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COMBAT
 銃器による戦闘にはあまり重きが置かれておらず、種類はハンドガンとマグナムの二種類のみでどちらか一方だけを所持と非常にシンプル(弾薬は共通)。この武器の少なさはちょっと寂しい感じで、ショットガン程度は有っても良かったように思う(火炎放射器として使えるアイテムはあるが)。

 銃を撃つ時はFPS視点となり、視点位置がちょっと前目だがシビアなバランスでは無い為に特には気にならない。照準では無くレーザーサイトを装備しており、移動しながら撃っても弾がブレるという概念は無い様だ。残弾数等はプレイ画面には表示されず、今何発マガジンに残っているのかや全体数はジャケットを開いて確認するという仕様。

 普通の弾を撃ち込んで人間型の敵(悪魔に支配されている)をダウンさせるにはかなりの数が必要で、しかも燃やさない限り敵は死なないので、序盤は銃弾での攻撃には意味が無い。EP3から燃料ボトルが登場して、これで火炎弾を作れるようになればそのまま撃って燃やせるので有効になる。弾薬は相当豊富に用意されているので、一般的なサバイバルホラーの様に節約する必要は無し。ボス戦などでは周囲にリスポーンする様にもなっている。問題は悪の根を燃やすセクションで、ここでは弾薬不足に陥る可能性がある。


 打撃攻撃はオブジェクトを掴み、それをアナログ操作で振り回して行う。椅子, 鉄パイプ, 日本刀, 斧等が登場する。ロックオン機能を持ち、この状態では左右へと横移動しながら戦える。ダメージは日本刀や斧が強いが、やはり燃やさないと倒せないので、ダウンさせてから火の点いたオブジェクトを持って来て燃やすよりは(もしくはダウンした体を引き摺って火の中にくべるよりは)、最初から燃やしたオブジェクトで攻撃する方が楽。だが先に書いたようにマウスでは打撃攻撃はやり辛いので、EP3以降はほとんど打撃戦は使わなくなってしまった。


 治療のシステムになるが、ヘルスの値を示すようなメーターは存在せず。一定以上のダメージを受けると画面がモノクロになり、その状態で更に攻撃を受けてしまうと危うくなるという自動回復方式と、怪我を治すという継続ダメージの治療システムを併用している。後は常にそのチャンスがある訳ではないが、ダウンした状態にてアクションキー押下が表示されてそれで復帰出来る事もある。

 怪我を負った部分は三人称視点から実際に見られるが、治療モードに入る事で一人称視点にて実際の部位を観察出来る様になる。KB操作だとWSADキーを使って傷の部位をスクロールさせ、そこで救急スプレーを使って怪我の治療を行う。怪我の程度によって使用量は異なり、スプレーの残量は%表示として見られる方式。治療後はしばらくすると怪我が消えて行って完治となる。

 これとは別に流血の概念があり、この状態になると画面上で7分間のタイマーが作動し、実際に体からも流血のエフェクトが発生する。これを治すには包帯を使う必要があり、持っていない場合には一時的な治療として救急スプレーで止血は可能(タイマーが一時的に止まるが、時間が経過するとまた出血が始まる)。酷くなると継続して走る事が出来なくなるので危険であり、もしタイマーが切れてしまえば死亡するので、それまでに包帯を見付けないとならない。ただし常に流血状態になるのでは無い点に注意。ダメージを受けた際の過程は、怪我 → 流血 → 死亡の順番では無く、流血の過程を経ずにカーンビーは死んでしまう。プレイした感想としては流血状態になる事は滅多になくて、誤って近くで爆発を喰らった時とか、高所から落下してしまった時など、特定のダメージで発生するタイプの怪我の様だ。通常戦闘での敵の攻撃でなった事もあったが、発生条件は良く判らなかった。

 ただリプレイしてみて解ったのだが、この流血という概念は別に気にする必要が無い。初回プレイ時は包帯を持ち歩いて治療をしていたが、実はタイマー切れで死ぬとは行っても、最新のチェックポイントにそのまま復活が可能。流血や怪我はリセットされているし、持っていたアイテムもそのまま保持される仕様。よって治療アイテムが無い時に先を急ぐ必要も無く、単なる演出としての意味しか持たないのかクエスチョンマークが付く要素である。


 特徴はアイテムを使った攻撃方法を持つ事。良く使う物としては燃料ボトルとハンドガンのコンボ攻撃で、ボトルを持って構えるとその軌道が表示されて、投げるとRMBを押している間はスローモーションになる。これを撃つ事で大爆発を起こし、周囲の敵に大ダメージを与えられる(大抵の敵はそのまま燃えて死ぬ)。ボス戦ではこれを使う事が多いし、またゲーム中は爆破により障害物を吹き飛ばして道を開くのにも頻繁に使用される。燃料ボトルは火炎弾を作成するのにも使用し、フルのボトルで5回程度弾薬との合成が可能。ただしリロードすると火炎効果がリセットされるという制限あり。それと弾倉に入っている分の弾薬との合成なので、リロードしたらジャケットを開き繰り返し火炎弾を合成して戦闘に戻るという操作が必要になっている。

 もう一つ良く使うのはスプレーとライターの組み合わせで、火炎放射器の様にして攻撃出来る。こちらも弱点となる炎で攻撃出来るので、大概の敵は簡単に燃やして倒せるので便利。対象に相当近付かないとならないのと、殺すのに必要なだけの量にしないとすぐに無くなってしまうのが欠点。スプレーは数種類存在するがスロット制限から優先して持ち歩くのは大抵救急スプレーとなるので、こちらの用途でどれだけ使うかという悩みもある。



 簡単とは言わないが、少なくとも他の謎解きやアクションの達成に比較すれば戦闘の難易度は高くない。弾薬は多目だし、危険な状態になっても燃料ボトルでの爆破やスプレーでの火炎放射器で、ほとんどの場面は何とかなってしまうからである。このゲームでの戦闘を難しくしている要素があるとすれば、それはボトルとスプレーを持ち運ぶジャケット右側のポケットが4個だけという点だと言えるだろう。燃料ボトルはさまざまな物を破壊するのに使い、救急スプレーであれば治療に用いるので無駄に使いたくはない。そこで戦闘時はなるべくこれらのアイテムを使わないようにして、火炎弾や打撃武器の様な別の方法を選択するケースが増えるという理由から、戦闘の決着までに時間が掛かるし攻撃を受ける危険も高まるという話である。特に悪の根を燃やすのに行動しているセクションではアイテム不足になり易く、ここでは戦闘の難易度が上がるというよりも、アイテム集めがひたすら面倒なので攻撃時にアイテムを使いたくない → 結果苦戦となるという状況に陥ってしまう。

 よって右ポケットのアイテム不足で到達したエリアでの戦闘や、チャプター選択でアイテムが最小限になっている時点からの物は難易度が高目になる。ただし詰みが発生しないように、その戦闘エリア内にはそこで登場する敵を倒せるだけのアイテムは用意されているので、足りないのならばまずはエリア内を走り回って補充出来るアイテムがないか探した方が良い。


 敵の種類は少なく、小さな虫の様な弱い敵(毒を吐くタイプあり), コウモリの様な空を飛ぶ敵, 人間が亀裂(悪魔)に支配されたタイプ, ナイフ状の物を投げ付けてくるタフな悪魔, そして亀裂その物程度で、後はボス戦が数カ所設けられている。小型タイプは普通の弾で撃っても簡単に倒せるが、人間型は繰り返し書いている様に燃やさないと何度でも起き上がって来てしまう(ダウンさせて逃げる事は可能)。弱点としては体に浮き上がっている亀裂を撃てば大きなダメージを与えられるが、命中しているのかどうかの判定は良く判らない。

 敵で問題なのはその動きで、攻撃時には素早く動いて来たりするのだが、その後はこちらを睨んだりしながら歩き回ったりと次の攻撃までのインターバルが長い。その為にこちら側では体勢を立て直す時間が繰り返し持てるので、それが戦闘を緊張感の薄い物にしている。ずっと連続で攻撃してくる物がいないから、数多く出て来た時位しか忙しくならないのである。悪の根のセクションではこのゆっくりした性質の御陰でストレスは少し減っているが、他のセクションではもっと怖い敵として設定するべきであろう。


 総合的にはアイテムさえ十分に有れば簡単に倒せる, 武器が2つだけしかない, 敵が戦闘中にやたらと休む, 打撃攻撃がやり辛い等から、戦闘パートは特に面白くないという感想になる。ただし開発側は戦闘をメインにしている訳では無さそうなので、大きな欠点とまでは言えない。


GRAPHICS
 使用エンジンは自社開発でTwilight 2と呼ばれており、前作となるTest Drive Unlimitedのエンジンをバージョンアップした物。

 炎の描写, 燃えるオブジェクトを持った際のダイナミックなライティング, キャラクターの表情のアニメーション等が良かった点。反対にアニメーション, オブジェクトのモデリング, アンチエイリアスが無いのでジャギーが目立つ等が欠点。

 ロードが非常に早い点は評価出来るし、パフォーマンスも軽い方では無いか。


 なお残虐描写についてはグロ要素は薄い。一部の死体が損傷しているが数は少なく(見本)、敵の死体も燃やすと消えてしまうのでゴアなども無し。刃物系の武器で出血が見られる程度。

 ワイドスクリーンに対応しているが描画は16:9固定。それ以外では黒枠が表示される。PC版での設定項目は6種用意されている。

SOUND
 3Dサウンド対応。ドルビーデジタルを使っているが、5.1CHにすれば未対応でも3Dになる。

 BGMはObsCure二作を担当したOlivier Deriviereが手掛けており、相変わらずこの人の作る物はクオリティが高い。ホラーではなく映画のサントラ風でボーカル入りだったりするのが特徴的。

PS3版との相違
 解る範囲で修正された点を記載する。

PC&Xbox 360版 (オリジナル版) PS3版 (Inferno)
 三人称モードではカメラは動かせない。コントローラー操作だとある程度動かせる場所は存在する。  三人称モードにて360度カメラを回転させて周囲を観察出来る
 三人称モードでは左右移動キーで左右に旋回動作を行う。後方移動キーではそのままゆっくりと前を見ながら後退りを行う。  三人称モードでは左右移動キーで左右へと素早く向きを変えて移動する。後方キーでは反転して素早くバックする。
 三人称モードではカメラ位置が非常に近い

 三人称モードでのカメラ位置を後方に移動して見易くしている
 スプリントするにはRunキーを押した状態にする必要がある  デフォルトでスプリントモードなのでボタンを押し続ける必要が無い。移動速度はアナログスティックの傾きで調整する。
 「スプリント時のカメラ」  スプリントすると左右方向に向かってもカメラ位置は自動的に後方に移動する
 インベントリーにアクセスしての操作はリアルタイムで行われる。戦闘中のアイテム合成は一旦逃げてから行わないと危険。  インベントリーを開くとポーズが掛かるので、敵に襲われる心配なくアイテムを操作可能
 アイテム選択はアナログ操作だとやり難く、十字キーではスクロール速度が遅い  十字キーでの選択方式となり、スクロール速度が早くなっている(だそうなのだが、見た限りでは大きな差は感じられなかった)
 アイテムの組み合わせには順番があり、それ以外では合成する事が出来ない  選択するアイテムさえ合っていれば順番は関係無い
 フラッシュライト用のバッテリーが左ポケットを使用する  バッテリーはアイテムから無くされており、ライトはそのまま使い続けられる。その為に左ポケットの数は5個で変わらないが、実質一つ空きが増えているので、合成用のアイテムを持ち運ぶのが楽になった。(やっていない人には実感出来ないと思うが、ポケットの数が一つ増えるのは相当大きな影響を及ぼす)。
 アイテムをドロップする際には常に確認を要求されるので面倒

 確認無しですぐに捨てられる
 車はドリフトし易く、高速でのターンが難しい  車の挙動を変更。重量感(接地感)を増しており安定して走れるので、ドライビングセクションが簡単になっている。
 「59th Street」が非常に難しいと悪評  数々の設定を変更して易しくなっている。

・途中にチェックポイントを新設
・同乗のサラがどっちに曲がるのかナビをしてくれる
・物理演算を変更して対向車等の不規則なオブジェクトの動きを軽減
・追って来る亀裂のスピードをダウン

 「打撃攻撃」  ダメージをアップさせて(倍程度らしい)、簡単に倒せる様になっている。特に悪の根セクションでのアイテム節約が容易に。
 長期間救急アイテムが出現しないセクションあり

 より多くのアイテムを配置してバランス調整
 「ヒント機能」  既存のヒントをより解り易く修正。そしてヒントが出なかった場所にて、新たにヒントを表示する箇所を追加。
 スペクトラルポイントを稼がないと先に進めないセクションがあり、目標値に達成するまで時間が掛かるので冗長になる  達成しないとならないポイントがEP7では30 → 15。EP8では50 → 40とハードルが下げられており、短時間でこのセクションをクリア可能になっている。
 悪の根はEP3から登場するが、これに気が付くかはプレイヤー次第  EP3で必ず悪の根を燃やさないとならない様にストーリーを変更。ここでスペクトラルポイントに関わる説明も行われる。以降EP7に達するまでにセントラルパーク内で悪の根を燃やせる自由度が加わった。
 「追加要素」

 EP6に新規シークエンスとなるボス戦が追加されている


 逆にPS3版で問題となる箇所としては、Xbox 360日本語版は実績に対応しているが(PC版は未対応)、PS3日本語版はトロフィーに未対応である(海外版は対応している)。

 ヒント機能について動画で一部比較したりしてみたが、もともとパズルでは無かった箇所にて詰まり難いようにハッキリと答えを書くのは良いとして、ここはパズルとしてノーヒントで解決させるべきなのでは?という箇所で解り易いヒントが表示されたりもあって、親切過ぎるのではという感を受けた。


 上記の修正を見れば解るように、操作性の悪さを中心に大きな修正が掛かっており、全体的に易しくなっている。しかし易しくなる事が誰にとっても良い事なのかとなると、そこは難しい面も持っている。難易度設定が無いので、難しい方が好きな人に取っては嫌な改変になるかもしれない。不満の多かった操作性を直すのは歓迎すべき点だが、それに合わせて適切な難易度バランスへの調整も同時に行うのが理想だろう。

 易しくなった事、そして悪の根セクションをクリアするのに短時間で済むようになった関係から、クリアまでの時間も大幅に短縮されている模様。しかしこれもまた見方によってはマイナス点であり、難易度設定も二周目モードも持っておらず、更に日本語版はトロフィーにも未対応ではリプレイ性は薄い。

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