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GAMEPLAY
 ゲームの舞台はドイツだけではなく、北アフリカやチベット等も含めて全14マップで構成されている。プレイ時間はNormalで10時間位

 ストーリーは主にコミック形式での解説となっており、力を入れたという割には典型的で予測が出来てしまうような展開で面白みは感じられない。

 ミニマップ機能が無くなったが、ほとんど一本道なので道に迷う事はまず無いはず。枝道はたまにあってメディキットやアイテムが置かれている程度である。パズル要素も特に無く、離れた場所に行って鍵を持ってきたりスイッチを入れたりして進める程度。ただ開くドアが明確には分からないので、ドアが多い場所では進むルートの判断が面倒というのは欠点。

 マップの構成としては旧来のレベルから脱皮出来ておらず、一本道で変化も無いのであまり面白味は感じられない。疾走する列車での戦闘とかも用意されているがこれも在り来たりだし、チベットも雰囲気的にはエキゾチックな印象は薄くて設定を活かしきれていない。


 RPG的な成長システムを導入したのが大きな特徴だが、バランスとしてはNormal程度では極度に成長度合いを気にしなくても良いというバランスに留められている。例えば武器の正確性を上げないと全然当たらないというのではなく、初期状態でも特に命中率が悪いという風にはなっていない。つまり普通にアクションFPSとして遊びたければそれで問題はないというデザインであり、特に経験値を意識しないでも良いのはプラス点。ヘッドショットを狙ってAngerのボーナスを得るだけでも、マップクリアの経験値と合わせてクリアには困らない位のポイントは稼げる。

 成長を意識して普通のFPSとは異なったスタイルでのプレイももちろん可能である。ナイフでの経験値稼ぎを積極的に狙って成長させれば優位に立てるし、そのポイントの割り振りでプレイスタイルは大きく変化する。シールドのエネルギーを高くすれば、敵に撃たせてからその弾を撃ち返して倒すという反射攻撃が多用出来るようになるし、シールド自体の持続時間を長くすれば防御や様々な攻撃において有利になる。または無敵状態を長くするようにも成長は可能と選択肢は多い。何か他のFPSとは違った要素を入れないと差別化が出来ないという観点から前作とはゲーム性を変えて来たのだろうが、自由度という点では結構上手く行っていると思える。


 宣伝文句には多彩な車両に乗ってプレイが出来るとあるがこれは誤りで、実際にはゲームの最初に走る車からの攻撃シーンがある位。

 物理エンジンは前回と同じようで、動いたり壊れたりする物は多いが、一方で動かない物はロケット弾でも一切動かないという仕様。ラグドールも組み込まれているが、Shotgunでは敵は派手に飛ばないのは残念。死体はある程度はその場に残る仕様。アイテムが爆発で飛んでしまうので、弾薬や武器等がどこかに行ってしまうという問題は軽減された様に見える。

COMBAT

*武器は4つのカテゴリー別に1種類ずつ所持可能
*敵の落とした物を含めて武器は自由に交換可能
*グレネード系を別に3種類所持
*左右へのリーンや伏せは無し
*銃のモード切り替え無し
*ズーム視点にも出来るが、武器によってはアイアンサイトになる
*弾のブレは照準の開きで表現されており、連射すると実際にリコイルで銃身も跳ね上がる
*照準は座ると収束して安定する
*回復はメディキットを拾って行う(携帯は不可)

 以上のようにアクション重視のゲーム性という点は変わっていない。基本的に数多くの敵相手に撃ちまくりスタイルの派手なアクション物。WWII物だがCall of Duty系ではなく、Return to Castle Wolfensteinの系列を感じさせる作品である。

 武器は相当種類が多く、Thompsonやショットガンが新規に加わっている。同時所持可能な武器のカテゴリ分けとしては以下の様になっている。

Pistol: Walter P38, Lugar Parabellum, Colt 45
Rifle: Kar.98k, SVT-40, BAR, Shotgun
Automatic: MP40, Thompson, StG-44, PPSH-41, Dp-27, FG-42, MG-42
Heavy: Panzerschreck, Flamethrower, Antitank Rifle s.Pz.B-41


 前作から変わったのは武器の照準。ほとんどブレない仕様だったのが、左右へ素早く動かすと大きく広がったり、連射した際の広がりも大きくなった。移動中もやや広がるという風になっている。武器によってもこれは異なるので、前作よりも武器毎の個性は分かり易くなっている。例えば中盤からメインでよく使用する武器では、StG-44は正確性が高くて連射のブレも小さくリロード時間も短い。それをFG-42に変えるとダメージが上がる代わりに、弾がやや散るのでヘッドショットの確率は減ってリロード時間も長くなる。更にMG-42では堅い相手の装甲を射抜くのには適しているが、照準は広がり易くなってヘッドショットは出難くなりリロード時間も更に延びるという風になっている。

 とは言えやはりアクション系なので、撃ってもなかなか当たらないというバランスにはなっていない。アイアンサイトやズーム視点にしなくても十分に当たるという設定であり、大して照準のブレを気にしなくても良い範囲に収まっている。スナイパーライフルも全く揺れないし、Kar.98もアイアンサイトにするまでもなく命中率は高い。(連射性が大きく劣るだけ)。

 敵に当たっているのかは、赤い血飛沫表現で分かるようになっている。他には敵はダメージを受けた際のリアクションも行う。血が背後の壁に飛び散ったり、死体の下から流れ出したりの表現はあり。死体はその数で管理しているようで、結構時間が経過しても残っていたりする。


 ゲーム性で大きく変化したのは第一にタイムシールドの扱いである。今回は時間を置けば自動的にリチャージされるようになっており、何回でも繰り返し使用が可能になった。敵を倒してエネルギーを溜めておいて、ここぞという場面で使うという扱いだった前作とは異なっている。例えば敵のスナイパーが潜んでいる場所では、シールドを張って表に出て敵の位置を見定め(シールドを通しては見え難くなるが、弾の当たった場所から見当は付けられる)、シールドを解除した瞬間に撃ってすぐにまたONにするといった攻撃で対処可能になる。いずれにせよ気楽に使えるようになったので、他にもいろいろと応用が可能。

*シールドを張った状態で敵に突っ込んで、ナイフによるRageで経験値を稼ぐ
*シールドを張った状態で敵に突っ込んで、敵が中に入った瞬間に銃で攻撃する
*シールドで敵の弾を受け止めて、高エネルギー状態の段階で解除して弾を敵に撃ち返す攻撃を繰り返す
*ヘルスが少ない時にシールドで敵の攻撃を受け止めながら、メディキットの場所まで突破する
*敵の固定マシンガンの攻撃に対して、安全な場所までシールドを張って駆け抜ける
*シールドを張って火炎放射器で攻撃する(火炎は外に通る)


 次にそれ程の大きなメリットが無かった前作でのAnger, Rageに比べて、新規能力のBerserkerとUberSniperは発動させれば強大なパワーを発揮出来るので、積極的に狙う価値が高くなっているのも大きな変化となる。その条件達成の為の時間制限も緩くなっているという印象。敵の近距離攻撃もダメージが大きいのでヘルスが少ない場合には難しくなるが、ヘルスがフルの時であればシールドを張ってのナイフ攻撃は比較的成功率が高い。或いはStunグレネードで敵を麻痺させてから、ゆっくりとナイフやヘッドショットを狙うという作戦も有効。戦闘時のヘッドショットも正確性のパラメータを上げてやれば出し易くなる。やや面倒な点としては、一旦発動したら切れる前に出来るだけ敵を倒したいので、歪んだ視界の状態で未知のエリアへと一気に突っ走って行くという風になりがち。よってそれが切れた後にずっと戻って来てアイテム類を確認したりする必要も出て来る。

 ただしプレイヤー側が強くなったその代わりとして、敵の出現数が大幅に増加している。閉じ込められた空間内に四方から敵が続々と沸いて来るというSerious Samの様な展開も珍しくない。よって通常攻撃のみでは対抗するのが難しいというシーンも有り、意識してTSの使用や2つの特殊能力の発動を狙って戦わないとならないという風になっている。前作がスタンダードなアクションFPSにアクセントとしてTSやRageといった要素を加えたゲームだったのに比べて、今回は特殊能力が中心のゲーム性というデザインに変わったと言えるだろう。


 前作で気になっていた数々の点についても修正が行われている。

前   回 今   回
 グレネードのダメージが非常に強力で厄介  ダメージの軽減と、方向インジケータが設けられている
グレネードを10個所持可能で、無闇に投げる大雑把な攻撃が可能 タイプが3つに分かれて、それぞれが3個所持に制限
敵の反応速度が異常に早く
エリアに入った瞬間に撃たれるので対処がし難い
反応速度が遅くされて不自然ではなくなっている
ダメージ等のエフェクトが派手で前が見え難くなる 視界を遮るエフェクトは軽減
ヘルスもシールドも低くなるとデッドエンドの危険性 ヘルスは20%程度までは時間と共にリチャージされる
シールドも自動リチャージ
一度倒れた敵がやたらと起き上がって来るので確認が面倒 滅多に起き上がりはしなくなった
爆発物が多くて自分も巻き込まれる危険性有り 自分の側には比較的爆発物が置かれなくなった


 味方AIも一部では存在するが、不死身設定の特定キャラクタ以外は弱くてあまり意味が無い。銃口が味方に向いていると撃てないという仕様でFFは気にしなくても良いが、爆発系のダメージは味方にも加わる。

 敵の出現は基本的にスクリプトであり、待ち受けているのではなくて或る地点に到達するとドアから出て来たりというのがお決まりのパターン。他はスナイパーの様に一定の場所間を行ったり来たりするという者が多い。

 敵のタイプも改造兵士系ではテレキネシスを使って来る者の他に、巨人のロケット兵士が新たに登場するようになった。それを含めて前作に比較すると敵の種類はバラエティに富むようになったのは確かである。


 AIがワンパターンという批判を受けて、今回はそれぞれのタイプ別に行動パターンを変えるという点に力が入れられている。またグループでの行動という判断も含まれるようになった。序盤に登場する兵士達は反応も鈍いし動きもモッサリとしているのだが、中盤辺りからカバーの陰に体を隠して出たり入ったりで攻撃して来たり、頻繁にカバーからカバーへと素早く動き回ってそれを飛び越えたりたりもするエリートSSや女性SS等が登場して来る。彼等は結構動き回れるルートが多彩であり、ランダム性も持っていてリプレイしても完全に同じような動きにはならない点は評価出来る。これなら最初からAIのレベルをこの位にして、中盤以降はもっと射撃の正確性やアグレッシブ度合いを上げてやるという調整でも良かったように思える。序盤はAIが鈍い感じなので損をしていると言えるだろう。
 スナイパーも一箇所に留まらずに結構窓から窓へと動いて来るので簡単には倒せないし、また敵はグレネードの投げ込みも正確なので逃げるのが大変だったりもする。時には腕だけを出してのブラインドファイアーも使って来て、これはこちらからは当て難いので嫌な攻撃となる。AIはこちらの動きを見て判断というレベルまでは行っていないようなので頭が良いとは言えないが、総合的にはかなり改善はされていると感じた。



問  題  点
 RPG的な成長要素を盛り込んだ事により、そのRPGにおいてよく問題にされる欠点がこのゲームにも現れてしまっている。それは「成長させ過ぎると強くなり過ぎてゲームバランスが崩れる」という点である。特に経験値を稼ぐ事を意識しなくても不利にはならないというバランスで作られているらしく、よってボーナスとして多くの経験値を稼いで成長させるとプレイヤー側が強くなって戦闘が簡単になってしまう傾向にある。そして途中で難易度を変えたくても出来ないというのも痛い。
 私が稼いだポイントが平均的に多いのかどうなのかは判らないが、Normalで始めて中盤辺りからはあまり死なないようになってしまった。例えば武器の正確性が上がるとヘッドショットが出し易くなるので、それでUbersniperを狙って行けば多くの敵相手でも怖くなくなる。Hardでどの程度難易度が上がるのかは未確認だが、難易度が高い方が好みの人で経験値のボーナスを狙うのならばHardで始めるべきかも知れない。或いは稼いだ経験値は以降に持ち越せると思うので、難しいと感じるまでは全部を割り振らないで残しておくという対応も考えられる。


 難易度バランスについては他にも疑問視される点が存在する。経験値を多く稼ぐと簡単になると書いたが、逆に何箇所かは突出して難易度が上がる箇所も設けられている。主にボス系の敵だが、これは明らかにアンバランス。なおボス戦と言えば、確実ではないが例えばMG42の様な特定の武器でないとダメージが与えられないように見える敵も居て、それが最初は分かり難いというのも問題点。反対に武器・弾薬・メディキットが取り切れない位に置かれていたりと、その配置がアンバランスに感じられる箇所も在る。

 他にはシールドがリチャージ可能なので、銃弾とは異なりそこを透過させられる火炎放射器とのコンボが強力過ぎる。この火炎放射器は遠くまで届く上に、火を点けられた敵がもがいて反撃出来なくなるという利点があるので非常に強い。継続使用可能時間はそれ程長くないが、燃料自体は比較的補給が出来るのでそこも問題である。
 またグレネードの所持数は三個と大幅に減らされたが、異なったタイプを三種持てるようになったのであまり弱体化はしていない。隠れた場所から投げ込めるFragが減ったのはマイナスとしても、直撃させるタイプで相手を燃やせる火炎瓶は敵に逃げる余地を与えない分破壊力を持っている。それとそこら中に置いてあって補給が楽な場所も結構在って、そういった場所では乱発させられる様にもなってしまっている。


 移動速度の遅さも大きなストレスを感じる点。50kgの甲冑でも着込んでいるかの様に遅く、走るというよりも歩いているという感覚に近い。それを補う為にスプリントキーでダッシュは確かに可能なのだが、必要なスタミナがシールドと同じエネルギーを使用している所に問題がある。おそらく製作側の意図としては戦闘をよりタクティカルにする為にこの様なデザインを採用したのだと思われ、戦闘中にスプリントを多用して動き回る作戦と、出来るだけスプリントせずにシールド使用の為にエネルギーを溜めてそれを使うという戦い方を選べるようにしたという意味なのだろう。また必要なエネルギーの持続時間は成長パラメータの一つとして伸ばしたければそれも可能になってはいる。

 しかしスプリントを使わない時はもっさりした動きの為に、アクションFPSで重要なスピード感が阻害されているのは確かである。また敵の居ない場所を移動したりする時にスプリントした場合、その先で新しい敵が出現する可能性が高い扉の前等に着いた時にエネルギーがゼロというケースも発生して、そうなるとそこでエネルギーが回復するまで待っていないと不利になってしまう。或いは普通の場所でも丁度エネルギーが下がった時点で敵と遭遇してしまうという危険も避けられない。そもそも移動中にずっとスプリントキーも押していないとならないのは面倒でもある。
 それを避けたいならば移動をなるべくノーマル速度で行うしかないが、離れた場所のメディキットや弾を集めたりするのに遅くてストレスが溜まってしまう。(私はそれが嫌で序盤は優先的にこのエネルギーのバーを伸ばした)。この点は別にスタミナバーを設けて制限するか、前作の様に常に一定速度でそれを速くした方が良かったように思える。


 昔ながらのタイミングアクションのシーンが多い。人にも依るのだろうが、個人的にはもう噴出すガスや炎をタイミングを読んで避けて通る様なアクションには面白さを感じられない。シールドを使ってダメージを軽減可能な箇所もあるが、一発即死のシーンも多くて面倒にしか感じられない。

 I/Fの問題としてUseキーで操作するオブジェクトにて、その反応位置が狭かったり、何回かやり直さないと「Useを押せ」の文字表示が出なかったりが発生した。

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