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GAMEPLAY
 全11章の構成で内部が幾つかのマップに分かれており、その数は35個程度だが全てがカットシーンという物も含まれる。総プレイ時間は15時間程度だった。


 まず最初に難易度について。このゲームは難易度が高く、全てのプレイヤーにという訳では無いのだが、問題になる可能性がある。最も難易度が高いパートであるLight Cycleは、該当項目で書いたように現在ではパッチで全てスキップ出来るようになっているので関係無し。一般パートの方は難易度Normalにおいては難易度が高目であり、一番下のEasyが平均的なNormal程度の難しさというレベル。よって普通のFPSゲームの難易度Normalをクリア出来る以上の能力を持っているプレイヤーならば、この難易度に関しては特に問題は無い。なおプレイ中に何時でも難易度変更が可能なので、ゲーム開始時の難易度設定が合っていなくてもトラブルにはならない設計。

 一方で普段はEasyでプレイするとか、FPSをプレイしないという人には問題となる恐れがある。ここはちょっと謎な部分であり、ゲームの販売ターゲットが「原作映画のファン」を含めているのならば、そこには全くゲームをやらない人や、ゲームはするがFPSはした事がないという人も多いだろうから、少なくともNormalの難易度は易し目に設定してやった方が良い。簡単だと思ったゲーマーは途中で難易度を上げていけば良いだけである。

 しかし実際にはかなり難易度が高目に設定されており、「原作のファンなので、FPSはやった事がないがプレイしてみたい」という人には厳しい物になってしまっている。私としてもそういったゲームが苦手な人が、「このゲームは自分でもクリア出来るだろうか?」とアドバイスを求めてきても勧め難いという意見である。発売当初の難易度が高いという評判は少なからず(期待外れだったとされる)セールスにも影響したと思うし、ディズニー側がどういう狙いだったのか疑問を感じてしまう。Light Cycleでのトラブル発生を見ると、発売前の難易度調整の為のプレイテスト不足(またはテスター人選の誤り)が原因ではないかという気もする。或いは成長パラメータが存在し戦い方の自由度も高いゲームなので、開発側が想定していたような成長のさせ方や戦い方をするプレイヤーが少なく、それが難易度が高いという評判に繋がったのかもしれない。ただこれも同じくプレイテストを十分にしていれば防げる事である。

 なお難易度が高いという事自体が問題なのでは無く、例えばリアル系のミリタリー物とかサバイバルホラーでは、難易度が高いという設定がむしろ効果的に働くという面も持っている。つまり「難しい」という設定がプラス要素になっているかどうかがポイントなのだが、このゲームではそれがプラスにはなっておらず、逆にマイナスに感じられる所が真の問題点である。映画的な内容なので、繰り返し同じエリアをプレイするテンポの悪さが、鑑賞中の映画を何回も途中で中断される様な印象を与えており、もっとスイスイと進められる方がゲーム世界の中に入って行き易い。このゲームに関しては難易度が高くない方が(テンポ良く進められる方が)、最終的な印象も良くなると思える。
 私の場合は最初Normalでスタートしたのだが、難しくてゲームが遅々として先に進まないので、三章辺りからEasyへと落としてプレイ。終盤ジェットのレベルが上がって強くなってきた時点でNormalに戻してクリアした。普段FPSをNormalでプレイする人なら最初からEasyの方が良いだろう。


 ゲームの舞台がコンピューターの内部という設定なので、内部のデザインは非常に個性的である。様々な色がロケーションに応じて使われており、マップの形状も奇抜な物が多い。その独特な雰囲気は素晴らしい出来映えであり、このゲームの最も優れている点と言える。オリジナル映画の持つ雰囲気を損なわずに、それをグレードアップして新しくその世界を構築していると感じさせられた。全く他のFPSとは異なった世界観を持つので、デモをプレイしたりSSを見て興味を惹かれた人にはお勧めである。

 しかしその個性の強さのあまりに問題点も生じている。まず変わった形状と色使いの為に、全体像が掴み難い場所がある。どこが階段なのかとか、どこを進めるのかがちょっと見ただけでは判断し辛いという意味。次に透明の足場が多いので、足場だと思って踏み出したら落ちて死亡というケースが発生する。特にライティングが派手なマップでは見誤り易い。更に形状が奇抜なので、どこに降りられるのかが判別出来ない場所もある。高さにかかわらず降りられないと設定された場所に飛び降りると死亡してしまうのだが、それがどこなのかが判らないので行き先に迷ったりした時など困った事になる。

 それと関連してだが落下ダメージの判定が曖昧。サブルーチンに装備しているアーマーの合計値に影響するのかも知れないが、どの程度から飛び降りて大丈夫なのか見極めが付けられない上に、一般的なFPSに比較して落下ダメージが大きい(死に易い)ので厄介である。ショートカットして降りようとしたら死んでしまうとかが起きるので、クイックセーブをしてから試さないとならなくなっている。目測で判断出来れば良いのだが、ある場所では死んでしまうような高さからでも別の場所では飛び降りても平気であるとか一貫性がない。


 パズル要素について。まず頭を使って解くタイプのパズルはほとんど無い。その多くはHELPに書かれた解決方法の通りにするだけ。一方でジャンプパズルの類はそこそこ出て来る。ただレビューで「ジャンプパズルをやらされるのは面白くないしストレス」という批判を結構見ていたので身構えていたのだが、想像していたほど数は出て来ないし、時間制限や他のパズルと組み合わされた物等も存在するものの、難易度的にはあまり高い物は登場しなかった。このゲームではクイックセーブが可能なので、失敗しても繰り返しのストレスが軽減されている。しかしゲームを面白くはしていない要素なのは間違いなく、無い方が良かったとも言える。


 ストーリーはあまり面白い物ではなく、他のアクションFPSとは違って映画的なタイトルなのでその点はマイナスち言わざるを得ない。カットシーンでメインのストーリーは説明され、細かい背景事情はアーカイブの中のEメールに書いてあるという構造。しかしEメールは入手するかどうかは自由なので、読まない人にはよりストーリーの意味合いは伝わりにくくなる。それとラストはあっさりし過ぎというか盛り上がりに欠ける。これで終わり?という感じで終了してしまうので拍子抜け。


 RPG的な成長要素については、一回しか通してプレイしていないので何とも言えないが、確かに5種類の能力パラメータによってプレイ感には違いは出ると思われる。「ヘルスの最大値を上げる」のは当然死ににくくなる効果があるが、ヘルスの方はそれ程補給場所が多くないので、最大値を常に保てる訳ではなく万能とは言い難い。例えば無限補給が可能なエリアでのボス戦では有利だが、それが無い場所では低いヘルス値での戦いになるので特に差は出なくなる。

 「エネルギーの最大値アップ」は無限補給場所が存在するので有利。おそらく5種の能力値の中では最も伸ばすのが有効だと思われる。武器のエネルギー使用量を減らすのは関連する能力だが、Diskをメインに戦うならば重要度は低下する。一方で他の武器を使うのならば非常に大事な値となる。「転送速度の高速化」は戦いながら隙を見て吸収を行うといった特定の場所では有効に働くが、その他ではあまり大きな意味はない。プレイ中にアーカイブからの転送を待つ時間を我慢出来ないという性格の人向け。「内部処理の高速化」もウイルスの除去といった特定のシーンで有効となる機能なので、成長の優先度は低いと感じられた。

 もう一つのRPG的な要素である、状況に応じて自由にサブルーチンを差し替えてやり、その都度自分の能力を変えられるという要素は面白かった。一々差し替えるのが面倒と言えば面倒だが、限定された空きメモリしかないだけに差し替えが可能なのは有効に働く。スナイパーライフルとしての機能を普段は使用せず、必要になった時だけその機能をセットして乗り切るという風に出来るし、更に遠距離ならばズーム拡大機能を装着してやる事も可能。危険な状況ではアーマー系を多数装備して防御を固めて乗り切るという作戦を採ったり、反対にダメージ増加のサブルーチンを重ねて挑むというやり方も出来る。


 内部設定やシステムが独特の用語や形式なので慣れるまでに時間が掛かるゲームだが、HELPについては充実しているし、簡易リファレンスカードも付属。50Pほどのマニュアルの説明も丁寧である。なお注意点として、最初のチュートリアルにて受けるかどうかの選択肢が出て来るが、これを受けないと最初のバージョンアップが貰えないので受けておいた方が良い。(0.0.0→1.0.0に上げて貰える)。


WEAPONS
 武器(Primitives)はDisk, Rod, Ball, Meshの4種類に分けられており、それぞれに改造用のサブルーチンが2種類用意されている。よって合計武器数は、基本4種+拡張8種の全12種類。初期状態の基本武器はゲームの進行に応じて自動的に入手する方式で、改造用のサブルーチンは他の物と同様にマップ内で入手する必要がある。基本機能には変化はないが、拡張機能の方はそれぞれ最適化が進んで行くほど、ダメージが高くなったり使用エネルギーが低くなったりと性能が上がっていく。また最初のアルファ・バージョンだと3スロットを占有する為に、同時に使える武器数も増やす事が出来ない。


◎DISK
 エネルギーを消費せずに使える基本武器で、逆に言えばエネルギーが無くなるとこれで戦うしかない。LMBで投げて、押したままにするとマウスの動きで軌道を変えられる。飛行中にRMBで強制的に手元に戻るが、どれだけの時間で戻るのかは距離による。防御としてはブロックが可能で、持っている状態からRMBで敵のDiskをブロック可能。他に打撃武器としても使える。

 Sequencerは最適化に応じて2-4枚のDiskを同時に使えるサブルーチン。ただし少量のエネルギーを消費するようになる。またブロックは全てを投げた後でないと出来ないという弱点もあり。Clusterは爆発して範囲ダメージを与えるが、エネルギー使用量は高くなる。


◎ROD
 相手に電撃ダメージを与える接近戦用の両手持ち武器。相手の背後から等の限定された条件下でないと効果が無い。

 Suffusionはショットガンへと形態を変えるサブルーチンで、近距離戦での高ダメージ弾と溜め撃ちでの2倍ダメージ弾が撃ち分けられる。   LOLはスナイパーライフルへと変形させる機能。アルファ段階ではそれ程威力は高くないが、離れた場所から攻撃出来る点は重宝する。ズーム機能を持つサブルーチンと組み合わせると効果増大。死んだ敵が残すエネルギーを奪い難くなるというデメリットはあり。


◎BALL
 グレネードの様な範囲ダメージを与える投擲系武器。ただし狙った場所に投げるのは慣れが必要で、誤って目の前の障害物に当ててしまう事もある。爆発までに時間があるのでちょっと使い難い。

 Launcherはボールをロケット弾の様に飛ばす武器で、FPSに慣れたプレイヤーに取っては最も使い易いタイプとも言える。威力は高いがスプラッシュダメージの範囲がかなり広く、近距離では自爆してしまう恐れがあるのが弱点。エネルギー使用量も高目。Drunken Dimsは複数の弾を同時に飛ばす拡張タイプだが、一点に向かっては飛ばないので複数の固まっている相手に効果を発揮する。エネルギー使用量がかなり高いのが難点で、エネルギーの最大値を上げていないと使い難い。


◎MESH
 サブマシンガンの様な武器。連射可能だがダメージが低いので、基本状態では大して使い物にならないという印象。

 Energy Clawは近距離戦用の武器で、敵からヘルスとエネルギーを吸い取る事が出来る。エネルギーを使わないのは利点だが、与えるダメージは低いので効果は薄い。また登場するのは終盤になってからとなり、その時点ではもう使い所がないように思える。Prankster Bitは溜めて撃つ事で渦巻きを生じさせる効果があり、渦巻きが残っている間は周囲の敵を引き寄せてダメージを与えられる。多数の敵相手には効果的だが、エネルギーの使用量は最大級。またラスト近くに出て来るので使えるシーンが少ない。

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