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GAMEPLAY
 まずはTVGのシングルプレイがセールス的に失敗した理由から考えてみたい。「その出来栄え」の意味では無く、発売後の評判や知名度が上がらなかったという点についてである。

1.FPSファンの間でもTribesと言えばマルチプレイというイメージが強く、シングルプレイのファンには(宣伝はしたが)大きな関心を与える事が
  結局は出来なかった。

2.マルチプレイの練習用としてのシングルプレイという情報が、Unreal Tournament 2004における「マルチプレイと同じスタイルでプレイする
  シングルプレイ用のシナリオ」、或いはそれにちょっとシングルプレイ要素を加えた程度と勘違いされた(本格的なシングルプレイとは
  思われなかった)。特に最初に出たデモがそれを思わせる物だったのは大きな失敗だったと思われる。
3.マルチプレイだけが目的という人も多く、そういう人からはシングルプレイに対する評価自体が返ってこなかった。
4.全ての人がという訳では無いが、旧作のファンからはマルチプレイのゲーム性が変ってしまったという件でマイナスの評価を受けたりした。
  そのマイナス評価が「シングルプレイを含めたゲーム全体の評価」として伝わってしまい、未プレイ者にネガティブな印象を持たれてしまった。

 その後緊急のバグ修正のみで以後のパッチの開発自体が打ち切られてしまった時点で、マルチプレイに期待していたプレイヤーすらも去り、そのまま話題性が低下し消えるという結果に終わっている。しかし実はこのゲームの当時のメディアの評価はかなり高い部類に入り、これは主にシングルプレイに対する評価と考えて良いだろう(マルチプレイの方は発売時点での評価というのは難しい)。ただしそれも数多くのプレイヤーからの不満による悪評を覆すまでには至らなかった。
 実際の所このTVGのシングルプレイは、ここまで売れ行きが悪く無名に終わったゲームとは考えられないレベルの出来であり、マルチプレイの方を一切考慮しないならば大物ラッシュだった2004年のFPSの中でも結構上位に入ってくる物と感じている。確かにマルチプレイに慣れる為のトレーニング要素を含むという前提条件にストーリーを後付するという設定だし、まさかそれがここまで面白くなるとは普通では考えられないとは言えるのだが .....。ちなみにIrrationalのフロントマンであるKen Levine(このTVGではストーリー担当)もそこには非常に不満が有ったそうで、「先付けでTribesシリーズの背景設定が存在してしまっているのでストーリーの構成に融通が利かなかった。もし今後こういった仕事が舞い込んでもおそらく二度とやらないだろう」と述べている。


 ゲームの一番の優れている点はやはりそのストーリーになるだろう。ストーリーについては力を入れると言いながら、実際には特にどうと言う事もない物が大半というFPSの中において、このレベルの面白さを持った物は稀である(Ken Levineは融通が効かなかったと不満を述べているが)。第一に5人の異なった人物をプレイするという点や、ストーリーが時系列では進んで行かないという構成の技巧が効果を挙げている。進行がバラバラなので、「何で今こういう事が起きているのか」が分からない事も多く、それが「早く先へと進めて真相を知りたくなる」という風にプレイヤーの興味を惹くようになっている。そして終盤になるに連れて真相が次々に明らかになって行くという展開により、その面白さが加速して行くという感じである。
 次にキャラクターの造形や個性が良く出来ている。自分自身の操作するキャラクタとしてVictoriaの様な純粋培養された世間知らずの御嬢様的なキャラや、Mercuryの様な感情を持たないサイボーグという存在もユニークである。そして終盤に来て明らかにされるストーリー全体のカラクリも意外性が有って良い。

 肝心の戦闘についても、これまでにTirbesをプレイした事がないのであれば、一般のFPSとは異なる独特な要素を持っており新鮮である。鍵となるのはTribesの顔の一つでもあるジェットパックの存在で、ほとんどの場合は空へと飛んだりしながら戦うようになっている。その理由の一つ目はメイン武器となるSpinfusor(Disc Launcher)の他、Grenade Launcher, Mortar Launcher等の弾が広い爆風範囲(スプラッシュ・ダメージ)を持っているので、地面を走って逃げていたのでは避け切るのが難しく飛んで交わさないとならなくなっているからである。
 次に距離が或る程度離れた状態では敵に直撃させられる武器が少なく、特にジェットパックで空を飛んでいる相手に対して到達に時間差の有る攻撃を直撃させるのは困難というゲーム性なので、上記の様なスプラッシュ・ダメージを持った武器を敵の足元や周囲の壁に撃ち込んでダメージを与えるという手法が必要になって来る。しかし敵との位置関係が水平状態では距離が離れるほど足元には撃ち込みにくくなる為に、敵よりも高所に位置して角度的にスプラッシュ・ダメージを狙い易くするのが非常に重要というゲーム性。また空に飛んでいる間は敵の攻撃が当たり難いし、当然スプラッシュ・ダメージも受け難くなるので防御面でも優位に立てる事になる。これはジェットパックで飛び上がった状態にて上に出るというの有るし、地形を利用して上方に留まるというのも同様である。

 しかしながらジェットパックでの連続飛行時間には限りがあり(普通6秒程度)、エネルギーを使い切ったらリチャージされるのを待たないとならない。けれども上記の様に地上に留まるのは敵の攻撃に対して危険な状態になる。そこで出来るだけ敵に上を取られないような動きをしつつ、逆に敵に対してはエネルギーが切れて地上に居る時を狙って攻撃するというテクニックが必要となってくる。この辺のエネルギーの残量を考えながらジェットパックで飛び合っての上方地点の取り合いは普通のFPSでは味わえない要素であり、また面白い点にもなっている
 敵の一般兵士はジェットパックを持っていないがSpinfusorやGrenade Launcherは結構一般的な武器になるので、アウトドア戦は勿論の事インドア戦でもよっぽど天井が低くて狭い場所でもない限りは飛びながら戦うケースが多くなり、地面に足を付けた状態での撃ち合いというのは全体の割合としては少ないというデザインである。

 なるべく一通りのマルチプレイの知識を体験して貰おうという意図で製作されているので、ゲーム内のシチュエーションは非常に多彩である。例えば各種のVehicleに乗って戦うシーンを満遍なく用意してやり、逆に敵として戦う時にどうするかというシチューエーションも出て来る。UT系の様なマルチプレイと全く同じ状況(モード)でbotと共に戦うという箇所は無いが、ルールを憶えてもらう為に擬似的にそのルールで戦うというシーンは幾つか登場する。なお味方と行動するミッションは有るが指示は出せない仕様。
 操作するキャラクタによってArmorのタイプが異なるので、操作感覚や戦い方がその都度変化するというのも新鮮。或いは自由に変更出来るケースであれば、それぞれの利点と欠点を考えてその場の状況に合った物を選べるという面白さも持っている。

 インドアはほぼ一本道の構成だが、アウトドアではマップ内の何箇所かの施設を全て破壊するといった目的が与えられて、それをどういう順番で回って行くのかは自由という設定も多い。またアウトドアではジェットパックが有るので通るルートはどのようにでも出来る場合がほとんどだし、敵の多い場所を高い山の上を飛んで歩いて回避してしまうというルートも可能だったりする。加えて自分のArmorや武器をInventory Stationから選択出来るというミッションも有るので、それなりに自由度は高いと言えるだろう。特に武器の選択は敵から拾ったり、(意図的に)ここで切り替えても良いように途中に置かれていたりもするのだが、どの3種を持って行くのかは戦闘に大きく影響するようになっている(ただし事前情報が無いので勘しか無いというのはあるのだが)。

 複雑な謎解き要素は含まれていないが、ジェットパックが有る関係上マップが立体的になっており、慣れない内は上下方向に注意しないとルートを見逃すという可能性は有る。中には数百メートルを徐々に登ったり降りたりするような箇所も存在する。敵がジェットパックを持っていないにしても上下方向に伸びたデザインのマップが多いので、上下方向に位置する敵からの攻撃に対してこちらも上下移動しながら戦うというシーンは多い。この水平方向ではなく垂直方向の戦闘が多いという点はゲームの大きな特徴となっている。


 プレイ時間は15時間前後。これは後ほど理由を述べるが人によって結構変わって来ると思われる。難易度は難しい所と簡単な所が両極端であり、これ程その差が激しいゲームというのも珍しいかも。ここでは先に簡単な方の理由について述べるが、以下の様な要素が影響している。

*敵がMedipackを落とす確率が高くて回復が容易。Ammoも同様に豊富である。
*敵の拠点を押さえるとResupply Stationの使用が可能になる事があり、この場合には幾らでもHPとAmmoが繰り返し回復可能になる
*Repair Packを持っているなら無限回復が可能

 Resupply Stationがマップ内に在る場合、危なくなったら飛んで戻って回復してから再開すれば良いし、同様に車両系を操作して戦うマップでは一旦引いてからRepair Packを繰り返し使って完全回復まで持って行けば、時間は掛かるが難易度は大幅に下げる事が出来る。


GAMEPLAY (続)

*TPS視点への切り替えが可能
*リロードの概念は無し
*Crouch無しで、Leanも無し
*武器にもよるが連射すると照準が広がって命中率が低下する
*常に三段階のズームが可能
*敵の現HPは照準を合わせると判る
*敵が落としたアイテム類は時間が経過すると消える(ただしそれまでの時間はかなり長い)
*回復はMedipackを拾うか、Recharge Stationにて行なう

 使用武器のメインはSpinfusorとなり、これは高速で飛ぶ青いディスクを発射する物である。ダメージは非常に大きいが高速での連射は出来ない。一般的なFPSにおけるRocket Launcherに近いと思ってもらえば良いと思う。敵の移動ルートとディスクの到達速度を計算してから撃ち出して直撃させるのが名人の技となっているが、相手がbotでも空を飛ぶ相手にそれを行なうのは相当に難しい。実際のシングルプレイではスプラッシュ・ダメージ狙いがメインであり、直撃させるならばあまりこちらの攻撃を避けようとはしないジェットパックを持たない雑魚兵士相手に使うといった感じになる。
 特徴的な武器としてはSniper Rifleが有り、この武器は弾の威力に加えてエネルギーを消費してのダメージを加える事が出来る。と言うか大きなダメージを与えるにはエネルギーとの合成弾が必須なのだが、これはほとんど全てのエネルギーを一発で消費してしまう。よって一発撃つとリチャージされるまでの間空を飛ぶ能力が制限されるというデメリットがあり、実質連射も出来ないので(この間弾を撃つ事は出来るがチャージが少ないので威力が落ちる)使い方を考えないとならない武器となっている。瞬間的に動き回る遠方の敵に着弾させられる上に大ダメージを与えられるので、ゲーム上は非常に重要な武器なのだが、これを使える唯一のクラスとなるLight Armorを選択するのは防御力を大きく落とす事にもなるので、所持するかどうかは難しい面も持っている(シングルプレイにおいてはこの設定が異なる箇所も存在する)。
 同じく燃え広がる火炎弾を放つBurnerもエネルギーを消費して無限に撃てる武器となっており、着火すれば連続してダメージを与えられるのでインドア戦を中心にゲーム内では非常に使える武器となっている(敵のAIは炎を避けるという概念が無いので)。ポピュラーなマシンガン(Chaingun)やショットガン(Blaster)は、このゲームでは比率としてはあまり使う機会が無いだろう。Rocket Pod Launcherも6発の弾を同時発射可能と見た目は派手であり、また弾の威力も高いので対Vehicle用には適した武器ではあるのだが、追尾機能を切れないので敵に命中するまでに下手に照準を動かす事が出来ない為に(自由に移動出来ない)、逆に攻撃力の高い据付マシンガンや砲弾を喰らって死んでしまう可能性が高いという欠点を持つ。

 AIの認識能力は高目であり、こちらを向いているならば結構遠くからこちらに気が付く。一方で視界外方向から(飛ばずに)接近するなら通常は気が付かれない。雑魚系はともかくとしてジェットパックを持ったクラスになると戦闘中は頻繁に動いて狙いを外そうとしてくるし、こちらの放ったディスクを避けてしまったりするので手強い。リアルタイムでカバー出来る場所を探せる訳では無いようだが、位置が固定された敵以外はかなり移動もしてくるので同じ場所でも変化は生じるようになっている。総合的にはなかなか良く出来ているという採点である。
 問題点としては一旦こちらに気が付くと、こちら側からは見えない距離からでも弾を撃って来るようになっているので厄介。また三次元空間を飛び回ったりする関係から変な場所に行ってしまうというケースも見受けられるがこれは許容範囲の部類。後はVehicle系のAIは移動パスの計算に問題があるようで支えたりが見受けられる。


 マルチプレイでは特に重要なスキルとなっているジェットパックの操作への慣れは、シングルプレイではそこまでのレベルは要求されないとは言え非常に重要である。例えば単純な操作である上方の台部分に乗ったりするのは意外と奥が深いし難しい面も持っている。低い段差ならば一気に上へと飛んでしまってそこから降りて来るというやり方も使えるが、基本的にすぐ次に連続して飛べるように無駄にエネルギーを使わない飛び方が望ましいし、押しっ放しで連続して飛べる時間は6秒程度なので段が高い場合には無駄な動きをするとエネルギーが足りずに下に落ちて戻ってしまう。特にFPSをやっていると上方の目的地点を見ながら上に向って飛ぶ時につい前進キーを押してしまう癖が有るので、そうすると前に動いてしまう為に乗りたい台座の真下の方に入り込んでしまって体勢を戻せなくなってしまう事が多い。真っ直ぐ上方に飛ぶ場合には方向キーを押してはならず、目的の台との距離を計算して前進キーを上手いタイミングで押す事で台の縁にもぶつからず、また上方に不要に飛び出さずにフワリと着地が可能になる。三人称で操作するというのも一つのやり方になるだろう。
 同様にSKIINGの能力も大事である。キャラクターはFrictionless Boots(摩擦の無いブーツ)を履いており、ONにする事で表面を滑るようにして移動が可能になる。使用時間に制限は無い。TVGではこれを利用して高速での移動を行なうのが重要なテクニックになっている。例としてジェットパックで高く飛び上がった状態から加速を付けて下り坂の地点に落下し、落下と同時にブーツをONにして勢いを付けて地面を滑って行く。そして上り坂になったらジェットパックの出力を調整しながらジャンプ台を使うようにして飛び出して飛距離を稼ぐといった技に使える。ただしフワリと高い上空に浮いてしまうのは目立つし危険でも有るので(例えば敵の旗を持って逃げている時とか)、その辺のスピードと高さの調整が難しく、マルチプレイでは相当な修練を積んでSKIINGの腕を磨かないとならないようになっている。

 シングルプレイではそこまでシビアな技量を要求されたりはしないが、それでもジェットパックやSKIで加速しながらの移動は重要となる箇所も存在している。通常移動でもこれを使えるので慣れて来るとかなりのスピードでマップ内を移動出来るようになり、それ故にスピード感を持ったゲームにもなっている。実際に空高く飛んだり、滑って移動したりするこのゲームの移動感覚は気持ち良い。なお操作キー系の割り振りには自由度が設けられており、Jetpack/Ski/Jumpの各操作を分けたり一緒にしたりが選択出来るようになっている。個人的な感想としてはジェットパックが有るのでジャンプは無しにして、スペースキーでSKIと兼用にするのが良いと思う。

 物理エンジンはUnreal Engine 2.0のデフォルトのKarmaではなくHavokが使用されており、プレイヤーの移動には加速度が計算されるようになっているのが特徴。これがジェットパックとSkiingに組み合わされて使われている。坂を登る際には徐々にスピードが落ちるし、逆に坂を降りる時は加速度が増す。Vehicle系もオブジェクトとの接触時の計算が物理エンジンによって行われる事で、よりリアリティが感じられる操作性になっている。

問  題  点
 最大の問題点は極めて明確であり、それはこのゲームの本質的な構造に起因している。つまりマルチプレイのチュートリアルを兼ねるという前提条件を崩す事が出来なかった為に、そのシワ寄せとしてシングルプレイの構成に問題が生じてしまっているのだ

 マルチプレイの学習・練習に当たる要素を、不自然ではないようにストーリーに組み込むという点についてはそれ程違和感は感じさせないように出来ている。しかし実際のプレイの方には不自然な点が存在しており、例えば実際に競技場で戦うというシーンにおいて、正規のマルチプレイのルールで戦うのではなく、変則的なやり方で処理するという方法で間に合わせている。本来ならばUTのシングルプレイの様にbotを入れてマルチプレイと同じ形式でチーム戦を戦って、それで勝ったらクリアというのが一番理解もし易いしタメにもなるはずなのだが、マルチプレイ用のbotを作っていない為に変則ルールでの勝負というおかしな格好で妥協してしまっている。

 或る種のマップではクリアの為に要求される能力が、普通のFPSのシングルプレイにおいて必要とされる類の物では無いというのもある。FPSをプレイしている方には分かると思うが、シングルプレイとマルチプレイでは要求される能力やテクニックが異なっている。シングルプレイを最高難易度をクリア出来る人がマルチプレイも上手いとは限らないし、逆もまた然りである。しかしこのゲームではマルチプレイで要求される方の能力をシングルプレイの中で要求して来るというケースが有って、それが難しさの原因として問題となっている。最も典型的な例としてゲームの終盤に6つの試練をクリアする事が目的というマップが存在しており、その内の幾つかは敵を倒すのではなくて或る種の特別なテクニックを要求される形式の試練である(制限時間以内に達成要等)。
 シングルプレイのコンセプトが「終了した時点でマルチプレイの初心者は卒業するレベルまで持って行く」である以上、やっている事は確かに間違っていない。これをクリアする程度の技量を身に着けておかないとマルチプレイの実践にて苦労する事になるから、2時間・3時間と掛かってでも練習をしておくべきである、という設定は正しいとは言える。しかし「ボス戦等の戦闘で勝つのが難しいのでクリアに時間が掛かる」というのならば、シングルプレイにおける当然の障害として納得もして貰えるだろうが、「時間内に出来るように何時間でもその”マルチプレイにて必要とされるアクション”を練習して下さい」という様な障害はシングルプレイには馴染まない。マルチプレイには興味が無いという人にはクリアする意義が感じられないからだ。特にここはストーリー的にもクライマックスで早く先に進めたいと思っている所にて足止めを喰らってしまうので余計にストレスが溜まる。

 その他ではやり方が判らないと困難と言うか、どうやって応対するのかを含めての学習を意図していると思われる箇所も有って、それが分からないとクリアが困難になるというケースも出て来る。「マルチプレイでこういうシチュエーションならどうするべきか」をプレイヤーに問うているの意味で、「装備を変えないとならない」とか「この武器を使わないとならない」といった点に気が付かないと、そのままの装備で頑張っても非常に厳しいという箇所が存在する。或る程度のヒントが出る事は多いが、どうにもダメなら「最初の時点から間違っているのではないか?」と装備や作戦を変える事も考慮しないとならないという難しさを持つ。
 Sierraからしたら「マルチプレイの練習になって、且つそこそこ面白ければOK」程度の期待だったと思われるシングルプレイが、本格的にシングルプレイに焦点を絞って製作される様なゲームよりも面白くなってしまったというのは実に皮肉な話であり、最初からTirbesの世界をテーマにしたシングルプレイプレイ専用のゲームとして余計なマルチプレイの練習要素を省いて作られたならば、もっとクオリティは上がったのではないかと思えてしまう点は残念である。


 場所によって大きく難易度が異なり特定のマップが非常に難しくなっているが、ゲーム全体を通して総合的には難易度は高目という評価が多いようだ。上で書いたマルチプレイの練習要素含み以外の難しさの要因としては、戦うか無視して良いのかの判別が付け難くて無理して戦ってしまう、時間制限が有るケースでそれが発動したのにすぐには気が付き難い(画面上部にカウントダウンが目立たない形で表示されるので)、MineやTurretを自由に設置してから一定の間敵の攻撃を防ぐDFタイプの物は難しい、といった箇所が存在する。
 また難易度とも若干関係してくるが、敵が多い場合には乱戦となり、Discを当てられて吹き飛ぶ・GrenadeやMortarの爆風で吹き飛ぶ・自分の武器のエフェクトで視界が遮られる、といった感じになるので、敵の位置も良く見えない様な混乱状態の中でとにかくバンバン撃ち合って勝ったり負けたりするという傾向が強くなり(スプラッシュ・ダメージ狙いが主なのでよりその傾向に拍車が掛かる)、偶然頼りの戦闘になりがちという要素は持っている。

 Grapplerと呼ばれる武器(装備)が存在し、これは発射して貼り付けた後に引っ張って高い場所に登れたりもするのだが慣れないと非常に使い辛い。あまり距離が離れてしまうと引っ張れないし、引っ張るにしても直線を保たないと伸び切ってしまって意味を成さなくなる。選択の余地が有るシーンではまだ良いのだが、これを使わないとならない箇所では何回もリトライしないとならない羽目に陥るだろう。

 シリーズに馴染みの無い人には背景設定が分からないので、その辺の解説が事前に有った方がストーリーを味わうにはなお良かったと思われる。

 ズーム視点にすると近くのオブジェクトが映らないので、良く確認しないと目の前の障害物に発射した弾が当たってしまう。

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