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GAMEPLAY
 普通のFPSとは異なった構造のゲームなのでミッション数をどう数えるかにもよるが、一応13個程度と考えられる。その他にサブの達成するかは自由というミッションが6個位。メインのミッションは複数のマップから構成されているのが普通なのでマップ数はもっと多くなる。初回の総プレイ時間はNormalにて16時間程度だった(ステータス画面での合計値はリプレイ分を含んでいないのでもっと短い)。なおこれはサブのミッションも全てクリアし、アイテム探索は行ける所には行ってみるという姿勢での数値。ちなみに達成率は、Kills (1719), Gold (65%), Tomes (78%), Intel (79%)という結果である。
 しかし(別項で詳しく説明するとして)プレイ時間は短縮が可能な箇所も多い。サブのミッションを無視すれば2〜3時間, アイテム探索を気に掛けなければかなりの時間, NPCとの会話やストーリー系の情報を無視, 街中でのフリーローミング(探索)やランダム戦闘も特にしないといった様にプレイするなら、半分程度の8時間位でもクリアは可能だろう。


 アクションFPSという基本部分には変化は無く、WWIIで実在した物とSF的な物がミックスされた武器を使用して、ドイツ兵やミュータント(モンスター)と戦うというゲームである。なおマーケティングで一番力を入れた点として、「また発売されたWWIIがテーマのFPSの類似品」と受け取られないようにする事を挙げており、Call of Dutyシリーズの様なそれをテーマとしたタイプのゲームではないというのを、当シリーズを良く知らないユーザーに対して如何に徹底して浸透させるかが重要だとしている。その通りにこのゲームは単に時代設定がWWIIなだけで、一般的なWWII物とは異なったデザインのゲームである。


 まずはゲームの基本的な構造が普通のFPSとは異なっているので、その点から解説してみたい。事前の情報からは「広大でオープンなマップが中心」、「各マップは普通の市街地の様な構造が多くて、様々な進行ルートが用意されている」という物だと考えていたのだが、実際にプレイすると大きくそれとは異なっていた。

 主人公はゲームの序盤でIsenstadtの街へと到着するのだが、それ以降ゲームのラスト近くになるまでそこからは動かない。街はWestとEastにマップが分割されており、後半には更に別の区画もアンロックされるが、終始この街を拠点として使う設定である。協力してくれる各組織も全てこの街の中に隠れ家を持っている。てっきり最初に到着する街がIsenstadtで、その後の移動したそれぞれのマップ内にも各組織のアジトが在るのだと思っていたのだがそうではなかった。

 具体的にはWestとEast(その後のアンロックされる区画も含めて)のマップが幾つかの接点で連結されており、また各マップの中に何カ所か別のロケーションへの出入り口が用意されている。プレイヤーは常にIsenstadtの街を基本拠点として動き回れるが、進行に応じてミッションを引き受けるとその場所に向かう為の出入り口がアンロックされる。そして実際に街の中を移動してそこに到達すると、トラック等で離れた目的地に向かったという設定になってマップがそのミッションの場所へと切り替わり、現地でそれをクリアすると元の出入り口に帰って来るという形で進行する。その後は街の内部で協力組織に寄ったりアップグレードを済ませたりして、また次のミッションに向かうという構成である。

 協力してくれる組織は3つ。一つ目はOSAがコンタクトを取った地元のレジスタンスであるKreisau Circle。この組織はBlazkowiczに対して一応協力的であり、仲間を派遣して一緒に戦ったりもしてくれる。二つ目がBlack Sunに関わる研究を行っているオカルト研究組織のGolden Dawn。こちらはメンバーは協力的なのだが、長である博士はBlazkowiczに対して横柄で冷たい態度である。この両組織はあまり仲も良くない。基本的にゲーム中にミッションを与えてくれるのはこの2つとなる。最後にBlack Marketは闇市場での弾薬売買や武器のアップグレードの提供を行っている。金儲けが目的なのでナチスやどの組織とも協調関係にはなく、とにかく戦争が続いて商売が長く続けられるのが理想と考えている。アジトの他に目立たない様な地点の数カ所で商売を行っており、その場所を見付けておくほど近場で売買が済ませられるので便利となる。


 続いてゲームの進行方法も普通の物とは異なっており、序盤と終盤以外ではミッションの進行順には自由度が設けられている。引き受けたミッションはObjectivesのリストに掲載されるが、それをどの様な順番でクリアしても自由であり、またサブとなるミッションはクリアしてもしなくてもOK(ただしどれがサブのミッションかは明示されない)。自分が次にクリアしたいミッションを一覧から選択するとその位置(出入り口)がマップに、方角が画面上のガイドに表示される(別にそれを守る必要はない)。ラスト近くのAirfieldのミッションに行く前に戻れなくなるという警告が出るので、それ以前ならばクリアの順番は自由である。(アップグレードはAirfieldのマップ内で最後)。
 ミッションの合間には街中を移動可能だが、そちらには特に自由度やミニゲーム的な要素は無く、各組織への結果報告の為の訪問の他は、銃器系のアップグレードや街中での3種のアイテム探し程度。後は街中を警備している敵との対決になる。

 各ミッションはステータス画面から何時でもリプレイが可能。ただしその際には武器やアップグレードの状況はそのリプレイ選択時点での物になる。目的は主に取り残したアイテム回収がメインとなると思われる。ミッションは途中での中断も可能で、その際には出入り口の場所へと即座に戻ってくる仕組み。

GAMEPLAY(続)
 拠点となる街を中心にして活動し、ミッションの選択順にも自由度があるというこの特徴だが、感想としては成功しているとは言い難い。まずミッションの順番が自由とは言っても事前にその内容がほとんど分からない為に、どれを選ぶのかはほぼ勘か或いは適当であって、考えて選択するという面白味は持っていない。それとサブのミッションについては、必須のメインに比較して難易度が低めなので、後回しにしてしまうと簡単にクリア出来てしまうという欠点を持つ。

 更に順番が自由な事から各ミッションの独立性が高いので、ストーリー進行に流れが感じられない。普通のFPSでは大したストーリー設定は無いにしても、最初から最後までロケーションの移動や発生するイベント等に一連の流れは作られているので、プレイヤー側もその進行に(一応でも)納得は出来る。しかしこのゲームでは最初と最後はリニアな進行なのでストーリーの流れに乗れるのだが、その後は自由にミッションを選択出来るようになるのでストーリーの連続性が希薄になってしまっている。ぶつ切りのエピソードの様な単体のミッションを幾つもプレイさせられている感が強くて、それ故にゲーム内のストーリー進行に引き込まれる事無く、散漫で締まらない状態のままに続いて行くという印象を受ける。ミッションの順番に自由度があるのはリプレイ性の向上といった意味で確かに効果も挙げてはいるが、マイナス面の方が遙かに大きいという結論。


 ミッションが終わる度に街に戻るという設定にも問題が多い。ミッションが終わって「よし次だ」と思っても、一旦街という日常に戻されてしまうので緊張感が持続しない。前のミッションで盛り上がっていたとしても、次のミッションに入るまでに街中を移動するという間が入るので、スーっとそれが下がってしまってまた最初からという形になりがちである。短時間でプレイを区切る人には向いているが、街という“間合い”が逆効果になっていると感じられる。カットシーンのようにスキップして飛ばす事は出来ないので、次の目的地点まで実際に自分で移動しないとならず、とにかくミッションだけをプレイ出来れば良いという人には邪魔な課程にしかなっていない。街自体にもアイテム探し以外にはNPCとの会話要素や別のミニゲーム等は用意されていないので、特に面白い場所という訳でもない存在である。

 しかもこの街中の移動には常に敵が配置される設定になっており、逐一相手にするとなるとかなり面倒になる。例えば街のEastでミッションを終えて帰って来ると、その出口付近には敵が配置されている。そこからWestに向かおうとして対戦して倒し、Westのマップがロードされるとまた出口付近に敵が出現。更に街中を長距離進めば区画毎に敵が出現したりもする。敵の種類は最初は通常兵士のみだが、ミッションで遭遇した敵が徐々にアンロックされて街中にも出て来る様になる。この配置や敵の種類はランダムで、同じ地点からロードし直してもその都度変化する仕組み。
 困った事にこの敵を相手にするのには特に利点はなく、弾薬回収等は可能だがそれに困っている状態でもない限りは意味が無い。地下道や屋根の上を通るルートが在るので敵をやり過ごせるという話だったのだが、そういったルートが用意されているのは一部分だけであり、多くの場合には敵の居る場所を通らないとならない設定。Mireをパワーアップして敵を止められる様になれば、それを使って振り切ってしまうのが一番早いと思われる。それが無い場合でも、自動回復なのでとにかく逃げるという手が通用する箇所は多い。いずれにしろ繰り返し街中に敵がリスポーンするというこの設定は面倒なだけで上手く機能していないと思える。


 各ミッション内でのゲーム進行はリニアであり、ルートに自由度があるという話は拠点の街中のみ。謎解き要素は持っているが、大抵はMireで周囲の時間を遅くしたり、Shieldでハザードを通り抜けたりといった、Veilの特殊能力を使用してクリアするというパターン。Tips Onの設定にしておくと使うべき場所でヒントが出る事も多いのでより簡単になる。注目点が近くに在ると音が鳴ったりする機能もあり。総合的にはパズル類は特に面白くはないという感想。

 ストーリーの内容その物については特に盛り上がりもなく終わってしまうという感じで、発生するイベントの方も予想通りというのか意外性が低い。他には敵側に魅力的な悪役がいないのも弱い点。ラストも続編前提という終わらせ方で不完全燃焼。


 Veilによって世界を切り替えられるという特徴については、そのアイディアや世界設定はかなり面白いと思ったのだが、ここにもゲームのシステム上の問題が発生している。Veilモードにした方が移動速度が速く、離れた場所に居る敵の位置もハイライトされるので判り易い。特にこのゲームでは通常モードでの移動速度がかなり遅く、スプリントしても何か重い物を引き摺って走っているかの様なので、一度Veilでの移動に慣れてしまうと通常モードでの移動がかったるくなる。またVeilの重要なアップグレードする為に必要となるアイテムであるTomesの隠し場所や、Veil世界のハシゴはこのモードでないと見付けるのが困難。よってプレイ中は常時VeilをONにした状態でのプレイが有効というシステムになっている。その結果としてゲーム全体を通して緑一色のこのモードでプレイする時間の方が長くなる為に、世界の見た目が単調という印象を受けてしまう。どんなFPSでもモノクロ画面でプレイしたら面白さが低下すると思うのだが、その様なマイナス面が生じている。

 このモードを維持するにはエネルギーが必要だし、切れた後の自動回復速度も遅い方である。しかし至る所にエネルギーの噴出口が存在するので、無くなってもちょっと進めばほとんどの場合フル回復可能な場所が見付けられる為に特には困らない。それとこのモードには特にプレイ上のデメリットが無いので、尚更切ってプレイする意味合いは薄くなる。この辺は通常視点とのバランスを取って、お互いに長所短所を設けるように設定した方が良かったのではないだろうか。例えばVeilの時よりも逆に通常モードの方がもっと高速で移動可能になるとか、被弾ダメージへの耐性がVeilの時は下がるといった調整。

 ただしそれをやって通常モードでのプレイ時間が長くなると、今度はシークレット系のアイテムであるTomesが見付け難くなるという課題は出てくる。しかし実際の所、今回はシークレット(アイテム探し)に懸かる重要度が高過ぎるという事の方も問題点になっている状態。アイテムを探す行為を意味のある物にするという狙いは解るし、探す面白さを生み出すという効果も挙げているとは思うが、特にGoldは探さない場合のデメリットが大きいという難点あり。ミッションクリアの報酬に比較してアイテムとして配置されているGoldの合計の方が数段高額というバランス設定が悪いという印象で、必死にアイテムを探さなくても大きく不利にはならないという方が理想的だったという気がする。


COMBAT

*武器は全て携帯可能
*所持武器によって移動速度は変わる(重い武器は遅くなる)
*Quick Weapon Changeキーで直前の武器を呼び出せる
*照準は移動すると広がり、しゃがむと縮まる
*武器によってはリコイルで銃身が上に跳ね上がって行く
*通常武器はアイアンサイト可能で、Black Sun系のSF武器はズームモードとなる
*左右へのリーンは出来ない
*スプリント可能
*エイムアシスト機能装備(コントローラー使用時に有効)
*HPはヘルスのみの管理で自動回復方式


 マウス操作では上下方向の感度が左右方向よりも低いという設定になっており、両者を独立しての調整もメニューからは出来ない。コントローラー操作のコンソール系のFPSでは、左右の他に上下方向の動きを合わせると操作が難しくなるので、上下方向の動きはなるべく入れない様にするという傾向があるが、そういった調整の現れかもしれない。

 弾薬はマップ内部で敵から入手したりする他には、アップグレードを行う闇商人から“Refill”で購入すればフルに装填される。最も使用するMP40, MP43, Kar98については敵から拾えるので偏って使用しない限りは特に困らないレベルだが、その他の武器についてはかなり後にならないと滅多にマップ内には出てこないので、こういった武器を多用するなら商人から購入しておかないとならなくなる。ただしGoldが貴重なゲームなので、あまり頻繁には買えないという風にもなっている。

 落ちている弾は現在の武器の弾数表示がフルだと拾えないという仕様。例えば最大数が200発の場合、マガジンの中身が完全に無くなるまではHUD表示は200のままなので、一旦リロードしてそれを更新しないとならない。よって着実に弾を拾うにはリロードの繰り返しとなり結構面倒である。特にマガジン内の装填弾数を改造で増やしたりすると更に顕著になる。

 敵からのグレネードはインジケータで方向表示されて、黄色い印が出れば投げ返しも可能。敵の投擲はとんでもなく遠くからでも届くし正確性も高いが、落ちてから爆発までの時間が長いので脅威度は低い。

 移動で気になったのはハシゴの操作で、張り付くと武器が隠れて昇降モードになるのだが、ハシゴの位置によってはそこから近くのオブジェクトに引っ掛かって移動が出来なくなる。また張り付きに失敗して落ちてしまう事もある。だが落下ダメージが低くて3F位の高さからでも死なないので問題にはなっていない。


 銃器は全部で8種類。実銃ではMP40, MP43, Kar98の他にパンツァーシュレックと火炎放射器。Black Sun系のエネルギー兵器は以下の三種類。

*Particle Cannon: 強力なストリームとしてエネルギービームを放出して敵を分解する。ある程度は障害物を回り込んでの攻撃も可能。
*Tesla Gun: 多数のビームを放射状に発生させる武器。近くの敵に自動的に命中する。射程距離は短いが同時に複数の敵を攻撃可能。
*Leichenfaust 44: 最強兵器のスーパーウェポン。エネルギーの固まりを当てて大きなダメージを与える。当たった物を浮き上がらせる効果あり。

 普通のFPSでは非常用とも言えるハンドガンは所持しておらず、もしメイン武器の弾薬が切れると少々困った事になるが、まずそういうケースは無いと思われる。パンツァーシュレックは改造しないと扱い難い武器だが、その改造によって相当な威力を得る事が出来る。逆に火炎放射器は改造していない状態でも相当強く、特に射程距離が一般的な物に比較して長いという利点を持つ。それとステルスでの行動は要求されないが、3種のメイン武器はサイレンサーを付けると敵に攻撃場所が気が付かれ難くなるので、先制攻撃や街中での戦闘を早く済ませるには有効なアップグレードになる。


 戦闘に関しては、まず前作のRTCWから集弾性能が大きく変化した。座ったり止まったりして撃たないと命中率が低かったのに比較して、今回はアイアンサイトにさえすれば立ったままでも命中率が上がっている。自動回復の方もNormalでは結構被弾には耐えられるし、回復するまでも早いというバランスになっている。よってボス戦等はともかくとして、結果的にNormalではやや簡単という印象

 敵の種類及び能力には不満が残る。通常の兵士の他には火炎放射器を持ったDrache Trooper, Particle Cannonを装備したHeavy Trooper, 高速移動で打撃攻撃を加えてくる女性のエリートSS, 空を飛んで砲撃を行うRocket Troopers等。特殊能力系では超高速移動しながらエネルギー弾を放ち周囲の兵士にシールドを張る能力も持つScribes, Veilの世界へと消える能力を持つVeil Assassin, Veilの力で蘇ったゾンビ兵士Despoiled等が登場する。しかし各人は単体ではそれ程攻撃力は高くなく、ScribesやRocket Troopersの様な厄介な敵でもVeil Powerを使った対処方法にて扱い易くもなるといった具合で、全体的に敵の手応えが低いのが欠点である。一般兵士の方もスキンが変わるだけで最後まで能力には目立った変化無しという印象であり、前作では後半になるに連れてエリートSSや女性SSの様な手強い兵士に切り替わって行ったのだが今回はそれがない。

 Wolfensteinのモンスター(ミュータント)戦に物足りなさを感じる理由としては、変則系の敵がほとんどだからというのもあるだろう。アクションFPSでこの手の者が登場するタイプだと、頑丈で堅くロケット砲やエネルギー弾を放って来るタンク系の敵の登場は定番である。それに対してこちらも強力な武器を派手に撃って応戦するという形になるのだが、このゲームではこういったタンク系の敵がボス以外には出てこない(Heavy Trooperは倒し方が特定されているのでこのタイプとは異なる)。変則的な動きや能力を持つ敵は多いのだが、HPが高い者が存在しないので強力な武器を連発するというシーンが少なくなっている。やはり真っ向から正々堂々と大量の弾を撃ち合える強い敵がある程度はいないと、このタイプのFPSでは不満が残る。
 一方で正面から普通に撃ち合えるのはほぼ一般兵士だけとなるが、そういった人間系の敵がメインの物ではその数を15〜20人位に増やしての集中砲火で難所を作り出すのがパターンなのに対して、このゲームではそこまでの数の敵が狭いエリア内に出て来るケースはまずない。よってこちらでも強力な武器を派手に連発しての戦闘は望めないとなる。まとめると両タイプの敵を併せて全体的に武器とVeilのパワーに比較して耐久力の低い敵ばかりで倒す喜びが低くなっていると言える。

 ボス戦は結構な数が用意されており、特に後半戦はそれが多くなる。複雑な仕掛けの様な謎解きと組み合わされたタイプは少なく、倒し方は直接のダメージのみか、そうでなくてもVeilのモードによって壊すべき場所が判り易くなっている対決がほとんど。ここでは威力の高い武器を存分に撃てるケースが多いので、その意味では爽快感は高くなっているパートになる。また特別に難易度が高いという箇所もNormalならば存在しないという適度な難易度設定と言えるだろう。


 通常の銃撃戦においては、カバーシステムは無いしリーンによる覗き込み攻撃も出来ない上に、逃げるにしても必ずしも近くにカバーが在るとは限らない。よってカバーシステムやリーン可能なゲームに比較すると、プレイヤーが剥き出しの状態の時間が長い分だけ、敵AIの正確性や反応速度は低く設定される事になる。しかしそのバランス設定が簡単な方へと寄り過ぎの感があり、相当敵の数が集まらないと怖さを感じないような状態にある。特に一般兵士はリアクション速度が遅いのが目立ち、ルートが解っているなら相手にせずにその群れの中を強引な突破が可能になるセクションも出て来る。(街中を相手にせずに突破可能になるのは良いのだが)。一部に奇襲による怖さというのは存在するのだが、クリアして来たばかりの何も無い場所から突然出現したりするスクリプトが使われており、あまりスマートな方法とは言えない。この辺はコンソールというよりはPC版も含めてカジュアルな層(特にコントローラー使用者)へのアピールを考えて、あまり激しく移動しながら撃ち合わなくても勝てる様なバランスにされているのではないかと想像する。これは同年発売のF.E.A.R..2にて感じたのと同じ問題点である。

 なおこの点はプレイ中に何時でも難易度変更が可能という仕様から問題は軽減されてはいるが、NormalはあくまでもFPSゲーマーにとっての「普通」に設定して、その下にCasual, Easyといったそういう層向けの難易度を段階的に設ける形にして貰いたいと思う。それと現時点では難易度を上げてもそれ程難しくはならないとか、最高のUberとHardの違いが大して感じられないといった不満も公式掲示板等で見られる。よって普段からHard以上でプレイしている難易度が高いゲームが好きな人には大きな問題となるかもしれない。

 チェックポイントの間隔は適度なバランスであり、特に長いセクションをやり直さないとならない箇所は少ないようだ。また普通のFPSに比較して死ぬ回数は少ないと思われるので、その意味でもストレスにはなり難いと言える。ムービースキップは可能だが、リトライ地点がそのムービーの前から始まるのは繰り返しの際にはちょっと面倒。

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