シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は簡単 / 普通 / 困難/ 悪夢の四種類。ゲーム途中での変更は出来ない。チャプターやマップ単位でのリプレイ機能は持っていない。 セーブ&ロード 任意の地点でセーブが可能。クイックセーブにも対応している。またマップの先頭にてオートセーブされる。 OBJECTIVES テキスト等で現在の目標を参照する機能は持っていない。マップ表示や方向ガイドも無し。 EXTRAS Alice Configsの様な改造ファイルサイトが幾つか存在しており、アリスの衣装等を変えてプレイしたりも出来る。 日本語 オリジナル版はゲーム内の字幕と音声の組み合わせを自由に選択する事が可能という仕様。2*2=4通りの組み合わせでプレイ出来る。日本語表示を選択するとゲーム内の看板等の表示まで日本語化されるという徹底振りである。アリスとチェシャ猫の声優もイメージに合っており、日本語化のクオリティは非常に高いレベルである。 |
GAMEPLAY |
ストーリーは幾つかのチャプターに分割されており、全マップ数は40弱程度。私は難易度“普通”にてクリアまでに15時間くらい掛かった。プレイする難易度や難所でどの程度詰まるかによって変化するはずだが、特に短くもないし長くもないというボリュームである。少なくとも短か過ぎるといった不満は持たれないと思う。 原作にも登場したロケーションを含めて数々の場所を旅する事になるが、アリスの精神世界となるそれは、置かれている各種オブジェクト自体が変形しているという物理的な意味でも、また雰囲気としてもダークで歪んでおり独特の世界を構築している。時おり狂気も感じさせるその出来映えは素晴らしく、グラフィックスとしての表現力を含めてこのAMAの最も優れている面になっている。ゲームのテーマに沿った世界感の構築という意味ではトップレベルの完成度を誇る物と言って過言ではない。マップのデザインもバラエティに富んだ物になっており、奇抜な形状の物も含まれていてこの点でも高く評価出来る。 ストーリーや背景設定はアリスの原作と関連しており、すっかり変わってしまった世界を他のキャラクタの力を借りたり、或いはかつての友人と戦いながら進めて行く。目的表示の機能は無いが、重要な場所ではチェシャ猫が現れてヒントや指針を与えてくれるのでやるべき事は分かり易い。なおチェシャ猫はキーを押せば何時でも呼び出す事が可能で、その際には何等かの警句を言ったりしてくれる存在である。そのキャラクタや台詞はゲームを魅力的な物にしている要素の一つであるのは間違いない。 ジャンルとしてはアクション・アドベンチャーとなり、アドベンチャーとしての要素である、進行ルート探し, パズル, プラットフォームジャンプ等の登場割合がかなり多い。アクション(戦闘)とアドベンチャーの比率は6:4位という印象。個人的にはゲームの設定からして戦闘一辺倒にせずにアドベンチャー要素の割合を多くしたのは正解だと思うが、その反面パズル要素が少ないという点は気に入らなかったところである。 とにかくこのAMAはジャンプアクションを要求される箇所が多く、特に後半は頻繁に出現するようになる。このあまりのタイミングを要求されるジャンプアクションの多さは欠点と言える。それとこのゲームはそのテーマからして普段アクションゲームをプレイしていない様な人(原作のアリスのファン等)にもプレイされる可能性があると想定して、数々の補助機能を持たせてはいるのだが、それが有効には機能していない面も見られるし、それを持ってしても補えていないというのが実際である。その結果として難易度が高い物やストレスが溜まる地点が随所に含まれているのも難点。万人向きどころか、ジャンプアクションを要求されるアクションアドベンチャーの中でも難しい方という状態になってしまっている。 補助機能としてはまずはクイックセーブをサポートしているので、連続してアクションを要求される箇所にて途中でセーブが出来る。これは他のゲームと変わりないが、落下=即死の地点では仮にセーブをしていなくても自動的にスタート地点に即復帰という機能を持っている。次に足跡表示をONにしておくと、その足跡が表示されている地点ではジャンプによって自動的にそこに着地するという仕様。それとジャンプ時に目測を誤った際にある程度の空中制御が可能にもなっている。 しかし逆に難易度を上げる要素が幾つも存在している。まずタイミングを合わせてジャンプする場面で、空を飛ぶテントウ虫が爆弾を落としてきたり、溶岩の中に居る敵が突然見えない方向から攻撃してきたりといった妨害行為が加わって難しさがアップする事がある。それと飛び移る側だけではなくて、自分の乗っている側も動いている様な難易度の高いプラットフォームジャンプのシーンもあり。同様に突然出現した転がって来る岩に対して瞬間的に判断し、その場ですぐに逃げながらプラットフォームジャンプを成功させないとならないシーンも複数登場する。またゲーム独特の蒸気に乗って渡り歩くシーンも慣れないと感覚が掴み難い。 更に足跡表示機能も使ってみると大して良い機能ではなく、距離感を微妙に合わせないとならないシーンでは有用だが、実際には足跡が表示されない遠くまで前進+ジャンプで飛んで、ギリギリで向こう側の縁にしがみついてから這い上がるという手順を要求されるジャンプが多い。最後にロープを利用するシーンでは、ロープを掴むのは自動だがその位置や距離感がやはり初めの内は掴み難く、飛びついたらすり抜けてそのまま落ちてしまったりする。掴んだ状態で敵が攻撃してきたりも鬱陶しい。 私はアドベンチャーゲームもプレイするので海外のそれ関連の掲示板を回ったりするのだが、このAMAは当時普段アクションゲームをやらないようなADVファンの人達にも関心が高く、その世界感に惹かれて実際にプレイしているという人も結構存在していた。だが難易度をEasyにしても難しくて先に進めないので、チートのやり方を教えて欲しいという書き込みも多々見られたというのも事実(こちらのジャンプ系の行為に対してはNoclipの様な空間移動チート)。戦闘と違ってこういったジャンプアクションは難易度別の調整を設けるのが難しいとは思うのだが、それが出来ないというならもっとこの系等の難易度を下げた方が良かったと感じる。そもそも根本的にその難易度の高さが面白さに繋がっているのかとなるとそうは思えず、世界感や雰囲気を楽しむのがメインのゲームなので、この手のジャンプアクションをすんなりクリア出来たら大幅に詰まらなくなるとも思えない。難しさを増したいのならば、先に書いたようにパズルを解かせるという箇所をもっと増やしてそれを難しくすべきだった。 実際問題としてこのゲームは期待ほどの売り上げを残せなかった訳で、もっと広い層へのアピールを考えるとこの「ジャンプアクション系が多くてその難易度も高目」という評判を生む様な難易度の設定は明らかな失敗だったと思えてならない。例えば「アクションゲームはプレイしないがこのアリスのゲームには興味がある」という人に対して勧められるか、言い換えると「一切チートを使わずに最後まで自力でクリアが出来るだろうか?」となると私としてはそうは考えられない。仮に出来たとしても相当な時間とストレスを抱えての達成になるであろう。 全体としては雰囲気やそのユニークな世界感、そしてそれを表現しているグラフィックスの味わいは満点レベルなのだが、(特に終盤の)タイミングを要求されるアクションの多さと難しさがマイナス要素として働いており、減点対象とせざるを得ないという感想である。 |