TOYS |
このゲームでは武器はToys(おもちゃ)と呼ばれ、変則的な使われ方や能力を持つ物が多い。使い勝手はともかくとして、その奇抜でユニークなデザインは面白い要素の一つになっている。 幾つかの例外を除いてToysの使用にはエネルギーを必要とし、これは“勇気”と呼ばれる青いゲージで画面右端に表示され、このエネルギーは全てのToysで共通して使用される。 *ナイフ メイン攻撃では斬り付け。サブ攻撃では投げナイフとして使える。サブ攻撃はダメージも大きくエネルギーも使用しないが、次の物を投げるまでに5秒程度待たないとならず連投が出来ないのが欠点。 *トランプ メイン攻撃では単体で投げつけ、サブ攻撃ではまとめて投げつけて大きなダメージを与える。ロックオン可能。 *クロッケーの木槌 クロッケーとは芝生のコートで行われるゲートボールの原型となった競技。メイン攻撃では打撃武器として、サブ攻撃ではボールを打って敵にぶつけてダメージを与える。 *びっくり箱ボム メイン攻撃はグレネードの様に投げてから短時間で爆発する。サブ攻撃では中から顔を出した人形が回転しながら炎を吹き出して広範囲の敵を燃やして継続ダメージを与えた後に爆発する。特にサブは威力が高いが、時間差で作動するので移動する敵に対してはタイミングが難しい。 ![]() ![]() ![]() *悪魔のサイコロ 空間にゲートを開いて悪魔を召喚する。拾った数に応じてサイコロの数が増え、それによって召喚される悪魔も変化する。ただし投げてから召還されるまでに時間が掛かる事と、ボス戦及び狭い場所等では使えないといった制限があるのが難点。また敵が周囲に居ないか死んで居なくなるとアリス自身を攻撃してくるので注意。 *アイスワンド メイン攻撃では冷気を吹き出して敵を凍らせて動きを止める。そのままダメージを与え続ければ倒す事も出来る。敵の動きを止められる上にダメージも大きく強力で有用な武器だが、エネルギーの消費量が多いのが欠点。サブ攻撃では氷のシールドを制作。 *ジャック 正確にはジャックスと呼ばれるアメリカでは伝統的な子供の遊び(地面に蒔いたジャックスを赤いボールを突いている間に拾い上げる)。敵に投げ付けると周囲の壁や地面にバウンドしながら敵を連続して叩いて攻撃する。ロックオンが可能で、見た目に比較して与えるダメージが相当高いので使える武器。欠点は近くの障害物に当たってしまい不発に終わる事がある。サブ攻撃ではまとめて投げ付けるが、どちらかというとメインの方が威力があるという印象。 ![]() ![]() ![]() *ジャバウォックの目玉の杖 メイン攻撃ではボタンを押してチャージ後にレーザー光線を照射する。サブ攻撃は地面に突き立て、やはりチャージ後に空中から敵の居場所にエネルギー弾を何発も降らせる。弾の数はチャージ時間に応じて増える。チャージに時間が掛かるのとエネルギー消費が大きいという欠点を持つが威力は非常に高い。 *らっぱ銃 最大の威力を誇る武器で、全エネルギーを使用して一発だけ発射出来る。広範囲の敵を一掃し、タフなボス相手でも役に立つ武器となる。ただしゲーム途中でシークレットに隠されているのを見付けないと、ラストの戦闘シーンまで手に入らない。 |
COMBAT |
*視点は後方三人称固定で、壁を背にした時にはズーム視点に切り替わる *カメラの位置はオプションからのみ遠近の調整が行える *カメラ視点キーを押している間はマウスでカメラだけを回転させて周囲の状況を観察出来る *走りと歩きは切り替え可能。しゃがみ動作は無し。 *武器(おもちゃ)の所持数制限は無い *発射間にインターバルはあるがリロードキーは無し *照準はレーザーポインタ風の点となり、敵をロックオンするとその周りを回転する表示になる HUDの左端の赤いバーが“意識レベル”となり、通常のHPと同じで無くなると死亡する。右端の青いバーが“勇気レベル”で、武器使用時にエネルギーとして全ての武器に共通して使用される。こちらは無くなると若干量までは何回でも自動回復される。それぞれの補給にはマップ内に置いてある各回復アイテムや両者を同時に回復するメタエッセンスを穫るか、敵を倒した後に残されるメタエッセンス(4段階あって強い敵ほど大きい)を回収する事が必要となる。 パワーアップアイテムとしては、怒りの箱(悪魔に変身して武器によるダメージ増加), グラスホッパー・ティー(バッタに変身してジャンプ力アップ), 暗き手鏡(透明化)が用意されており、全て取った瞬間から一定時間(右下のアイコンが消えるまで)効果が持続する。他には特殊なアイテムとして“不思議な時計”が存在し、これは武器の様に携帯が可能。ボス戦等の特定のシーンを除く任意の時点で使用が可能で、アリス以外の周囲の時間を一定の間停止させられる。その間敵に与えたダメージは解除と同時に一気に適用される仕組み。ただし一度使用すると6分間使用出来なくなる。多数の敵や難敵との戦闘で役に立つのは勿論だが、全ての敵を倒す必要が無いエリアを通り抜けてしまうのにも使えるので便利。取りあえずじっと待ってさえいれば繰り返し使えるのでバランスを壊す恐れもあるアイテムになるが、おそらくジャンプ時の足跡ガイドの様に初心者が詰まった際の助けになるという意味も込めて導入された能力だと想像される。 戦闘は他のアクション物と比較して変わっている面が多いので、その辺りの特徴を書いてみよう。まずは“意識”と“勇気”の回復だが、マップ内には回復用のアイテムはあまり置かれていない為に、敵を倒した後に残されるメタエッセンスを回収するのが重要となっている。ところがこのメタエッセンスは出現後に徐々に小さくなってしまい、やがては消えて無くなってしまう。よって遠方から安全に攻撃したり、下がって逃げながら戦っていたのではサイズが大きい状態での回収が出来なくなるので、両者が十分にあるケース以外は倒した敵の場所へと走り寄ってそれを回収する事を考えながら移動して戦わないとならない。これが一つ目の特徴になる。逆に言えば回収が見込めるのならば多少無理して集団に突っ込んでも大丈夫な設定である。ただしこのメタエッセンスは死亡直後ではなく、敵が死んでから数秒後にスポーンするのでタイミングを合わせないとならないという面倒さは持っている。以上の様に「死亡後に出現するエッセンスを, タイミングを合わせて, 消える前に回収しながら動き回る」という点は、Painkillerにおけるソウルの回収とかなり似ているという感も持った。 第二の特徴として上で紹介したように武器(おもちゃ)の使い勝手が特殊であり、それが戦いを少々難しくしている。使い勝手が良く強力な「ジャック」が手に入るのは中盤を過ぎてからで、それまでは「アイスワンド」が強力だがエネルギー消費が大きくあまり頻繁には使えない。そこで集団相手には「びっくり箱ボム」や「悪魔のサイコロ」を多用したりするのだが、どちらも投げてから効果が発動するまでに時間が掛かる上に転がったりするので、敵が近くにいるタイミングで上手く発動させるのに失敗する事もしばしば。特に「悪魔のサイコロ」は不発に終わるケースもあるので厄介である。繰り返し使って慣れるか、或いは別の武器をメインにしてそちらで上手く切り抜ける戦闘を身に着けるかになる。 続いて全ての武器(おもちゃ)のエネルギーは“勇気”というエネルギーで共通化されており、また少しの例外を除いてはこの“勇気”無しでは使えない。もし“勇気”の最大量が多くて回復も簡単ならば問題は無いのだが、武器の与えるダメージ量に比して“勇気”の消費量は多めとなり、しかも共通で使われるので無くなってしまうと攻撃手段が限定されてしまう。狙い易い「アイスワンド」や「ジャバウォックの目玉の杖」はエネルギーを大量に喰うので、これで戦っていたら倒し切る前に尽きてしまったとか、「びっくり箱ボム」や「悪魔のサイコロ」での攻撃タイミングに失敗してエネルギーを無駄に使い、やはり途中で足りなくなったりが結構発生する様になっている。後半になるに連れて同時出現する敵の数は多くなるのに対して、最後まで“勇気”エネルギーの最大量は変化しないので、弾切れを起こすケースが増えているのである。弾薬の量という観点からはシビアなバランスのゲームと言えるだろう。 では無くなったらどうするのかという話になるが、基本的にはエネルギーを使わない武器で攻撃するしか無い。もし“意識”の方は十分に残っているなら「クロッケーの木槌」による近接戦を挑むという手段もあるが、そちらも少ないとなると遠くから5秒に一回投げられるナイフのサブ攻撃で地道に削る。他には少しは自動回復するのでそれを使ってトランプ等でも攻撃するとかになる。しかしこれには大きな問題があって、特徴の一つ目でも書いたように倒した敵のエッセンスを早めに回収するのが重要な為に、倒し損ねた敵を遠くから時間を掛けて攻撃していたのでは、その戦闘で回収出来るエッセンスの量が減ってしまう。そうなると次のエリアまでに補給アイテムが少ない場合、初めからかなり厳しい状態での戦闘を余儀なくされてしまう事になる。 それを防ぐ為の救済策として設けられているのがここでもクイックセーブとなる。このゲームではクイックセーブをメモリ上にも保存するという方式を採用しており、クイックロードは一瞬で完了させられるので待ち時間のストレスが無い。これを利用して戦闘の前にはクイックセーブを行い、攻撃が失敗して敵が残っているのに“勇気”が無くなったのなら、すぐにクイックロードして成功するまでやり直すという手段が可能である。後半に進むに連れてこうしておかないと敵を倒し切れずに面倒な事になるというケースが増えてくるので、それだけクイックセーブの使用は多くなる。 ただしそういうクイックセーブ多用が前提のシステムにしたのならば、それはそれで一つの手法として個人的には特に問題とは感じなかったが、頻繁にクイックセーブを行うような慎重プレイを嫌う人にとってはマイナスの要素になるかも知れない。“勇気”を常に高く保つ事自体が難しいゲームであり、戦闘に失敗してもやり直さずに何とか進もうとするとその場所での戦闘はもちろんの事、次のエリアでは最初から“意識”や“勇気”が少なくなるので、ひたすら遠方からチマチマと時間を掛けて戦わないとならないといった羽目に陥り、それでは面白さも減少してしまう恐れがある。 具体的な戦闘の感想については、風変わりな戦いが楽しめるという点はプラスだと思うが、一般的なアクション物における「動いている敵に的確に狙いを合わせて命中させる」という面白さの方は希薄なゲームである。ロックオンが可能な武器では自動的に敵を追尾して攻撃してくれるし、ロックオンしてしまえば自分は体を隠した状態から一方的に当てる事も可能。他の武器も広範囲攻撃型だったり、時間差で作動させるタイプだったりと、狙って当てるというタイプの武器が少ない。また照準がレーザーポインタ風で小さい点なので、標的から外れてしまうと現在地点が判らなくなるケースも多く、そうなるとどの位動かせば良いのかが判別し辛くなるという面もある。 飛んで来る敵の攻撃から逃げるという方は忙しくて、こちらは普通のアクションゲーム風である。しかし敵の攻撃による派手なエフェクトで周囲が見えなくなったりや、爆風や衝撃波攻撃で吹き飛ばされて落下即死といったストレスになる要素も持っている。ストレスと言えばこちらを吸い寄せてダメージを与える巨大キノコなどは、複数固まっていると吐き出されては別の物に捕まってしまいループでダメージを加えられる状態に陥るとか、溶岩のモンスターに突然溶岩の中から攻撃されたりとかもそれに当たる。 AIは残念ながら単純な上に問題があり、グルグルと持ち場を動き回るか、こちらに向かって突っ込んでくる程度の動きしか出来ない。そしてこちらの目の前の様な距離や戦闘の最中であっても、突然アリスを見失って通常の巡廻ルートに戻ってしまったりとおかしな動作をしてしまう事がよく見られた。 クイックセーブを頻繁に使用するなら、戦闘面の難易度は“普通”でのプレイにてその通りに普通のレベルだが、終盤になると急激に難易度が増して相当難しくなる。それこそクイックセーブを多用して乗り切らないとならないという位にバランスがキツくなるので、この辺の変化はちょっと急過ぎるという印象も。ジャンプアクションの項でも「アクションゲーム初心者には難しいバランス」と書いたが、この戦闘の方も同様で終盤は相当辛いだろうと言わざるを得ない。難易度によって敵の出現数が変わるので“簡単”でのプレイならば軽減はされるはずだが、それでも難しくて進めないという書き込みが(初心者の多いADV系掲示板で)見受けられたのは確かである。 アクションゲームとしてゲーマー向けに売るならこのバランスでも良いのだろうが、難易度選択を4種類も用意しているのだから、“困難”以上をゲーマー向けに調整して、“普通”では戦闘の難易度を落としてもっと幅広い層が楽しめるレベルに調整した方が良かった。 ボス戦が8箇所ほど設けられているが、これにはいろいろと問題を感じた。一つはその時点でのアリスの攻撃力(持っている武器)に対してボスの耐久力は高目の設定なので、持久戦になる事が多い。基本パターンとしてはそのエリア内に定期的にスポーンするエッセンスを拾うか、召還される部下を倒してそのエッセンスを奪うかで“勇気”を溜めてから、それで無くなるまで攻撃。その後はまたボスの攻撃を避けながら回収作業へと転じるというもの。ところがボスの耐久力が相対的に高いので、ひたすら逃げ回っては短時間だけ攻撃の繰り返しとなり冗長さが感じられてしまう。 それに関連して二つ目はボスにHPを示すゲージが無いので、ダメージが加わっているのかが判り難い。そして通常は戦闘が長いので、「このやり方は無意味で、何か特別な方法でないとダメージを与えられないのではないか?」という疑念も湧いてしまう(実際にそういうタイプも居るのだが)。そんな「今自分は全く無意味な事をしているのではないか?」という疑念混じりの戦闘では面白味も損なわれてしまう訳で、HPゲージを出して着実にダメージを与えているというのがプレイヤー側に分かれば大分違うはずであり、これは表示するようにしておくべきだったと思う。 最後に純粋に相当難しいボス戦が終盤に二箇所あって、そこではちょっとの失敗が致命傷になる程度に厳しい上に、ボスの耐久力がやたらと高いという設定になっている。クイックセーブ多用で乗り切ったりしたが、難易度“普通”としては厳し過ぎるのではという感想。繰り返すがこの2つのボス戦はアクションゲームの初心者にはハードルが高過ぎると言えそうな厳しさで、これもまた広範囲のユーザーに楽しんでもらうという観点からは不味い設定である。 総合的に戦闘のパートはAクラスの出来映えとは言えないけれども、一風変わった戦闘が楽しめるというだけでも十分に機能しているという印象。変則タイプなので人によって好みが分かれそうではあるが、世界感や雰囲気を味わうのがメインのゲームなので、戦闘パートが凡庸に感じられる人でもゲーム全体としては大きなマイナスにはならないと思う。あくまでも戦闘パートはメインではなくサブの要素に位置付けられているゲームである。 |
GRAPHICS |
改造されたQuake IIIエンジンを使用。キャラクタのモデリングやアニメーションのシステムに手を加えている。 マップ内にはアニメーションで常時動いているオブジェクトが多いのが目に付き、当時としてはあまり見られなかった曲面を使ったオブジェクトも結構登場する。アリスの方も放っておくと持っている武器に応じて多種のアニメーションを自動的に行ったりと芸が細かい。エフェクト系では空の描画や、パーティクルエフェクトの表現が滑らかなのが優れている点である。 何よりも良いのが世界の表現で、歪んでいたりや奇妙な形状をしたオブジェクトが設置されているし、奇抜なデザインのマップも出て来たりと異様な雰囲気を構築するのに成功している。テクノロジーとしてはともかく、アートとして見るならハイレベルなグラフィックスであり、この辺は10年が経過した現在でも色褪せていない。背景設定に合ったグラフィックスを用いて奇妙な世界感を見事に表現しており、その意味でこの項目には高得点を与えられる。 欠点として時代が経過しているので、今となってはポリゴンの粗さが目立ってしまうのは仕方がないだろう。 ワイドスクリーンには未対応で選択可能な解像度は少ない。4:3か1280*1024のみ(ワイド化は不可能ではないが、Q3エンジンなので設定変更するのが面倒なタイプ)。選択可能なオプション項目もほとんど無い。 |
SOUND |
3DサウンドはEAX2までとA3Dにも対応している。 BGMの制作はNine Inch Nailsの元メンバーであるクリス・ブレナが担当しており、そのクオリティは非常に高い。昔のおもちゃの楽器をサンプリングしたりして作られたそのサウンドはノイズの様に歪んだ不気味な物も多く、ゲームの異常な雰囲気にとてもマッチしている。イメージに合ったBGMという点では満点に近い出来と言っても良い。 武器のサウンドは通常の銃器系がほとんど無いので派手ではない。 |