GAMEPLAY |
Unrealのコンセプトの根本は徹底的に体感をリアルにする事にこだわったゲームという点になる。現時点で考えうる最も綺麗な3D世界をモニター内に作成して、その中をあたかも現実であるかの様に行動可能にしてやり、そこからインパクトのあるゲーム体験を得てもらおうという意味である。ゲームプレイ自体の面白さとグラフィックスの美しさというのは本来は別物であるが、Unrealにおいてはこの2つは不可分の存在となっている。なおゲーム中にはムービーは存在しない。時々短いアニメーションが入ったりするが、それも画面が切り替わっるのでなく通常のゲーム画面内で行われる。この辺りはゲームその物がムービークオリティであるという自信の表れとも言えるし、リアルなゲーム体験をしてもらう為にゲームの進行を切らないデザインになっているとも取れる。ただし時間が経過した現在では、グラフィックスも当時ほどのリアリティを感じさせるクオリティでは無くなっている 内容自体は基本的に旧来の単純なシューティングのスタイルであって、ゲーム終了まで延々と戦って生き延びるというシンプルな構造である。そこに現実にそこを旅しているかのような素晴らしいグラフィックスを組み合わせて構築された雰囲気重視のゲームであり、Na Paliという異世界探索を味わうという点が大きなウェートを占めている。異教の寺院, エイリアンの施設, 墜落した宇宙船内, 寒村, 天空の街, 巨大な城等の多彩なロケーションが登場するので、地球外文明世界の探索を存分に楽しめる。 まず最初の特徴としてマップサイズが巨大な事からゲーム全体の分量も多い。発売当時のこのジャンルの一般的な物と比較しても長目で、謎解きにて詰まる事も考えると初回プレイは30時間以上は掛かるのではないかと思う。敵との戦闘はもちろん随所にあるのだが、そのゲーム世界を存分に味わってもらう為に、単に旅の様に移動する場面も多くなっている。しかしUnrealの凄い所はその長さを飽きさせない優れたレベルデザインにある。 それまでの3DFPSでは舞台が数箇所に限られているのがほとんどで、内部構成に凝っても全体のイメージは似ている部分が多い為に最後の方では飽きがきてしまう事が多かった。ところがUnrealでは細かい所まで作り込まれたマップが次々に登場し、その上その一つ一つがバラエティに富んでいる為に全く飽きるという事がない。一体次はどんなマップが待っているのかという楽しみさえある。特にオープンスペースのマップがかなり多く、これまでありがちだった閉塞感というものが無い。 個々のマップデザインについても秀逸で、ただ綺麗なだけではなく多種多様で練りに練った構成が取られていたりしている。一つのマップ内で大きく場面転換があって光景がどんどん変わる所, 巨大で複雑な建造物の内部探索, 近代的な宇宙船内部, のどかな野外風景等々、とてもここには書き切れないくらいの場所(しかもどれもが美しい)を探索しているうちに、ゲーム内に自分が実在しているかのような錯覚に陥ること請け合いである。それくらいマップのグラフィックスとデザインは素晴らしい。 ゲームの謎解きは基本的にレバーやスイッチの類を探り出して、それにより開かない扉を開けたり動かない機構を動作させて進んでいくというスタイルになっている。トラップ主体のゲーム構成にはなっていないので、仕掛けられた罠に引っ掛かって死にながら攻略方を見つけていくゲームではない。またアクションの難易度を要求される部分もかなり少ない。例えば失敗すれば落ちて即死という岩場を、微妙なキー捌きで飛び移っていくというような場面はまずないので、その手のアクションが苦手という方でもそれほど苦労はないと思う。 しかし謎解きや進行ルート探しについては相当苦しめられることになるだろう。「こんなの普通分からないだろう」というような異常に難解な場所はシークレット探しを除けばほとんど無いのだが、それでも歯応え充分でヒント無しで最後まで行くのは大変である。 第一にマップが巨大で、今までのこの手のゲームでは考えられなかったようなサイズのマップが続々と登場する。オートマッピングの機能は無いし、向いている方角が表示される訳でもないので、どっちに向かえば良いのかが判断出来ないケースも度々。特に顕著なのは複雑な立体構造をした物が多いこと。綺麗な階層構造であればまだ分かり易いのだが、アナログ的で非常に複雑な形状の建造物が作成されているので、座標的な現在位置が掴みにくい。これまでも平面的に大きく広がっている物はあったが,上下方向にこれだけ複雑且つ広い物は無かった。マップ内を行ったり来たりしないとならない物では、内部探索中に迷ってしまう事も多く、ここまで複雑な物は10年以上経過した現在でも滅多に見掛けないというレベル。 第二に謎が明示されないのが最大の難しい所。例えばある扉が開かない時に“Blue Keyが必要”とか表示されるなら、この先に進んで行けばどこかでキーが手に入るんだな、と判断出来るし実際にそうなる。ところがUnrealではどうやったら扉が開くのかが示されない。それは別にUnrealに限った事ではないが、このゲームはその辺のいわゆる“正解への当たり”というのが付け辛い。非常に離れた所にあるレバーを操作したりパネルのスイッチを入れたりする事で開いて通れるようになったりするのも多く、1段階ずつ順番に扉を開けながら進んで行くという感じではない。レバーやスイッチが身近な物を動かすとは限らず、また動かした時に該当個所が動くようなムービーが流れる訳でもない。あまりに分かり難いので、戻ってみたら開いていたけど、結局どこのレバーで開いたんだかハッキリしないなどという事も起こる。 もちろんヒントがメッセージとして出る所も多いのでそれを頼りにすれば良いのだが、幾つかのマップではそれでも難しいといえる。また扉を開けるといった明快な謎ではなく、そもそも今何をすれば次の段階に進めるのかという根本がハッキリしないという場面も多々あり、謎解き難易度はAクラスと言える。攻略サイトに頼らないとクリアは困難というレベルの難しさである。 ストーリーは特に無いという構成で、事故で未知の惑星に落下して解放された囚人が、孤立無援のままで惑星内を探索して脱出の道を探るという設定があるだけ。敵と戦ったり謎解きをして前進するのみで、特別に深いストーリーが用意されている訳ではない。原住民のNaliを助けたり援助を受けるというシーンは出て来るが、そこに深いストーリー性は含まれていない。生きている人間には遭遇しないので孤独感は良く出ているが、ストーリーの深さという点では物足りないゲームである。 |
COMBAT |
基本的な仕様はアクション性重視となり、武器にはリロードの操作は無し(動作を自動で行う武器はある)。照準は動きながら撃っても変化せず命中率はそのまま。所持武器による移動速度の変化も無い。アイアンサイトや左右へのリーン動作も持っていない。方向キーを素早く2回連打する事でドッジング動作を行い長距離を飛べるという独特な動きを持つのが一つの特徴。スプリント動作は無く歩きが可能なだけだが、この歩きの状態では崖の縁等で落ちないように移動する際に自動でそれを防いでくれる。 HUDの表示位置については4パターンの配置の中から自分の見易い設定を選択出来るので親切。この当時のFPSはまだゲームパッドに対応している物が多く、このゲームでもオートエイムの調整が行えるように配慮されている。 回復はヘルスとアーマーを使うというスタンダードな方式。スーパーヘルスの様なアイテムを使ってHPは最大で200、アーマーの方は300まで上げられる。回復はメディキットの他に、Nali Healing Fruitという生えている果実を食べても可能。この種を携帯可能になっており、危ない状態になったら蒔いて成長したらそれを食べて回復するという行為が可能になっている。デッドエンドを防ぐという意味で有用なアイテムである。アーマー系はノーマルタイプの他に、炎に強いアスベストスーツ, 有毒物質から身を守るAnti-Toxin Suit等が存在する。 アイテム類はフラッシュライトやトーチの様に暗闇で使う物。水中用のスキューバギア。高く飛び上がれるようになるジャンプブーツ等が出て来る。戦闘用のアイテムとしては透明になれるInvisibility、エネルギー平気のダメージを4倍に増加させるAmplifierが登場する。どちらも携帯して使い時にONに出来るタイプで、分割しての使用も可能。後はFPSでは御馴染みの撃って爆発させる火薬缶が出て来るのだが、このゲームではそれを押して動かせるので、トラップとして配置してから敵を誘い込むという作戦が使える。 ユニークな要素としては奴隷として扱われている星の原住民であるNaliの存在がある。彼等は基本的にプレイヤーの味方であり、遭遇すると手招きしてシークレットや武器庫を開けてくれたりする。しかし敵が襲って来るシーンでは守らないと簡単に死んでしまうので、そうなるともうシークレットにはアクセス出来なくなる(ゲームの進行に関わる事は無い)。よって敵の出現が分かっているなら、先行して盾になりカバーしてやらないとならない箇所も出て来る。その上誤って乱戦時にこちらの攻撃が当たってしまうと、その後はマップ内の他のNaliまでが怯えてしまって協力してくれなくなるので、シークレットの完全達成を狙う際にはかなり難易度が上がるマップもある。 難易度最高の”Unreal”は別として、マップの大きさに比べると戦闘の比重は少ない。この頃のFPSがちょっと進むとすぐに戦闘といったスタイルだったのに対して、探索&謎解きの比重がかなり高くなっている。しかしながらモンスター個々は強い設定であり、戦闘の難易度はNormalでも高い方である。立ち止まって真っ向から撃ち合うというのは体力的に厳しく、攻撃をかわして動きながら敵に当てられないと生き延びるのは難しいゲームである。また敵の攻撃は見て避けられるタイプの弾が多いので、それを見切って避けてダメージを最小限にするのも大事となる。しかし慣れてくると一般的なFPSよりもスピード感があるので、戦闘は格段に面白い物となっている。 登場するモンスターやエイリアンはこのゲームの魅力の一つで、戦っていて面白い敵が多数揃っている。バリエーションを含めると結構なタイプが用意されており、中には単純なAIを持った敵も居るが、独特な動きで攻撃してくるタイプも登場する。 例えばMercenaryは激しい攻撃を受けるとリストに付けたボタンを押して無敵シールドを張ってくる上に、こちらとの距離によって武器を切り替えるといった戦術も見せる。攻撃についてもサイドステップでかわしながら攻めてくるし、何匹かで集中攻撃を仕掛けてくるので厄介だ。ミサイルや機関銃で攻撃してくるので遠距離にいても油断は出来ない相手。危うくなると物陰に隠れてしまうという行動も見せてくれる。 Krallはこちらを発見したり攻撃されて不利になると、逃げて仲間を呼びに行って再び戻ってくるといった行動を見せる。かなりの距離をジャンプで避ける事が出来るので、武器によっては当てるのが難しい。一匹では弱いために何匹かの集団で行動し襲いかかってくるので、攻撃力はさほど無いとは言え気が抜けない。 だが何と言っても良く出来ているのはこの星の支配者Skaarjである。こちらの発射した弾を左右にローリングしながらかわし、標的にならないよう左右にステップを踏んで照準を避けながら突進してくる。その上ジャンプして自分の上を飛び超えて背後から攻撃したりもする。接近戦になってもそのスピードを生かして高速で自分の周りを移動しながら攻めてきたりする忍者みたいな敵なのだが、その動きには本当に感心させられる。別のタイプだと手に付けた装置でシールドを張る者もいる。 その他にも危うくなると逃げながら距離を置いて戦ったり、障害物を利用してのヒットアンドアウェイをする能力も持っていて、一様に非常に高等な動きを見せてくれるので、Skaarjとの戦闘は戦略的で面白いものになっている。 |