TRIBES: VENGEANCE

                                  07/07/29

   SYSTEM

   GAMEPLAY

   GRAPHICS・SOUND・MULTIPLAYER

   BOTTOMLINE

   STORY (ネタバレ注意)

   公式サイト


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製作・販売: Irrational Games / Sierra Entertainment
発売: 2004/10
日本代理店: サイバーフロント




概  要  TribesとはDynamix社の製作によるEarthsiege, Starsiegeシリーズの流れから派生したゲームである。元祖となるのはMetaltech: Earthsiege(1994)であり、その後Starsiegeと名前を変えたこのシリーズは、HERCsと呼ばれる巨大ロボットに乗り込み操縦して戦うというシミュレーションとアクションを組み合わせたスタイルの作品であった。
 その後同シリーズの世界観はそのままに更なる未来をテーマにした物として、初のFPSゲームとなるStarsiege: Tribes(1998)が生まれる。その続編が2001年のTribes 2で、このVengeanceはFPS物としては3作目。派生作品を含めたシリーズ全体としては(おそらく)10作目のゲームとなる。FPSとしてのTribesシリーズはマルチプレイ用のゲームとして非常に高い人気を誇っていたゲームであり、kmレベルの広大なマップ・チームワークの重要性・ジェットパックとスキーという特殊な操作能力・幅広くカスタマイズ可能な装備・多彩なVehicleやアイテム類・深い戦略性、といった要素を兼ね備えていた。大人数でのチーム戦が全盛の現在ならまだしも、その時代を考慮すると特異なデザインのゲームであり、そのユニークさ故にそこに惹かれる熱心なファンも多かったと言える。

 しかしSierra傘下の子会社的な存在だったDynamixは2の後に解体されてしまい、このTVGはSystem Shock 2, SWAT 4, Freedom Force等で知られるIrrational Gamesが製作を担当している。その製作チームには従来のTribesを知る者としてMichael "KineticPoet" Johnston(著名なTeamRabbit Modの製作者)他をスカウトしており、大きく作品の色を変える事は無いような配慮も成されての製作となっている。


 現在(2007/07)再発版は同社の再発レーベル”Best Seller Series”から出ているが、どうやら英語圏ではこれは出ていないらしい。よってオリジナルの製品版を探すしか無いが、まだそれ程入手困難でも無いようだ。Direct2Driveよりダウンロード販売も行われている。

 日本ではサイバーフロントから「トライブス ヴェンジャンス 日本語マニュアル付英語版」がリリースされているが、既に販売は終了している。


 ゲームは全然売れなかったらしく、発売半年後の2005/03に早くもVU Games(Sierraの親会社)より将来のサポート(アップデート)打ち切りが宣言され、リリース予定としてテスト中だったV1.1パッチの配布さえも中止された(Irrationalの話ではパッチは既に出来ていたそうで、何故Sierraがリリースしなかったのか分からないとしている)。マルチプレイ中心のゲームだけに、実質まだ何も行なわれていない初期段階におけるパッチの製作中止は致命的なダメージとなり、そのまま盛り上がる事も無く終息して行ったゲームである。なお具体的な売り上げ本数としては打ち切り時点で43,000本とされており、これが極端に少ない本数なのかは判らないが、Vivendiを満足させるような数字とはほど遠かったという事だろう。

 このゲームのプロモーション用として発売前にTribesの1,2が無料配布されていたが、既にプレイに必要なCDキーの配布は行なわれていない。

STORY  最初にこのゲームにおけるシングルプレイの位置付けについて説明しておこう。同シリーズのファンにとっては「Tribes = マルチプレイ」であり、オフラインで練習する為のbotの導入はともかくとして、別にストーリーを持ったシングルプレイのコンテンツが求められていた訳ではない。しかしこのTVGはシングルプレイも重視するという方針で製作されており、Irrationalに開発が依頼されたのもその絡みがあったと想像される。

 Sierraがシングルプレイを重視した理由としては、第一にセールス面での不満が大きい。幾らマルチプレイに人気が有ると言っても、マルチプレイしかやらないという人同様にシングルプレイしかやらないというプレイヤーも多数存在しており、これまではそういった人々に対してほとんどアピールが出来ていなかった。元々Tribesは深い背景世界の設定を持っているので、それを使って面白いストーリーを作る事で売り上げ面での大きなアップを狙うという考えがあった。
 次にシリーズの初心者がプレイするには良い状況に無いという点を改善したいという考え。Tribesは深い戦略性を持っている分、
「他のFPSゲームに比較するとあまりにも憶えるべき事が多い」、「やれる事が多いので、今何をするのがチームに取って最適なのかの判断が難しい」という敷居の高さを持っていた。更には戦闘においてもジェットパックとスキーという独特の操作に熟練していないとならない為に、一般のFPSでは強いというプレイヤーが入って来てもまるで勝てないという面も持っている。よって結果的にTribesの初心者がマルチプレイに加わっても、馴染んでその面白さが分からない内に(負けてばかりで)止めてしまうから、一定のレベルから人口が増えない傾向にあった。古くからの熟練したプレイヤーが多くてゲームのレベルが全体的に高いので、余計にその傾向には拍車が掛かっている状態にもなっていた。

 そこでTirbesというゲームのチュートリアルも兼ねた結構なボリュームを持つシングルプレイを用意してやり、それを通してプレイしてもらう事でプレイヤーにシステムに関する知識と戦闘能力を身に着けてもらうようにする、というのがこのシングルプレイを製作した大きな理由となる。クリアした時点で初心者レベルは脱した状態までは持って行ってやり、その後はマルチプレイにもすんなりと入って行けるようにして、マルチプレイの方の人口の増加を図りたいという意図である。


 そのシングルプレイは独特な構成になっていて、プレイヤーが操作するキャラクターは全体を通して5人も存在しており、時代もThe Present(現在)とThe Past(過去・ほぼ20年ほど前の出来事中心)に分かれている。その上プレイ時の各章の並び順は時系列でのストーリーの進行には沿っておらず、カットバックの様な手法で頻繁に切り替る方式である。ドラマや小説で使われたりもするし或る意味では効果的な手法なのだが、逆に不明瞭な点を抱えたままで進んで行くので内容の把握が難しいという面も持っており、FPSゲームとしては珍しい構成なのは確か(具体的に言うと、どうして今そんな事が起きているのか、何故自分がそういう事をしているのか、というのがプレイしている時点では分からずに、後になってその理由が判明するというパターンが多い)。

 時代設定は過去のTribesの2作よりも数百年前となり、もっと詳しいストーリー及び背景設定関連についてはSystemの項にてまとめているのでそちらも参照して貰いたい。プレイヤーが操作する事になるキャラクタ5人は以下の通り。

Julia
 ゲーム全体としてメインとなる主人公。現在のImperials(帝国)の若きプリンセス。非常にアグレッシブな性格で復讐(Vengeance)を胸に秘めて生きている。

Victoria
 Juliaの母親。The Pastのパートでは主人公格を務める。世間知らずで性格的には穏やかな御嬢様タイプのキャラクタ。

Daniel
 "Children of the Phoenix"の中の一つのクラン(小組織)のリーダー。冷静で不要な争いを避けるタイプの性格。帝国とは敵対関係に有るが、全面戦争ではなく和解の道を探っている。

Jericho
 PhoenixのGeneralでDanielの右腕となるNo.2。Danielとは対照的に攻撃的な性格であり、帝国を憎みそこに交渉が入る余地は無いという考えを持っている。

Mercury
 謎の組織Alaxianの傭兵で、暗殺を生業とするサイボーグ。脳も機械化されているので一切の感情を持たない。



PATCH

DEMO
 発売時に出されたV1.01が最終バージョンとなった。これは単なるマルチプレイの接続関連のバグを修正した程度の物。なお自動ダウンロードで適用しようとすると上手く行かないという情報も有るので、その時はマニュアルで落として適用してみる。ダウンロード・バージョンの方はパッチ適用済ではないかと思われるが未確認(Readmeにバージョンの記載が有るのでそれで確認は出来るはず)。


 シングルプレイ用のデモが2種類。これは後に出たMercuryを操作する方(tribesv_spdemo2_en.exe)をお勧めする。マルチプレイ用のデモが1種類リリースされているが、今でもプレイ出来るのかは不明。

動作環境

トラブル
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium III 1.0GHz Pentium IV 2.5GHz
MEMORY 256 MB 512 MB
VIDEO VRAM 32MB
Hardware T&L及び Pixel Shader 1.1対応
128 MB
Hardware T&L及び Pixel Shader 1.1対応
SOUND DirectX 9 互換 同左
対応OS  98/2000/XP
DirectX 9.0c以上要


 MEはサポート外。Vistaでも動くという報告も有るが、一方でトラブルの報告も幾つか見受けられる(特にダウンロードバーション)。ビデオカードの条件でVRAM 32MBでPixel Shaderに対応する物となると相当限られると思うが、GeForce 4MX系は描画異常が発生したりするとある。必要環境は今となっては低い部類だが、かなり昔のPCやノート系では注意が必要だろう。


突然止まったようになる
 プレイ中に一瞬ポーズが掛かったようになる現象。キャラクタのモデル等の新しいデータを読み込んでいる可能性が有るので、キャッシュのサイズを大きくしてみる。\Tribes Vengeance\Program\Binの中の TV_CD_DVD.ini を開いてやり、[Engine.GameEngine]セクションの中のCacheSizeMegsの値を大きくする(デフォルトでは32)。メインメモリが1GBなら128、それ以上有るなら256程度が適当。

サウンドの再生がおかしい
 主にカットシーンにおいて高速回転で再生されたり、画面表示とサウンド再生が合わなくなる。バグなので或る程度はしょうがないようだ。サウンドの使用ドライバをDefaultから変更してみたり、3D Soundを切ったりして試すのが対策。なおDefaultの意味は、TVGのフォルダ内のdllを使うか、システムフォルダ内の物を使うかの切り替え。

字幕が更新されなくなる
 これもバグ。ゲームを再起動するしかない。

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