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問  題  点
 武器は多数存在するのだが、種類の多いマシンガン系の武器に変化が大して感じられない(ここではサブ・マシンガン、アサルト・ライフル、マシンガンをひっくるめてマシンガン系とする)。武器の扱いがリアル系に寄ったゲームであれば、ダメージ・命中率・リコイルの大きさ・照準のブレ・リロード速度・移動速度等の設定を変化させて差異を明確に打ち出せるのだろうが、このゲームでは基本的にアクションFPSという姿勢を崩していない為に、連射しても照準のブレはどれも小さいし、重い武器を持とうが速く動けるしで変り映えがしない。ダメージに差は有るのかも知れないが、例えばサブマシンガンならばその中ではどれも一緒という印象しか受けない。
 通常のアクション系FPSでもマシンガン系の武器は一種類で事足りるというケースが多く、後はミニガンの様な強力兵器か両手持ちのUziの様な変化を付ける程度。モデリングやサウンドの違いとかはしっかりと作っていると思うが、使い勝手としては(それが銃のリアルさを曲げる事になっても)もうちょっと変化が欲しかった。

 あと付け加えるとマシンガン系がこれだけ多いのにショットガンが含まれていない。物理エンジンによるラグドールの効果と来ればショットガンは外せないと思うのだが、どうも調べてみるとWWII当時に於いてはこの武器はまだ性能も悪かったしポピュラーでも無かったらしい(そう言えばRTCWも含めて見掛けない)。ただ導入した方が面白くなったのではないかという気はする。


 戦闘時のグラフィックス表現に凝っているのも売りの一つで、爆発時の噴煙・燃え盛る炎・爆発による空気の振動・飛び散る火花等が表現されている。それは迫力も有って良い点なのだが、ここに更に銃のマズル・フラッシュと、ダメージを受けた際の血の飛び散りが画面一杯に付着する為に、こういったエフェクトが過度になって前が見えないという副作用が生じている。どこに敵が居るのかが判らなくなるし当たっているのかも見えない。巻き込まれれば即死のグレネードが近くに飛んで来るのさえ見えないという事にもなってしまう。
 一方でAIはこういったエフェクトの影響を一切受けない。その点は他のゲームと一緒だが、敵はこちらが見えさえする状況ならば容赦なく撃って来るというゲーム性なので、隠れる場所が無いというケースでは厳しくなる。他には潜水艦のミッションでの対空砲での攻防戦も、水飛沫や煙のエフェクトで前が見えなくなるというのがただでさえ難しいのに更に拍車を掛けてしまっている。

 撃たれた敵が一度倒れてから起き上がって来るというアニメーションを採用しているゲームは他にも在るが、このゲームではかなりの確率で倒れた敵が再度起き上がってくるというパターンが使われている。その為に死んだのかどうかの確認が取れずに、死んだと思った敵からいきなり撃たれたりというケースが多くなるという問題あり。一応武器を落とせば死んだというのは確認可能なのだが、すぐ近くに居ない場合には確認出来ないし、また周囲に多くの敵が存在する場合には一々確認する時間が無いというのもある。同様にすぐ近くなら倒れた後に念の為に撃つという手段は有るが、遠くで高台とかだと角度的に倒れている状態では撃てないという事も多い。
 倒れるというのは弾が当たっているという表現の一つであり、当たっているのか分からないようなゲーム(HPが0になるまでは無反応で突然死ぬ)に比べればずっと良いのは確か。しかしこれだけ頻繁に倒れられるとちょっと確認が煩わしいと言わざるを得ない。


 ストーリーが良くない。背景設定的にもっとダークな面を押し出して緊迫感を高めるという方向性が適していると思うのだが(と言うかてっきりそういうゲームだと思い込んでいたが)、何故それがあまりにも安っぽいラブ・ストーリーになってしまうのか首を傾げてしまう。

 マップが切り替わったりした際の最初のロード時間は、非常にという程では無いが長い部類に入る。一度読み込めばキャッシュとして残るのでその時間は軽減されるが、クイックロードしたりするのも長い時間が掛かる方だろう。またセーブデータのサイズも相当大きいので頻繁に保存を行う場合には注意。


 その他バグと思われる点。一度しか動かないエレベーターが有って、乗ってから作動前に降りてしまうとスタックしてしまう。それと一時的に字幕が消えてしまうというのが数回発生した。



GRAPHICS
 Kreedで使っていたX-tend Engineの改良版を使っているそうだが詳細は不明。Kreedもグラフィックの凄さというのを強く推していたゲームだったが、このゲームもエフェクトのクオリティは高いレベルである。戦闘時に散る火花やマズル・フラッシュの表現、爆発時の煙や大気の歪みといった要素により派手な戦闘シーンというのを実現している。他にも回転する扇風機の影が投射されたり、揺れるライトに応じて影がちゃんと動いたり、ブルーム効果も加わっている。武器へのライティングもかなり綺麗。トップクラスのゲーム(F.E.A.R.等)には劣るものの、このエフェクト部分の出来はなかなか良い。

 一方でマップ全体について見ると、Textureがかなり粗い場所や構造が雑な所が有ったりと細かい部分までは作り込まれていない。一部細かいアニメーションを行う装置等の凝った部分も見受けられるのだが、やはり予算の問題なのか全てにそのレベルのクオリティという訳には行かなかったようだ。なのでインドア・アウトドアを含めて、その場所が本物であるかのような現実感が感じられるか?という点では弱い。ゲームのグラフィックスの中に居るという感覚は拭い取る事が出来ず、リアリティという観点では数世代前のレベルである。

 敵の兵士のモデルにも使い回しが多く、同じ様な顔の人間ばかりが出て来るというのも欠点の一つ。アニメーションとラグドールを組み合わせている点は評価出来るが、基本的にはアニメーションは単調である。モデリングとしては(正確なのかは分からないが)武器が相当細かく作り込まれているという印象。

 当たると血が出るという表現は採用されているが、単純に赤っぽいTextureを貼り付けているだけなのでリアルではない。時にはその状態で再度立ち上がって来たりもするので奇妙である。床に広がる血もリアリティに欠ける。


 選択出来る解像度が限られており、また最大でも1280*1024と何故か上限も抑えられている。Shaderは2.0まで対応しており1.1との切り替えが可能。トップで書いたようにエンジンのパフォーマンスには問題を抱えており、ライティングの処理が最適化されていないようだ。設定を最大まで上げてもそれ程Highとは変り映えしないのにfpsは大きく低下するというのは難点だが、逆に中程度の設定では軽さと綺麗さが上手く保たれているようで、それ程性能が高くないマシンの人には、他のゲームの中程度の設定と比較して綺麗なレベルで快適にプレイが可能となっている。

 その他の問題点としては影がオブジェクトを突き抜けて投射されてしまう事がある。それとライティングの処理が正常に行われていないのか、ちょっと明るめの設定にしても暗くてよく見えない場所が存在する(逆の問題とも考えられるが)。

 グラフィックスには見るべき箇所が無い様な多数のマイナー会社からの作品に比較すると、このゲームは幾つかの良い面も持っている分頑張っていると思う。総合的には合格点は与えられるレベルである。

SOUND
 3D音響についてはEAXを使った状態でサウンドの定位感は良好な部類。

 武器サウンドは別々に作られているし迫力も有る方だろう。一般的なサウンドに関しては特定のマップを除いては音数が少ない感じで寂しい。

 BGMは種類が少ない上に出来も良くない。それとやけにボリュームが大きくてBGMだけを相当絞らないとならなかった。

 サウンド面で最大の問題は主人公の声優である。棒読みと言うか、迫力も無いし調子外れ。ここは英語圏のレビューでは徹底して叩かれており、史上最悪レベルという評価も複数出ていた。後はこのゲームだけの問題では無いのだが、ドイツ軍の兵士が皆英語なので雰囲気が出ないという批評も多かった。

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