設定になっている。普通に撃ち合って戦えない訳ではないが、そうやって戦う事を制作側も意図していないと思われるし、普通のやり方で戦う事で面白くなるというゲームにも見えない。 順を追って話すと、時間を操作出来る関係上、シーンによってはプレイヤーは絶対的な強さを誇る。例えば一対一でエネルギーが残っている際の戦闘ならば、時間を停止させてしまえば確実に勝てると言っても良い。敵との距離が相当離れている戦闘においても、隠れる場所が何所かに有れば幾らでも隠れてリチャージを繰り返せるので有利。中距離戦でも下がりながら隠れられる場所が有るならば、同様にしてエネルギーが無くなったら隠れて補充を待ち、その後姿を現して再度時間操作で戦闘、の繰り返しで圧倒的に優位に立てる。 HPが少ない状態の時に敵が接近して来た際にも、エネルギーの方が残っていればスローダウンか停止でHPのリチャージまでの時間を稼げるし(時間が遅くなってもHPのリチャージは遅くならない)、逆にエネルギーの方が無い時でもHPの方がフルならば撃ち合える。HPと時間操作のエネルギーの両方が無限にリチャージ可能なので、上手く組み合わせれば相当強力に働くという意味である。 そこでこのゲームではどういう風にバランスを取ってるのかというと、第一にHPの最大値が低く(或いは減りが早く)ダメージへの耐性が低い。安全策となるリーンでの攻撃が出来ないので、体を曝さないと撃ち合えなくもなっている。特にショットガンのダメージが高目となり、またこれを持っている敵は積極的に前に出て来る傾向にあるので、まともに撃ち合うと大きなダメージを負ってしまう。例えば撃ち合って一人目に勝っても大きなダメージとなり、すぐに後ろの敵に攻撃されて死んでしまったりする。 第二に敵が大量に発生するシーンが多く含まれており、また敵の射撃精度が結構高い。そして時間操作とのバランスと思うがプレイヤーの移動速度は遅い方で、また緊急時にスプリントも出来ない。よって5人以上といった敵に突然遭遇してしまうと、隠れ場所まで逃げ切る前に一気に撃たれてものの数秒で殺されてしまったりもする。或いは距離的にバラけていても、10人以上がゾロゾロと湧いて出て来たりするケースは純粋に厳しかったりする。 更にスクリプトとして敵が近隣の地点に突然出現するシーンも含まれており、いきなり近距離に複数の敵が出て来るとそのままの状態では勝つのは難しい。それと後半になるに連れてダメージの高い武器を敵が使い出すのだが、飛んで来たそれを避けるには時間操作しないと困難という事態も増えて来る。後は自分が砲台を操作してやって来る多数の敵を攻撃するシーンでも、時間操作の助けを借りないと難しくなる。 最後に時間操作を使わないと倒すのが困難なタイプの敵も時々出現する。加速装置の様な物を装備しており高速で動き回る者や、電磁シールドを装備しており普通に撃っても当たらない敵、ジェットパックで飛び回ったりテレポートしながら攻撃して来る者等。同じ様に普通のタイプの敵でも、設置式マシンガンを操作したりスナイパーライフルで狙って来る者は強敵となる。 結果的に複数の敵相手に普通に突っ込んで行って戦い合うのは難しい場面が多くなり、必然的に時間を停止させながら戦うというケースが増えて来るゲーム性となる。戦闘になったらエネルギーのリチャージを待って積極的に時間操作を繰り返し使うような戦い方となり、またそれを楽しむのがゲームの面白さの中心となっていると言えよう。 もしこのゲームから時間操作を無くしたら相当厳しい難易度のゲームになるはずで、見方を変えてみるなら普通のアクションFPSの様に「動き回っている敵をマウスで狙いを付けて次々と的確に仕留めていく」という面での面白さは希薄なゲームである。敵はスローダウンさせるか完全に停止させた状態で狙うという形が基本になり、素早く正確なマウス捌きが要求される様にはなっていない。 射撃が当たっているのはエフェクトが見えるので分かり易いし、反動で仰け反ったり一度倒れたりとリアクションもしっかりしている。Havok 4.5を使用しており、マップ内に爆薬も多いのでオブジェクトの飛び散りは派手なレベル。またスローモーション機能が有るので、ラグドールで吹き飛んだ死体を更に撃って動かしたりという遊びも出来る。流血とゴアはかなり派手であり、そこにラグドール効果も加わるので敵を撃って倒したという爽快感も高くなっている。 敵のAIはちゃんと物陰から体を出しながら撃って来たりするし、結構広範囲を移動可能と良く出来ている部類。ただこちらが時間を止めたり出来る点への認識は無いので、それを使っている際には手応えは無くなる。変に感じるのは仲間の死体に気が付かない点程度で、バグ的な移動や認識異常も見られない。飛び抜けて優秀な点は見られないが、全般的には水準以上と言って良いだろう。 戦闘面でのその他の特徴としては、オブジェクトの中には壊れたり動いたりする物が有るので、それらは隠れても完全なカバーとはならないとされている。これは面白い要素と思うのだが、実際にはあまりそういった破損するカバー自体が少なくてゲームの特徴とまでは言い難い。 なお屈むとステルス状態になり見付かり難くなるが、このステルスによって敵を回避可能なシーンはほとんど無い。有利なポジションに移動するのに使う程度。 問題としては致命的と言えるようなダメな点は無いのだが、詰めの甘さというか「こうすればもっと良くなったのに」と感じられる箇所が幾つか存在している。 まずは武器を3つしか持てない点。所持武器を限定するのはタクティカルな選択を重視するというのもあるし、またリプレイ時に違う武器を使えるという有効性も含んでいる。しかしこのゲームでは時間操作の能力の方が強力過ぎて、全ての武器を持ったからといってプレイヤー側が一気に強くなるというバランスには見えない。アクション系FPSの面白さとして武器の多様性は重要であり、その意味でわざわざ限定しているのは損をしていると思える。それとピストル, ライフル, ショットガンの基礎状態から、次の武器が登場するまでが長いというのも感じた。 次にThunderBoltが強過ぎる。これはほぼ全ての敵を一発で倒せる爆発性の弓を発射するクロスボウである。普通のFPSであれば、時間を掛けて飛んで行く弓を動いている敵には当て難いという点でバランスを取れるが、TSでは時間を停止させて撃ち込むというコンビネーションが存在するので非常に強力な武器となっている。遠距離での撃ち合いならば時間を止めてはこれを撃ち込み、隠れてエネルギーが回復したらそれを繰り返すというやり方で簡単に勝つ事が出来る。しかも何故かこの武器は最大の所持弾数が30発と多くなっており、マガジン内の弾数も10発とリロードの手間も感じられない。全てのケースでTunderboltを使えば簡単になるという訳ではないのだが、武器としてこれを使う事が相当多くなるというアンバランスさを生んでいるのは確かだ。 そして上と関連して弾薬が豊富過ぎる。序盤は若干少な目となり、敵の落とした武器(時間が経つと消える)をちゃんと拾わないと弾切れを起こす可能性も持っているのだが、中盤からはAmmo boxが登場し始め、これを使うと全ての武器の弾薬をMaxまで補給可能となる。後半に向かうほどその出現頻度は高くなり、そうなると弾切れの心配をしなくても済むというレベルに。それが強い武器を頻繁に使えるという状態を生み、バランスを壊している原因となっている。 Tunderboltも弾切れを起こす心配は少なくなり、ずっと使い続けても問題が無いというまでに達している。全ての武器の弾を一つのアイテムから一括で補給出来るという設定は別に問題無いと思うのだが、一つの箱に付き1クリップ分とかの制限は必要だったように感じる。確かにロケットの弾薬補給の様に無限補給が出来ないとデッドエンドになるという可能性は持っているが、それならその場所ではロケットのみを可能にしておけば良いだろう。もっと手に入る弾薬が少ない方が面白さが増したと思える。 最後に戦闘状態になった敵はレーダーに赤く映るようになっており、以後はこちらから見えなくても表示されたままなので緊張感に欠けるという感はある。このレーダーの機能は消せるが、HUD全体をOFFにするしかないので不便。それと敵は背景に溶け込んで見え難いというシーンも多いので、完全に無くなると逆に厄介になるかもという面も有って難しいとは感じる。 |
GAMEPLAY |
プレイ時間は10-12時間程度。発売の前まで20-25時間程度掛かると話していたはずだが、個人差はあるとは言えとてもそこまでのボリュームが有るとは思えない。世界観については旧バージョンの全体をプレイしていないので何とも言えないが、この新版は重苦しい現代的なトーンへと変わりシリアスな雰囲気が出ている反面、個性的な感じは薄れているように思える。時間を遡ってまるで違った別世界へと紛れ込んでしまった、という感覚があまり伝わってこないと言っても良い。ただ前のバージョンの雰囲気は滑稽で緊張感が無いという意見も出ていたので、この辺は個人の好みだろう。 ゲームの進行は一本道で、ある意味これ位一本道なゲームも珍しい。ほぼ道なりに進むしかなく、障害物で塞がれていたりで別ルートは滅多に選べないデザイン。更に脇道に当たる物がほとんどないので、ある意味とにかく先に進みたいという人には向いているかも。そもそもシークレットやアイテム集めの要素が無いし、弾薬やヘルスキットも存在していないので拾うべきアイテムというのがゲーム内にほぼ用意されていない。わずかに横道に行くと武器ケースやAmmo Boxが置いてあるという特典が待っている程度。しかし探せば強力な武器が通常ルートよりも先に手に入るという可能性は無いようだし、そうなると切り替えたい武器がそこに有る時しか寄り道の意味が無くなる。またAmmo Boxも通常ルートに置いてある物だけで十分なので、敢えて他を探す必要性は見当たらない。 ゲームの難易度については表現が難しい。Skilled(Normal)にてプレイしたが、死に易いゲームというのは確かで、通常のFPSに比べると死ぬ回数は遥かに多いと思われる。ただし非常に難しいのかと言うとそうでもなく、一度死んでどういう事が起きるのかが分かれば、それへの対処はあまり困難では無いというゲームである。戦闘の項でも述べたが、一気に敵が出て来て攻撃されてしまうシーンとかでは、その場の状況が掴めさえすれば後は時間操作をどういう風に使うかを考えて再度対処すれば難易度は軽減されるし、イベント的なシーンでも同じ事が言える。何回か繰り返さないと突破が難しいようなケースは数箇所程度しか存在していない。 このゲームでは失敗=死となるようなイベントが用意されているし、また「絶対に無理」とは言わないが初回プレイ時には防げないと思われるトラップの様な死亡シーンも含まれている。制作側もその辺は分かっている様で、そういったイベントの前ではオートセーブが行われたりするので(クイックセーブも可能なので)、あまりストレスにはならないようにはされている。つまり「一度プレイヤーを死亡させる」→「対策を考えさせる」→「再度のプレイでクリア」といった事が起きるのを前提とした箇所が多く見受けられ、その意味でも死亡回数は多くなるが特別に難しくはなっていない。 時間操作とパズルについては、それなりにマップ内に含まれてはいるが、非常にバリエーションに富んでいるとは言い難い。一度パターンが分かってしまうと以後は簡単に解けてしまうというのもあるし、局所的に存在しているだけで単純な構成の物ばかりとなっている。全体の出来としては普通レベルであり、パズルを時間を掛けて解くような楽しみはあまり無い。時間操作がメインなだけに、もっと複雑な構成の物を盛り込んだりしてやる必要があったと感じる。 スローモーションについては他のゲームと大きくは変らないので割愛。時間停止は短時間しか持続しないが非常に強力であり、特にTunderboltやEcho Rifleとの組み合わせは極悪という程の威力を発揮する。隠れる場所が全く無いというケースはほとんど無いので、隠れてエネルギーのリチャージを待ちながらの時間停止攻撃は効果的過ぎる感もある。それを埋め合わせるだけの大量の敵や、特殊タイプの敵が出現するシーンがもっと多くても良かったかも知れない。 敵の武器を奪ったりするのは最初は面白いが、単に撃って倒した方が早いケースが大半だし、敵のロケットを止めてかわすというのもそういうシーン自体があまり含まれていない。それとタクティカルな意味での使う余地というのが用意されていないのも残念。例えば爆発して飛び散る破片を止めてからその上を飛んで渡って普通では到達出来ない所に行ってしまう様な真似は出来ない。 時間をリバースする機能は、パズルの解法以外は敵が生き返ってしまうのでは使い道が無いと思われるかも知れないが、役に立つシーンも用意されており、これは結構やり方次第では面白い。単純な例では敵が投げたグレネードが自分に張り付いた場合、時間を逆転させればそれを外してしまう事が出来る。また味方と一緒に戦っている時に、死んだ仲間を死ぬ前まで戻して生き返らせるという風にも使える。応用編としては以下の様な物が考えられる。 *敵が大量にAPC等でやって来た時に、時間を逆行させると同時に移動して有利なポジションを取る *湧いて出た敵がマシンガンのAPCの砲座に付いた場合、逆行させて自分が先に砲座を奪ってしまう *不意に扉が開いて敵が飛び出してきた場合、逆行させてそれを元に戻し、その後扉から出て来た瞬間を狙い撃つ *自分のHPが少ない状態で敵がやって来た場合、敵を戻して自分から離してしまいリチャージまでの時間を稼ぐ *高台の上に有るアイテムを撃って落とし、その上に乗ってから時間を戻して、そのアイテムごと高台に乗ってしまう *気が付かれない様に移動している時に発見されてしまったら、時間を気が付かれる前まで戻してしまってからやり直す 敵のAIの認識状態は時間を戻すと同時にその時点での段階に戻されるので、敵の居る中を強引に通り抜けてやり、その後追って来る敵の時間を発見される前まで戻してしまって、自分には気が付いていない状態のままでそこを通り抜けてしまう事も可能である。 問題は面白い活用方法を考える余地がそれ程多くは用意されていないように思える点で、上記の項目はゲーム全般に応用が利く物もあるのだが、敵を戻すのは時間停止で倒してしまった方が有効なケースが多いし、時間を逆行させる方式でのステルスによる通過が可能な箇所も非常に少ないと感じられた。壊した物を再製して利用出来るシーンもほとんど無い。例えば登れない塔を爆破で倒してから再製して上に立ったり出来れば面白いと思うのだが(それをショートカットの別ルートに結び付けたり)、そういう意外な行為が出来る箇所はほぼ見当たらなかった。結局はゲームが進行出来なくなるようなバグ(状態)の発生を防ぐ為に、プレイヤー側のアイディアによる工夫の余地を削ってしまったという事なのかも知れない。 |